辺りに何もない荒野の一帯。そこで、ノースリーブの紺色のトレーニングスーツを着た金髪碧眼の男と、ピンク色の肌をした太っちょな体格の何かが対峙していた。
男が右腕を水平に挙げた。瞬間、その身体から噴出する金色の炎のようなオーラと、スパークが放たれる。
右手の小指と薬指を折り曲げ、その他の指は立てるという特殊な形の構え。その右掌から......黄色い光の弾、気弾が放たれ、真っ直ぐに太っちょな体格の何かの腹を貫いた。
倒れ込む太っちょの何か。それを見た金髪の男、ベジータは不敵に笑みを浮かべる。
「やったあ!」
ベジータの戦いを、岩陰に隠れて見ていた緑色にオレンジ色の帯の胴着を着た銀髪ツーブロックの少年、トランクスも彼の勝利を確信して声を上げた。その隣にいる、山吹き色の道着を着たツンツン頭の少年、孫悟天も彼と一緒になって勝利を確信して笑顔を浮かべていた。
......しかし。
太っちょの何か、魔人ブウは何事もなかったかのように起き上がり、持ち前の驚異的再生能力で一瞬にして腹に空いた風穴を埋めてしまった。
「ちょっと......痛かったぞ。へへへ......」
魔人ブウが、額に青筋を浮かべながら言う。
「......不死身か。てめえは......」
対するベジータは、冷や汗をかきながら吐き捨てた。
さて、ここに至るまでの間に、この男ベジータの身に何があったのかを説明しよう。
誇り高い戦闘民族、サイヤ人の生き残りの1人であるベジータ。
彼は仲間達と共に全宇宙の脅威の復活を止める為、それを復活させることの出来る手段を持った凶悪な魔導師、バビディの宇宙船に乗り込んだ。その戦いの途中、彼はその魔導師バビディによって、己の内に眠る邪心につけ込まれたのだ。
この地球で家族を得て穏やかになっていく自分と、生まれついての戦士としての自分の葛藤。更に、長年超えたいと願ってきた己のライバル、孫悟空と憂いなく思い切り闘いたいという願望。その二つの感情を抱えていた彼は、敢えてこの洗脳を受け入れた。
その果てに、ついに実現したライバルとの戦い。これで何も心配することなく、思い切り彼と闘える......という彼の思いは断ち切られる。
何故なら、2人の激しい闘いによって生まれるダメージが全宇宙の脅威の復活エネルギーとして注ぎ込まれその脅威が魔人ブウが復活を遂げてしまったからである。
その強さを瞬時に理解した彼のライバル、孫悟空(カカロット)は戦闘の中断を提案。仕方なしにその提案に乗ったベジータは......「オレが出してしまった魔人ブウは、オレが片付ける」とすっかり気を緩めた悟空を不意打ちで気絶させ、死を覚悟した上でたった1人でその脅威を滅ぼしに戦場へと向かった。
ベジータは、長年の鍛練の末に身につけた強さを以って魔人ブウを圧倒した。しかし、いざ時間が経ってみればどうだ。
明らかに致命傷になるはずのダメージを与えたところで、ご覧の通りに瞬時に回復されてしまう。
__なんてヤロウだ。どうする、どうすれば勝てる__
その回復力に圧巻されながらも、彼は勝つ方法を考える。しかし、その思考は途中で打ち切られる。
「お前なんか......」
揺れる大気。巻き起こる土煙。そして、目の前の脅威に集まっていく膨大な気。それが目に見える形になって、ドーム型のオーラを形成する。
「!」
間近にいるからこそ、ベジータはその威力の凄まじさを認識した。しかし......逃げる暇などない。
「嫌いだーーーーーーーーっ!!!!!!」
無情にも放たれる、魔人の激情を込めた爆発。
「くっ!」
咄嗟に腕を交差して身を守るベジータ。
瞬間......核爆発の威力が可愛く思えてしまう程の大爆発が巻き起こり、辺り一帯を吹き飛ばす。
「がっ......!」
咄嗟の防御も全く意味を為さない。ベジータは1番近くでその爆発を受け、吹き飛ばされてしまった
しばらくして、ようやく光が収まる。そこで見受けられたのはとんでもない光景。元々あったはずの地面は大きく抉り取られ、巨大なクレーターが形成されている。全く動いていないはずの魔人ブウが空に浮かんでいるのがその証拠だ。
「う......うあ......!ぐっ......!」
1番近くで爆発を受けたベジータ。勿論ダメージも1番大きく、彼は鮮血の垂れる右腕を押さえながらやっとのことで立ち上がる。
「な、なんてことだ......。強い上に、不死身じゃ話にもならねえ......。くそったれ......」
不敵に笑みを浮かべてはいるものの、虚勢だ。内心では、彼は焦っていた。
「パ、パパは負けないよね!?あんな魔人なんかに......!」
ダメージを受けている彼を見てもなお、父であるベジータの勝利を信じてやまないトランクスは自分の側に立つ紫色の道着を着て白いマントとターバンを身につけた緑色の肌の男、ピッコロに縋るように尋ねた。
「......」(汗)
本来なら「必ず勝つ」と、そう答えてあげたいはずだ。
しかし、ベジータ当人の強さを長い付き合いの中でよく理解しているからこそピッコロは冷や汗を垂らし息を飲むしかなくトランクスの質問に答えることが出来なかった。
「お前、もうおしまい。バイバイ」
地面に降り立ち、無邪気な笑みを浮かべながら呑気に手を振る魔人ブウ。ベジータがギリギリなのに対し、相手は余裕がありすぎる。
状況は、あまりにも絶望的だ。
「(どうしたらこの化け物を倒せるんだ......‼︎)」
歯を食いしばりながら、勝つ方法を依然模索し続けるベジータ。その目は未だ、勝つことを諦めてなどいない。
すると、魔人ブウが己の体の一部を摘み、それを引きちぎる。更に、呑気に粘土遊びでもするように、彼はそれを伸ばす。
「へへへ......」
「気味の悪いヤロウだぜ......。何をする気だ......?」
その意図を図りかねるベジータが、彼に警戒を続けていると......突如、魔人ブウは己の口からエネルギー弾を放った。
「っ‼︎」
咄嗟にそれに反応して地面を蹴って回避を取るベジータ。
だが、それこそが魔人ブウの狙いなのだ。魔人ブウが先程伸ばした体の一部を放り投げ、それを器用にもベジータに巻きつけて彼の動きを封じる。
「ぐっ⁉︎」
「ふっふふんふ〜ん♪」
動きの取れないまま地面に転がったベジータに、スキップしながら近寄る魔人ブウ。
そのまま彼は、無情にも動きの取れないベジータを蹴り飛ばした。
「かはっ‼︎」
蹴り飛ばされた衝撃で血を吐くベジータ。それを見て、体をゾクゾクさせて楽しそうにしている魔人ブウ。続け様に彼はベジータにのしかかると、何度も何度も彼を殴りつけていく。
一方的な蹂躙。当然のことながら父親が一方的に甚振(いたぶ)られる光景を見てその息子が耐えられるはずなどなかった。トランクスはそんな光景を見ながら歯を食いしばる。
「こ、こらえろトランクス......!お前が行ったところでどうしようもない!ムダ死にするだけだ!かえってベジータを苦しめることになるぞ!!」
実力差を理解しているからこそ、トランクスを引き止めるピッコロ。彼も無情な男ではない。実力さえあるのなら、飛び出して彼に加勢しているはずだ。しかし、現実はそうはいかないのである。
「......嫌だーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ま、待て!トランクス‼︎」
感情の制御が上手く出来ない幼い少年、トランクスは......命の危機から父を救う為に、ピッコロの制止を振り切って、超サイヤ人に変身して飛び出していってしまった。
「トランクス君!ボクもいくっ‼︎」
友達まで死なせてなるものか、とツンツン頭の少年、悟天も彼と同じ超サイヤ人に変身してその背中を追っていく。
「悟天っ!ち、ちくしょう......‼︎」
無謀にも飛び出していった2人の少年。ピッコロは、2人の背中を見たまま、己の無力さを嘆くことしか出来なかった......。
「パパを離せこのデブ魔人‼︎」
「たぁーー!」
バキィ!
「わぁぁぁぁぁ⁉︎」
魔人ブウはトランクスと悟天に遠くへ蹴り飛ばされた
「大丈夫⁉︎おじさん!」
「パパ!しっかりして‼︎」
動きを封じられていたベジータは、無謀ながらも勇敢な行動をとった少年達の手によって助け出された。2人に支えられながらも立ち上がったベジータは......2人によって魔人ブウの蹴り飛ばされた方角を見ながら、1人静かに覚悟を決めた。
「(......もう、"これ"しかない。"これしか、ヤツを倒す方法はない"!)......トランクス。ブルマを......ママを大切にしろよ」
そのまま彼は、静かに己の息子に向け、ブルマ__即ち、ベジータの妻である__を託すような発言をした。
「えっ?ど、どういうこと?パパ......。ママを大切にしろよって......」
発言の意図を知らないトランクスは、唖然としたまま尋ねる。
「お前達はどこか遠くに避難していろ。ヤツとは......魔人ブウとはオレ1人で闘う」
その発言に答えることのないまま、ベジータはトランクスと悟天に避難を促した。
当然だ。まだ幼い彼らに、自分が死ぬつもりであることを告げるなど、あまりにも酷すぎる。
「い、いやだ!オレ達も闘う!パパ1人じゃ殺されちゃうよ!3人でやれば、きっと倒せるよ!!!」
それを否定するトランクス。その発言を聞きながら、
__全く、こんな時でも駄々をこねやがって。だが、でかくなったもんだ__
確かに成長している己の息子に感心を抱くベジータ。しかし、彼は察してしまったのだ。今まで通りに戦っていては、決して魔人ブウを倒せはしないと…
「無理だ。アイツには何人でかかっても......。............普通の戦い方をしていては」
「え?そんなことないよ、強いんだぜオレ達!」
「うん!」
やる気満々に答える2人。対するベジータは、トランクスが赤ん坊の頃を思い出していた。そして、己のトレーニングばかりに注力して、父親らしいことをしてやれてなかったな、と気付いた。
「......トランクス。お前は、赤ん坊の頃から一度も抱いてやったことがなかったな......」
だから、最期にせめて一度だけでも......。己の出来ていなかったことをやろうと、愛を注いでやろうと思った。
「へ?」
「抱かせてくれ......」
父の提案に戸惑いながらも、素直に抱き寄せられるトランクス。
「な、なんだよパパ......!やめてよ、恥ずかしいよ......」
「......」
頬を微かに赤くしながら、嬉しそうにしている。
そんな彼にもう二度と愛情を注いでやれないことを、ベジータは微かに悔いた。
「元気でな......。トランクス......」
__置いていってすまん......__
「え?」
トスッ
「うっ…⁉︎」
ドサ
最期の言葉をかけ、内心で吐露しながら鋭い手刀を首筋に打ち込み、トランクスの意識を刈り取る。
「あ......!?おじさん!なんでこんなことするんだよ、おじさん!」
地面に倒れ込んだトランクスを見て、ベジータにしがみつくように訴える悟天。
「(悟天......精々お前も、カカロットのように強くなれ。トランクスと仲良くしてくれよな)」
ドスッ
「うっ…⁉︎」
ドサ
そう内心で吐露しながら、彼の意識も鳩尾に拳を放つことで刈り取った。
「…」
シュタ
そんなベジータの意図を1番に察したピッコロが、直ぐ近くに降り立つ。と同時に、こちらに向かってくる足音と鼻歌が聞こえた。
「ふんふんふ〜ん♪ふんふんふ〜ん♪」
その鼻歌を奏でるのは無論、魔人ブウである。
「さっきオレのことぶったの誰だ〜?そいつか〜?」
魔人ブウは蹴り飛ばしたトランクスと悟天を標的にしていた
「2人を連れて、出来るだけ遠くに離れてくれ。急いでな......。頼んだぞ、ピッコロ」
「う、うむ......」
気絶させた2人のことはピッコロに託す。彼は2人を抱えながら尋ねた。
「......貴様、死ぬ気だな......?」
「......」
ベジータは何も答えない。だが、これだけは聞いておこう、ともう一度口を開く。
「一つだけ教えてくれ。オレが死んだら、またあの世とやらでカカロットに会えるか?」
「............」
一時の沈黙。それを経てピッコロも口を開く。
「こんな時に慰めを言っても何もならんからはっきり言おう......。それは無理だ。お前は罪もない人々を殺しすぎた。死ねば肉体は無となり、魂も孫とは違う世界に運ばれる。そこで魂は洗われ、記憶も無くし、新しい生命体に変えられる......」
「......そうか。残念だ......」
その言葉通り、ベジータは微かに残念そうな顔をする。
「もういい、行ってくれ......。急いでな......」
空に飛び立ち、その場を離れるピッコロ。
「こら!逃さないぞ〜!!」
彼に狙いをつけ、魔人ブウはエネルギー波を放とうとするが......
「待て、魔人ブウ‼︎そいつはこのオレを倒してからにするんだな!分かったか、
ベジータがそれをさせない。挑発することにより魔人ブウの注意を己に引きつけた。
「また悪口言ったな......弱虫のくせに......!さっさと死んじゃえ〜!!」
「貴様の片付け方が分かったぜ......。やっとな......」
ギュィィィィィィン
シュィンシュィンシュィンシュィン
「え?」
未だに余裕ありげな魔人ブウに対し、ベジータが告げる死の宣告。瞬間、ベジータは己の体に力を込め、気を最大限にまで高めた。
金色の炎が更に立ち昇る。
そして、ベジータを中心に膨大なエネルギーが集まっていく。
「貴様を倒すには、二度と修復出来ないよう
「!!」
ここになって初めて魔人ブウの目が見開かれる。
「(さらばだ。ブルマ......トランクス......。そして......カカロット......)」
愛する家族。そして、永遠のライバルの姿が脳裏に浮かぶ。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!!!!!!」
ボゴォォォォォォォォォォォォォン‼︎
ベジータは、己が高めた気を全て爆発させる。辺りが眩い閃光に包まれ、先程の魔人ブウのそれが、更に可愛く思えてしまう程の規模の超爆発が巻き起こる。
「くあああ......あ......!?」
その威力は、驚異的な再生能力を持つはずの魔人ブウをバラバラの肉片にしてしまう程のものだった。光の中に、魔人ブウが飲み込まれていく。
全てを出し切る直前......
__悔いがあるとしたらだ。カカロット、やはり貴様と決着をつけられなかったことだな__
ベジータはそう内心で吐露しながら己もまた凄絶な光の中に消え去っていったのだった......。
その頃トランクスと悟天を連れたピッコロは様子を見に来たクリリンと合流していた
「ピッコロ!ベジータは⁉︎」
「魔人ブウと戦っている早く離れるぞ」
「わ、分かった‼︎」
ボゴォォォォォォォォォォォォォン‼︎
「あの爆発はまさか!」
「べ、ベジータぁぁぁぁ‼︎」
「俺は様子を見に行く!2人を頼むぞクリリン」
「分かった‼︎」
気絶しているトランクスと悟天をクリリンに託したピッコロは爆発があった場所へ向かった
「…」
全ての力を出し切ったベジータは燃え尽きて灰のようになり落下し
ザン
砂となり消えた…
「魔人ブウの気が全く感じられない、ベジータの奴…やったのか?」
爆発があった場所へピッコロは来てみたが魔人ブウの気が全く感じられなかったのだ
「あいつは初めて自分以外の為に戦ったんだな、自らの命と引き換えにして…トランクスやブルマにどうやって説明すれば良いんだ」
地球は救われたがベジータは死亡…ピッコロは2人にどうやって説明すれば良いか悩みながらその場を去って行った
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
ー
「(ここはどこだ)」
気がつくとベジータは何もない空間にいた
「(あの世でもないし地獄でもない…どうなってやがる)」
あの世でも地獄でもない空間にいるベジータは困惑していた
「(トランクスやブルマは泣いているだろうな…だが、最後に抱きしめた事は良い事だったぜ)」
ベジータはそう考えていると突如光がベジータを包んだ
「(な、なんだ⁉︎)」
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
ー
「(ん?ここは)」
「おめでとうございます元気な男の子ですよ」
「産まれてきてくれてありがとうハジメ」
「(ハジメ…それが俺の名前なのか?)」
ベジータは南雲ハジメとして転生したのだった
南雲ハジメ(16)
中身は誇り高き王子のベジータ
トータスに召喚後の天職+ステータス
天職大猿
筋力;[測定不能]
体力;[測定不能]
耐性;[測定不能]
敏捷:[測定不能]
魔力;[測定不能]
魔耐:[測定不能]
技能
武空術、気弾操作、超サイヤ人、超サイヤ人2、覚醒進化(修行や覚醒すればする程進化+強化される)、ギャリック砲(ベジータ(南雲)が得意とする技、本気を出したら地球も破壊できる)、ファイナルインパクト(打ち上げる技とエネルギー弾を放つ技の二種類がある、ビックバンアタック、ファイナルフラッシュ、ファイナルエクスプロージョン(気、又は魔力を解放して全体攻撃する技、使うと暫くの間行動不能になる)、大猿化(大猿に変化する)