連邦深夜ラジオ部   作:もりもりバナナ

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コストコにドバイチョコあるやん。

ごっつ美味いで。



三夜目

 

……聞こえてますか。

こちらはキヴォトス、深夜〇時。先生の深夜ラジオ、三夜目です。

 

三日も続くとね、不思議とこの時間に慣れてくる。最初は「誰が聞いてるんだろう」って思ってたのに、今は「きっと誰かは起きてる」って前提でマイクに向かってる自分がいる。習慣って、静かに人を変えるものだね。

 

今夜は少しだけ静かだ。外も、放送室も。こういう夜ほど、普段は胸の奥に押し込んでる考えが浮かんでくる。忘れたふりをしてたこととか、言葉にしなかった気持ちとか。

 

このラジオは、相変わらず結論を出す場所じゃない。

ただ、声を置いていく場所だ。

軽くても、重くても、途中で途切れててもいい。

 

三夜目。

今夜は、どんな声が届くだろうか。

 

……それじゃあ。

最初のお便り、どうぞ。

 

 


 

 

ペンネーム『とあるチョコミント好き』より。

 

『先生、相談があります…実は私、ただチョコミントが個人的なブームなだけで、そんなに人を殴ったりするほどチョコミント原理主義じゃないんです……!

でも皆はなんか勘違いしてて……どうすればよいでしょうか?』

 

 

……こんばんは、「とあるチョコミント好き」。

うん、その相談、思ったより真剣だね。ちゃんと聞こう。

 

まず前提として一つ言わせてほしい。

チョコミントが好き=人を殴る思想、ではない。

これは先生の中ではもう確定事項だ。だから、君は何も間違ってない。

 

ただね、キヴォトスでは「ちょっとした個性」が、いつの間にかキャラ設定として独り歩きすることがある。誰かが冗談で言った一言が、尾ひれ背びれ胸びれ全部付いて、「原理主義者」みたいな称号になる。怖い話だけど、割とよくある。

 

じゃあ、どうすればいいか。

 

一つ目は、否定しすぎないこと。

「私はそんな過激じゃない!」って毎回全力で否定すると、逆に「図星だから焦ってる」みたいに見られることがある。理不尽だけどね。

 

二つ目は、行動で示す。

チョコミントを食べてる時に、誰も殴らない。ただそれだけでいい。

「ほら、今日も平和に食べてます」っていう実績を、淡々と積み上げる。

 

三つ目は、一段だけ自分からネタにする。

「安心して、今日は殴らない日だから」くらいでいい。

完全に乗っかる必要はないけど、少しだけ笑いに変えると、周りも扱い方を修正してくる。

 

最後に一番大事なことを言うね。

誤解されてる君より、チョコミントが好きな君のほうが本物だ。

周りのラベルは、時間が経てば薄れる。でも、好きなものは残る。

 

だから今日は、堂々とチョコミントを選んでいい。

殴らず、叫ばず、ただ美味しいって思いながらね。

 

……深夜ラジオは、誤解をほどくにはちょうどいい場所だ。

またいつでも、送ってきて。

 

 


 

 

ペンネーム『超天才清楚系病弱美少女ハッカー』より。

 

 

『先生。私に困っている事はありません。』

 

 

……こんばんは、「超天才清楚系病弱美少女ハッカー」。

肩書きが渋滞してるけど……うん、ちゃんと聞いてるよ。

 

「私に困っている事はありません」か。

質問というより、確認だね。それも、少しだけ勇気のいる確認。

 

正直に答えるよ。

困っている、というより……心配になることはある。

 

それは能力の話じゃない。

君は優秀だし、頼りになるし、正直助けられてる場面の方がずっと多い。だから「困ってる」なんて言葉は、少し違う。

 

ただね。

あまりにも一人で何でもできてしまう人ほど、周りが声をかけるタイミングを失う。

「大丈夫そうだから」

「聞かなくても分かってるから」

そうやって、無意識に距離ができる。

 

先生が気にしてるのは、そこだ。

 

誰かに頼らないことと、誰にも頼れないことは違う。

君が前者であってほしいと、勝手に思ってる。

 

だから答えはこうかな。

困ってはいない。でも、一人で抱え込んでないかは、少し気にしてる。

 

もし何かあったら、完璧な報告じゃなくていい。

雑音混じりのメッセージでいい。

深夜ラジオに投げるくらいの軽さでいい。

 

……今夜は、それが言えてよかった。

次のお便り、待ってるよ。

 

 


 

 

ペンネーム『プリンを2つも食べちゃいます!』より。

 

 

『先生。この前いつも通り温泉を掘っていたら_いえ、正しくは管理していたら、石油が出てきました。えと…私はまずどうすべきでしょうか?あ、もしお金を稼げるならⅠ日3つもプリンを食べたいです!』

 

 

……こんばんは、「プリンを2つも食べちゃいます!」。

温泉を“管理していたら”石油が出た、ね。まず言い方から整えようか。掘った瞬間に手を止めた、ここまでは正解だ。

 

最初にやるべきことは三つだけ。

一つ、近づかない・触らない。石油は可燃性だし、硫化水素みたいな厄介なガスが出る可能性もある。安全第一。

二つ、勝手に広めない。写真を上げたり、噂にしたりしない。情報が先に走ると、面倒が倍になる。

三つ、正式ルートに報告。学園の管理部門、総生徒会、資源関連の担当。順番はどうでもいいけど、必ず記録を残すこと。

 

「お金になる?」って気持ちは分かる。プリンも分かる。でもね、最初に掘り当てた人の取り分がそのまま財布に入る世界じゃない。権利、環境、責任が一気に来る。だから個人判断で動かないのが一番賢い。

 

上手くいけば、報奨や管理費が回ってくる可能性はある。

その時は……プリン、一日三ついけるかもしれないね。

 

今日は落ち着いて、甘いものは二つまで。

続報があったら、また送って。

 

あともし儲かったらなシャーレにもお金を送ってほしいな。

 





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