ありふれてない呪言師は世界最悪   作:オワタ+式=サン

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オルクス大迷宮

 

翌日、オルクス大迷宮にて実践訓練開始となった。

基本的に騎士団員に守られながらの実戦訓練。ハジメとシュウヤを除けばみんな優秀なのもあって順調に勝ち、どんどん奥へと進んで行っている。

 

ハジメとシュウヤも、シュウヤが杖をハンマー投げの要領で敵に向かってぶん投げ、杖が一定距離を離れたら戻って来るという性質を利用した無限投擲戦法を取り、ハジメの方は錬成で落とし穴を作り、魔物を落とした後に剣で首を切る事で対応していた。

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

メルド団長は皆へ油断しないように呼びかけた。

クラスメイト達も魔物との戦いで自信を付けたのか、殆どの生徒は元気良く『はい!』と答えている。

 

「この層では魔物が擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルド団長が注意を呼びかける。

 

クラスメイト達も、気を引き締めて辺りを警戒していると

 

前方に1匹、茶色のゴリラが姿を見せたと思った瞬間……

 

「「「「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」」」」

 

部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が4体同時に前方周辺から発せられた。

そしてぞろぞろこちらを取り囲むようにロックマウントたちが出てくる。

 

「ぐ……しまった……!なんて数だ……こんなに沢山いるのは見たことないぞ」

 

硬直したのは先頭の方にいた天之河、龍太郎、雫、香織、とそのフォローをしていたメルド団長とその他騎士団員だ。

 

ロックマウントたちは一斉に攻撃を仕掛けてくる。シンプルに突撃してきたり、岩の姿をしたロックマウントを投げつけたりしている。

クラスメイト達は突然現れた大量のロックマウントを前に動揺してまともに動けていない。

 

「…一か八か……《汝、脱力せよ》そして、《その足は身を支えられぬ》!」

 

シュウヤの声が響くと、ロックマウント達は手足の力が抜け、投げる姿勢のまま倒れる者や、四肢が動かないにも関わらずもがく者も現れる。

 

無差別に影響を及ぼすと危険視していたが、自分の周りのクラスメイトや前線に立つメルド団長や光輝達が同じ状態になっていない事を確認しつつ安堵する。

 

しかし、既に投げられたロックマウント達は止まらない。空中にいる投げられたロックマウントはしっかりと呪言の影響を受け、脱力している為に手足がだらんとしているものの、妙に目が血走り鼻息が荒い。そのまま香織と雫の元へと飛んでくる。

 

そんなロックマウントを見て香織や後衛に居た女子生徒達は思わず

 

「ヒィ!」

 

と悲鳴を上げて顔を青ざめていた。

 

「させるかっ!はぁぁぁぁ!!」

 

そんな悲鳴が響いた直後、ルパンダイブをキメようとしたロックマウントは硬直から一番早く復帰した光輝の覇気迫る一振りで文字通り消し飛ばされる。

 

「みんな!こいつらも大した事がない魔物だ!複数人でかかれば倒せない相手じゃない!分断されない様に注意しながら各個撃破を目指すぞ!」

 

光輝のその発言に、クラスメイト達は勢いを取り戻し、ロックマウントをチームプレイで撃破する。

 

すると、香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

今の戦いで壁が崩れていたらしい。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になっていた。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

グランツ鉱石、簡単に言えばただの綺麗な宝石だ。貴族に大人気な大変高価なものである。

 

「素敵……」

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

「待て!罠の危険性もあるんだぞ!」

 

香織がそう言うと唐突に檜山が動き出した。

グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

メルド団長が声を上げると共に追いかけて止めようとするが、檜山は気にせずに登って行く

 

そんな中、騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めて声を上げた

 

「団長、アレはトラップです!!」

 

「何だって!?触れてはならんぞ!!」

 

しかし、言うのが一瞬遅かった。

 

「よーし、これでゲットぉ〜!」

 

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられ、不用意に触れた者へのトラップだ。

それにまんまと檜山は引っかかった形になる。

 

魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現の様に

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 

誰一人として魔法陣の外に出られる事はなく、全員が転移トラップにより転送された。

 

 

 

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