スタレ世界に転生!?アラスターなりきり人生満喫します   作:黒しゃぶ曜日

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【第三話】出会いと契約

 

師匠の元で何年も修行に明け暮れ、私はついに免許皆伝と言って良い程の実力を身に着けた。

歴代の一番弟子と比べても最速のペースらしい。

あとは師匠に真剣勝負で勝利し、免許皆伝を言い渡されるのみ。

 

そのはずなのだが、何かと理由をつけて私との一騎討ちを受けようとしない。

 

何か問題でもあるのだろうか、しかし心当たりがない。

師匠にもきっと考えはあるのだろうが、私には事を急がなくてはならない事情がある。

ここでそろそろ次の段階に進みたい。

 

エネルギー生命体「歳陽」と契約を結び、協力関係を構築する。

 

作中で語られていた通り、歳陽はそう簡単に扱える存在ではない。

隙あらばこちらの感情を喰らい、身体を乗っ取る油断ならない相手だ。

 

だが私は本物のアラスターに近づきたい。

あのマイクステッキそのものに何らかの力と意志が宿っているのをハッキリと覚えている。

雲離が嫌悪した魔剣の所持者のようになってしまう可能性もあるが、どうせこのままでは第二次豊穣戦争で死んでしまうだろう。

 

それに...ここで恐れるのはアラスターらしくない。

地獄という見たこともない世界を楽しむ為に悪魔と契約したのだ。

彼を目指すとほざきながら、この程度で退く?ありえない。

 

正攻法ではまず十王司に所属し、封印術を学んだ上で綏園に向かうのが確実だが、それでは間に合わない。

なので術に関しては独学で済ませ、綏園に忍び込むことにする。

指導役から教わった持明族に伝わる術の修行の合間を縫って教本などから知識を集めた。

少々勝手は異なるが持明族の術からの応用が利き、前世で見たフィクション作品のいわゆる瞑想シーン等から着想を得て、精度を高める事に成功。

 

早速綏園に忍び込み、話の分かる歳陽はいないかとこっそりと探し回ったのだが...

 

 

 

『オマエ最っ高だなぁ!!イカれてやがる!!いいぜ!その話乗ったぁ!!』

 

余りにもとんとん拍子で話が進み過ぎではないか...?

 

 

 

 


 

 

 

 

その歳陽は、まだ自我の確立すらしていない、判官に発見されていないが故に封印を免れているだけの若く弱い個体であった。運よく生き延びている歳陽は、今日も自身に近づく知的生命体に本能的に取り憑こうとしたが...

 

 

 

ああ取り憑くのは後にしてもらっても?

私は貴方と交渉しに来たのです。

 

 

なんだ、これは。

 

 

報酬はそうですねぇ...聞いてます?

 

 

一瞬ひと舐めしただけで叩き込まれる圧倒的情報の暴力。

 

この世では絶対に味わえない前世の経験という珍味。

未来に起こる出来事の記憶と、それへの介入する意志というスパイス。

前世に見たキャラクターの模倣という狂気から放たれる、突き抜けるようなキレのある旨味。

 

知らない。なんだそれは。

 

嗚呼、もっと欲しい。

 

己という存在が書き換えられていくのが分かる。

圧倒的多幸感に満たされ、数段跳ばしで階段を駆け上がるかの様に自身の格が跳ね上がる。

 

幸か不幸か、若き歳陽は長時間人に取り憑いた事がなく、人の感情も経験もじっくり味わったことがなかった。

故に、イレギュラーとしか表現できぬ彼の経験と感情はミームウィルスの比ではない程の劇薬となる。

ただの味見で一瞬にして彼をベースにした人格が形成され、彼の生き様に憧れを抱くほどに。

脱水症状の人間にレモネードがパンパンに詰まったボトルを見せつけるかのように。

空腹の男子学生の眼前で山盛りの唐揚げを盛り付けるかのように。

 

歳陽にとっては人の感情を味わい、暇を潰すことこそ最優先事項。

そして、未熟な歳陽は多大な影響を受けた彼の経験を元に行動する。

もし彼に、悲願を叶えるチャンスを目の前にぶら下げたらどう行動するか。

 

当然、飢えた狗が如く迷わず飛び掛かる。

 

 

『オマエ最っ高だなぁ!!イカれてやがる!!いいぜ!その話乗ったぁ!!』

 

...ほう?良いのですか?

随分アッサリと承諾するのですね。

 

『見たからな、それで充分なのさ!』

 

...なるほど?

 

この狂人はあまりピンときていない様子。

だが関係ない。絶対に逃がしてやるものか。

かの有名な浮煙や燎原だってこんなイレギュラーは見たこともないだろう。

こいつに憑いて行けば、それこそ完全に消滅してしまうかもしれないような、危険な目に遭うだろう。

 

だからどうした。

 

俺はそんなことでビビるような小物じゃない。

目の前のチャンスは必ず掴んでみせる。

 

『オマエの憧れの果てに、どんなエンターテイメントを魅せてくれるのか、気にならない訳ねぇだろ!』

 

 

『この出会いは!きっと運命だ!!』

 

 

...ハッハァ!いいでしょう!貴方のお名前は?

 

『生憎若くてなぁ、まだ名無しだ。』

 

...では私が名付け親となりましょう。

VOXなんてどうです?

 

『...ハハッ!やっぱりお前は最高だ!俺を認めたな!?よろしくなALASTOR!!』

 

お気に召したようで何よりです。では...

 

 

 

DEAL(契約成立)だ!!

 

 

 

 


 

 

 

 

綏園での交渉...果たしてアレは交渉と言えるのだろうか?

妙にあちらからの好感度が高く、驚くほどトントン拍子で話が進み困惑したが、ともかくあれから数か月経った。

 

これまでに稼いだ金にものを言わせ、朱明の職人にアラスターのマイクステッキをオーダーメイドで鍛造させた。戦闘にも使うから頑丈にしろと頼めば変人を見る目で見られた。

その視線は銃が普及しているのに白兵戦が現役なこの世界に向けてほしい。

 

こちらをジトっとした目で見てくる職人の目を盗み、術をかけながらヴォックスをマイクステッキに馴染ませる。

雲離が恨む魔剣と違い、今回歳陽であるヴォックスはこちらに協力的だ。

ストーリーで語られるように理性が消えたりしないだろう。

 

兎も角、今世の相棒が完成した。これで私も大分アラスターらしくなっただろう。

ヴォックスからのバックアップで術の練度も増し、かなり応用が利くようになった。

シッポと違い強力な封印を施した訳でもない為、歳陽である彼自身の力も私の思考を読み取り援護として振るわれる。お陰でかなり作中のアラスターが扱う魔法を再現することができるようになった。

 

とはいえ炎を操る等、戦闘系に限られがちなのだが。

これ以上の再現は別のアプローチが必須となる。

アラスターのメインウェポンと言える触手攻撃は、豊穣の力を手に入れ植物を生やせるようになれば再現できるが...つまり豊穣戦争では扱えない。

そこは仕方がないと諦めよう。

 

さて、あとは雲騎軍に入隊して活躍し、豊穣の使令「倏忽」との戦いに参戦するだけ。

だがこのままではただの一兵卒スタートである。

実力を示し、強者として認識されなくてはならない。

 

幸いにも手っ取り早い手段が二つある。

一つは未だ言い渡されていない免許皆伝の証。

そして仙舟に存在する数多の武芸者達への宣戦布告、つまるところ...

 

 

 

道場破りである。

 

 

 

 

 

 

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