「ほんで?早速やけどこれから行く当てってあるん?」
「俺は洞窟から出てきたばっかだから、当てはないな
ナオヤは?」
「俺もあらへんな
なんせ此処に来たのがついさっきで、そこからは君と話してただけやもん
でも――」
俺もリムルくんも行く当ては無いみたいや
なら周りの呪力を感じ取って町かどっかの集落えを目指せばええ
《ナオヤ!固有スキル「呪力干渉」を使うか?》
なんや、暗闇の時の声みたく話しかけんなや!
そもそも何で異世界やのにお前は着いて来てるねん!
《そりゃ俺はナオヤの記憶をもとに、ユニークスキル「案内者」の効果で生み出されてるからな!》
《魂の部分で繋がってっから念話も出来るし五感の共有だってできるんだ!》
なんやそれ、魂の部分で繋がっとる?
もしそうならスキルっちゅうのは術式と少し似とるな
《それよりもナオヤ!「呪力干渉」を使うのか!?》
喧しい!
分かった分かった使うわ
《確認した!「呪力干渉」を発動するぜ!》
えーと、ここらで一番呪力が濃いんは……
右の方か
「あっちの方にいっぱい何かが居るで」
「お、そうなのか?
それじゃあそっちに進んでみるか!」
「せやな
ほな行こか」
それにしてもこの世界で感じる呪力……どれもこれも整いすぎとる
呪力ってのはもっと質やら何やらでムラがあるもんや
でもこの世界の呪力は俺が見た限り殆ど均一になっとる
多分やけど、これが魔素とか言うやつやろか?
《おう!ナオヤが呪力だと思ってるのはこの世界で言う魔素ってヤツだ!》
《魔素は呪力みたく人間の悪意から出来てるんじゃなくて、元々存在してるエネルギーみたいなヤツなのさ!》
なんでお前がそないな事知ってんねん
《それは「案内者」の効果によるものだぜ!》
スキルの効果?
まあええ、とにかくこの世界の魔素っちゅうんは呪力と似た役割しとるんや
んで元からそこに有ったもんだから人間が出した呪力と違うてムラやらが少ない
《しかもこの世界の魔素は人間以外の魔物も持ってるんだ!》
だからなんでそないな事知ってんねん
でもそうか、だからこないな森ん中にも呪力が溢れとんのや
ほんなら次はスキルや
おいコガネ、俺のスキルについて教えろや
《おう!ナオヤの今持ってるスキルは「投射呪法」「案内者」「偽善者」「呪力干渉」「滞空」の五つだ!》
なるほど、恐らくやけどスキルはよっぽどでもない限り増えそうに無いな
ま、増えなくても戦闘は問題なく出来る
《それぞれ説明するぜ!まず「投射呪法」の効果はまんま前世と同じだ!》
それは分かっとるねん、さっきリムルくんに試したからな
それよりさっさと他のスキルについて教えろや!
《次に「案内者」の効果は俺を呼び出す「式神召喚」、お前か俺が見たりしたものを調べる「解析鑑定」、この世界の殆どの事を知れる「森羅万象」、俺とお前の感覚を共有する「五感共有」の4つだ!》
ふーん?五月蠅い以外に欠点も無い使いやすそうなスキルやな
んで次は?
《そして「偽善者」の効果は性格が良くなる「善意矯正」、聖属性や光属性を付与する「聖光付与」、そして運が少し良くなる「幸運」の三つだ!》
性格が良くなる?
何言うてるん、俺の性格も考えも前世から何にも変わってへんっちゅうのに
《「善意矯正」は時間が経つほど効果が出て来るんだ!》
へーそうなんか
それじゃ後の二つはどんなのなん?
《おう!「呪力干渉」は周りの魔素や呪力を思い通りに操作したり感知したりできる!》
ほな呪霊の時と同じ様な感じって事か?
《そう言う事だ!んで「滞空」は重力の効果を無視して空中に留まれるようになるんだ!》
ほなこっちも呪霊の時と同じような感じか
なるほどな?
取り敢えず戦い方は前と変わらなさそうやな
でも「聖光付与」っちゅうのは何か引っかかるな
「おいナオヤ、何か来るぞ」
「ん?ホントや、前の方から何か来とる」
ゾロゾロゾロ
何やコイツラ
装備はボロキレみたいな布とすぐ砕けそうな得物、呪力……いや魔素もカスや
肌は緑でチビ
コイツラあれか、ゴブリンとか言う雑魚敵や
「強き者どもよ、この先に何か用事がおありですか?」
「強き者ども……?」
「リムルくん、それ十中八九俺らの事やで」
「え、俺ら?」
もしかして、リムルくんもしかして自分の魔素量分かってなかったん?
なるほど、せやから抑えずにこんなモロに魔素漂わしとんのや
「えーっと、初めまして!俺はスライムのリムルと言う!
俺達に何か用か?」
「強力な魔物の気配がしたので、警戒に来た次第です」
「そんなもの、俺には感じられないけど?」
「だからそれ俺達の事やでリムルくん
君さっきから魔素駄々洩れやもん」
「え!?駄々洩れ!?」
あ、魔素が引っ込みよった
「ありがとうございます!先程からあなた様のオーラに皆怯えていたので助かります」
「いや!こちらこそ済まない!」
何や、リムルくんの声が上ずっとる
もしかして恥ずかしかったんやろか?
「強き者どもよ、貴方方を見込んでお願いがあるのですが……」
お願い?
なんやお願いって
#
へーここがゴブリンの村か
それにしても粗末な村だ、ナオヤの突進の余波で吹き飛んじまいそうだ
「ようこそお客人方、私はこの村の村長をさせて頂いております」
「はい、どうもよろしく
で、自分達にお願いとは何ですか?」
「実は最近魔物の動きが活発になっているのはご存じでしょう?」
「いや?」
「我らの神が、ひと月前にお姿をお隠しに成られたのです
その為近隣の魔物がこの地にちょっかい掛け始めました」
神?
……もしかしてヴェルドラの事か?
時期的には合うし、魔物避けになってたアイツを俺が喰ったからみたいだな
「我々も応戦したのですが戦力的に厳しく」
「それであなた様に!」
力を貸して欲しいと
「しかし自分はスライムで、こっちのナオヤは芋虫ですし――「誰が芋虫やねん!」――ですので期待されているような働きはできないかと」
「「ご謙遜を」」
「ただのスライムに先ほどの様なオーラは出せませぬ
それにそちらの方も只の魔物であればその様な恐ろしいオーラは出せまぬ
お二人とも相当に名を馳せる魔物なのでしょう」
あ!そうだ、こいつらには俺の駄々洩れになってたオーラが見られてたんだ!
もう少し早く気づいてれば……
ええい、こうなったら!
「ふふふ……流石村長、分かるか?」
「もちろんでございますとも
漂う風格までは隠せてはございませんでしたぞ」
「そうか、やはり分かっていたか
お前たちは中々見どころがあるようだな」
「我々を試されていたのですね?
やはり貴方方は只の魔物では無いのでしょう!」
「そ、そうだな!
やはりお前達には見どころがあるな!」
見どころってどんな見どころだよ!
て言うかこれに気付かなかった洞窟の人間は何なんだよ!
「ありがとうございます
それで、お願いと言うのは――
~
――と言う訳なのです」
なるほど、北の地から狼の魔物である牙狼族が押し寄せて戦いになり、ゴブリンの戦士が多数討ち死に
その死者の中には名持ちの守護者の様な戦士が居たが、彼が居なくなってしまった事により村は危機に瀕している……と
「牙狼族は全部で百匹程度」
「こっちの戦力は?」
「戦えるのはメスも併せて六十匹ぐらい……」
酷い戦力差だ
なんだかムリゲーっぽいかもな
「その名持ちのゴブリンの戦士は勝てないと分かっていて戦ったのか?」
「ええ、牙狼族の情報はその戦士が命懸けで入手した情報なのです……
戦士は私の息子で、コレの兄でした……」
「そうか、悪い事を聞いた……」
そうだったのか……
なら――
「村長、一つ確認したい
俺達がこの村を助けるなら、その見返りはなんだ?
お前たちは俺達に何を差し出せる?」
こういうのは形が大事なんだ
別に、本気で何か取り上げようってんじゃない
「……わ、我々の忠誠を捧げます!
我らに守護をお与えください、さすれば我らは貴方様方に忠誠を誓いましょう!」
(ナオヤ、大丈夫か?)
(別にええよ?リムルくんがやりたい言うんやったら俺の手伝ったる)
(サンキューナオヤ!)
ウオオォォォォン
なんだ?
犬の遠吠えの様な……てことはこれが
『が、牙狼族だー!!』
『ヤバいよヤバいよ!』
『もうダメだぁ、お終いだ!』
『俺達食われちゃうんだー!』
「おぉ、お前達落ち着きなさい!」
皆怯えてるな
そりゃそうだ、なんせ自分の事を簡単に食い殺せる奴が其処らをウロチョロしてるって事なんだから
だけど――
「「ビビる必要はない」」
俺とナオヤのセリフが予期せずに重なった
「「
「で、では!」
「お前たちのその願い、暴風竜ヴェルドラに代わりこのリムル・テンペストと!」
「ナオヤ・テンペストが聞き届けたる」
「ありがとうございます
我々は、リムル様とナオヤ様の忠実なしもべにございます!」
任せておけ
俺とナオヤがこの村を守り抜いてやる!
#
ウオオォォォォン
ウオオォォォォン
まーた野良犬共の遠吠えや
喧しくて仕方があらへんのに今度は二度も聞こえたわ
「そろそろくるっちゅー事か?」
取り敢えずリムルくん達の居る門の方向かうか
ん?なんや、噂をすればなんとやらやな
仰山群がってきとるわ
お、先頭の方に目に傷跡持ったのと角生えたやつが居るな
多分群れのボスとその息子やな
「このまま引き返すなら何もしない!さっさと立ち去るが良い!」
「せやでー!こっち来てもなーんも良い事無いで!」
ウオオォォォォン
うおっ向かって来おった
でも残念
ガウッ!
ガウ!
グウッ!
小汚い柵だけや思たら大間違いや
周りにはリムルくんがめっちゃ硬い「鋼糸」巻きつけてんねん
ヒューッ
ギャウッ!
それだけちゃう
鋼糸で安全になっとる柵の内側からはゴブリン共がチクチク弓矢で刺してくる
「貴様らの仕業か……」
「そうだ!」
は?犬が喋りよった
《「呪力干渉」の応用で相手から漏れる魔素から何言ってるのかを感知できんだ!》
《逆にこっちの言葉を伝える事も出来るぜ!》
なるほどな、良うできたスキルや
「矮小なる魔物共の分際で!
捻り潰してやる!!」
お、今度はボスが向かって来おった
他の犬よりは速いわ
リムルくんの鋼糸も感じ取って嚙みちぎれるんは他の犬より凄い
けど――
ドンッ!
そんだけやな
「き、貴様!何をした!放せ!!」
「嫌やね、放さん」
わざわざ敵の事味方に近づける阿保が居るか
「君、自分が強いと思っとるやろ?
でも思っとるだけや
俺みたいに自分よりもっと
そんなんだから目に傷貰ったんやろ」
「き、貴様ァ!!!」
「そんな怒んないでや
だって事実やろ?
顔に傷貰ったんも、そんな情けない顔で群れのボスやっとんのも、自分の事強い思い込んでたんも、俺に負けて力尽くで押さえつけられとんのも
やっぱ雑魚の罪は強さを知らん事やな」
「ナオヤ、そのままやってくれ」
「リョーカイ」
もう終わりか
まだまだコイツには言ってやりたい事あったんやけどな
「って訳でさようなら」
ザシュッ!
おえっ
やっぱ腕で身体貫くんは気持ち悪くてしゃーないわ
「おーい!君らのボス死んだでー!
これでもまだやる?」
シーン
ダメや、全く反応が無い
むしろこのままこっちに向かってこられるかもしれん空気や
「これ、どないしよう?リムルくん」
「うーん……よし、任せろ」
ジャブッ!
なんや、リムルくんがボスの死体に絡みつきよった
いや、ボスの体が消えて行っとる
そうか、吸収しとるんや
ザワァ!
今度は黒い煙出してボスの姿になりよった?
なるほど、ボスになりきって群れを怖がらそうっちゅう考えか
「聞け!今回だけは見逃してやろう
さあ行け!この場より立ち去る事を許そう!」
ワオオオォォォン!!!
や"ッ、喧しい!!
威嚇とは言え前にもまして声がデカイっちゅうねん!!
ワオオオォォォン!!!
ていうかいつまで続くねんこれ!?
それに犬共もこっちに真っ直ぐ近づいて来とる
やったら今度はボスの息子ボコったる――「「「我ら一同!貴方様方に従います」」」
は?
懐かれた?
いや服従させたんか
やとしたらこの戦い――
「あ、あのー」
「勝ったのですか?」
「
『わーい!』
『やったー!』
『良かった!』
『うおー!』
なんや、皆喜びすぎやろ
喧しい
「争う必要が無くなったのはいい事だ!
うんうん、平和が一番」
「ま、おおむね同意やな」
でも今のは、戦いって言うよりかは小競り合いって言うた方が規模的には合っとるな
負完全燃焼って感じやね
しっかり直哉の言いそうなこと書けているか不安です
誤字報告・改善点など、報告お願いします