駄文かもしれない(滝汗)
遮る物が何も無いビルの屋上。
夜風が頬を撫でる。砂漠の夜が冷えると言うのはどの世界でも変わらないのだろうか。
少なくとも、アビドスの夜は秋の日本くらいには冷え込んでいる様な気がする。
「結構高いな。」
ビルの下を覗けば、あまりの高さにゾクリとする。そんなモノを感じても、最早なんの意味も無いと言うのに。
「ホシノ先輩、シロコ先輩、ノノミ先輩、アヤネにセリカ。幸せになってくれ……そこに、僕の居場所は無いから——。」
そうして、ビルの屋上から宙へと、静かにこの身を投げ出した。
パシっ!
「何、やってんのさ!」
頭上から声が聞こえた。上を見上げると、そこに立っていたのは先輩——ホシノ先輩だった。
シズが身投げする少し前……
小鳥遊ホシノは、肩の傷を抑えてシズを探していた。
「クックック……お困りの様ですね。暁のホルス——いいえ、小鳥遊ホシノさん。」
「何の様かな、黒服の人。私は今急いでいるんだけど——」
「——神喰シズさんの居場所について、でしょうか?」
それを聞いた瞬間、ホシノは激情に駆られ黒服に掴みかかる。
「お前——あの子に何をした!!?」
「いいえ、我々は何もしていませんよ……ただ、急いだ方がよろしいかと。彼は今、このビルの屋上にいます。」
黒服の指差す先、聳え立つ廃ビルだった。
「我々としても、彼にこのまま斃れられるのは困るのですよ。彼はこの世で唯一、神秘を宿した喰種ですからね。」
「グール?一体何の話。」
「キヴォトスの外に存在する人を食らう事でしか生きられない存在です。だからこそ、彼は貴女から距離を取ろうとしていたのでしょう。」
その発言から、シズがホシノに喰らいつく瞬間を何処かで見ていた事が窺える。
「……礼は言わないよ。」
ホシノは黒服から手を離し、ビルの屋上に向かって駆け出す。
「クックック。健闘を祈ります。小鳥遊ホシノさん。」
黒服は乱れたスーツを正し、静かに姿を消した。
「ホシノ先輩、離してください。」
「嫌だ。」
手が僅かにずり落ちて行く。
「ホシノ先輩……僕はもう、生きて行くのに疲れたんです。このまま終わらせて下さい。」
「嫌だ!」
ホシノ先輩はもう片方の手も出して僕の体を引き上げようとする。
しかし、それは不味い。いくら身体能力が高くても、肩からの出血と傷の深さを考えれば、今こうやって支えられている事さえ奇跡だ。
「離してくれ!あんたまで落ちる!」
「うるさい!離したらそのまま死んじゃうでしょ!?」
「僕はいいんだ!これ以上生きていたって何の益も産まない化け物なんだよ!だからこれで化け物は死んでハッピーエンドだろ!?」
「——ふざけるな!シズくんがいたから、私は頑張ってこれたんだ!君の無邪気さ……君の優しさにどれだけ私が救われたか分かる!?
そんなキミが苦しんでるんだ!今度は私が助ける!!」
『私を食べて——生きて、シズ。』
ふと、懐かしい声が聞こえた気がした。あれは一体、誰の声だったろうか。
「————!!」
赫子を出してビルの壁面に突き刺す。そのままホシノ先輩を抱えて屋上に戻る。
「何で……何で、助けるんです。僕は喰種だ。人喰いの化け物なんですよ。僕は先輩の知らない所で大勢喰らってきました。腹が減ったら食べずにはいられないんです。
——そんな怪物を、何故助けるんですか?」
ホシノ先輩は抱えられながら俯く。表情は分からない。けれど、傷が深い所為で、今も血が出てきている。
「そんなの、決まってるよ。キミが大切だからだよ。
私に掛けてくれた毛布。
シズくんの淹れてくれたコーヒー。
色んな事があったよね。その度にキミは優しく寄り添ってくれた。
ヘルメット団の襲撃だって、私と一緒に最前線に立ってくれた。
キミの優しさが、私の心を温めてくれたんだ。」
ホシノ先輩は顔を上げて、夜空を見る。キラキラと、宝石の様に煌めく星々。
「——私、先輩を助けられなかったんだ。酷い事を言って喧嘩別れになって、ユメ先輩はそのまま……
だから、キミが消えてしまいそうだったから。
キミが、あの時の私と同じ顔をしていたから——だから、シズくんを助けたんだよ。」
目が徐々に閉じて行く。よく見る出血が酷い。良くここまで辿り着いたものだ。
「——馬鹿ですね。本当に。」
「そうかもね……でも、それでも今度は、間に合って良かった——。」
だらんと体から力が抜けた様だった。
「こんなに想ってくれていたのに、軽々しく死んで逃げようだなんて……本当、馬鹿だ。」
振動は最小限に抑えながら、僕はビルから降りて病院に向かった。
駄文失礼しまーすε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
久々に顔文字使いましたと言うどうでも良い情報を置いて今日は終わりです!
此処まで読んで頂きありがとうございます。