気がついたら禪院直哉だったので好き勝手させてもらいます 作:黙々睦模目
アキラ視点…
旧油田エリア、『ツール・ド・インフェルノ』
スタート地点ーー
『テレビの前にラジオの前、それに会場にいる熱き燃料バカたち〜!』
『みんな大好き ジョリー・ジョニーだよ〜!』
「「「うぉぉぉ〜!」」」
モニターが何枚も重なってできた大型モニター
そこに映る女性はジョニーと言うらしい
そしてそのファンと思われる観客は
甲高い声を上げていた
『30年か40年、はたまた50年前〜!炎の海に落っこちた英雄が、奇跡の帰路を果たした!』
その歓声を置いて、ジョニーは続ける
『そして、もう後数分かしたら…新たな英雄が再び「ツール・ド・インフェルノ」で快挙を成し遂げるの!』
『まさか…こんなに人が多いとは思わなかったな…』
とボンプの中にいる僕が呟く
そしてバイクに跨り、僕の後ろにいる
シーザーが口を開く
「ハハハ! プロキシは得意なことに集中してくれりゃいい。後はこっちに任せとけ!」
僕を気遣ってくれたのだろう
僕は回りに視線を向ける
小型のドローンらしき物がそこら中に飛んでいた
『その辺を飛び回っているのは何かな?』
「いい質問だねぇ!目をかっ開いてよ〜くごらん!」
すると先ほどモニターに映っていた
ジョニーが解説する
「ツール・ド・インフェルノでは誰もが最前席! だから最高にぶち上がるレースはドローン中継が大前提〜!」
僕は納得する
だがホロウなら通信が不安定なはずだけど…
「しかもなんと今年の中継、ホロウにつきものの宿命…内外の通信遅延はわずか10分!ストレスふりーでさらば鬱憤!」
ホロウの内外でのタイムラグはひどい
H.D.Dシステム以外ラグなしで通信はできない
その為遅延は必ず発生する
「前置きが長い?ハイハイそつかいんじゃ駆け込みで参加陣営のご紹介!」
僕は横を見る
「防衛側「トライアンフ」:ポンペイ、ルシウス、そして〜トライアンフの新入り、ナオビト〜!」
ポンペイ、ルシウスの後ろに見える
ナオビト…基、禪院直哉…
彼の乗るバイクはスーパースポーツタイプだ
他の参加者は座り込むアメリカンタイプのバイクだが
彼は、前傾姿勢のバイクだ
するとルーシーが小さく呟く
「…あれは新エリー都市でも極一部しか持っていないはずの代物ですわ…まかさここで見られるなんて、」
本当に彼は一体どこから、
そんなにお金が出てくるんだろう
だがジョニーはお構いなしに会話を続ける
「挑戦者「カリュドーンの子」シーザー、ルーシー、ライト!」
「ルールはシンプル。ホロウへダイブ!火の湖にダッシュ!火打石で忌々しいエーテル結晶をクラッシュ! 次に儀式をやり遂げた猛者が、すなわち次の覇者だ!!」
するとシーザーがポンペイに話しかける
「覇者のオッサン!よくやくだな!これで遂に決着がつけられるってもんだぜ!」
「ククク、大した自信だ小娘…俺を退屈させないよう、せいぜい力を尽くせ。」
そして司会のジョニーがスタートの合図を行う
「さぁ、両者位置についてーー」
全員の視線がホロウへ向けられる
「ツール・ド・インフェルノ、レース・スタート!」
バイクの轟音と共にレースは始まった
「両チーム一歩も譲らず分岐点をマッハで突っ切る! 次はホロウの中が舞台!火花散らす展開に乞うご期待!」
『今からホロウに入るよ!みんな気を付けて!』
と僕が言うとシーザーが叫ぶ
「いくぜ!目指すはシンダーグロー・レイクだ!」
だが、僕達がホロウに入ってしばらくすると…
渓谷が崩れ、僕達は吹き飛ばされてしまった
「おいプロキシ!大丈夫か?さっきの衝撃でボンプが壊れたんじゃねえだろうな!?」
『僕は大丈夫だ。そっちの状況は?』
すると声高々にシーザーは答える
「大したことはねぇぜ!かすり傷だ。唯一やべぇことは、ルーシーとライトが見当たらぇことだ!でけぇ岩が落ちてきて、地面をぶち割りやがった。気が付いた時にはもうここにいたぜ…」
するとFairyが割って入る
『マスター、激しい振動による空間の乱脈で、貴方様は予定ルートから外れました。現在位置を再計算中です。また落石の発生直前、道路の両脇から激しいエネルギーの放出が検知されました。気に留めておいた方がいいでしょう。』
するとリンが口を開く
「激しいエネルギーの放出、って…爆発のことかな?」
「あの道路沿いには、古くなった石油採掘施設がごまんとあった。爆発の原因はそこかもな…ハ、ハ、ハーックション!」
するとシーザーがくしゃみをする
「んだよ、これ…?体中キラキラした粉まみれじゃねぇか。落っこちてきたときについたのか?」
そして僕もイアスの体を確認する
『粉…?確かにイアスも粉まみれになってる。待ってくれ…これは高純度のエーテル爆薬が爆発した際に、出るものだ!』
するとリンが驚く
「郊外に高度なエーテル技術はないはずでしょ!?そもそも都市でもそんな危険なもの売ってないはずだよ!?どうしてここに…」
つまりこれは…
『結論は一つ…爆発は人為的なものだ、』
するとシーザーが怒鳴り声をあげる
「なんだと?、まさか…トライアンフの連中か!? やってくれたな、ポンペイのオッサンよぉ…!「俺を退屈させるな」とか言ってたのは、オレ様とやりあいたかったからじゃねぇのか?どうしてこんなに汚ぇマネを…!」
僕はそれに待ったをかける
『シーザー、その結論に至るにはまだ早い。とはいえこんなとこが起きてしまった以上、今回のレースは進行できないだろうけど…』
そこにリンが続く
「ドローンなら爆発の様子を撮影できてるはずだよ!状況を会場のバーニスに伝えて、レースを中止してもらおう!」
「あっ、プロキシちゃん!どうしたの?急に電話してきて。今日のホロウは順調そうだねぇ!ぱっと見、戦わなきゃいけない感じでもなさそうだし。」
その言葉にシーザーは目を見開く
「なんだと、バーニス!?さっきあんな事が起こったってのに。なんも見てねぇのか?」
「え?何かあったの?」
とバーニスはまるで豆鉄砲でも食らった様な反応だ
するとリンの口が開く
「お兄ちゃん大変!Fairyがライブ中継の映像を調べたら加工されてるみたい!私達だけじゃなくて、覇者陣営側の画像もフェイクになってるみたい!両チームとも画面がすり替えられてるなんて…これ、裏に何かありそうだよ…」
僕は思考を巡らす
『そうだね…敵はホロウ内の情報を遮断しているみたいだ。それに、郊外にないはずのエーテル爆薬…見方によってはシンダーグロー・レイクに手を出そうとしている…』
するとシーザーが慌てて口を開く
「なんだって、シンダーグロー・レイクが危ねぇってことかよ!?」
「シーザーさん!落ち着いて!お兄ちゃんの推測が正しいかもだけど…」
僕はシーザーに向けて問う
『シーザー、君は『カリュドーンの子』の大将で、『パエトーン』の雇い主だよ。次の一手は考えているかい?すぐにホロウを出て、今起こっている事を伝えるのもアリだよ。もちろん、それ以外にも…』
するとシーザーは聞き終わる前に答える
「言うまでもねぇぜ!プロキシーーシンダーグロー・レイクに行くぞ!あそこに危険が迫ってるかもしれねぇってのに、放っておけるかよ!あの場所が安全だってわかりゃ、あとはどうにでもなるんだ!」
僕達はそんな彼女に答える
『分かった、『パエトーン』として、君の判断を尊重しよう。』
そして何も状況を理解できていない
バーニスを置いて…
僕達は別れてしまったルーシーとライトの元へ向かう
直哉視点…
「…おかしいね」
俺がそう呟くとポンペイも続く
「そうだな…あれだけ威勢を張っておいてこの程度ということはあるまい。とりあえずルシウスにカリュドーンの子が周囲を確認させている」
「ルシウスね〜…」
俺はアイツを信用できへん
ああいう奴らは性根が腐って、
腐敗しとるに決まっとる
するとポンペイは眉をひそめる
「なぁ、兄弟。ルシウスはあれでもトライアンフのNo.2だ。俺はアイツが裏切るとは考えづらい」
甘ちゃんが…
「僕からしたらモルスがやらかしたのはルシウスの指示だと思うんだけどね〜」
するとポンペイは俺の肩に手を置く
「そんな心配し過ぎだ。もし俺を裏切ったのなら俺の手でケジメはつける」
こいつがそこまで言うなら…
「仕方ないな〜…わかったよ」
するとバイクの音が聞こえてくる
ルシウスが戻ってきたのだ
「…ルシウスのお帰りみたいだね」
「あぁ、ルシウスからの情報をまとめてから向かうとしよう」
そして俺達はルシウスから状況を聞き、
火の湖までバイクを走らせた
数時間後…
僕達は火の湖に到着し、バイクを降りた。
「結局、カリュドーンの子は来なかった…」
するとポンペイは残念そうに言う
「決着をつけると息巻いておきながら…なんとも退屈なレースだったな。」
するとルシウスが媚びる様に言う
「せっかく親分が目を掛けてやってたのに…シーザーめ、やる気がないにもほどがありますねぇ。」
それをポンペイは鼻で笑う
「フン、だが退屈も結構なことだ。」
ポンペイはそう言いながら火打石を投げ込んだ
「少なくても数年は、火の湖を心配しなくていいのだからな。」
火打石はマグマの中に『ポトン』と
音を立てた
だが火打石が落ちた場所から、突如として
エーテル結晶が爆発的に増える
ポンペイも目を見開く
「どういうことだ?エーテル結晶が大量に現れたぞ!?」
するとルシウスが口を開く
「『エーテル重合触媒』…遊離状態にあるエーテル粒子の結晶化を促す代物です。都市の企業が、エーテルの生産量を増やすために開発した技術ですよ。この場所の特異な環境では、さぞ効果があるでしょうねぇ。」
「ルシウス、まさか貴様ーー」
俺はポンペイを庇うように前に出る
「ポンペイ、こいつはお前を裏切ったぞ。」
ルシウスはそれを肯定する
「そうですよ?ポンペイの親分。貴方の火打石は僕がすり替えておきました。火の湖はまもなく完全に消滅します。」
すると思い出したかの様に言う
「あぁ、そうそう…この媒介を使うと付近のエーテル濃度が急激に上昇するんです…特に『エーテル適応体質異常』の人には…深刻な結果をもたらすでしょう」
するとポンペイが口から血を吐き出す
「うぐっーー!!」
そしてポンペイは胸を抑え倒れ込む
俺は牌を取り出し
ポンペイを囲い込む様に術法を展開する
「僕に喧嘩売るだけの自信があるわけか〜」
「えぇ…騎士様?とでも言いましょうか?」
「君みたいな屑は死んだらいい…ポンペイそこで休んでて、その中なら侵食は抑えられるから」
「すまない…俺の目は節穴だった様だ…」
そしてポンペイは気絶してしまった
「……」
僕はルシウスに向き直る
「君の様な屑には苦しんで死ぬ様に拳で相手してあげるよ…精々、足掻けるだけ足掻いて絶望して死ね」
「まぁまぁ、騎士様僕と取引しましょうよ。」
ルシウスはヘラヘラとしている
俺はそれに反吐が出る
「挑発はその辺にしな…」
俺はルシウスの懐に入り、
ルシウスの右脇に拳を叩きつけた
「ぐはッ!?」
そしてルシウスは吹き飛ばされる
俺は吹き飛ばさたルシウスに歩み寄る
「さっきの威勢はどこに行ったのかな?」
ルシウスの顔から驚きは見えるが、
何か隠している様だ
「一体、何を隠してるのか、な!」
俺はルシウスの右頬を
懐から取り出したナイフで斬りつけた
「ぐあぁぁ!」
もっと苦しめ、もっともっと…苦しめ
「君達の目的は?早く吐いてくれないかな?」
「ははは…!ははは!ははは!」
なんで笑ってられる?
俺はルシウスの首元を掴み上げる
「ははは…!あの、英、雄の、騎士様も、怒りで回りが見えな、くなるらしいな!」
まさか…
俺はポンペイの方を見るが誰もいない
だが…俺の後ろに…モルスがいた
「じゃあな!」
するとモルスが俺に向かって銃口を向けた
パシュン!パシュン!