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魔防隊の男
――数十年前。日本に魔都と呼ばれる異空間が突如として出現した。日本と魔都を繋ぐ門の先には女性だけに異能力を与える桃が発見され、世界から男女平等から女尊男卑の時代が訪れた。
しかし、魔都は桃の恩恵だけではなく、醜鬼と呼ばれる怪物を日本に呼び寄せてしまった。醜鬼は人間を見つければただひたすらに破壊の限りを尽くす。
「…?おやおや…」
現在、魔防隊と呼ばれる能力者集団が結成され、魔都からしてきた醜鬼を抑えてはいるが、その全てを補える訳ではない。
まして、人間の扱う現代兵器では醜鬼には刃が立たない。故に桃の力を宿す武器もしくは能力者が対処しなければならない。
――
「コラコラ、お前さんたち」
スゥ――
魔都、その地にて。突発的な門が出現し、醜鬼達が我先にと門へと駆け寄る。潜れば人の世で魔都災害が発生し、被害は計り知られないだろう。最も――
「その首、もらうよ?」
シャッ―シャッ―
ドサリ…ドサリ…
―通れればの話だが。
「我流の呼吸――壱の型」
打ち水
目前には無数の醜鬼達が、ざっと数百云々。其れ等が次々と抜かれた刀身の突きによって倒れ伏していく。同胞が倒れるも尚も進んでくる多数の醜鬼。
「我流の呼吸――弐の型」
滝登り
醜鬼からの攻撃を横の刀身で流水の様に受け流し、スゥッと薄く軽やかに腕、脇、そして首へと逆刃を入れ逆袈裟斬りに斬り払っていく。
白い柄から出た刀身――仕込み杖を手にし、白髪頭に学帽。そして――昭和チックな羽織の下には魔防隊の隊服を纏った
「やれやれ、警備がてら散歩でもと思っていたが…。犬も歩けば棒に当たる…、いや、人間歩けば鬼に会うってところかな?」
そんな悠長な口調に反して、最後の醜鬼を斬り伏せ、鞘に刀身を収めながら荒野の続く散歩を再開した。
「やけに鬼共の数が多いから、そうか…。此処らへんは7番組の管轄区か。なら、久々に会っていこうかな」
その一言を最後に、彼は7番組の宿舎を目指す。
――青年の名は
突然だが、現代日本に転生した。自分の知る日本では無かったが。
死因は多分過労死だろう。前世で意識を失い、次に見えたのは自分が動かしている小さい手。そして見渡す光景が前世の日本の光景が似通っている場所。大分田舎の一軒家らしかった。
唯一、気掛かりだったのは自分を育てているのがそれなりに年老いた老夫婦だった。年齢が上がるうちに家の中をみて回れば、和室の一室には仏壇と両親と思われる遺影が立っていた。
後に知ったことだが、両親は魔都災害とやらに巻き込まれ、遺体が発見されたらしい。元々は老夫婦が俺と両親が住んでいた家に来ていたらしく、二人が俺を老夫婦に任せた後、出かけた先で魔都災害に巻き込まれたそうだ。
それからというもの、俺は老夫婦に引き取られ田舎で育った。
学校はあるし、ライフラインも通っていてそれなりの暮らしは出来ていた。―――うちの田舎にも門が出現しなければ。
「爺さんッ!婆さんッ!」
醜鬼が現れ、人々が逃げ惑う中で思わず自宅へと急ぎ帰って見たのは、――一体の醜鬼と立ち向かったであろう祖父と醜鬼に叩き潰された祖母の二人の亡骸だった。それが眼に映った瞬間に、醜鬼への恐怖よりも眼の奥が熱くなる感覚と二人を殺された怒りに思わず、近くに落ちていた祖父が醜鬼に使ったであろう刀を手に取った。その僅かな間、
鬼、呼吸方、育手、日輪刀。
知らない単語もあったが、この際使える物は使う。基礎となる身体は祖父が道場を開いていたため、土台は完成している。刀の扱いも出来る。後は扱う剣術。育ててくれた二人を守る為の――守る事が出来なかった男の
肺が苦しいッ!胸が痛いッ!――それでもッッ!!
『―ッ!ォオオオオオオッ!』
「―の呼吸!」
自分に歯向かうのを理解した醜鬼も男へ腕を振り下ろすが、
男の方が僅かに速かった。
「――の型ッ!」
名も知らない剣術は、醜鬼の首を撥ね飛ばした。
後に、この事件の生存者から男が刀を持って他の醜鬼を撃退し、醜鬼の肉を
これが後の魔防隊唯一無二の男隊員――鱗滝 清治の出自である。