ありふれてない呪言師は世界最悪   作:オワタ+式=サン

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異世界召喚とステータス格差

 

光が収まると、大聖堂の様な場所に全員が居た。

 

そして周りには神官のような格好をした人々がたくさんいた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

そう言ってイシュタルと名乗った老人はニッコリと笑った。

 

 

〜〜〜〜

 

その後、イシュタルの案内により場所を大広間の様な所に移され、イシュタルから着席する様に促される。

 

全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイド達が入ってきた。全員が容姿端麗、美女と美少女だけの正しく男の夢の様な光景である。

 

そして状況が飲み込めなくても、男子というのはこう言う光景には思わず凝視してしまうものだ。

ただし、女子生徒達の目は絶対零度の様に凍り付いていた。

 

ハジメは給仕をしてくれたメイドを凝視しそうになって笑顔なのに薄ら寒い視線が香織から突き刺さった為に目を逸らし

 

シュウヤは給仕するメイドが自分へにっこりと微笑みかけて来た為に首を傾げるも、メイドは気にする事なく給仕をして、最後に小さくシュウヤへと手を振った。

 

そして、そんな自分へ突き刺さる雫からの絶対零度の視線にシュウヤはハジメと同様に目を逸らした。

 

全員に飲み物が行き渡った後、イシュタルが話し始めた。

 

めちゃくちゃ長い上にテンプレートみたいな話だった為、要約すると

 

この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族の三種族。

 

 人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きている。

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 

 しかし、魔人族側から魔物を使役する者が元々居たのだが、その使役出来る数が1〜2匹だった状況が覆り、一人で二桁とか操り始めた為に、人間族側のアドバンテージたる数の暴力でのゴリ押し戦法が効かなくなり、このままだと滅ぼされるのは時間の問題である…との事。

 

要は『自分らジリ貧だからアンタら戦場に立ってくれ、支援はするから』と言う事だ。

 

他力本願寺Lv100くらいはあるだろう。逆に言えばそこまで切迫詰まってる証拠なのだが

 

当然クラスメイト達は大混乱、しかし光輝の鶴の一声により、ほぼ全員が戦う事に前向きになった。

 

そんな中、ハジメとシュウヤ、そして香織と雫だけが方や静かに、方や不安げにその光景を見つめていた。

 

その後、クラスメイト達と愛子先生は呼び出された聖教教会の総本山・神山の麓にあるハイリヒ王国へと移動した。

この国で受け入れられ、訓練を受ける事になった。その日の夜は王城にて歓迎する宴が開かれた。

 

そして訓練は明日から開始すると言う事でお開きとなった。

 

 

 

翌日、遂に訓練開始となった。

 

教育担当の王国騎士団長、メルド・ロギンスから銀色のプレートが配られた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

(なるほど、数値的に分かりやすくした上で身分証になるなら国としても管理が楽そうだな)

 

そう思いながら説明された持ち主登録の手順に従って針で指を軽く刺して自分の血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。そして浮かび上がった文字を見る。

 

 

—————————————————————————————————

 

影野 終夜 17歳 男 レベル:1

天職:呪言師

筋力:5

体力:5

耐性:5

敏捷:5

魔力:5

魔耐:5

技能:呪言・報復・言語理解

 

—————————————————————————————————

 

「なぁにこれぇ?」

 

思わず遊戯の王の様な言葉が出てしまった。

ステータスはオール5、天職は呪術師ならぬ呪言師。そして技能は天職に関わるだろう呪言と報復、後は言語理解のみ。

 

恐らく声によって呪いをかける様な天職だろうとアタリを付けるも、そんな強そうな天職が制限もなしに使える訳がないし、そもそも声が発動キーになるなら声帯を潰されたら終わりだ。

 

そんな事を考えていたら隣にいたハジメが話しかけてきた。

 

「どうだった?」

 

「とりあえず…めっちゃ弱い事だけは分かった」

 

そう言いながら僕はステータスプレートを見せた。

 

「うわ……ほんとだ。ステータス俺より低い……それに呪術師じゃなくて、呪言師なんだ…」

 

「それは僕も思った…というか、ステ高い感じ?どんくらい?」

 

「俺は錬成師でステータスはオール10だよ」

 

「錬成師……って事はアレやれるじゃん、アレ、手を合わせて錬成!みたいなさ!」

 

「…確かにやれそうだけど…でも、多分皆の方がよっぽどすごい才能があるみたいだし……」

 

「まぁ、錬金って応用が効きそうだからまだマシじゃないかなぁ…僕は呪言と報復の二つだし…」

 

「いやいや、そっちもやれそうじゃん、声で人を操る!みたいな…」

 

「もしそれやれる可能性あるなら英雄になるよりも処刑される可能性の方が高ぇよ」

 

 

そんな話をした後、ハジメがメルド団長にステータスを報告しに行った。

 

 

メルド団長がハジメに対して微妙な顔をしているのを見て、自分もそうなんだろうな、と心のどこかで思っていた。しかし予想とは真逆だった。

 

「これは…色々と酷いな……」

 

「やっぱりステータスですか?天職ですか?」

 

「そうだな…ステータスもそうだが…私自身こんな天職は初めて見た…見た所、呪術師の能力の一部…相手を言葉で呪う…という事に特化した天職だとは思うが……しかしなぁ…」

 

うーむ…と歯切れが悪そうにメルド団長は言葉を詰まらせる

 

「メルド団長、隠さなくても良いです」

 

「……そうか、そのだな…この相手を言葉で呪う…というものだが…」

 

そう言ってメルド団長は、魔力と魔耐の項目を指した。

 

「魔力が高くなければ効果は出ないし、その魔力が高かろうと、使う相手の魔耐が上回っていれば無効化されてしまう……という訳なんだ」

 

「成程、詰みか」

 

前略父さん母さん、後おじいちゃん。異世界で詰みました。潔く散ったと思って下さい。

 

「し、しかしだな!この魔力を高め続ければ力を発揮できる様になる…はずだ」

 

メルド団長は必死にフォローしてくれる。なので質問してみた。

 

「じゃあ魔力を高めるにはどうすれば良いんですか?」

 

「それは魔力を使っ…て……」

 

メルド団長は僕のステータスプレートを確認する。

 

お、出番か?とチカチカと輝く、呪言の項目。

 

メルド団長は鉄腕な番組の様に天を見上げた。

 

「…すまん、力になれそうにない」

 

「仕方がないですよ」

 

その後、訓練が始まった。

 

ハジメは錬成師な為に、すぐに教師となる人物が見つかり、ひたすら錬成する特訓をし

 

自分はまず魔力ってなんぞや?と言う事で魔法使い系の組に混ざって一緒に魔力という存在を掴む為の訓練をした後、魔力を練る練習をした。

 

そして、あっという間に一週間が経った。

 

一週間で変化した事は…

 

魔力と魔耐数値が15になり、残りのステータスが10になった。以上

 

笑えよ…

 

そして、一週間経った、という事で武器を選ぶ事になったのだが

 

「メルド団長、なんですかこれ?」

 

「…杖…だな」

 

メルド団長と共に立てかけてある杖を見る。

 

杖と言われるとファンタジー系あるあるな木製の杖を思い浮かべるが、目の前にある杖は違う。

 

黒色を主体としパッと見る限りは鉄の様な鉱石を使った杖に見える。杖の先には赤黒い宝石の様なものが浮かんでおり、杖自体にはよく分からない模様が持ち手になるだろう部分以外、びっしりと彫り込まれ、見るからに禍々しい感じがする。

 

「…これが、僕の武器ですか?」

 

「……あぁ、持った対象の魔力を吸い上げる…なんて逸話が残っている杖だ」

 

「メルド団長、これ在庫処分みたいな感じで押し付けられたって思っていいんですかね?」

 

メルド団長は何も言わなかった。それが何よりの証拠である。

 

そして、恐る恐る杖を持った途端に魔力を吸われる感覚を覚え、気付いたらベッドに居た。

 

そして、側にはあの時に見たメイドが甲斐甲斐しくタオルを額にかけてくれていた。

 

「…わざわざありがとうございます」

 

「いえいえ、それよりも…」

 

すると、メイドはペタペタと頬を触る。

 

「血色が良くありませんね、今夜はお肉を食べた方が良さそうです」

 

「そうですか、じゃあ夜はお肉多めに食べますね」

 

「はい、そうして下さいね」

 

では何かあればベルでお呼び下さいと言い残してメイドは部屋から出て行った。

 

改めてベットで伸び、シュウヤは思う

 

「…あのメイドさん、なんか裏ありそう…」

 

最初からこちらに対して友好的、しかもわざわざ印象に残る様にし、更に自分の担当のメイドになっている。

幾ら偶然と言えど出来過ぎている。

 

「…まぁ、少なくとも向こうが何かして来ないか警戒すればいいか…」

 

そう言って、シュウヤは夜ご飯前にすやすやと眠るのだった。

 

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