【2年生編開始】新入生のみなさん!よう実ラジオのお時間です!   作:やさかみ

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プロローグ的なものに主人公の気配が粉微塵もないのはこれ如何に


1学期
プロローグ的なもの多分


 

 東京都高度育成高等学校、入学式から10日目。クラスによっては真面目が貫かれ静かな授業風景が流れ、クラスによってはすでに学級崩壊が起き教師は注意もしないので授業が成立していない。

 本来、そういう騒ぎを止めるための教師による注意がなされないことにはある理由がある。それは、クラスポイント。素行や授業態度、欠席や遅刻など学生として悪き行動をとればとるだけそれは減っていく。最初は1000から始まり、どれだけ減ろうがマイナスとなることはない。教員たち生徒たちの悪行を数多の監視カメラにて記録しており、教師陣はそのクラスポイントの判定があるからこそ、たとえ授業が崩壊しようが後に害を被るのが生徒たちであるが故、自業自得と注意をしないのだ。

 そして、クラスポイントは名前通りクラスのポイントであり、誰か一個人の悪行であれ、クラス全体の連帯責任として下げられる。下げられたところでどうとでもないのではないかといえばそうでもなく、それは毎月のプライベートポイントの配布に関わる。

 プライベートポイントとは、名前通り個人のポイントであるがクラスの成績のような役割のあるクラスポイントに対して、それは電子マネーに近い。毎月初めにクラスポイントを100倍したものが生徒各自の口座に振り込まれる。高校敷地内のものであればなんでも買うことができ、校舎の売店にとどまらず敷地内に存在するブランド店からゲーム売り場、ショッピングモールでお金と同様に使うことができる。生徒用の生活費を含めたお小遣いと言える。教師たちから生徒たちに明言はされていないが、テストの点数や放送権なんかも買うことが可能である。

 つまり、生徒たちは注意されないからといって悪行を行い続けていればやがてクラスポイントは0となり、気づいた時には月初めに支払われるプライベートポイントが0となる可能性もあるのだ。まさに自業自得、不真面目な生徒に巻き込まれた真面目な生徒たちはかわいそうではあるが、不真面目な生徒に注意をしたり止められない時点で自業自得なのだ。

 なぜ、そんな普通の学校では考えられないシステムになっているのか。それは、この学校が実力至上主義だからである。クラスポイントやプライベートポイントのシステムは生徒たちの実力を図るシステムの一つなのだ。

 

 そして、この学校にそんなシステムがあることは知らされていない。プライベートポイントのことは説明されるが、クラスポイントに関することは上級生たちに口止めをするほどに新入生には隠される。

 愚かな生徒たちはプライベートポイントが説明された時、教師が意図的に省いた部分へと意識がいかず、毎月10万がもらえると疑問も持たずに勝手に信じ込み、ポイントを溶かす。そして、来月になってシステムのことを知り絶望するのだ。

 

 

 しかし、今はまだ入学から10日目。愚かな生徒たちはなんの疑問も持たずにブランド品やら化粧品やら、本来、高校生の手に余る娯楽嗜好品を買おうなどと話をする。すでに買っている生徒もいるだろう。ポイントを半分溶かしている者だっている。10日目にしてクラスポイントを300削ってるクラスだってあるかもしれない。

 

 そんな日の昼休み、それは流れた。

 

 

『新入生のみなさーん!初めましてー!久しぶりの人は久しぶり〜。今年度初のよう実ラジオの時間だよー』

 

 それは唐突だった。新入生たちはなんだなんだ、この学校にはたまにこんなラジオが放送されるのかと一旦話を止め聞き耳をたてる。しかし、上級生や教員たちは"今年度初"とか"久しぶりの人は久しぶり"とか言っているがそもそもこのラジオ自体が初だろうと内心ツッコミを立てたり動揺したりしていた。このラジオは新入生だけが知らないのではなく、そもそも初めての放送なので誰も知るわけがないのだ。

 

『今回は新入生に対する挨拶とアドバイスの回だよ!まず、合格おめでとー!新生活に困惑することもあるかもしれないけど、学校から100000も支給されて授業中に注意もされずハッピーハッピーな気分をしてると思うよ』

 

 今回は、とか言っているがそもそも今回しか今の所ないだろうと言うのは誰かの思考である。しかし、新入生たちはまさかこのラジオが初放送なんてつゆしらず、一部はそんなラジオにハッピーハッピーだぜーと返事をしたりとして聞いていた。

 

『そんな新入生さんたちに今後の生活のアドバイス!浪費はしないこと!毎月10万円ポイントもらえるって勘違いして、その月に使い切って次の月に絶望しちゃうって生徒がよくいるんだ〜』

 

 そんな放送がされてそれまでの教室、職員室の空気が変わった。新入生たちは10万ポイントを毎月もらえないかもしれないという放送に驚き、上級生たちはアホか誰がこんなの放送してるんだと思考する。上級生たちには新入生に対しクラスポイントなどを含めたSシステムについては口止めされているのに、それを仄めかすかのような内容を全校に放送しているのだ。

 

『実はね〜?最初の10万はいうなれば初回ログインボーナス。来月からは日々、どれだけ真面目にしているかでポイントは変わるよー?注意がないからって授業中に私語とか内職とかしたら減るのは己がお小遣いなんだぞ!授業外でも悪いことしたら減っちゃうよ!しかも連帯責任でクラス単位!つまりクラスの真面目さや実力がお小遣いを決めると言えるね』

 

 こいつ仄めかすどころか完全にバラしやがったと学校中の上級生たちに衝撃が走る。無論、口止めをしていた教員たちにも動揺が走る。どこの誰がこんな放送をしている、口止めはどうした口止めは!すぐに放送を止めさせろ!と、あわてていた。

 新入生たち、とくに、すでに浪費しまくったり不真面な愚かな生徒の多い教室ではより大きな動揺が広がっている。

「え、嘘、もう半分も使っちゃってるんだけど!!」

「クラス単位!?うちのクラスやばいじゃん!!」

 その反面、もとから疑問を持っていた生徒や優秀な生徒の多いクラスでは、驚きよりも納得感が広がっていた。

「やはり、そういうことでしたか」

「ほぉ?」

「……」

 

『さてさて、お時間が来ちゃったから今回のは終わりまーす。それでは、最後に新入生に向かって恒例のご挨拶。それではご清聴ください、ようこそ実力至上主義の教室へ』

 

 放送が終わると、一部ではうちのクラス終わりだ来月からどうしたらと絶望が、一部ではうちのクラスは問題なさそうだなと安堵が。そして、教師陣は生徒たちの素の真面目さが観察できないという嘆きが生まれ、その放送は強く学校の者たちの記憶に残り続けるのだ。




プロローグ的なのって言ったくせに後の話を最初に持ってきただけなのはこれ如何に

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