【2年生編開始】新入生のみなさん!よう実ラジオのお時間です! 作:やさかみ
「初めまして佐原先輩」
「は、初めまして。佐原嶺二と申します」
前回のあらすじ。突然七瀬の人格が別人格(同人格)である松尾英一郎に唐突に入れ替わった。以上。
「首を吊ったはずの僕が今、この身に宿っているのには理由があります。薄々お察しかもしれませんが、綾小路を退学させ、あるべき場所に戻すためです」
「う、うん。なるほど。まさか冥世からの別人格とは。たまげたね」
こうはいうが、七瀬のこの人格は所詮無意識的に演じている七瀬本人である。僕と私を使い分けることによって明確にしているだけだ。
魂の別人格はどちらかといえば自分の方である。前世と今世、そして今現在のよくわからん状態の我。もしやこれも無意識的なものだったり?よくわからん。
「あはは。困惑するのも理解できますよ。……その上でお願いがあります。あなたは以前、『親友だからこそ、友がした善行悪行は平等に見るから』と言っいた。だからこそ、お願いしたい。無理強いはしません。どうか、彼を退学させることに協力してはもらえませんか。」
「ん、んー。ちょっと待って、頭整理するから……ごめんだけど、今の話じゃちょっと協力は難しい、かなぁ。ちょっと今の話で=悪ってのがよくわからなくて。清隆が人の生き死にをなんとも思わないってのは、まぁ、それ自体は関わってて印象通りではあるし、良いことかって言われるとあれだけど。そのひとつ前が気になっててね」
人の生死になんとも思わない、これ自体が悪か善かと言われると微妙なところである。人の死を悲しむ様、後悔する様というのは人間という種の美徳なのかもしれない。自然界でも死を嘆く動物はいるが、人はその中でもより死というものに携わる。
人の死をポジティブに捉えることは悪か、善か。人が死ぬ時が1番美しいという散りざまを重んじる文化圏……なぜ哲学的?なことを考えてるのだろうか。清隆のみにあてはめよう。
だが、清隆が善悪のどちらかに入るかと言われれば不明だ。そもそも、清隆にそんなものはないだろうし。知識としては理解していると思うが。
仮に、一般論的に人の生死なんか知らないと悪逆非道なことを繰り返すのならば清隆は悪と言える。しかし、松尾の件は清隆の知らぬところで起きたことである。
とは思ったが、松尾に関係なく清隆は一般論的には悪である。人の恋愛感情を道具にしたりするのは普通に倫理的悪じゃないだろうか。まさしくホスト。一時期社会的問題として取り扱われたこともある存在だ。
そこらのNo.1ホストよりも純度の高いクズゴミカスとも言えるかもしれない。悪意がない分より凶悪。いや、あいむなら悪意とかも制御した上でやってそう。
「その前、ですか」
「うん。綾小路がいるべき場所を抜け出したからってところ。いるべき場所ってのがよくわからなくて。抜け出したら人死がでちゃうような場所ってさ,相当危なそうじゃん?そこから抜け出したことが悪なのかなよくわからなくてさ。なんか、こう、非人道的なことされてる実験体が抜け出したみたいな。それって善悪で測れないんじゃないかなって。あいつの性格がゴミカスなことは認めるけど」
「……それほどの場だからです。僕もよくは知りませんが、その場所はとても」
「自分が知る限り、ホワイトルームは悪人を育てる施設ではないはずだよ」
「!?」
七瀬の顔が驚愕に歪む。それもそうだろう。ホワイトルームというトップシークレット。それを清隆の友達というだけの自分が把握している。しかも、七瀬すら知らない内情までも知っていることを匂わせる発言である。
「なぜ、その名を」
「自分、清隆の友達だよ?出身知っててもおかしくなくない?」
「……すみません、正直、わからないです」
「んー。そっか……あ、誰かに自分がホワイトルーム知ってること言わないでほしいな。知られたら面倒そうな人もいるし」
「……はい。わかりました」
「ところで、ホワイトルームについて名前以外になにを知ってるの?」
「……いえ,私は」
「今の君は彼か七瀬後輩、どちら?」
「……私は,七瀬です。すみません、急に戻ってしまい」
やはり、人格を完全に分け切ることはできていなさそうである。たまに間違えて七瀬モードで僕、とか言ってたしこういうこともあるのだろう。
「いいのいいの。……んー、それにしても,そっかぁ……うーん」
「……それで、協力はしてもらえるのでしょうか」
「今の所は無理というほかない。清隆自身は悪人と言っても差し支えないけど,それはこの学校では美徳とされるし退学させる必要があるわけじゃない」
「……やはり、友達だからですか?」
「それもあるけど、多分、他人ならどうでもいいからもっと協力しない」
んー。どうしようか。自分が実は色々、七瀬以上に知ってるんだよということをアピールしてみたはいいものの、話の終着点を考えずに話してるからどう終わらせるか悩む。
場合によっては、新入生の一部生徒限定佐原嶺二の最終兵器をかますことになるのだが。まぁ一部生徒と言っても効果ありそうなネームド七瀬さんしかいなさそうだが。
「今の七瀬さんの説明じゃ悪いけど協力する気になれないんだよ、さっきまで説明したこと。そして、多分ホワイトルームに関して自分の方が知ってて、その上でこの学校から退学させるべきとは思わないこと。そして、君の話には矛盾がある」
「矛盾、ですか」
「うん。月城理事代理は2人もホワイトルーム出身を入学させてること。2人の目的は清隆を退学させることだけど、清隆を退学させるためにこの学校にいてはいけない存在を2人も呼ぶのはダメでしょ」
「他にも呼ばれていることは……知りませんでした」
あぁ、どうしようか。論理的に丸め込むなんてこの手のやり場のない怒りを何かにぶつけたりするタイプにやっちゃいけないことなのに。
七瀬さんが善人だからあまり強く出れないだけで、人によってはそんなん知るか手伝えると感情で反論してきたことだろう。……流石にそんなことはないか。
「あー、その、ごめんね?なんか丸め込んでるみたいで、んー……」
気まずい。
「……うん。決めた。何か相談したいこととか聞きたいことがあるならきくよ」
「相談、ですか」
「うん。綾小路関連じゃなくてもいいし、どちらでも構わないけど」
何だろうか、一年の頃にも気まずい漢字をこういうふうに紛らわした覚えがある気がする。帆波とかにこういうことやってた気がする。
「……でしたら、ホワイトルームについて、教えて欲しいです」
「うん。わかった。自分が知るホワイトルームっていうのはね。どんな手段を用いてもDNAによらない天才を作り出すことを目的とした機関のことだよ。天才なんて大層なもんを人工的に作るって言うんだから非人道的なカリキュラムが幼い子供相手に組まれてる、世代にもよるけど8歳くらいの子でも感情を持ってなかったりと……まぁそんな場所かな」
「……なるほど」
「僕はね、どちらかと言えば綾小路をそんな場所の束縛からは引っ張り出したいと思ってる方だからさ、多分、僕は七瀬さんの敵になっちゃうのかな」
「……いえ。あなたの考えも、きっとただしいのでしょう。ですが、私は……僕は綾小路先輩を退学させる、そのためにここにいるから」
「……そっか。まぁ、別に目的が相反してても先輩後輩であることは変わらないし、好きに頼ってよ。自分、こう見えても頼られるの好きなんだ」
なんか櫛田みたいなことを言っているなーと内心思う。いやまぁ、面倒な頼み事とかされるのは普通に嫌なのだが、夏の日差しの下コンビニに2リットルコーラ買いに行かせられたり。
なんかこう、何らかの絆があってこそ頼ってしまう。そんなのが好き……あれ?串田と似たようなもんじゃね?
「……あ、そうだ。一応、教えておいたほうがいいかな?知ってるかもしれないけど」
「はい、何ですか」
「七瀬さんに過去とか教えてもらったんだし、自分も過去を話したほうが対等かなって。自分としては、まぁ、今更だから話すことに躊躇はないんだけど、あまり聞いて面白い話じゃないけど聞く?ちなみに二年生以上の生徒は詳しくは知らないけどざっくりは知ってるよ?」
「そ、そんなに多くの人が知っているんですか?」
「ある事情から全校放送したからねぇ、後悔はないけど」
「……はい。お願いします」
「おーけーおーけー」
その後、ざっくりと『普段は優しいけど色々あって自分を殺しかけた父を正当防衛で殺してしまい、合格決まった頃に母が精神的に限界になり自殺した』と話せば、あまりにも淡々と話したからか内容が荒れすぎたからか絶句していた。
そのあとに人格が今と前で完全に違うことや、当時そのことを放送した理由。そして前の僕を他人とする場合、自分は他人の触れてはならないものを道具にした最低な奴であること。あと七瀬の要望で最近思い出してきたあの頃の思い出などを語った。
その後、七瀬は『先輩にそんな過去が、助けるためのだから最低なんかじゃない、佐原先輩は』と色々言葉を漏らしながら悩み、最終的にどんな思考回路だったのか、妙にキリッとした顔をしながら『佐原先輩と、改めて呼んでも良いですか』と言っていた。なんか妙にカッケェと内心思った。
作者の今後の展開についての雑談
無人島試験が始まる前にとある話を捩じ込むことを考えてるんですけど、物語の展開的に絶対必要ってわけじゃないけどあった方がいいっていう内容なんですよなぁ。
しかしその内容じゃ自分の知識や知能じゃそれを書けないっていう壁にぶち当たってます。手詰まりになったのでチャッピーに相談したりしてやっても手詰まりとなったのでその内容を書くか書かないか悩み中です。
一応、アドバイスがあれば募集します。ネタバレくらっても良いよと言う人は作者の活動報告をご確認ください。
二年生始まりおまけアンケート
-
龍園クラスルート
-
一之瀬クラスルート
-
坂柳クラスルート