夢過ぎ去りし跡の世界で転生者が生き抜くクトゥルフ神話   作:カーキtrpg

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主人公が地球ではなくソーサルカンパニーに転生したら 2-3

――リベール王国 王都イースリー郊外 スラム――

 

 

 

 「こっちだ旦那」

 「ここは……酷いな」

 

 案内をさせている浮浪者――ミックと名乗った――の後をついていくと、視界の先に惨状が広がっていた。

 

 「まじか、外壁が崩れかけて亀裂がはしってやがる」

 

 見上げるほど巨大な城壁の足元。

 そこには大人がひとり体を斜めにすれば容易に通れてしまえるほどの、大きな亀裂が黒々と口を開けていた。

 

 「これ誰も問題にしてないのかよ」

 「へへ、問題ではあっても実害はないと思ってんのさ。イースリーは三重の外壁で囲まれてるし、中も地区ごとに防壁で区切られてるからな。今は使われちゃいねえがここは元々、外側にくっつけられた馬出のための突起部分の壁だ。もう要らなくなった壁……それもスラム化した下町の一角なんて、役人は気にしちゃいねえよ」

 「どうやってお前らみたいなのが門をくぐってきたのか疑問だったが、ここからかよ」

 「そういうことだ。同じ下町って言っても、最近はこの辺りもあんたらがいる側と塀で区切られ始めてるからな。あと数年もすりゃ、下町とは別の地区扱いになっちまうだろうな」

 「スラム化したからか」

 「塀で区切られたおかげで余計に俺らみたいのが住み着き始めたんでな。居心地がいいんだ」

 「ようは臭い物に蓋をしただけじゃねえか、呆れたね」

 

 つまり、警官も役人も何ひとつ仕事をしていないというわけだ。

 臭い物に蓋をして放置するのは結構だが、税金から給料をもらっているんなら少しは自分の仕事をしろよ。

 

 「俺ぁ役人どもが無能な現状がありがたいくらいだぜ。役人がクソだから、俺らみたいなのが生きていけるんでね」

 「あっそう、……まあ俺が言っても詮無いことであるか。いくぞ」

 

 俺はミックを促し、城壁の亀裂を通り抜けて壁外へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 壁の亀裂をくぐり抜けた瞬間、湿った腐木と生臭い風が俺の頬をなで上げた。

 さっきまで背中に響いていた王都の華やかな喧騒が嘘のように一瞬で遠のいていく。

 目の前に広がっていたのはゴミと瓦礫が野ざらしにされた廃墟のような光景だった。

 薄汚れたベニヤ板や破れた布きれを継ぎ接ぎした、歪なバラックが不気味に群がっている。

 

 そびえ立つ城壁が陽の光を完全に遮り、昼間だというのに視界は不気味なほど薄暗い。

 まるで、太陽の陽光すらこの場所を見捨てているかのようだった。

 

 「……ずいぶんと静かだな」

 

 足元で散乱してる瓦礫を踏みしめながら呟くと、前を歩くミックが鼻で笑った。

 

 「へへ、スラムの連中だって用もねえのに外を出歩きはしねえよ。警官(サツ)どもや騎士様がたが定期的に見回りに来やがるからな。騎士様は俺らが馬鹿をしなきゃ何もしてこねえが警官(サツ)どもに絡まれたらシャレになんねえんだよ。あいつら俺ら相手にゃヤクザものとかわりゃしねえ」

 「そりゃそうだろ。見回りに来てる警官ってようは警邏の連中だろ? あいつらイースリー市民の子弟から登用されてるんだ、普段嫌ってるスラムの人間に対する足蹴りは酷いもんだろうな」

 「ま、おかげで俺らも余計な知恵が身につくんだがね」

 

 ミックはへらへらと笑いながら、バラックの隙間にできた細い路地へと迷いなく入っていく。

 

 「文句があるなら、ちゃんと市民権を買うことだな」

 

 市民権――正確には人頭税だが。

 それさえ払い続けていれば、無宿者ではなく正式な市民として扱われるはずだ。*1

 

 「買えるくらい金がありゃ、こんな腐った場所で泥水すすってねえよ。……着いたぜ、ここだ」

 

 ミックが足を止めたのは、トタン屋根の隙間から細い煙が立ち上る一段と大きなバラックの前だった。

 扉の代わりに吊るされた汚れた毛布を、ミックが躊躇なく押し開ける。

 

 「おい、ジョー。上客の『旦那』を連れてきたぜ」

 

 毛布を押し分けて足を踏み入れると喉を刺すような安酒の匂いと粗悪なタバコの煙が一気に押し寄せてきて、思わず眉をひそめた。

 薄暗い部屋の奥、グラつく木箱に腰掛けた男がこちらをじろりと睨みつけてくる。

 片目を黒い眼帯で覆い、手元では研ぎ澄まされたナイフの刃先を手慣れた手つきで弄んでいた。

 ――ジョーと呼ばれた男だろうか。

 

 「……なんだ、ミックか。とっくにその辺で野垂れ死んだと思ってたが、しぶとく生きてやがったか」

 「当たり前だろ。そう簡単に死んでたまるかっての」

 

 ジョーはナイフを卓に突き立てると重々しい足取りで立ち上がり、俺の正面に立った。

 

 「で? 王都の綺麗な空気を吸ってるお坊っちゃんが、こんな肥溜めに何の用だ? ここはお貴族様が観光に来るような場所じゃねえぞ」

 「貴族じゃねえよ、ただの血社の雇われ(平民)だ」

 「ヘッ、見るからに魔導師然とした格好しておいて何言いやがる。お偉いさんの細かいことなんて俺らはわかんねえが、こちとら魔導師なんて貴族様としか知りゃしねえんだ」

 「正確には『魔導師は貴族に準ずる』らしいぞ」

 「んな細かいこたぁどうでもいいんだよ。……で、その大層なご身分の魔導師様が俺に何の用だ?」

 「いやミックが奇跡の札なるものを使って人を集めてる連中の所に案内するって話だったんだが。どうしてお前のところに連れてこられたのか、俺も知りたいくらいだ」

 「……ちっ、ミックの野郎、俺に押し付けやがったな」

 

 ジョーは刺さったナイフの柄を軽く叩き、吐き捨てるように言った。

 そのままミックを探すように入口へ目を向けたが――当然、すでに奴の姿はない。

 

 ミックはジョーが「王都の綺麗な空気を吸ってるお坊っちゃん」などと語り始めた段階で、気配を消してドロンしていたからな。

 

 「ミック、あの野郎後で覚えてやがれ。――ハァ、奇跡の札を配ってる連中だな? あの宗教気取りのバカどもの溜まり場なら、ここからさらに奥の広場に住み着いてらあ」

 「さらに奥の広場、か。親切にどーも」

 「勘違いするなよ、坊っちゃん。教えたのはさっさと出ていってほしいからだ。あの連中はイかれてやがる。近寄らんほうが身のためだぜ」

 「冗談だろ。せっかくここまで来たんだ、そんな興の冷める真似は出来ないね」

 

 ジョーの制止を背に受けながらバラックを出ると、スラムの空気はいっそう重苦しさを増していた。

 湿った腐臭に混じって、焦げた香炉のような甘ったるい匂いがかすかに風に乗ってくる。

 

 「……ここから真っすぐって話だったな」

 

 俺は足元の瓦礫を踏みしめ、薄暗いバラックの隙間を抜けてゆっくりと奥の広場に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

――リベール王国 王都イースリー 庶民院――

 

 

 リベール王国の首都、イースリーに置かれた庶民院。

 貴族籍を持たぬ者たちが一堂に会するその議事堂は、表向きには都政を動かす平民の代表機関とされている。

 

 議員とは言っても、現代のような民主的な選挙によって選ばれるわけではない。

 地元の名士や富豪、豪商といった者たちが王の任命を受けることで形式的な代表としてこの場に立つのだ。*2

 

 この機関の歴史は、三百年前にさかのぼる。

 当時の国王マクベスが大多数を占める平民へ「民の声を聞いている」という姿勢を示すパフォーマンスとして設立したのが始まりだ。

 裏で動いていたのは、宮廷内で強い影響力を持ちながらも実務能力に乏しい非魔導師系の貴族たちである。

 彼らは民衆からの支持を集め、自らの政治的基盤を強固にする目的で庶民院を利用しようとした。

 だが、皮肉な現実が彼らを打ちのめす。

 

 いざ議会が始まると、複雑な制度整備や実際の運営で頼りにされたのは高い能力と資金的余裕を持つ魔導師系の貴族ばかりであった。

 発案者である非魔導師貴族はすっかり蚊帳の外に置かれ、庶民院は彼らにとって邪魔な存在へと成り下がったのである。

 

 焦った非魔導師貴族たちは、議会の権限を徐々に削ぎ落としにかかった。

 結果として庶民院は名士たちの無意味な社交場へと落ちぶれ、最終的には組織そのものの廃止までもが画策された。

 しかし、この身勝手な振る舞いがついに魔導師貴族たちの逆鱗に触れた。

 もとより魔法の研鑽を重んじる魔導師たちにとって、魔法に関する事柄でもないことに気を煩わせられるのは本意ではなく、当然、政治や余計な業務に携わるのを嫌っていた。

 それにもかかわらず無理やり引っ張り出されて庶民院設立に関わる実際の調整や制度の整備などを手伝わさせられた挙句、言い出しっぺの非魔導師の貴族の都合で「やっぱり廃止する」と言い出したのだから溜まったものではなかったのだ。

 

 結局、怒り狂った魔導師たちからの強烈な突き上げと、一度与えた特権を咎なく剥奪することを拒んだマクベス王の判断により廃止案はあえなく潰え去った。*3

 とはいっても削られた議会の権限を戻してやるほど骨を折る気は誰も無かったので名前だけが残ったに過ぎなかった。

 しかし膨大な都市行政を円滑に回すうえで想像以上の利便性を発揮した結果、今では王国の主要都市に必ず置かれる仕組みとして定着している。

 

 ――もっとも、その権限はいまなお極めて弱い。

 貴族たちの大多数である魔導師にとって庶民院など「都合のいい目安箱」程度でしかなく、非魔導師の貴族からすれば過去の汚点でしかなったのだから当然であった。

 

 だからこそ。

 本来であれば、この地にいるはずもない貴種の姿に議場は揺れていた。

 

 「ジャック クロフトン議長! 説明していただきたい! なぜ庶民院の議場に、セイス公がいらっしゃるのですか!」

 

 議席から立ち上がった一人の議員が、青筋を立てて壇上の議長を指さす。

 

 「庶民院に青い血が臨場するとは前代未聞、ほかの議員の皆も戸惑っています! セイス公といえば名門セイス家ハイウッド伯のご息女! セイス公ご自身も神機局局長として局長伯の爵位を賜っている、名実ともに雲の上の上級貴族ではないですか!」

 

 議場の熱気と動揺を真正面から浴びながらも、議長卓に座る老練な男――クロフトンは静かに首を振った。

 

 「落ち着き給え、リックス議員。セイス公には本日の会議を円滑に進行するためにご足労いただいたのだ。これは議長権限の範疇であり、君に詰問される筋合いはない」

 「会議の進行……? 神機局局長殿が、なぜ庶民院の議会に必要なのです!」

 

 リックスは納得がいかないとばかりに食ってかかる。

 

 「魔法の管轄は我らのあずかり知らぬところであり、方具の運用に至っては上から通達を受け取るだけの立場のはず! 我々平民の議会に、わざわざ神機局が顔を出す理由など――」

 「理由なら実に明快だよ、リックス議員」

 

 クロフトン議長は朗々とした声でリックスの熱弁を遮り、議場全体を見渡した。

 

 「《死人使い》の方具が、巷を騒がせている件は覚えているかね?」

 

 「ふ、ふん……忘れるはずがなかろう! 前回の議会でも喫緊の課題として協議したばかりだ! 王城へ早期対処を求める要請文を出す件も、全会一致で可決したばかりではないか!」

 「結構。話が早くて助かる」

 

 クロフトン議長は淡々と頷き、議場の特別席へと視線を向けた。

 

 「ここからは私が話させていただきます」

 

 静寂を破り透き通るような声が議場に響いた。

 特別席から立ち上がったのは、神機局局長フィリ セイス。

 人形のように整った容姿とは裏腹に、その声には一切の抑揚がない。

 淡々と事実だけを告げる無機質な響きに、ざわめいていた議員たちが思わず息を呑む。

 

 「実は王都の下町で《死人使い》の方具を使い、よからぬことをしでかしているのではないかと思われる集団が確認されました」

 

 その報告がもたらした波紋は小さくなかった。

 議員たちの間に動揺が広がる中、真っ先に反応したのはリックス議員だった。

 

 「それは、……まさか奇跡の札なるものを見せびらかしスラムのゴミどもをだましている不審者のことですかな?」

 

 侮蔑を隠そうともしないリックスの言葉に、周囲数名の議員が気まずそうに視線を泳がせる。

 だが、フィリが答えるより早く、議長卓から低く重い声が差し挟まれた。

 

 「リックス議員」

 

 クロフトン議長が、厳格な眼光でリックスを射抜いていた。

 

 「ここは国王陛下から賜った神聖な議事堂である。スラムのゴミなど、議員としてふさわしい物言いとはいえない、発言には気をつけたまえ」

 

 咎められたリックスは、苦虫を噛み潰したような顔で口をつぐむ。

 議長と議員のそんなやり取りすら関外と言わんばかりに、フィリ セイスはただ冷ややかに議場を見つめていた。

 

 「神機局は民間の魔導師と協力してスラムの調査に乗り出すことになりました。その際、軍とも連携した上での大捜査となります。一般人が巻き込まれないよう各議員はご協力願います」

 

 その淡々とした口調とは裏腹に、発せられた内容はあまりに重い。

 「軍との連携」という物々しい単語が発せられた瞬間、それまで静観していた議員たちの間にも目に見えるほどの戦慄が走った。

 

 「静粛に!」

 

 ざわめき立つ議場を払うように、クロフトン議長が槌を叩く。

 

 「セイス公は、かかる困難に際して我ら庶民院に期待を寄せられているのだ! この上は、そのご期待に背かぬよう、庶民院議員として相応しい態度を求めたい!」

 

 議長は鋭い眼光で気圧された議員たちを見回すと、重々しい声で言葉を続けた。

 

 「これまで、公共の福祉に資する多くの議題が、未解決のまま放置されるか不発に終わってきた。それはなぜか! 一つには議会に出席する各都市代議員の権限不足。そしていま一つには、機密が保たれぬまま無為に時を重ねてきたからに他ならない!」

 

 一息つき、さらに声を張り上げる。

 

 「今後はそのような失策を断じて防止し、すべての事業を規律と確実性をもって指揮せねばならぬ! よって本庶民院は、いかなる地位の者であれ、委任状と権限を明確に提示し、厳粛なる誓言と署名を行わない限り、今後の審議への出席を一切認めないこととする!」

 

 言い放つや否や、クロフトン議長は胸を張り、淀みない口調でその「誓言」をそらんじ始めた。

 

 「――『クロフトンは、ここに集結せし諸都市……すなわちシルバーフォード、ストーンバーグ、ロックホール、ミスラント、ロワーウッド、グランドチェスター、イーストウォルド、ゴールドデール、およびクラウンバーグに対し*4、またそれらの公的事業および同盟に対し、ヴェンティスカ人、ヴェンティスカ派、不忠派およびその一党、その他一切の敵対者に対抗して、忠実かつ誠実であり続けることを誓う。

 

全力を尽くして助言と行動をなし、身命と財産をもって公的事業を擁護・促進し、それらに障害や害悪をもたらす一切の懸念を本集会および指定された者に開示し、排除に努める。

 

敵対するヴェンティスカ人、ヴェンティスカ派、不忠派、あるいはその支持者らと、文書その他のいかなる手段を問わず通信・意思疎通を行わず、直接・間接を問わずいかなる支援も行わない。いずれかの宗教の件に関して互いを見捨てたり、離脱しない。

 

その目的のため、私を派遣した者たちから委任されたすべてを誠実に報告、開示、言上する。さらに、上記諸都市および公的事業の利益、便宜、福祉のために、誠実なる良心に基づき有用と判断するあらゆる事柄を提言する。自らの故郷や他州に対するいかなる私情・偏愛も挟まず、ただ全体利益のみを念頭に置く。

 

本集会において審議・決定されるすべての事柄を極秘とし、本集会の同意なしには、自らの主人や選任元、評議会に対してすらこれを明かさないことを約束する。

 

――救世主フォルトゥーナよ、我を助け給え』」

 

 誓言が重々しく結ばれた瞬間。

 一瞬の静寂の後、議員たちは弾かれたように一斉に立ち上がり、嵐のような拍手で議場を揺らした。

 

 

 

 「大した役者ぶりですねクロフトン」

 

 議場の喧騒から遠ざかった別室で、フィリ・セイスは冷ややかな声で呟いた。

 感情の窺えない瞳が、老練な男を射抜く。

 

 「はて? なんのことやらわかりかねますが、……これは褒め言葉とお受け取りしてよろしいのでしょうか?」

 

 クロフトンは白々しく首をかしげ、いかにも困惑したといった風体で深々と頭を下げた。

 

 「私はあなたに軍と連携した捜査について通告しました。ですがあなたは、私をわざわざ議場へ引っ張り出した。議会の結束を高め、己の政治的名声を高めるために」

 「滅相もございません。私どものような市井の小者が青い血を利用しようなど、そのような恐れ多いこと、夢々にすら考えたことはございませんよ」

 

 どこまでも恭順な態度を崩さないクロフトンに対し、フィリは表情ひとつ変えない。

 

 「……別に、あなたを咎めるつもりで言ったわけではありませんから、そう躍起になって否定しなくても結構です。私とて、今回はわざわざ足を運ぶだけの価値があると判断したからこそあなたの描いた筋書きに乗って差し上げたのですから」

 

 これ以上、無駄な探り合いに付き合う気はないフィリは淡々と会話を打ち切った。

 

 「――それで、あなたたち庶民院議員は私の指示に従うのですね?」

 「おや、庶民院は王直属の機関。神機局とは対等な協力関係だと思っておりましたが」

 「……それで結構です。くれぐれも邪魔にならないように」

 

 それだけ言い残すと、フィリは一度も振り返ることなく静かな足音とともにその場を去っていった。

 

*1
リベール王国において、都市に住む平民への人頭税は法律で定められた目的税であり、その税収は都市インフラにのみ充てられる。だが、宿を転々と変え「ただの旅行者」を装うことで支払いを逃れる不届き者も一定数存在した。行政側としては不届き者はごく僅かで経費ばかりが嵩みそうなため取り締まりは一部の見せしめ程度だった。しかし真面目に納めている一般市民からの風当たりは言うまでもない

*2
王からの任命を受けるのはイースリーの議員だけ。他都市の議員はそれぞれの選任元がある

*3
この時のマクベス王の怒りは苛烈を極め、「これ以上庶民院の廃止を口にするなら非魔導師貴族の免税特権を取り消す」とまで断言した。魔導師共々振り回され、面子を潰された形になったからだ。

*4
これらは派遣されてきた各議員が所属する都市名。都市がこれだけというわけではなく、イースリー庶民院に派遣できるだけの格がある、王領にある大都市の名前だけを挙げている




バイオテクノロジー機器

バイオテクノロジー(生物化学)にはハイテク機器が必要となりますが、完全に設備の整ったバイオテクノロジー研究室内では、その多くを標準的な装備として省略・抽象化して扱うことができます。

機器の品質修正(Equipment Quality Modifiers)
『GURPS Bio-Tech』には、装備修正(p. B345)の観点から、標準的・上質・高品質・最高品質といった品質の例が掲載されています。*1
より品質の高いバイオテク機器や医療機器は、一般的に重く、価格も高くなります。

アイテムの説明文において、ガジェットの品質ランクの後ろには常に「(品質)」と追記されます。例:「〈診断/TL〉技能に+2 (品質) のボーナスを与える」。
ボーナスがない場合は「標準的」、ボーナスが+1なら「上質」、+2以上かつ「TL/2」未満なら「高品質」、そして「TL/2」であれば「最高品質」となります。

また、ガジェットの中には、ベースとなる技術が使いやすい、あるいは現実的に故障しにくいといった理由で技能にボーナスを与えるものもあります。
高TLの外科手術器具が与えるボーナス(p. B424)などがその一例です。*2
これは遠隔武器の正確さ(Acc)に似た性質を持ちます。
「(品質)」と表記されていないボーナスは、すべてこうした「固有のボーナス」です。
これは品質とは無関係であり、その種類のガジェットを使用する際には常に適用されます。
このボーナスは、品質修正値(quality modifier)が存在する場合、それと重複して加算されます。

バイオテク機器の価格(Biotech Equipment Costs)
バイオテク機器や医療機器は高額になる場合があります! 価格もアイテムの機能や新しさによって大幅に変動します。
記載されている価格は新品の平均価格であり、状況によって上下50%程度の幅があります。

中古品や再生品は、型落ちでありメーカーの厳しい安全検査を通過する必要がないため、はるかに安価に入手できることがよくあります。
こうした機器はHT値に-1〜-3のペナルティを受け、GMは使用するたびに機器の故障判定(Equipment Failure Check)(p. B485)を命じることができます。

中古の生体医学機器業者は、数年前の機器を定価のわずか(1d+1)×5%の価格で販売してくれます(在庫があればの話ですが)。
予算が限られていて宇宙船用の自動医療装置が必要な場合、ここが絶好の調達先となります。
ただし、保証は一切つかないことを忘れないでください。

遺伝子研究所や第5章に登場する医療ガジェットの多くは、稼働を続けるために試薬、滅菌針、その他の消耗品を必要とします。
こうした機器の維持費・運用コストは、1ヶ月あたり記載価格の1%〜5%程度と想定してください。
電源を必要とするほとんどの機器は建物や車両の電力で動作します。
携帯型の電動デバイスは通常、12時間の連続稼働が可能なバッテリーを搭載しています。
キャンペーンによっては、太陽光や特殊な動力源が選択肢となる場合もあります。

*1
basic=標準的、good=上質、fine=高品質、best-quality=最高品質

*2
基本的な装備は、TL1で-6、TL2~3で-5、TL4で-4、TL5で-2、TL6以上では(TL-6)のプラス修正

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