喰種は青春の夢を見るか   作:無者

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 めっっっっっっっっっっちゃ短いです!


奈落は静かに嗤っている

 ブー、ブー。

 携帯のバイブレーションの音で目を覚ます。

 あれからどうしたんだっけ……。

 訳もわからぬまま家に入り、シャワーを浴びて、床に着いた。疲れていたのか、気がついたらバイブレーションが鳴っていた。

「…………皆?」

 携帯の画面には、皆の心配のメッセージが届いていた。

 ホシノ先輩、シロコ先輩、ノノミ先輩、アヤネ、セリカ…………

「会いたい…………!」

 数ヶ月とは言え、確かに過ごした日々は僕の中で宝物になっていた。

 ホシノ先輩と一緒に昼寝に付き合った日。

 ノノミ先輩のショッピングに付き合った日。

 シロコ先輩とツーリングに出掛けた日。

 アヤネと一緒に学校設備を修繕した日。

 セリカと一緒にあちこちバイトに奔走した日々。

 僕にとって、かけがえのない日々になっていた。

 けれど——

「駄目だ。」

 帰りたい。けれど帰れない。何故なら——喰種(怪物)だから。

 みんなに襲いかかってしまうかもしれない。

 誰かを食い殺してしまうかもしれない。

 みんなに、僕が化け物だとバレてしまう。

 もし……もし、神が存在しているのなら————何故、人喰いの化け物に、人と同じ『心』なんて与えたのだろう。

 

 夜も更けて、僕はアビドスの街を歩く。誰にも会いたくない。けれど家でじっとしていると嫌な考えばかりがフラッシュバックする。

——腹が減った。

 人気の多い道も、こんな時間になるとすっかり人通りも無くなっている。

——腹が減った。

 ふらふらと、いつもの癖で路地裏に入る。暗く、不気味で、孤独な空間に足を運ぶ。

 誰にも会いたくない(みんなに会いたい)。だから人気の無い道を選んで入っていく。

——何で、此処にいるんだ。

「シズくん…………?帰ってきてたんだ。こんな夜更けに何処いくの?」

 昼間見た時と雰囲気が違う。おっとりして、眠そうな先輩の姿しか知らない。その状態でさえ、油断できない強者特有の気配を先輩は纏っていた。

 今は違う。眠たげな目はしっかりと開かれ、何処か驚いた表情で此方を見つめている。

「散歩ですよ。もう少ししたら帰ります。先輩もこんな時間から夜更かしですか?」

「いやぁ、面目ない。おじさんワルだから偶に夜更かしして……その手、どうしたの!?」

 しまった。強く握りすぎて爪が皮膚を突き破ったらしい。

 ホシノ先輩が近づいてくる。不味い、こんな状態で近づかれたら……

「——————!!!」

 気付けば僕は走り出していた。制止の声を振り切り、喰種の身体能力を惜しみなく使いながら……。

 

 小鳥遊ホシノは困惑していた。

 何処か思い詰めた表情をしていた後輩が路地裏に向かって歩いて行くのが気になり、声を掛けた。しばらくして、手から血を流しているのに気付き、思わず大きな声を出してしまった。

 心配になって近づけば、凄まじい速さで自分から遠ざかって行く後輩。制止の声すら届かず、ただ後ろ姿を見送るしか出来なかった。

——シズくん、苦しそうだったな。

 ホシノは、過去を思い出していた。

 イライラしてきつい言葉であたってしまった先輩。それ以来、2度と会う事が出来なくなってしまった。

 この状況はその時とは似ていない……にも関わらず、あの時と同じ予感を感じていた。

「——早く行かなくちゃ。」

 背中は小さくなって見えなくなる前に、ホシノは駆け出し、その背中を追った。

 

 少年と少女は、夜の街で鬼ごっこに興じる。

 その先待つモノは『希望』か……それとも『絶望』なのか。

 

——前奏曲(プレデュード)はもう終わる——

 




次回、小鳥遊ホシノの回想(未定)
デュエルスタンバイ!!


って言う意味のわからないネタをぶっ込んで終わります。
此処まで読んで頂きありがとうございます!
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