【2年生編開始】新入生のみなさん!よう実ラジオのお時間です!   作:やさかみ

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セリフで文字数稼ぎをしていないかだって?セリフのある話はテンポ悪いだって?混合合宿が2000文字くらいで終わったのになんだこの長さはだって?……だってセリフ書くの楽しいんですもん。自分が書いたら助長だけどね!(開き直り)


僕と契約して駒になってよ!

「わ、わたしが、あなたのいうことにしたがえたら、綾小路くんと」

「お前が本当にできたなら、な。自分が許可してあいつが許すかはあいつ次第だけど。でもいいのか?この話は、凡人である自分なんかに手駒にされるに等しい。天才であるお前なら穴をついてこっちに何かできるかもしれないが、その予感があればこっちだってやる、それこそ、元の考え通りに退学させたりとか。証拠はすでにあるし、それがお前が一番恐怖してるであろう清隆との完全な遮断とか」

 

 ボロボロになってるからそこまでの能力は今ないと思うが、坂柳に感情の起伏などからこちらが崩されることを嫌い、淡々話す。怒りを滲ませもしない。坂柳に対して隙を見せないように。ただ淡々と機械のように。

 

「そ、それは……もし、ほんとうに、わたしがしたがいつづければ、いつか、は」

「いつかは許可する。お前だってわかるだろ?駒に対しては鞭だけじゃ壊れるから飴も与えて指示に従うようにするって。それともなに?自分じゃそんな駒の運用方法も知らないって言いたいの?」

 

 駒の運用方法にはいくつかパターンがある。完全にへし折り鞭だけで運用し続け成果を出さなくなれば捨てる使い捨て型。鞭と飴を使い分け、持続的に使い続ける持続型。飴ばかり与えて依存させ、離れないようにする依存型。細分化はまだできるが、今はしない。

 自分がするのは持続型である。坂柳にはおそらく、これが一番適している。鞭だけでは多分、壊れるか裏切ってくるか。飴だけではこちらの言うことも聞かなくなる。おそらく、持続型が一番良い。清隆のように意図的に依存させたりとかは無理だろうが。

 

「……ひとつ、よい、でしょうか」

「なに?」

「もし、佐原くんが、許可をして、ですが、綾小路くんが、許してくれなかったら」

「それは知らん。許してもらえないのはお前のせいだろ。せいぜい許してもらえるように動けとしか言えん。人の温もりなんてものを理解できてないお前には難しいかもしれんけど。」

「あぅっ」

 

 坂柳はあぅっ、なんてかわいい声を出す。自分が言った結果そうなったと言う事実になんだか少し背筋がゾクゾクした。

 しかし、今は彼女を使えるようにするため。飴も与える必要はある。彼女がこちらの命令をきいて、命令以外でも自分のために動けば良いものをもらえるとしれば、自分のために動いてくれやすいだろう。

 

「でも、働きによっては、自分からも許してあげてほしいって進言するよ?自分の言葉が清隆にどれくらいの効果があるかはわからないけど。そこらへんは君が清隆に許されるような人になれるかだね」

「ほ、ほんとう、ですか?」

 

 飴を与える時は意図的に柔らかさを混ぜる。これがどれだけ意味があるかはわからない。坂柳にとってだけではなく、自分に飴と鞭を使い分けているという自覚があったほうが良いと思ってのものでもある。

 

「約束するよ、自分は、君が駒になって成果を出したなら、それ相応の飴ちゃんは渡すつもり。それで、どうする?今この場で決めてほしいんだけど。退学か、従うか」

「……した、がい、ます。わたしは、さはらくんに、従い、ます。ですから、どうか、わたしを」

「オーケー。自分は坂柳の今後の働きや改善によっては許すし、清隆に進言もする。働きによってはね?酷く不平等な契約だけど、君が承知したんだから。それじゃ、これからよろしく」

 

 自分は地面に伏せている彼女へと手を伸ばす。少しほおを上げ、警戒されない表情を。

 平時の坂柳には自分程度の人心掌握なんてものは全く機能しないだろうが、清隆が整えてくれた舞台だ。清隆が意図的に整えた舞台なのかは知らないが。

 どちらにせよ、自分はその舞台を使わせてもらおう。

 

 

 

 

 彼女を立たせて杖を渡す。箱入りのお嬢様を丁寧に扱うように、彼女へと優しく接する。

 

「それじゃあ、最初の命令をしようかな。」

「……はい」

 

 やはり自分に命令されるのは嫌なのか苦渋な表情をしている。まぁ、自分が坂柳に命令できるほどの天才ならともかく、清隆の作った舞台を利用しているだけの凡人にすぎない。

 見下していた相手に命令されてプライドにヒビが入っている様子。清隆ならばこれを適切に破壊しきって活用するのだろうか。

 

「友達を作ろうか」

「とも、だち?」

 

 坂柳は?マークを浮かべている。どんな命令をされるのかと思えば友達になろうなんて幼稚なものだったから拍子抜けしたのだろう。

 

「そ、友達。坂柳……いっそのこと有栖って呼ぼうか。てことで、まずは自分と友達にならない?あ、自分と友達になるってのは命令じゃないよ。」

「なぜ、ですか?」

 

 坂柳はわけがわからないと心の底から思っていそうだ。まぁ、自分もこいつの立場なら訳がわからない。こちらに対する一方的な命令権を相手に与えてしまったかと思えば友達作れと言われて、命令以外で友達になろうよと言われる。意味がわからん。

 

「有栖に人肌の温もりを知ってもらうためかな。有栖は家族の温もりとかは知ってるけど、友達とかの人肌は知らないよね?」

「そんなことは」

「そんなことがないなら今回のことをして清隆に嫌われるってわかってたはずだけど」

「……」

 

 坂柳は押し黙った。

 

「それに、ちゃんと反省してもらうためにはちゃんと人の心とかを理解してもらわないとだめだからね。だから友達にならない?」

「……命令としてなら、受け入れます、が、そうでないなら難しいです。そもそも、あなたは私に命令でき、私は従う側。いわば、わたしは、駒にあたります。友達になんてなることは」

 

 先ほどに比べるとだいぶん坂柳の精神状態は回復してきているように見える。微かとはいえ清隆に許してもらえる可能性が湧いたからかもしれない。

 

「できるよ?そもそも、自分と清隆だってそうやって友達になったんだし。夜、夏休みの船の上で互いに秘密を明かしたりして、自分は道具であると清隆に自己申告して、そして、夜のプールに服着たままの清隆の不意を付いて突き落としてようやく友達ってなったんだから」

「???」

 

 坂柳の頭には?マークが浮かんでいる。理解できないのだろう、なぜ、道具であるとと自認している自分が清隆を友達と称すのか。清隆は自分と友達になっているのか。なぜ、服を着たままプールに突き落とされてその上で友達となれているのか、普通そんな行為はきらわれる行為ではないのか。

 友達というものがいない坂柳には到底理解できないだろう。まぁ、プールに突き落とすのは男子のテンションが強いので理解できないのは当然かもしれないが。

 だとしても道具と友達になるなんてどういうことだと考えているだろう。

 

「かの……アリストテレスだっけ?はいった。友情とは二つの体の間に宿る魂であると。そして、猟師や警察は道具である猟犬や警察犬との間に絆を抱き友となると。人にとって道具であった犬は人間の最大の友と呼ばれるほどの存在となったと。人とは時として無機物にすら絆を感じれる生命体だよ。道具だからって友達になれないってのは間違いだよ」

「ひ、ひとどうしならば、その理論は当てはまらないので「清隆と自分という実例がいますがなにか。それとも清隆は自分のことを友達だけだと思って道具だと思ってないと思う?少なくとも当時は自分が道具だと本人から聞いてるから」……だとしても、プールに突き落とすのは、普通、嫌われる行動では?」

 

 おっと、言語化しにくい場所を攻めてきたな。たしかに、そこは男子のテンションの面も大きい。女子同士でもやるのかもしれないが少なくとも坂柳は知らないだろう。

 

「まぁ、友達関係ってのは難しいというやつで。そういうのも実際に友達作って見ないとわからないものだよ?自分は君を利用するし、君も君で、友達というものを知るための実例として自分を使ったらいいよ。それに、自分と友達になったら友達の友達ってことで清隆にも接しやすいかもしれないよ?許されてからになるけど。友達の友達ならまだ許してもらいやすくなるかもしれない」

「!そうですか」

 

 清隆の名前を出すだけで驚くほど顔を変える坂柳にちょろいなと内心で感想をこぼす。口には出さない。

 これは実益よりも心情の側面が強い。坂柳に人の心を教えて心から反省してもらえるかだ。できなかったらできなかったで別にいい。




僕と契約して友達少女になってよ⭐︎

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