【2年生編開始】新入生のみなさん!よう実ラジオのお時間です! 作:やさかみ
あと、今回みなさんの期待には答えられません。
あの坂柳が、土下座をしていた。
「……何の真似だ」
「……謝罪、です」
「……何の件に対する」
「今回の、噂の件、です」
「……噂……佐原嶺二は殺人を犯したって噂を流したことか?」
「はい」
「……悪いが、お前がただ反省して謝罪をするとは思えない。なにがあった、なんで、そんなことをしている」
自分が知る坂柳というキャラクター、そしてこれまで接してきた坂柳という人間。そのどちらもが坂柳は謝罪、更には土下座なんてものは絶対にしない人物だと告げている。
「あなたに、謝りたいから」
坂柳は弱々しくも目的を述べる。しかし、答えにはなっていない。
「なぜ謝りたい?もう一度言うが、お前は悪いことしたから謝るなんて思考回路をしているとは思えない。何があってそんなことをしたいと思った」
「……あなたに、許されたい、から」
「お前は自分に許されたいと思うような奴じゃないだろ、なぜ、自分に許されたいと思ったのか。その経緯を全て嘘偽りなく話せ。嘘だったり誤魔化そうとしたりしたら許さない」
「……わかり、ました。話します」
坂柳のいう言葉と自分の知る坂柳の乖離に何を企んでいるのかと白状させる。本当に、自分に悪いと思って謝ってきているのか、それとも、他意があるのか。
坂柳から語られた言葉はこうだった。綾小路に嫌われ、勝負も拒絶され、彼と触れ合うには自分に許してもらう必要があると。
自分はそれを聞いた時、やっぱりかと思考した。坂柳が清隆に嫌われたことについてのやっぱりかではない、そもそも清隆が人を厄介に思うことはあれ、嫌うことはそうないと思っていたし。明確に嫌いと思いそうのなんて綾小路パパくらいじゃないだろうか。
自分がやっぱりかと思考したのは
「それ、清隆に言われたから謝ってきてるだけで、お前のしたことが悪いことだと思っての謝罪じゃないだろ」
「あ……そんな、こと、は」
「嘘は許さん」
「……」
やっぱりだ、こいつの謝罪は自分に対しての謝意が含まれていない。そこにあるのはただ他意、清隆に許されたいというものでしかない。
「沈黙は肯定ととらせてもらう。……はぁ、お前は自分がしたことが悪いとそもそも思ってるのか?」
「……名誉毀損に当たるものだと」
「さすが坂柳、法的にどうかは流石にわかってたか。その上でなんで行動に起こしたかは疑問だが。だが、自分が聞いてるのは法的な話ではない、お前自身が悪いと思ってるのかだ。お前が凡人であると見下す相手にやったことを悪いことだと思っているかだ」
「あなたのことを凡人だとは、もう思ってませ」
「話逸らすな。悪いと思っていたかを答えろ」
「……おもって、いません」
坂柳は清隆と似ているようなところがある。それは他者に対する意識。坂柳は親や綾小路を除けば、他人に対して愛とかの想いを抱いたりはしない。友愛異性愛その他諸々。他者は敵か駒である。
それだけなら清隆と同じだが、清隆と違うのは見下す側面が強いことだ。自身を天才と呼称し、その他を自分以下と見下す。清隆は他人に無関心なのに対し、坂柳は他人を見下す意識がある。
そんな坂柳が、今は知らないが見下している自分に対して謝意を持つか。
持つわけがない。原作でも帆波さんに対してそんな感情全く持ってなかったし。
「なら、この謝罪は自分に対して行なっているものというより、清隆に許されるためにやってることだろ。自分も佐原嶺二の過去を利用したことに関しては同じだから強く言えんけど、そんなんで許されると思うなよ?上辺だけ取り繕えばいいなんてそんな甘い考えをするな」
「あ……ゆるして、もらえないの、です、か?」
「今の聞いてまだ疑問系?ふざけるなよ、許してもらえるわけがないだろ」
「え……そん、な、それでは、綾小路くんが」
「清隆に嫌われたままでいとけ」
坂柳は腰が抜けているのか立つことすらできていない。声が震えており、一見してもわかるほどに酷い状態。こいつの方が加害者ではあるがこちらが被害者なのではないかと錯覚してしまう。
もう話すことはないとその場を立ち去ろうとする。しかし、呼び止められる。
「ま、待って、ください。どのようにすれば、許して、もらえるのでしょうか」
「許してもらおうと思わなくていい。」
「ですが、それでは」
「少なくとも自覚がないうちは無理だ。まぁ、そもそも自分はお前を退学させるつもりでいたし、どっちにしろ清隆とは勝負はできんかっただろうけど」
「そん、な。」
自分は坂柳を退学させるプランは考えていた。
証拠。学内掲示板の投稿者の開示、ポストに手紙を入れたところを移した監視カメラの開示。これらは坂柳を敵視している人や自分の人脈を使って学校側に要請しようと思っていた。
坂柳本人がやっていたというわけではないだろうが、だとしで周辺の人物がやっていることは十分にヒントとなり得るだろう。
しかし、今回、噂の件の謝罪という決定的な証拠を得られたのでその必要はないだろう。
「証拠は十分に揃っている。自分はお前のことを退学させて、被害届も出すつもりだ坂柳」
「そ、それ、は、おねがいします、ごめんなさい、どうか、わたしから綾小路くんと、はなれさせな」
「さっきからごめんなさいって言ってるけど、それは清隆に許されるためであって、佐原嶺二に許されるためじゃないよね。そういうところがダメだって言ってるんだけど」
「あっ……」
坂柳が到底謝罪ではどうにもならないことを察したのか軽い放心状態。重たい絶望に苛まれたのか、ぐたりとしている。
別に、絶対に許さないというつもりはない。もし、彼女が本当に自身が行った罪を自覚し、悪いと思い誠心誠意謝意を込めて謝罪していたのなら、無罪放免とはいかなくとも少しやることは考えた。
なんなら、佐原嶺二の過去を利用したという一点は自分も同じだし。自分も嶺二だけど。
しかし、謝意も何もこもっていないそんな形だけの謝罪を受け入れる道理はない。
「なん、でも、なんでも、いたします、です、から、どうか」
「……」
流石にそこまでされるとは思っておらず絶句する。悪いと思うことは無理だと判断して謝罪で許してもらうのを諦めてそっちの方面に変えてきたかと軽蔑の眼差しを向ける。
こいつにとって清隆はどれほど大きな存在なのだ。流石に、ここまでなるような存在ではなかったと思うのだが。原作でも退学は普通に受け入れてたし。
やはり、清隆に直々に敵でもなく人として嫌いと拒絶され、勝負も拒絶されたのが効いたのだろうか。清隆はそれを予測してやったのか、それとも純粋に嫌った上での発言か。友達ながら坂柳をこんな状態にできる清隆に少し引いてしまう。
「何でも、ねぇ」
しかし、考える。自分は先ほども述べたように絶対に許す気がないわけではない。今回、坂柳を退学させたいのは自分の怒りのみが理由ではないのだ。
佐原嶺二の過去を使われたという点に関しても怒りはあるが、自分も佐原嶺二の過去は同一人物ではあるといえども使ったので強く言えない。帆波さんに対する行動は原作通りの行動でそういう者だと考えていたため、実際に噂を流されれば怒りが湧いたが絶対許さんというほどではない。
ならばなぜ、退学させようとしているのか。それは今後の学園生活でこいつが変なチャチャを入れてきたら厄介だからという点にある。
こいつは原作にいない異物である自分を明確に認知し敵として相対してきた。これまで原作というものに囚われてきた自分だが、このまま坂柳に狙われ続けることを嫌ったのだ。すでに乖離が進んでいる以上、どちらにせよ原作通りにはいかないだろうと思考し、それならいっそのこと退学させて敵を減らしてしまえと決めた。
つまり、今回の坂柳退学計画には心情的な側面もあるが、実益的な側面も大きくあるのだ。
だが、もしも坂柳のことを好きに動かせるようになれば、それは大きく変わる。自分がしたいもう一つのことにも近づけるかもしれない。実益の面がこちらの方が大きくなる。
心情的にもそうだ。被害届はいつかは出すつもりではあるが、権力で揉み消されるかもしれない。罰金刑のみで終わや親が金を払うだけで終わる可能性もそこそこに高い。
そもそも、退学させて仮に堀の中に入らせる事ができたとしても、坂柳は清隆と離れ離れになってしまった事ばかり思考し、佐原嶺二や帆波への償いなどという思考は粉微塵も存在しないだろう。
まだ、どうにか人の心を植え付けて心の底から謝罪してもらった方が心も晴れるというものだ。
「なら、一つ聞くけど、そのなんでもを一回だけじゃなく好きなだけいつまでもとかにすることとかもできるのか?」
「っ……」
「できないならしない。話は以上だ」
「ま、まっ、わか、わかり、まし、た。ですから、どうか、綾小路くんと」
「本当にお前がやれるんならな」
実益の面でも、心情的な面でも、彼女を今後好きにできるのであれば好ましい成果が出るかもしれない。実益的な面で言えば、南雲雅を退学させるための優秀な駒となるかもしれない。
坂柳退学は何度か見たことあるけど、そんなんであいつ反省とかするかな?まじめに綾小路以外のことじゃ反省しなくない?と思い、すでに綾小路くんにこころはおってもらっているのでこっちの方向にしました。
退学期待してた人はごめんね?作者のエゴでごめんね?
とうとうアンケートの一之瀬クラスが龍園クラスをぬいただとっ。
冬休みまでのおまけ どれが好き?
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龍園クラス
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一之瀬クラス
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坂柳クラス