「皆、お疲れさん」
哮は何やら話している4人に声をかけながら駆け寄った。
「お疲れ様でした、先生」
「お疲れさまです」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
声をかけられた4人は、それぞれ哮に労いの言葉をかける。
「あっ、そうです先生。これ、お返ししますね」
「おお! ありがとう!」
チナツから預けていたロボを受け取った哮は、チナツに礼を言う。
「それで、質問なんですけど…そのお守り人形の名前はなんて言うんですか…?」
「あー…」
チナツから名前を聞かれた哮は、小さく「まぁいいか…」っと呟いた後、
「テガソードって言うんだ。それと、正確に言うとお守り人形というより、御神体みたいなもんなんだよね」
ロボの名前を答えると同時に、新たな情報を口に出す。
「ご、御神体だったんですか?! わ、私バックの中に入れていたのですが…その、大丈夫なんですか…?」
「まあ、チナツみたいな可愛い子のバックに入れたなら、テガソードは文句はないだろうから、大丈夫だと思うよ」
「そ、そうですか…それなら良かった…です…」
少し頬を赤く染めながらチナツは安堵する。
その会話を聞いていたユウカとハスミは、無意識にチナツを可愛いと言った哮をジト目で見つめるが、本人の哮がそのことに気づくことはなかった。
「……これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」
気を取り直したハスミは、哮にトリニティ総合学園への訪問を誘うと、その後に一礼したスズミと共に学校へと戻って行った。
「私も風紀委員長に今日のことを報告に戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃったときは、是非お越しください」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも? 先生、ではまた!」
ハスミ達に続くように、チナツとユウカもまた最後に挨拶して、それぞれの学園に戻って行った。
「さて、俺は俺で…初日にできることをするか……」
生徒達を見送った哮は、テガソードを一瞥した後、シャーレへと戻って行った。
シャーレの部室に戻った哮は、手に持っていたテガソードを机の上に置いて椅子に座り込み、シッテムの箱を取り出した。
「この状態でも、会話はできるんだよな? アロナ?」
『はい! その通りです先生! ある程度落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした!』
シッテムの箱を起動すると、画面いっぱいにアロナが飛び出てきて、哮からの質問に答える。
「アロナもお疲れさん。しっかりとバックドアは用意してくれたんでしょ?」
『はい、勿論です!』
「そうかそうか…」
元気いっぱいに返すアロナが微笑ましく思った哮は、少しアロナの顔を見つめた後、周囲に人が居ないか確認した後、シッテムの箱をモニターに立てかけて、立つようにセットし始める。
「アロナ、今から少し不思議な事が起きるけど、驚かず話を聞いて欲しい」
『…へ? 先生、それはどういう…』
「まあ、見といてくれ…」
不思議そうに首を傾げるアロナに、哮はウィンクしたのち、席から立ち上がって改めて人が居ないか確認する。
そして、
「出てきていいですよ」
誰かに向けてそう声をかけた。
すると、テーブルの上に置いたテガソードの胸元が光り始め、そこから水色の光球が現れ、それは大きくなりながら哮の隣へと飛ぶと、徐々に人の形へと変わって行く。
「…ふっ、俺様顕現…!」
男となった光は、白が基調の派手なローブを羽ばたかせながら口を開いた。
『え、ええええぇーーーーーーーー!!!』
突如出てきた光が男となったのを見たアロナは、画面1杯になるほど顔を近づかせながら驚く。
「お久しぶりです。熊手さん」
「数週間ぶりだな! 三代目」
2人は顔見知りなのか、哮は男のことを熊手と言い、逆に熊手は哮のことを三代目と言う。
『あ、あの…』
「いやー、ようやく一段落したのと…厄災について少々お話したいことがありまして…」
「やはり動いているのか…全く、迷惑な奴らだ……」
『その、その人は……』
『豊夜哮。厄災についての話、詳しく聞かせてもらおうか』
『うわっ!?』
アロナが2人に置いていかれて戸惑っていると、突如テガソードから神々しいオーラが放たれ、更に胸を光らせながら言葉を発し始めたので、アロナは再び驚く。
「テガソード…!」
「役者が揃ったことだ。早速、話を聞こうか。三代目」
『あ、あの…! その前に説明して欲しいんですけど…!!』
話が分からず置いていかれていたアロナは、精一杯声を張り上げて、2人と1体に、説明を求めた。
「あー、ごめんごめんアロナ…」
「三代目、あれはなんだ…?」
アロナの叫びに哮は謝り、男は不思議そうにシッテムの箱の画面に映るアロナを見つめる。
『…申し訳ないが、私はそちらが見えない…私にも見えるようにしてくれないか…?』
「あー、分かった」
動けないテガソードのために、哮はシッテムの箱を持ち上げ、画面内に居るアロナと他の者達が互いに見えるように持つ。
「それじゃあアロナ。自己紹介をお願い」
『はい! 私は、シッテムの箱の管理者であり、メインOSで、哮先生をアシストする秘書のアロナです!』
「ほう…! こっちの世界は、色々と面白いな!」
男は興味深そうにシッテムの箱に顔を近づける。
『あ…あの……貴方は一体…?』
「俺様か! 俺様は熊手真白! 人呼んでゴッドネス熊手! 正真正銘の神様だ!」
アロナからの質問に、熊手真白と名乗った男は、両手を大きく広げながら、宙を浮き上がってその全身をアロナに見せた。
『か、かかか神様?! そ、それでは…あちらの方も……』
神と名乗った真白に驚いたアロナは、ゆっくりと目線をテガソードの方へと向ける。
『そうだ。私は人類の神、テガソード。かつて、私が選んだゴジュウジャーのメンバーと熊手真白と共に、厄災を払った者だ』
『は、はわわわ…!』
いきなり2柱の神が目の前に現れたことにより、アロナは語彙力を失い只々驚く。
『せ、先生って…神様と知り合いだったんですね…』
「まあね。これで、アロナも神様と知り合いになったな」
『うぅ…他に人と会えるなら、自慢できたのに…』
自慢ができないことにアロナは悔しがる。
「それで、三代目。本題に入ろうか」
「厄災…クラディスのことですね」
『嗚呼』
真白に言われて、厄災について哮が話始めようとしたその時、
『ちょっと待ってください』
と言って、アロナが止めた。
「どうしたアロナ?」
『私…その野菜…役者…厄災について分からないので、話して欲しいのですけど……』
「…そうだな。アロナには話していいか」
「三代目、本当に話して大丈夫なのか?」
「アロナ…というより、この端末を起動できるのは、俺だけなので話してもいいかと…それはそうと、アロナ。今から話すことは秘密にしてくれると約束してくれるよな?」
『は、はい! 秘密にすると約束します!』
「よし。それじゃあアロナ話そう! 俺が先生になる前までのことを…」
アロナの元気の良い返事を聞いた哮は、真白の分の椅子を用意してから、シッテムの箱を抱えながら椅子に座った。
「そうだな…何処から話すべきか……」
『では、まず私が話そう』
話の出だしを哮が悩むと、テガソードが代わりを打って出たため、哮は任せることにした。
『全ての始まりは、私が厄災の気配を察知してからだった』
「そうだったな。しかもそれが、俺達の世界ではなく、平行世界だったから驚いた」
『えっ? 皆さんって、異世界の人なんですか?!』
「哮以外はな…」
真白は宙に浮きながら、驚いているアロナに説明をする。
『ていうか、厄災ってなんですか?』
「かつて、テガソードと俺様達が倒した連中のことだ。テガソードや俺様が人類の神ならば、奴らの親玉は宇宙の神、因果律その物だ」
『か、勝てたんですか…? 明らかヤバい神様相手に?!』
「勿論! 俺様がバッチリと倒してやった……はずだったんだかな…」
『この世界で、厄災…クラディスの気配を感じたのだ。そこで私は、急遽この世界で指輪争奪戦を始め、厄災に抗うために戦士を募ることにしたのだ』
『もしかして、その戦士というのが…』
「そう、三代目ゴジュウウルフになった俺ということだ」
哮はアロナに見えるように、右手に付けられているゴジュウウルフの指輪を出す。
『豊夜哮の強さは、歴代ゴジュウウルフに劣らず、凄まじかった。たった半年程で、自身の指輪を除いた54個あるセンタイリングのうち、49個のセンタイリングを集め切った』
『それって、凄いことなんですか…?』
「結構凄いことだぞ? 二代目だと、全て集め切るのに1年かかったからな。まだ全部では無いが、半年程度で49個を集めるのは中々難しい」
『せ、先生凄いですね!』
「ふふ、そうだろうそうだろう」
テガソード、真白、アロナの3人に称えられて、哮は少し自慢げに胸を張って喜ぶ。
「話は戻しますが、今日…このキヴォトスで、モリスと遭遇し戦闘しました」
「『っ!!』」
話を戻した哮からの報告に、真白は顔を顰めて、テガソードは表情は分からないが、何か驚いたような雰囲気を出していた。
『どうしたんですか、お二方…?』
真白とテガソードの反応に、アロナは不思議そうに首を傾げる。
「…アロナ、さっきセンタイリング…指輪は54個…俺のを含めると55個あるって言ったな?」
『は、はい! 先生は着けている指輪を除いて、49個持っているんですよね?』
「そうだ。そして、そのうちの1つを熊手さんが持っているから、今この場に指輪は、51個ある」
『つまり、残り4つが何処かにあるんですよね?』
「……嗚呼…
『えっ、えええぇぇぇーーーーーーーー!!!!?』
哮の口から出た発言に、アロナは大きな声を出して驚く。
『私も驚いた。何しろ、それらのセンタイリングを持った戦士が現れなかったため、調べた結果…4つの指輪全てが、キヴォトスにあるのだからな…更に、ゴジュウウルフの豊夜哮がそのキヴォトスに行くとなったのだ。奇跡と言っていいほどの偶然が重なり合った結果と言えるだろう…』
驚くアロナのために、テガソードは4つの指輪がキヴォトスにあると分かった理由を話した。
「そして、5つの指輪が揃ったキヴォトスに、厄災が現れた…となったら、奴らの目的は指輪だろうな。気をつけろよ三代目、奴らは1度、指輪の戦士を使って指輪を集め、その力で親玉の復活を狙っていた。今のお前は奴らにとって歩く宝箱だ…指輪の管理含めて、慎重になれよ?」
「はい!」
両腕を組んで神妙な面持ちの真白からの忠告を哮はしっかりと聞き入れる。
「それじゃあ、俺様達はそろそろ自分達の世界に戻る。神様と言っても、別世界にはあまり長居はできないからな。三代目、また何かあったら連絡しろよ?」
「分かりました。厄災の動向や、相談したい時に、テガソードを通してまた連絡します」
「んじゃあ、頼んだぞ」
そう言い残して真白は、再び光球となってテガソードの胸に向かって飛び、中へと消えて行った。
『では、こちらでも調査を進める。その時にまた連絡しよう』
「分かった」
『ではまた…』
話を終わらせると、先程までテガソードから感じ取れていた神々しいオーラが消え失せ、ただのロボとなった。
「さてと、今日は暇だし…アロナ、君に指輪争奪戦の時の話をしようか!」
『気になります!』
「そうかそうか、それでは語るとしよう!」
報告が終わった哮は、暇潰しのためにこれまで自分が経験した戦いについて、アロナに話すことにした。
自分で書いてて、少し経緯が分かりづらいと思ったので、後書きで簡単に表すことにしました。
テガソード様と熊手様がブルアカ世界から厄災の気配を察知→対抗策のために指輪争奪戦を開催し、戦士を集める→哮がゴジュウウルフとなってゴジュウジャーの指輪以外のセンタイリングを集めつつ、モリスと戦闘する→その最中、哮以外のゴジュウジャーが現れなかったため、不審に思ったテガソードが反応を調べる→ウルフ以外が全てキヴォトスにあることが判明→そしてタイミングよく、哮が連邦生徒会から先生として呼び出される→テガソードの御神体、49個のセンタイリングと共に哮がキヴォトスへ
という感じになっております。もし分からないことがあれば、可能な限り答えて行こうと思うので、感想に書いて行ってください!!
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