喰種は青春の夢を見るか   作:無者

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 東京喰種面白い!
 そんな衝動のまま書き上げた小説です。昔アニメを見て衝動的に書いて力尽きてた文をまた書き始めました。
 アビドスが好きなので最初のスタートはアビドスからです。
 楽しんで頂けるなら幸いです。


神喰シズの平穏
未開の地にて彼は目覚める


 僕は殺された筈だった。

 家までの帰り道、なんの因果か喰種捜査官に襲われ、そのまま嬲り殺された。

 けれど、気がつくと僕は知らない街の路地裏で佇んでいた。砂が酷く、足を取られる。干からびそうなほど強い陽射しを睨んだが、無情にもより強く体を灼き焦がさんばかりの暑さになった。

「暑い。暑くて干からびそうだ。動いてなくても暑い。」

 ぐちぐち文句を言いながら歩く。すると何処からか花火の後に匂うツンとした刺激臭が鼻につく。

「……囲まれた。僕が雑魚喰種だからって甘く見られてるな。」

「よう。お前此処らじゃ見ない顔だな?」

 前の建物の影から姿を現した。頭に光る輪っかが浮かんでいる。新しいクインケだろうか。

「……殺しに来たのか。僕が喰種だから。」

 赤いヘルメットに、赤いセーラー服と言った赤で揃えられた奇抜な格好の少女であった。

「はあ?何言ってんだよ。それよりもさ、有金全部置いてけや。」

――喰種という言葉を知らない?

 創作の中だけだと否定していた可能性が否が応でも現実味を帯びてくる。日本でもなければアメリカ、ロシア、中国でも無いのだろう。そもそも、明らかに日本で無い土地なのに日本語で話している事自体可笑しな話だ。つまり、今僕がいるこの場所は、アニメでよくある異世界という奴だろう。

 そんな思考とは関係なしに、ゾロゾロと現れる同じ様な格好の少女たち。

「ほらほら早くしろー!」

「銃も持たないで何してんだ?ははははは!!」

「金が無えんなら見ぐるみ置いてきな!」

 全員が武装している。しかし、銃弾くらいでどうにかできる体では無い。

 彼女たちは、こういう事を平気でしているのだろう。つまり、悪人という訳だ。

「いいね。餌が自分から来てくれた。」

 地面を蹴り、一人に肉薄する。そのまま頭を掴んで地面に叩きつける。その際、勢いがつき過ぎてアスファルトが砕けた。

「がはっ」

 沈黙し動かなくなった。

「さて、悪人なら加減はいらないかね。」

 恐らく死んでいない。気絶で済んでいる所を見るに体の頑丈さについては、本気を出しても問題無さそうだ。

「僕からカツアゲできると思った?銃を持ってないくらいで?ああ、それとも持っていない理由に検討がつかなかったのかな。銃なんて無くても強いってさぁ。

残念だけど……蹂躙だ。」

数分後、残っていたのは倒れ伏した不良たちだった。

 

「はぁ…………なるほどねぇ。」

 僕はボコボコにした不良たちから話を聞いて大体の事を把握した。

 学園が集まって形成された地域……それが、この学園都市キヴォトスという事。

 そして、此処はアビドスと言う学園が統治している地域で、長年積み重なった砂嵐の影響で、住民たちの殆どがアビドスを去ったらしい。

 他にも様々な学園が統治する地域があるらしい。どちらかと言うと、学園ではなく国と言う感覚のほうが近そうだ。

 僕が襲われた理由は、銃を持っていないから絶好の鴨だと思われた事。曰く、銃を持ってないのは、裸で街を徘徊するよりも珍しいとの事。

 ああ、そうだ。後大事な事は、彼女たちは銃弾に当たっても、痛いだけで済むという事。

 つまりは、僕の元いた世界だと、命を奪うに等しい脅しでも、この世界に於いては暴力を振るう位の感覚で銃を向けてくると言う事に他ならなかった。

「その……それで、アタシたちは?」

 恐る恐る聞いてきた彼女に僕は「ああ」と、自分でも分かるほど酷く冷たい反応を返した。

「もう用は無いよ。だからさっさと去ね」

 そう言うと彼女らは仲間に肩を貸しながらバタバタと走り去っていくが、僕は一人を呼び止める。

「おっと、君……ちょっと待った。」

「ひっ……なんでしょうか?」

「君の腰のそれ、置いてって。」

 アサルトライフルの他の、予備の拳銃であろうが、今の僕にとっては恐らく一番必要な物だった。

「え…………」

「何か文句ある?」

「い、いえいえ、全然、これっぽっちもないですぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 そう言うと、彼女は銃を放り投げる様に置いて走り去っていく。

 僕はその背中を見つめながら、完全に姿が消えるのを見届けて、拳銃を拾った。

「…………意外とズッシリしてるなぁ。」

 別に重たいわけじゃ無いが、そもそも赫子で殆どの戦闘を終わらせてきたから武器を持った事自体初めてだった。

 だから、だろうか……?武器を持つという意識が、僕の感覚に何かを訴えかけている。

 それを言語化するのは難しいし、する気は全く無い。とりあえず使わないだろうけれどズボンの尻ポケットにしまって——いや、落ちるな。仕方がないので前側の右ポケットにしまっておこう。

「流石に同年代の奴を喰うのは気が引けるなぁ。まあ、大人でいい感じのクズでも探して喰うか。」

 若干の空腹を感じながら、食事と適当な寝床を探して歩き出した。

 

 餌(人間)を探して歩き回る事数時間、夜はすっかり更け、喰種にとって動きやすい時間が来た。

 裏路地から表通りに出ると暖簾を下げている男の後ろ姿を見つけ、足を止める。別にそいつを狩ろうと思った訳じゃなかった。だと言うのに足を止めたのは、その見た目のインパクト故に思わず足を止めてしまったのだ。

「お、此処じゃ見ない顔だなぁ、兄ちゃん!」

 第一村人……いや、最早人ですら無い。

 人間が祭りで着る様な半纏を着て、頭にはタオルを巻いているそれは…………

 全身モフモフの茶色の毛、右目に縦一線の切り傷の痕。左目は黒曜石の様な円な瞳。

 左右に揺れる尻尾が、彼の存在を物語っていた……いや、それ以外の主張もだいぶ強めだが……。

「柴犬が喋ってる…………!!」

 二足歩行で、人間と同じ様な言葉を操る犬に会うなど、誰が想像できよう。

「兄ちゃん……もしかしてお客さんかい?」

 じっと見つめる僕の事を勘違いしたのか、彼はそんな事を聞いてきた。

「いえ………えっと……………知り合いに似てただけです。僕もう晩御飯食べてて、ちょっと散歩に………」

「そうかい!そういや兄ちゃん見ねえ顔だが、引っ越して来たのかい?」

「アビドスには観光で来たんです。どんな場所なのか一度見てみたくて……」

 他愛のない世間話をして、その場を去る。

 得られた情報は二つ。どうやらキヴォトスの大人は生徒と違って動物型とロボット型の二通りしか居ないらしい。

 動物型は食えはするだろうが、肉体が受け付けるかどうか不明だ。ロボットに至っては生物ですらなく、食えたとしても消化されるかどうか分からない。

 ゴキブリみたいに人間……それも大人の多い世界では無いらしい。

——やっぱ自殺者を探すしか無いかな。

 暫くは、陰気な場所を探し回った方が良さそうだ。

 アビドスは、一部の不良グループを除けば殆ど大人しかいないらしい。もし僕の食人がバレても、一番身を隠しやすいのもアビドスだろう。

 しかし、人が少ない=死体が少ないorそもそも死体が無い可能性が高まる。

 拠点はアビドスに置くとして、食料はやはり……

「他の地域に行くしか無い、か………。」

 とりあえず、寝床を確保してから考えるとしよう。

 

 キヴォトスに来てから数ヶ月が経過し、此処での暮らしにもだいぶ慣れて来た。食料の調達は何とかなった。

 キヴォトスに点在する様々な治安の悪い地域、特にブラックマーケットは穴場だ。

 連邦生徒会とか呼ばれている組織が統治しきれなかった、いわばあぶれ者の終着点。

 貧困に喘いでいる者たちから餓死者、自殺者も多数出ている為、そこで食料を調達するのがいつもの流れだ。

 だが、ヘイロー持ちの生徒たちの死体は極端に数が少ない。

 だから、腐らせない様に保管できる冷凍庫が必要になった。

 指名手配犯をヴァルキューレやゲヘナ風紀委員会に突き出してその懸賞金でそこそこ高い冷凍庫を買い、肉を保存できる環境を整えた。

 そしたら当然有名になる訳で、夜間をメインに活動してる事と、鷹を模したお面を被っていた事から『夜鷹』と言う渾名が付けられていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ!」

 少女が一人、暗い路地裏を駆け回る。必死に何かから逃げる様に……

「はぁ、はぁ……撒いたか!?」

 後ろを振り返ると、そこには誰も立っていなかった。

 少女は安心して胸を撫で下ろす。

「残念、撒いてないよ。」

 突如、耳元に囁かれた声に、少女の思考は止まる。

「は————!!?」

 声にならない声を上げて、少女はビルの壁面に叩きつけられ、そのまま訳も分からず意識を失った。

「はぁ……あんまり逃げ回らないでよ。疲れるから……。」

 息一つ切らさないで、黒いパーカーを着た鷹の面の男は静かにそう言った。




 衝動的に書きすぎて変なトコも結構あるんですが、此処まで読んでいただきありがとうございました♪
 pixivに投稿しているモノ(プロトタイプ的な)もあるのですが、それはホシノと主人公メインで作りました。内容的にはアビドスに入って暫くした後の主人公とホシノの葛藤を描いた物語……的な?
 欲求に突き動かされるままに書いたので、興味がありましたら是非読んでみてください!
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