【2年生編開始】新入生のみなさん!よう実ラジオのお時間です!   作:やさかみ

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本編に書き入れる予定であったが、長いしこんな話突然挟まれても〜って感じですおまけにした奴。何気に短かったのに反応が多かったシーンの出来事。
いつもの2倍増しの長さだぜ。っぱセリフ入れると助長になるな。


おまけ 夜中のプール編

 夏休み船に乗り1日目の夜。

 自分にはある一通の連絡が来ていた。

 デッキにこいという綾小路からのメール。あいつなんのようなのかと思い、自分はそちらへと足を運んだ。

 

 周囲に人がいないデッキにつく。綾小路は1人夜風に吹かれていた。

 自分は、キザっぽいことしてんなボーイ。と言いながら、綾小路の普段とは異なる様子に少しばかりの警戒を抱く。もしかして、茶柱先生の脅しイベント後なのだろうか。自分は綾小路と同じように柵にもたれかかった。

 少し静かな空間が続きそうなので、船の音を聞きながら星を見上げようと思えば綾小路は声を出す。

 

「佐原、お前はなんなんだ」

 

 綾小路からもれたその言葉に自分は疑問符を浮かべる。どう質問なのかと。それに気づいているのか、気づいていないのか綾小路はそのまま黙っていた。

 自分はなんかは答えるかと思い、お前の友達と述べる。しかし、『そういうことじゃない』と綾小路はいう。なんなんだお前と文句を述べると、綾小路は続きを語り出す。

 

「よう実ラジオでポイントの変動を明かし、須藤の暴力事件では事前に行う場所を知っていたかのようにカメラとかを仕掛け、証拠を得る。その証拠は誰にも提出することなく、そして審議の時、ギリギリによう実ラジオで流す。その他、たまに見せる奇行、狙ったかのような言動、なにがしたいのかわからない、動きにチグハグさが目立つ。」

「自分が色々やってることは前提なの?」

「否定するのか?」

「しないけど」

 

 ナチュラルに当ててきてんじゃねぇよ。いやまぁ、バレる要素は普通にあった。謎に減ってたポイントしかり、謎のBクラスリーダーの連絡先しかり、紙袋マンしかり。他にも、原作知識を基にしていた行動言動それらは非常に奇天烈に見えていたことだろう。

 

「もう一度聞くが、お前はなんなんだ?」

「なんなんだって……」

 

 なぜ、彼は自分のやってきたことに気づいていることを明かしてまで、自分にそんなことを聞いてきたのか。自分は脳内で思考する。彼が求めるものはなんなのか、彼はなぜこんな質問をしてきたのか。

 今の彼はいつもの綾小路ではなく、前々から言っていた機械化綾小路の性質が強いように見える。白部屋としての彼の本来の性質。人間は道具でしかなく、そして最終的に自分の勝利のためであれば捨てるのも厭わない。

 そうであることを考えれば、今の彼がこんなことを聞いてきた理由。なるほど、理解した。

 

「もしかして、自分、佐原嶺二の道具としての使い方がわからないってことかな」

「……」

 

 綾小路は人工の天才である。ただの馬鹿なら馬鹿なりに動きをコントロールし、優秀なやつならそれ向けのコントロールを行う。存在価値のない無能、不利益を与える無能に対しては捨てるべき場所で躊躇せず捨てる。人間を道具とし、利用する。綾小路はそういう男だ。

 そこに、そんな彼のすぐ近くに自分という、道具として使うにはわからない要素が多いチグハグな存在がいる。そのことを看過できなかったのだろう。だから、知ろうとしている。

 自分が有能か無能かはさておき、使うにせよ捨てるにせよ、自分にある何かをまずは見てからではないと判断が難しい。

 しかし、彼はそんなことを知るためにわざわざ多少自身の異質さを明かしてまで聞くだろうか。それとも、これまでに彼は自分の正体を探ろうとしてきたのだろうか。調査をして、その上でわからなかったから聞いたのだろうか。

 

「自分がチグハグな動きをしてる自覚はあるよ?馬鹿なことして、自業自得で、後から考えればなんでそんなことしたってなって。でも、自分が何かと言われれば、まぁ、凡人かな」

「だが、お前はこの学校の多くの生徒が成し得ないことをしてきている。凡人の一言で片付けることはできない」

「まぁやってきたことを客観的に見ると確かにそうだ。……自分のこと整理するから少し待っててもらっていい?」

「あぁ」

 

 綾小路がこんなふうに聞いてくるかという疑問は一旦置いておき、自分について思考する。

 自分は転生者。そういうふうに認識している。

 前世の記憶と今世の記憶が入学と共に入り混じった歪な存在。前世の自分、そして今世の僕。一体今の自分はどちらなのだろうか。そこは考えても仕方がない。

 自分は原作知識を基に、この世界を楽しもうとしたり、時には楽しむよりも原作が原作通り進むように奮闘したり、原作知識を基にいろんな人と関わったり、恐れたり。今思えば、自分の行動原理のほとんどは原作知識に由来している。自分の意思で原作知識を好きに使っているのではなく、使い続けてしまっている。

 別に、それ自体がダメなわけではない。使えるものは使う。そんなのは当たり前の話だ。

 しかし、自分はそれを使えなくなることを恐れてもいる。原作知識という存在に依存している。

 今、自分のことを見返し、綾小路が自分のことをチグハグだと称した理由がわかった。自分は、自分の意志のもと行動しているがその実、原作知識という綾小路でも認知できないものに縛られ不安定に存在している。だからこそ、人の考えなどを見透かす綾小路でもチグハグと称する他なかったのだろう。

 もしくは、何かに依存、囚われていること自体は把握しているが、何に依存、囚われているのかを把握していないとか。

 

「整理ついた。今の自分は、色々異質な知識があって、それに依存して囚われてる凡人。これ結構正直な気持ちだよ?嘘はない」

「そうか」

「どう?これで自分は綾小路の道具たり得た?」

「何に依存してるかは教えてくれないのか?」

「ひ、み、つ♡」

「う、ざ、い♡」

 

 機械化してるかと思えばそんな返しできるのかと綾小路を見やる。こいつは一体なんなのだろうか。あと、道具たりえたかは教えてくれないのね。

 

「なぁアヤノン」

「なんだその呼び方」

「自分聞かれてばっかだったしこっちも聞いていい?」

「あぁ」

 

 自分は深呼吸もして綾小路に向き直る。既に、綾小路が踏み込んできて自分たちの関係に取り戻しようのない亀裂が生まれた。別に仲が悪くなったというわけではないが、少なくとも今後友人関係を続けるためにはあまり好ましくないもの。

 

「自分、さっき色々異質な知識があるって言ってたじゃん?」

「そうだな」

「それって多分、アヤノンの想定を超えてると思うんだよね。知識量というよりも質が。特定の人の過去、未来、性質。アヤノンが近頃の量産系ラノベ主人公みたいに事勿れ主義を貫こうとしてるけど、その内面は勝利のために人間を道具と切り捨てられる人ってことも」

「そうか」

「あと、白い部屋出身ってことも」

「……」

 

 一度できた亀裂を無かったことにするのは難しい。向こうが半分くらいに亀裂を入れたのなら、そこに自分も反対側から綺麗に亀裂を入れてやる。

 

「別に、自分がそこの関係者ってことじゃないよ?言っておくけど、この会話の中で嘘はつかない。こればかりは信用してもらうしかないけどね。どう?あと、できればアヤノンも正直にしゃべってほしいな」

「……わかった」

 

 自分は人心掌握のプロなんかではない。だから成功するかなんて分からない。成功したとしても、それは表面上だけなのかもしれないし、もしかしたら元々なかったのかもしれない。

 亀裂が入り歪になったそれを完全に分断し、再接続する。折って、それを補強するように直して強化する。筋肉の超回復のようなもの。それを目指す。

 

「ありがと。話続けるね。まぁ、その知識でこの学校のことについてもそこそこ知ってるんだ。それで、アヤノン」

「なんだ」

「なんかそれっぽいこと言って諭したりしたかったんだけど、なんも思いつかないどうしよう」

「……やっぱり、俺はお前がわからない。」

 

 なんか憐れみの視線を向けてきている。自分はこいつのことがわからない。機械化しているのかしていないのかどちらなのだ。

 自分は知識があるだけの凡人なのだ。そんな簡単に人を諭せるような言葉吐き出せるわけないだろう。

 

「ならもう一つ聞く、お前にとって自分はなんだ!友達か!道具か!はっきり言葉に出して言ってもらおうッ!!綾小路ぃっ!!」

「勢いで誤魔化そうとしてないか?……そうだな……お前は……わからない」

「友達かどうかが?道具かどうかが?その両方?」

「友達なのかは定義不足、道具としては使い方がわからない。だが、もし俺がお前を道具として使うのなら、友達ではないだろうな」

「はぁ……」

 

 機械化してるにせよしてないにせよ、どちらにせよこいつは相手を友達と言って良いかも分からないタイプのコミュ障らしい。僕と同じじゃないか。

 

「なぁ、アヤノン。」

「なんだ」

「友達になろ?」

「今まで友達じゃなかったのか?」

「普通に友達だが?まぁ、これは形式上のもの。自分と綾小路が、ちゃんと友達になるという形式的なもの。言うなれば、婚姻届を出してないカップルと出したカップルの違い」

「お前とは嫌なんだが気持ち悪い」

「お前ほんとにどっちなの?」

 

 機械化綾小路か純朴綾小路かクソガキ綾小路かはっきりしてほしいと思いつつ、自分は綾小路にむかって腹パンを決める。うわこいつ、本気で殴ったわけじゃないが腹筋固めてやがるかてぇ。

 

「まぁ友達かがわからないレベルなら最低限のものはあるってことにしておいて。アヤノン。今誰もいないし、プール行こ?」

「突然なんだ?」

「友情の再確認」

「……わかった」

 

 綾小路がプールに向かったのを尻目に、自分はポケットから、綾小路に気づかれないくらいの動作であるものをおく。

 プールサイドにつき、自分は綾小路に友情の確認のために必要だから何も言わずにプールの方を見て付近に立って、お願いした。綾小路は少し考えた後に了承する。

 自分にはわかる。脱力しながら立っているように見えて、その実自分が彼をプールに突き落とすのを受け流して自分を落とそうとするのを。今のこいつは、自分に対して普通でない様子を見せつけてでもどうにかしようとするだろう。

 正々堂々では勝てない。ならばどうするか。

 

「じゃ、やろうか。友情の再確認」

「あぁ。こい」

 

 自分は助走をつけて彼の近くへと駆け寄る。そして、その勢いのままに彼を押せばどう考えても受け流されてそのままドボンなので彼の直前で急ブレーキをかまし、伸びる紙のやつを綾小路の左足太ももに当てたあとに綾小路の手を掴む。

 そして、綾小路がこちらのやることを読んで自分のみをプールに突き落とそうともう片方の腕が自分を掴みにかかる。

 

『なにしてるのかしら、綾小路くん?』

 

 その瞬間に聞こえたその声に、綾小路は一瞬かたまる。そして、自分はその一瞬の隙に彼の胸へと逸らされないように頭突きをかまし、そして、体にしがみついて共に夜の水へと服もそのままに落ちた。

 

――――

 

 

 

「……ぷはぁ、たすかった」

「何やってんだ馬鹿」

 

 自分は飛び込んだ後に足を攣って溺れていた。その後は綾小路に肩を貸してもらい、水中で足を伸ばしてなんとか正常になる。

 

「それで?友情の再確認ってこれのことなのか?」

「一緒に夜のプールに服を着たままおっこちる。こんなの青春友情爆裂テンプレだろ。夜という何だかテンションが上がる時間帯、そして豪華客船で誰もいないプールなんて非日常。さらには服を着たままもいう非常識。そんな褒められない非の世界を、月が照らし覗くこの世界をただ2人で堪能する。まさしく友情の再確認にもってこいじゃない?」

「そうなのか……そうかもな」

 

 綾小路は何か納得した様子を見せている。本当に納得しているのか、表面上納得しているだけか。それはわからない。

 

「なぁ、綾小路。もう一度聞くが、自分と友達にならないか?」

「……いいが、俺はお前を使うぞ?」

「自分の使い方もわからない無能が何か言ってる。けど、それでもいいよ」

「道具と友達は成立しないだろ」

「経験がない奴こそそういう。成立するよ。猟師が駒であるはずの猟犬に絆を抱き友となるように、人間という道具にもそれは通用する。かのアリストテレスはいった。『友情とは、二つの身体に宿る一つの魂である。』と。」

「……その名言が何だ?」

「知らん。適当に言った。まぁともかく、つかいたいなら自分を使え。自分は道具として、そして友達として綾小路、清隆と共にいよう。まぁ、形から入ったところで友情が何かはわからんだろうが、自分でさえもまだわからない恋心なんかよりかはわかりやすいでしょ。」

「童貞」

「殺すぞ?……ぷっあはは」

「何か笑うこと言ったか?」

 

 今なら、綾小路のこんな言葉にも笑えてしまう。男子高校生の相手を貶すようで、しかし愛のある言葉。あの綾小路が演技か、それとも心からかは知らないがそんなことを言えているという事実に笑いがこぼれてしまう。

 

「それにしても、さっきの堀北の声、あれはお前か?」

「うん。僕が設置した秘蔵クラスメイトボイスコレクションだよ」

「お前、山内に負けず劣らずの変態だな」

「酷いなぁ、実用目的なんだから山内なんかとは違うよ。実際、綾小路もひっかかってくれたでしょ?」

「あぁ、それで落とされた」

「それがなくても僕は君を落とせていたけどね?」

「……」

「……」

 

 無言で互いに相手をプールの中に沈めようとわちゃわちゃする。あぁ、楽しい。綾小路がどのように感じているかはわからないけれど、楽しい。これが友達というものか。これが友情というものか。このシチュエーションのせいか、楽しく思えて仕方がない。

 誰もいない夜のプールで互いに沈め合う、犯罪的な響きもあるが、しかし、青春にバッチリ形が残る。

 

「なぁ、綾小路、いや、清隆」

「何で清隆」

「友達は下の名前で呼び合うものなんだぜ?ほらほら、清隆も」

「……嶺二」

「よくできましたー」

「お前は俺の親か」

「僕の息子になるかい?」

「お前みたいな親はいらん」

「僕もお前みたいな馬鹿息子はいらん」

「……」

「……ふふ。同じプール同じセリフでも雰囲気が違えば全く違うように感じる。なぁ、清隆」

「なんだ」

「よろしく」

「……あぁ」

 

 僕たち2人の体の間に魂は存在しているのか。それは僕にはわからない。魂なんて見ることはできないのだから。だが、今自分たちを見てくれている唯一の存在、月。アレに神がいたとして、それは僕たちの間に魂を見出してくれているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「あれれ?誰かプールにいると思ったら嶺二くんと綾小路くん?何で服着たままはいってるの!?」

「?あ、帆波さんか。男の友情の再確認をしてた。なぁ清隆」

「あぁ」

「そっか……羨ましいな。そういえば2人はふくものとか着替えとか持ってるの?」

「……清隆」

「あるわけないだろ」

「もぉ、考えなしに入ったんだね?待ってて、着替えはないけどバスタオル持ってくるから。濡れたまま船内に入ったりしたらダメなんだからね?」

「はーい」

「わかった」

 

 帆波さんが船内に戻っていくのを見届け、自分は綾小路へと向き変える。

 

「なぁ綾小路。茶柱先生の脅しは嘘だぞ」

「そうなのか。まぁ薄々わかっていたが」

「だけど、お前を退学させようとしている奴がいるのは事実。理事長は特にそんなことなく、逆にお前を守ろうとする。でも、理事長でも抑えきれないそうしようとする奴はいずれくる。この学校を自由に楽しみたいなら、多少何かしておいた方がいいと思うよ。茶柱先生の指示に敢えて従うのも手かもね」

「……わかった」

「まぁ、そろそろ上がるか」

「だな」

 

 空を見上げれば月があり、視線を横にすれば果てしない水平線が見える。僕ら、自分たちの間にあるものがこの先どうなるのかは、どんな天才であっても、世界を知る転生者であっても、神でもなければわからない。




ちょくちょく当てている人もいましたが、佐原嶺二くんは原作知識を利用するというより囚われていた存在だよ。今回自己整理をしたことで多少マシになったけど

さて、またもやストックなくなった。1日3本投稿なんて企てるんじゃなかったよ。
しかもこれの長さは普段の2倍。しかも、助長になりすぎるなと綾小路が佐原嶺二が色々やってることがわかった理由を語る場面は書いたものの丸々カット。書くのに要した時間とかも丸々消滅。さらには数回作り直した。ストックがなくなった元凶の一つ。
慰めて?(自業自得

おまけではどのルートが好き?

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