夢過ぎ去りし跡の世界で転生者が生き抜くクトゥルフ神話   作:カーキtrpg

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唐突だが、叫ばせてほしい。
「ソーサルカンパニー、サプリがなく、リプレイ本すら1冊しか出てない問題」について!!
リベール王国の話だけ一冊出されて終わられてもどうしようもないんだわ! せめてエイリア聖法国や帝国ヴェンティスカでの話も加えてそれぞれで最低各2、3冊は出してほしかった……!
サプリもない、公式設定もほぼないに等しい。
だったらどうするか? 自分で創るしかないのである。
と、いうわけで。
今までも好き勝手ソーサルカンパニーの世界を改変してたけどこれからはもっと改変していきます。
だって、改変する元すらないんだから仕方ないのだ。


主人公が地球ではなくソーサルカンパニーに転生したら 第四話

――リベール王国 王都イースリー某下町 英知の箱――

 

 

 「というわけで! 局長の要請により出向をしに参りました、神機局方具部方具捜査課勤務! ……にして、神機局隷下イースリー西区騎兵連隊第三騎兵中隊所属、エミリー スミス騎兵旗手であります!」

 

 バシィ、と小気味よい音が響くほどの完璧な挙手礼。

 埃っぽい血社の事務所の空気を吹き飛ばすような、ひまわりめいた笑顔を咲かせる金髪の少女。

 彼女が放つ圧倒的な陽の気は、倒産寸前の薄暗い血社の空気を一瞬にして活気あふれるトレンディなオフィスへと変貌させた――ような錯覚を周囲に抱かせる。

 

 だが、俺の心は一ミリも動かない。

 むしろ、またしてもフィリが余計な厄介事を押し付けてきたという事実に、頭痛が加速していくだけだった。

 俺は机に頬杖をついたまま、死んだ魚のような目で少女を一瞥し、極めて平坦な声で言い放った。

 

 「いや、何が『というわけで』なんだよ? お前なんて知らん、帰れ」

 「ええええぇぇぇぇ?! そんな、門前払いですかーっ?!」

 

 歓迎される気満々、むしろ「お待ちしておりました!」とでも言われると思っていたらしいエミリーの笑顔が、一瞬で崩れた。

 コミカルなほどガタガタと震えながら、ショックのあまりその場で膝をつきそうな勢いだ。

 

 ……というか、何だその無駄に長い肩書きは?

 確か神機局の人員構成は、元の世界(地球)で言うところの「背広組(文官)」と「制服組(武官)」できっぱりと分かれていたはずだが、こいつはその両方に足突っ込んでるじゃないか。

 まあ、いくら分かれているっていっても現場の最前線にはこういう軍人上がりの荒事担当が必要ってことなんだろうが……。

 それにしても、なぜそれがうちに来る。

 

 心底嫌そうな顔を隠そうともしない俺の横から、ずず、と場違いにコーヒーをすする音がした。

 

 「まあ待てよ貞久。言うのが遅れたが、そいつに関してはオレ様が局長から聞いているぞ。」

 

 マイヤーはドヤ顔で胸を張り、手元のコーヒーカップをこれ見よがしに掲げた。

 

 「昨日、局長が『禁呪方具を預けると同時に、局の期待の新人を出向させます。彼女にはあなた方の身の回りの面倒を見るように言いつけてます』って言ってたんだよ! つまり、彼女はオレ様たちの『身の回りの世話係(メイド)』だ!」

 「違いますーーーっ!!」

 

 エミリーが鋭いツッコミとともに、マイヤーの机を激しく叩いた。

 

 「私が局長から拝命したのは『身の回りの世話(物理)』! つまり、禁呪方具を流通させた裏社会の不届き者から、この脆弱な血社を物理的に防衛、および犯人の捜査を兼務する護衛任務であります! 断じて雑用係ではありません!」

 「えー? だって局長、『彼女は掃除と剣術が得意だ』って言ってたぞ? 部屋の掃除してくれるんじゃないのか?」

「局長がおっしゃった『掃除』は、敵を文字通り『掃討(クリーニング)』するという意味です!!」

 

 そう言ってバンバンとマイヤーの机をたたき続けるエミリーに、俺はこめかみを押さえながら話しかける。

 

 「……あー要するにだ、フィリの奴、禁呪方具をエサに俺たちをおとりにしようってわけか」

 

 わざわざ禁制の禁呪方具をうちに預けたのもそういうことだったか。

 「英知の箱」をおとりにして、裏社会の密売組織を食いつかせる。

 そうやって手っ取り早く事態の解決をしようということか。

 じつに合理的で、かつこちらを人間扱いしていない作戦だ。

 この調子じゃ、「英知の箱」が神機局から禁呪方具を預かったという噂が()()()裏社会に流れてるんだろうな。

 

 「さすが貞久殿、話が早いですね! というわけで、今日から皆様の警備は私が引き受けます!」

 

 エミリーは再びひまわりめいた笑顔に戻り、パッと胸を張る。

 

 ……ハッキリ言って「誰がデコイになんぞなるか、お断りだ」と言ってやりたい。

 だが、すでにマイヤーが禁呪方具を引き受けてしまった以上、おとりとしての役割は始まっているのだ。

 

(まあ、敵が向こうから来てくれるってんなら、退屈しのぎのセッションとしては悪くないか……?)

 

 俺は心の中でため息をつきつつ、騒がしくマイヤーを小突いている金髪の護衛をもう一度死んだ目で眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 神機局の騒がしい護衛を撒き、俺は一人、夜の王都イースリーの裏路地を歩いていた。

 あのうるさい金髪の「自称護衛活動」を撒くのには、さほど骨は折れなかった。

 剣術と掃除は得意でも、隠密した魔導師を追跡するイロハまでは仕込まれていなかったらしい。

 おかげで静かな夜の散歩を楽しめていたのだが――世の中そう上手くはいかない。

 

 「止まれ。『英知の箱』の社員だな」

 

  行く手を阻むように現れたのは、深くフードを被った男。

  わざわざご丁寧に抜き身のナイフをぶら下げている。

 

 「神機局から預かった禁呪方具を持ってこい。拒否すれば命はないと思え」

 「ははっ、さっそくか」

 

 あまりにテンプレートな脅し文句に、俺の口から乾いた笑いが漏れた。

 いまどき、映画の悪役でももう少しマシなセリフを言うだろうに。

 

 「おいおい、裏社会の密売組織ってのは、随分と人材不足のようだな。禁呪方具を奪えって命令されて、ナイフ一本で夜道に突っ立ってたのか? お前、組織じゃ完全に使い捨ての鉄砲玉だろ」

 「調子に乗るなよ、クソガキがぁッ!!」

 

 図星を突かれたのか、フードの奥で男の顔が屈辱と怒りで引きつる。

 激昂した男は、ナイフを順手に構え直すと、石畳を強く蹴ってこちらへと突進してきた。

 

 ――お粗末。

 その一言に尽きた。

 走るスピードは凡人並み。

 ナイフの軌道もブレブレで、見るからにただの素人だ。

 ハッキリ言って、時間を割く価値すら感じない雑魚だ。

 

 正面から突っ込んでくる男に対して、俺は避ける動作すら起こさなかった。

 ただ、右手の指先を向けた。

 刹那、夜の闇を焼き切るような青白い閃光が路地を走った。

 

 「が、あッ――!?」

 

 電流が全身の神経を直撃し、男の身体が激しく硬直する。

 一瞬で生命力を削り取られた男は、ナイフを落とし、そのまま糸が切れた人形のように前のめりに崩れ落ちた。

 白目を剥き、指一本動かすこともできない。

 ピリピリと焦げ茶色の煙を上げる男の横を、俺は冷ややかな視線のまま、静かに踏み越える。

 

 「――《電光》。……やっぱりただの雑魚だったな、期待外れもいいところだ」

 

 まあ、無名の零細血社の子供社員を一人脅すくらいのことなんて、この程度のチンピラで十分と考えたんだろうがな。

 

 「ナメられたもんだな。……はぁ~、今回の依頼、あんまやる気なかったんだがなぁ……」

 

 血社に連絡を入れるために魔電話を取り出しながら一人ごちる。

 ――侍の本懐とはナメられたら殺す。

 地球にいた頃(前世)、どこかの漫画か何かで見聞きした言葉だったろうか。

 もうすっかり忘れてしまった。

 俺は侍ではない、別に他人が何言おうと気にもしない、他人が自分をどう評価しようが基本的には気にしないタマだ。

 だが、あんな道端のゴミみたいなチンピラにまで「御しやすいガキ」だとナメられていたと自覚すると――。

 

 耳元で、魔電話の呼び出し音が短く鳴って切れた。

 相手が繋がったのを察し、俺は画面に視線を向けないまま、夜の闇に向かってぽつりと言い放った。

 

 「ぶっ殺してやりたくなったよ。なあ、マイヤー」

 

 

 

 

 

 

 

――リベール王国 王都イースリー中心街 神機局――

 

 

 神機局の最奥に位置する局長室は、いついかなる時も静謐という名の冷気に支配されている。

 床まで伸びた白髪を微かに揺らし、フィリ セイスは執務机の椅子に深く腰掛けていた。

 彼女の左右で異なる色彩を放つ瞳は、手元にある報告書を見つめているようでいて、その実、遥か遠くの「獲物」を捉えているかのようだった。

 

 その静寂を破るように、入室を許された男が重々しく口を開いた。

 

「これでよろしかったのでしょうか? 局長」

 

 発言したのは神機局方具部方具捜査課課長、イライジャ ミラー。

 長年、神機局でその手腕を振るい、フィリに抜擢された叩き上げの男である。

 フィリは報告書から視線を外さぬまま、鈴を転がすような、しかし一切の温度を排した平坦な声で返した。

 

 「おや、『冷血のミラー』と呼ばれたあなたがそのように他者の身を案じるような言葉を口にするとは、驚きましたね。どういった心境の変化ですか、ミラー」

 「局長。本官は……不遜ながら、局長が『英知の箱』に対して、何かしら特別な思いを抱いておいでに見えていました」

 

 ミラーの声音には、隠しきれない困惑と、わずかな戦慄が混じっていた。

 

 「しかし、今回の件によって本官は己の目を疑わざるを得ません。あのような零細血社に禁呪方具を預け、あまつさえその情報を裏にばらまくなど。そんなことをしたら、裏社会のネズミどもは血眼になってあそこを噛み砕きに動く。彼らは確実に死線に立たされるでしょう。……本官は、どうしても局長のお考えを、その真意を聞かせていただきたいと思ってしまったのです」

 

 ミラーの必死の訴えを、フィリは淡々と聞き流していた。

 彼女のローブに精密に組み込まれた無数の魔源石が心音の代わりに淡く、そして妖しく脈動する。

 

 フィリはゆっくりと顔を上げた。

 蒼と赤のオッドアイが、まっすぐにミラーを射抜く。

 ただそれだけの動作だった。

 にもかかわらず、室内の空気の密度が不自然なほどに跳ね上がり、ミラーの喉を物理的な質量となって圧迫した。

 圧倒的なマガの指向性。

 それだけで、常人なら気絶しかねない威圧だった。

 

 「ミラー。私があなたを捜査課課長として今の地位に据えたのは、余計な詮索をさせるためではありません」

 

 一切の感情が抜け落ちた無表情。

 だが、だからこそ拒絶の重圧は底知れない。

 

 「わかりますね?」

 「……ッ、は、失礼いたしました。本官の、過ぎた不調法でありました」

 

 ミラーの額から、タラリと冷たい汗が伝い落ちる。

 フィリは彼がそれ以上言葉を紡げない――紡ぐ気力を失ったことを確認すると、再び手元の報告書へと視線を落とした。

 

 「局長。では本官はこれで」

 

 それ以上の詮索は己の破滅を意味すると本能で察したのか、ミラーはこれ以上の言葉を控え、深く一礼して退室しようと背を向けた。

 その重い足音がドアへと向かった、まさにその時。

 

 「ミラー」

 

 感情の起伏を一切排した平坦な声が、男の背中に突き刺さった。

 ピキリ、と室内の温度がさらに数度下がったような錯覚に、ミラーはドアノブに手をかけた姿勢のまま硬直する。

 

 「……ハッ、新たなご命令でしょうか局長」

 

 ミラーは振り返り、再び直立不動の姿勢をとった。

 その双眸には、上司である少女が次に放つであろう言葉への、深い警戒の色が宿っている。

 フィリは報告書から視線を上げることはなかった。

 ただ、彼女のローブに散りばめられた魔源石の明滅が、わずかにその速度を速める。

 

 「良い釣果を得るためには、釣り針の吟味も必要ということです」

 

 あまりに唐突で、そしてあまりに比喩的なその言葉にミラーは微かに眉をひそめた。

 

 「局長……?」

 

 そこでようやく、フィリはゆっくりと顔を上げた。

 その左右で異なる色彩を放つオッドアイが、じっと下町の方向――「英知の箱」の事務所がある方角を、すべてを見通すように細められる。

 

 「それが、私が『英知の箱』にこの仕事を割り振った理由です。彼らが私の期待通りの『針』であるか否か……。ミラー、あなたがその目で確かめるといいでしょう」

 「……しかと、心に刻ませていただきました。では、今度こそ」

 

 今度こそ、ミラーは頭を深く垂れ、音もなく局長室を退出していった。

 再び訪れる、静謐という名の冷気。

 一人残されたフィリは、窓の外で流れる王都の雲を見つめながら、静かに胸の内でその名を反芻した。

 

(佐伯田貞久――間違いなく、この国に存在した記録のない子供。そして、他国から入国したわけでもない。そんなあなたが、この国で何を望み、何を成すというのか。……今回の事件はあなたに対する釣り針でもあります。ゆっくりと見させてもらいましょうか、異邦の迷い子よ)




魔界の落とし子(Hellspawn)
通常呪文/抵抗呪文_母親の意志力

悪意に満ちた悪魔の霊魂を呼び出し、まだ見ぬ胎児の魂と入れ替えます。
この結果、知性のない動物に宿らせた場合は通常「悪魔の使い魔」として生まれ、知性のある種族に宿らせた場合は呪われた「半魔」(キャラクターに多くの超自然的な「不利な特徴」を与えてください)として生まれてきます。

大失敗した場合、母親の体の外に本物の悪魔が出現するか、あるいは手違いで別の存在を召喚してしまい、発育中の胎児に憑依させてしまうかもしれません —— もしかしたら、天使でしょうか?

エネルギー消費:20。
詠唱時間:5分。

前提条件:《悪魔召喚》。

DNA操作(Manipulate DNA)(VH)
通常呪文

魔法的に遺伝子を結合させたりDNAを操作したりすることで、特定の特性を生み出すことができます。

この呪文の判定に成功すると、遺伝子工学の手順(17ページ参照)を行う際、プロトタイプに対する<生物工学/TL/遺伝子工学>技能判定に+10のボーナスを得られます。
このボーナスは、遺伝子工学のルールにおける他の修正値に累積します。
また、この呪文を使えば、即席の設備(キッチンなど)で作業を行っても、研究施設の品質ペナルティ(-10)を呪文のボーナス(+10)で完全に相殺できるため、修正なしで作業を行うことが可能です。
遺伝子工学における1週間単位の試みにつき、挑戦できるのは1回のみです。
GMは成功判定を隠れて(シークレット・ダイスで)行うべきです。

持続時間:1週間。
エネルギー消費:8。
詠唱時間:5分。

前提条件:《DNA配列決定》(Sequence DNA)および《念動》、または《キメラ作成》(Create Chimera)。
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