気がついたら禪院直哉だったので好き勝手させてもらいます 作:黙々睦模目
ドンどん長くなってしまっていて申し訳ない
「は…?な…は?」
目の前には僕…いや違う
"禪院直哉"の姿があった
『おいおい…そんな呆けた顔すんなや
しっかりせぇよ』
「意味が分からないよ…
僕にこれ以上なにを求めるんだよ…
所々に蜂の巣になった…
僕の記憶をもっと捧げろってことか!?
また忘れなきゃいけないのかよ!
お前らに何がわかるんだよ…!」
『……わからへんわそんなもん』
僕はその言葉に怒りが止められない
こいつの態度が気に食わない…
「そうだよ…!わかる訳がない…!
それなのに好き放題いいやがって…!
お前ら知ってるのかよ…!
少しづつ記憶を失っていく感覚を…!
大切な人達との思い出がなくなる感覚を…!
周囲から散々、罵詈雑言を言われる日々が…!
この全てに耐えてここまで来たいんだ!
罵詈雑言も苦痛もなにも感じないここに…!
やっと周囲の目も記憶を失う恐怖も忘れられる!
ここに…!やっと…!辿り着いたんだよ…!
…なのにさ。お前らは、なんなんだよ…」
怒りを抑えらなかった僕だが…
今の僕は怒りを通り越して…
呆れがきていた
「そろそろ現実を見ろ…?
笑わせるなよ…!
そんなもの見てなんになる…!
そんなのどうでもいいよ…!
僕はただ…ただぁ…」
この時僕の目から水滴が滴っているのに気づいた
「"幸せを感じたかった…"
ただそれだけなのにさ…
ちっぽけな願いだったんだよ…
家族としょうもないような話で
大騒ぎしてさ…笑い合って…
友達とバカ騒ぎしてさ…
…好きな人と暮らす
…そんなごく普通な当たり前な幸せを…
たったそれだけ…なんだよ…?
たったそれだけの幸せを掴みたかった…
なのにさ…なんで僕ばっかりさ…
こんな酷い目に遭わなきゃいけないんだよ…
僕だって必死に生きていただけなのにさ…
なんでよ…不公平だよ…こんなの…
ねぇ…教えてくれよ…"直哉"!
なんで僕だけこんなに苦しまないといけないんだ
…僕に前世があったのなら、
僕は一体どんな大罪を犯したんだ…!
教えてくれよ…!僕が…!
僕がなにをしたっていうんだよ!!!」
息も絶え絶えで…
目からもまるでダムが決壊したかのように
水が滴っている
「もう楽にさせてくれよ…頼むよ…
もう生きたくない…殺してくれよ…
僕は好きな人達と笑い合う…
平凡な日常が欲しかっただけなのに…」
僕は座り込み体を丸ませ…
顔を埋める
「もうなにも…僕に求めないでくれよ…
"1人は辛いんだよ…"
これ以上…求めないでくれよ…」
『そうやな…その通りやな
お前は散々人の悪意を押し付けられてきたな
同情してやるわ…でもな〜…
慰めるのは俺の仕事やないしな…
だからこそ"目覚める時"や"禪院直哉"』
「なにを…言ってい『ごめんね直哉…』…る」
禪院直哉の言葉に疑問を飛ばそうと
顔を少し上げようとした途端…
背後から僕を抱擁する温もりを感じた…
懐かしい温かさだった…
まるで…この世界に来る前の
小さい時の…"親からの抱擁"だった
僕は…恐る恐る…温もりの正体に目を向ける
先ほど見た…剣を持った白髪の女だった
その姿に母の姿が重なる
すると彼女の口が開かれる
『今まで"1人"にさせてごめんなさい…
支えて上げれなくてごめんなさい…
押し付けてばかりでごめんなさい…
貴方の優しさに頼りきりでごめんなさい…
貴方のその"苦痛"を…
気づいてあげられなくてごめんなさい…
頼りなくて…ごめんなさい…!
信じてあげられなくてごめんなさい…!』
彼女の体は少し揺れていた…
瞳からは涙が滴っており…
よほど後悔していた事が分かる目をしていた
彼女も苦しかったのだろうか…
「……」
『貴方はいつも私達を助けてくれたのに…
私は寧ろ貴方を傷付けるような事をして…
それなのに…私達の事をいつも助けてくれて…
こんなにも身勝手な私なのに…!
いつも助けてくれて…ありがとう…
直哉…いえ…違うわね…■■■』
「な…ッ!?なんで…どうして…それを…!」
彼女の言葉から出たのは
前の…普通の高校生だった頃の
"僕の名前"だ…
『もう1人の貴方が教えてくれたわ…
だから謝らせて…■■■
今まで1人にさせてごめんなさい…
いつも押し付けてしまってごめんなさい…
私が"一緒"に背負う…
貴方の悩みも苦悩も…
全て受け止める…
だからね…■■■』
すると彼女は言い淀む…
だが…その躊躇いを振り切り…
彼女は言い放つ
『…私達と…いや、私達雲嶽山と…!
"家族に"
なりませんか…?』
恥ずかしいのか
少しづつ声量が低くなっていっていた…
だけど僕から見た瞳には迷いがなく
その瞳は本当に綺麗で澄んでいた…
彼女の言葉を聞いて…
見て…感じて…塗りつぶされていた記憶の
汚れが綺麗に落ちていった気がした…
記憶の中の少女顔も名前も…
そして僕を抱擁する"彼女"の名前も
もう1人の彼女に似た子の名前も…
「"儀降"…ありがとう…」
自然とその言葉が僕の口からこぼれ落ちた
僕の覆われていた黒い渦は消え…
僕の姿は制服を着た高校生の姿になっていた
晴れていく…
少しだけど忘れたはずの記憶を思い出せた
僕が"戦う"理由…いや違うかな…?
"戦った"理由かな?
思い出せたよ…
ありがとう…儀降
最後に…君達が"大人"になる瞬間を見届けたい…
彼女達の最後を見守ろう…
「直哉…ッ!記憶をッ…!」
「そうだね…」
僕に涙混じりの満面の笑みを浮かべる
儀降に対して僕も笑みで返す
そして僕が立ち上がる
儀降も立ち上がる
「どっちの名前で呼べばいいかな…?」
「直哉のままでいいよ…
久しぶりに聞けただけで嬉しかった」
「そっか…」
「後さっきの…その今度ちゃんと返事するよ」
「いつでも待つよ」
「そう…じゃあそろそろ起きないとね…」
「うん!儀玄達が待ってるし…アキラ君達もいるよ!」
「あぁ…そう、だね…」
満面の笑みを浮かべる儀降に僕は目を奪われる
ここまで目を奪われていたなんて思いしなかった
…だからこそ"これからすること"を躊躇ってしまう
「直哉…?どうしたの?」
こちらに目を向け僕の顔を覗き込む
彼女に笑顔に目が離せない…
でも…僕は一度決めた事は絶対押し通す
「ごめん儀降…、後でいくらでも謝るから」
「え…?」
僕は困惑する彼女の胸元に拳を振り下ろし
既のところで止める
次の瞬間、その衝撃が儀降の内臓を震わせる
「うゥ…どう…して…」
「ごめんしばらく寝ててね…」
ここにいると言う事は今の彼女は精神体だろう
つまり意思ここで眠らせたとしても
現実で目覚めるだろう…
そしたらまたあれを使って動かせなければいい
始めりの主にそういうの外されてる可能性あるけど…
…そういうのは後でいくらでも考えられる
今は目の前の事に集中しよう
『突き飛ばしてよかったん?』
「うん…もう弱音を吐ききったし」
『ほんまに?』
「もう迷う必要もないからね…
…あの2人の兄として…"大人"
としてカッコつけないとね
弱音ばっか吐いて、引き篭もってた兄なんてさ?
ダサいじゃん?それにね…
僕はこの姿の時に、妹が欲しかったからさ
あの2人を見ると甘やかしたくなるんだ…
ちょっと…恥ずかしいな」
『ええやん…今のお前の方がよっぽどええわ』
「ありがとう…お陰で自信がついたよ
じゃあ…始めようか…」
『ああ…始めるか』
「君はこのお腹に刺さった
青溟剣が抜けたら消えるのかな?」
『あぁ消えるな』
「そっか…」
『なに迷ってんねん。お前は気にせず突き進め』
「……」
『俺はもう青溟剣に全て捧げたからな』
「なら…師匠もいるのかな…?」
『ん?あぁ〜…いたで?でもお前は会うな』
「それまたどうして?」
『絶対名残惜しくなるやろ…
時間がないねんで?さっさと起きなあかんで?』
「それも…そうだね」
『ちゃんと讃頌会を潰したら
腹から抜き取るんやで?』
「う〜ん…でも傷口塞げないから不味くない?」
『はぁ?なに言うてん?塞げるやろ?』
「え?」
『お前のその力使ったら塞げたで?』
「まじかよ…」
『まあ説明する時間はないねん』
「そっか…」
『ほら手を貸せ…』
「うん…」
『「…夢から覚めよう」』
そう言った瞬間に僕の視界は暗転し
目を開けた瞬間僕の視界は赤黒い渦に
目を向けた…そして僕の中にいる
"始めりの主"の気配を感じ取り…
青溟剣の刺さる腹部に
右手を無理やりねじ込み…
赤黒いなにかを無理やり掴み
体の中から引き摺り出す…
『なッ…!?』
「どっか行け、寄生虫が」
次の瞬間、僕は呪力と青溟剣の力を左手に纏わせ…
引き摺り出した始まりの主に向けて
全力で振りかざす
すると霧のような人型の姿の
始めりの主を赤黒い渦と共に吹き飛した
それを確認した僕は僕の振袖を漁る
「うわ…割れてるやん」
袖の中から取り出したのは
僕が偶に使う麻痺毒の入れた注射器だ
ほとんどが割れてしまい液体が漏れていた
幸い1つだけ無傷だった
「1つあれば…いや、
あと一つ欲しかったが贅沢言えんな」
僕は未だに眠っている儀降に
その注射器を腕に刺して押し込んだ
「さて…いくか」
…………
アキラ視点…
儀降さんを包み込んだ赤黒い渦を守るように
讃頌会の司祭"メヴォラク"
そう名乗った彼女は
僕達の行く手を阻む
「くそ…ッ!あいつの狙いは足止めか…!」
「一体なにを待っているんだ…?」
『全ては始めりの主の元に戻るのです…』
「そんな事は起きない…!」
『足掻きたいのならお好きにどうぞ…』
「なにをしようと姉様が必ず勝つ…」
『それはどうでしょうか…?』
すると赤黒い渦から
眩い白い光が漏れ出し…
赤黒い渦を断ち切り
赤黒い人型の赤黒い霧が弾き出される
『何故…何故だ…!
どうやって我を追い返した…!』
『主…!?』
赤黒い靄は白い光の元に叫ぶ
僕達が目を向けた先には…
金髪だった髪が白髪となり…
神々しい白く輝いており…
腹部に青溟剣が突き刺さっている
…"直哉"さんだった
「遊びは終わりや
今までは面倒くさかった…ただそれだけや…
お前を追い出す事はいつでもできたんや
無駄な努力…御苦労さん?」
『ふざけた事を…!
その状態でまともに動けるはずがない…!』
青溟剣が刺さっているのに…本人は物ともせず
平然と始まりの主と言われた霧に向かって
歩みを進める
「これくらいのハンデが丁度いいやろ?」
『この我を愚弄するか…!』
「喧嘩ってのは同等な奴としか成り立たんねん
これ以上言う必要あるんか?遊んでやるわ」
『貴様ぁぁぁ〜!!!』
始まりの主と言われた
赤黒い霧は直哉さんに飛び掛かる
それを直哉さんは軽々といなし、
直哉は嘲笑う
「なんや?お前下手くそやな〜?
俺の記憶から一体何を学んだんや?
才能もなくて鈍臭いだけやん?
俺の想像してた神は万能なんやけどな〜?
そんなんでなんとかなるん?
そんなんじゃ死ぬで…?今更遅いか」
『おのれ…!おのれ…!おのれ〜…!!!』
「動きが遅すぎてあくびが出そうやわ〜
もつと速くできんの?
ふぁぁぁ〜…」
『舐めるな小僧…!』
「直哉さん…!」
直哉があくびをかいた瞬間
始まりの主は直哉の後ろに回り込み
直哉の後頭部に始まりの主の
霧のような拳が迫っていた
だが、その拳が触れる瞬間…
パチ…!
…何かが触れ合うような音が響くと
始まりの主と言われた赤黒い霧は
青いガラスのような枠に固定されていた
「これで終いや」
直哉さんがそう呟いた瞬間
彼の拳は青い炎を纏その上に
神々しく光輝く光を纏わせ…
始まりの主へ向けて
無数の拳の幻影を残して
始めりの主に降り注がれた…
始めりの主と呼ばれた人型の霧は
跡形も無く消えた…
「雑魚やったな…
思ったより楽やったわ」
『き…!貴様…!』
「凄すぎる…」
「ここまでの力の差があるとは…」
「流石兄者だ…!」
その場にいた者はメヴォラクを除いて
直哉を称賛していた
だが、直哉の視線は
始めりの主のいた場所に釘付けだった
「完全に始末できんかったか…」
『貴様…!許さんぞ…!』
メヴォラクは直哉に向かって刃を向けて
直哉に突き刺そうとするが
だが直前でメヴォラク右手に衝撃が走る
右手にあったはずのミヤズマの刃は
青い炎と白い光に覆われた拳に
真正面から砕かれたのだ
「脆いな…まああの木偶よりマシやわ」
『くぅッ…!舐めるな…!』
「だから遅いねん」
メヴォラクは刃の代わりに拳を直哉に向ける
だが直哉の姿は振り上げた先にはいなかった
直哉は既に真横におり…
直哉は右手を力を込めて握っており
メヴォラクの腹部に振り落とした
『ぐうぅッ…!』
「遅いんやってノロマ」
直哉によって仰向けの状態で吹き飛ばされる
その隙を直哉は見逃さない
仰向けで宙を舞うメヴォラクを蹴り飛ばし
メヴォラクを直哉の目線まで上げると
四方八方から直哉の拳が振り注ぐ
直哉からの猛攻が収まった瞬間…
既に直哉は力を込めてメヴォラクに対して
腹部に目掛けて拳振り下ろし
頭部から地面へ突き落とす
その衝撃で地面は割れ
なにもできずメヴォラクは倒れ伏す
それがたったの5秒の間に起きた
『グゥ…ァァ…』
メヴォラクは痛みに悶えている
そこに直哉はメヴォラクに言い放つ
「…こいつよわいやん
こんな奴らに俺苦戦してたん?
慢心し過ぎやったな…
お陰でいいウォーミングアップになったわ
お前サンドバッグに向いてるで?」
『ぐぅぅぅ〜…!舐めるなぁ…!小僧!』
「あっそじゃあ吹き飛べ…ババァが」
メヴォラクは最後の力を振り絞るように
直哉に対して一歩踏み出したが…
目の前には…
こちらが立ち上がるのを待っていましたと
言わんばかりに…
直哉の拳に青い炎と神々しい白光が
混ざりあった力の球体を…
直哉は両手で抑えながら
メヴォラクへ向ける
「じゃあなババァ」
『は…、』
次の瞬間メヴォラクの姿は消え…
青い炎と白光に視界が埋め尽くされた
「凄い…一体何が起きたのか分からなかった…」
「あれが兄者だ」
「あれが…"禪院直哉"の実力…」
「当然だ私と姉様の兄者だからな」
「あれが俺達の兄弟子だったのか〜」
「そうだぞ潘 あれがお前達の"兄弟子"で"宗主"だ」
「あんなに強かったなんてびっくりです…!」
「流石兄者だ…!」
「師匠…あの…そのぉ…言うか迷ったんだけど…
さっきから同じような事ばかりのような…?」
「気の所為だアキラ気にするな」
「あ…、うん。そうだね…うん…そう…だね、」
儀玄師匠の目からドロドロとした目線が
直哉さんに振り注いでいたが…
うん…多分気の所為だ…
うん…気の所為…気の所為…
僕はなにも見てないよ…
僕が現実逃避()をしていると
直哉さんの口が開く
「はぁ…終わったかつくづく面倒な奴やったわ
ハンデありであれならほんと雑魚やったな」
直哉さんはそう言い切ると腹部に刺さる
青溟剣を握り締める
すると直哉さんは深く深呼吸を始める
それを見た儀玄が駆け出す
「ま、待て…!待つんだ兄者…!」
「ふぅ…ふぅ〜…ありがとな今までふッ!」
直哉さんは儀玄の制止を無視して
直哉さんは腹部から青溟剣を抜き出した
神々しい白光を出した神は元の金髪となり、
周囲には直哉さんの腹部から溢れ出し…
儀玄師匠の顔に血が齧り付く…
「あ、…あに、兄者…?」
「なに呆けてんねん…」
直哉さんは青溟剣を僕達の方へ投げ捨てる
「誰も触るなよ…」
「いや、は…?何をやってるんだ…兄者?」
「まあ待てや…儀玄」
すると直哉さんは青溟剣が突き刺さっていた
場所に手を当てると先ほどの青い炎を
当てると…見る見ると傷口が消えていく
先ほどまで腹部からの出血が嘘のようだ
だが、出血によるシミによる
汚れが服にべったりと残っている
そして儀玄師匠の頬に伝う返り血は
…はっきりと残っていた
「…意外と簡単やったな」
「一体…なにが…」
「さて…なにについて話すか…
あっ儀降の奴は眠ってるだけや
起きたら面倒やからな〜…」
「…もう訳が分からない…」
「まず1つ言うなら…、今まですまんな儀玄…」
すると直哉さんは後頭部を掻きながら
儀玄師匠に向かって頭を下げた
「お前の姉さんにも怒られた説教は勘弁してくれ」
すると儀玄師匠はなにも言わずに
そのまま直哉さんに近づいていく…
直哉さんの目の前まで行くと
パチン…!
儀玄師匠は直哉さんの頬を叩いていた
直哉さんはなにも言わずに頭を下げ続けていた
だけど次の瞬間…
師匠は直哉さんに飛び掛かっていた
想像していなかったのか直哉さんは
勢いのままその場で尻もちをついて倒れ込んだ
「馬鹿…!兄者の馬鹿ぁぁぁ〜…!!!」
師匠は泣き叫びながら大粒の涙を流しながら
直哉さんを叩きつけている
「すまん…すまん…」
「馬鹿ぁぁぁ〜…!馬鹿ぁぁぁ〜…!」
「ごめん言うてるやん…」
直哉さんは師匠の背中を擦りながら
儀玄さんの攻撃を防がずに受け止めていた
「うぅ…うぅ…兄者の馬鹿…」
「はいはい…俺は馬鹿やね〜」
「思ってない…」
「実際そう思ってないからな」
「……」
「泣き止んだな…」
「あぁ…」
「全く…」
直哉さんは師匠の目元にある
涙を指ですくって払う
「すまんな〜今ハンカチないねん」
「…いい気にしないでくれ兄者」
「なら行くで…」
「やだ…」
「お前もう何歳だよ…」
「女に年齢を聞くものではないぞ」
「あっそ…よぉ、久しぶりやなアキラ君」
あ逃げたな直哉さん
直哉さん…
後ろから物凄ぉ〜く睨まれてますよ…
「ひ、久しぶりだね…直哉さん…
いや、直人さんって言ったほうがいいかな?」
「どっちでもええよ…好きな方で呼べ」
「そっか…」
「そのアキ…「アキラ君私達共に混ぜてください!」」
僕に直哉さんがなにか言おうとしていたが
そこに福福姉弟子が割り込んできた
すると直哉さんは目を丸くして言う
「…なんやガキか?」
「私は大人ですぅぅぅ〜!!!」
「はっ!ただの挑発に決まってるやろ!ちびが!」
「ムキ〜!!!」
「お?なんやお前子猿やったんか?」
「ちっっっがぁぁぁぁ〜う!
私はトラのシリオンですぅ〜!」
「これが…トラ…?虎猫やなくて?」
「キィィィ〜!!!」
「こらこら福姐…落ち着け完全に揶揄われてるぞ」
「落ち着いてください。完全に遊ばれてますよ」
「あ…こいつらが保護者か…
しっかりしとるな…儀降と儀玄のお守りも大変やろ?」
「え…?ぁ…その…」
「言いにくいやろ…気にすんな俺にはわかるで」
「おい兄者…それはどう言う事だ」
すると直哉さんの肩を力強く握る師匠がいた
先ほどまで大泣きしていたのが嘘のようだ
「はいはい…巫山戯るのもやめるわ」
そういうと直哉さんは儀玄さんの手を肩から払い
先ほどまで赤黒い渦のあった場所まで歩き出す
すると直哉さんは儀降さんを抱え…
お姫様抱っこしていた
すると直哉さんは儀玄さんに近づいていく
「ほれお前の大事な大事な姉様やで〜」
そういうと無理やり師匠に
儀降さんを押し付ける
「積もる話は終わりやし…
じゃ…またな!」
「「「は?」」」
そう言い切ると既に直哉さんの姿はなかった
余りにも突然の出来事に誰も対応できず
師匠は追いかけようとするも…
両手は儀降さんで埋まっており…
完全に直哉さんに嵌められたのだった…
師匠に目を向けると…
身体中がプルプルと震えていた
「………」
「し、師匠…そのぉ…」
僕が声を掛けようとすると
師匠は空を見上げて叫ぶ
「兄者のバカぁぁぁ〜!」
……
とあるホロウの中…
「ここまで来たらもう追いかけられへんやろ」
直哉は坂道を登りながら言う
周囲にはエーテリアスもいない
ホロウとは思えない静けさだった
だが直哉の足取りに迷いはない
すると直哉は足を止めた
目の前には大きな教会のある村落が広がる
「お〜い!お前さんらおらんのか〜?」
すると直哉の声に反応してぞろぞろと人が現れる
するとリーダー格の男が声を上げる
「お、お前は…!"禪院直哉"どうしてここに!?」
「まぁまぁ待てや…俺はただ休みに来ただけや」
「なにを訳のわからない事を…!」
「自分の"夢縋り"を見てみたいな〜おもてな」
「はぁぁぁ〜!?」
「じゃ…失礼するで〜」
「い、意味がわからない…」
そんな困惑している彼を背に直哉は歩みを進める
「ゴボォ…ゴボォ…」
口元を手で抑え込み
直哉は自分の手元を確認する
すると直哉の手は真っ赤に染まっていた
「さて…俺の夢縋りは誰なんやろな〜…」
そして直哉は教会へまっすぐ進んで行った…
散々迷走した果てにここまで来ました…
最初は普通にほのぼのした感じにしようと
思っていましたが私情により気づいたら
どんどん詰まっていましたが
とうとう切りがいい所まで来れました
いつも誤字報告やアンケートなど
ありがとう御座います
次は一ヶ月後?にでも更新します…
それ以上超えたらすいません…では