魔防隊の天狗さん   作:カフェ・オーレ

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 アニメの方ばかりで進行が…!すみません!


報告とお願い

 

「――で?勢いで行かせちまったが、その理由を聞かせろ、清治。お前がオレに強引に通してまでパトロールに行ったをヨ?」

 

 翌日。朱々と日万凛が完治し、七番組へと帰還したのを見届けた清治は勢いで二番組を飛び出してしまったので、自身の所属している二番組へと帰還。

 ――したのだが、勿論いきなり飛び出したのを美羅が黙っている筈もなく、清治は組長室に呼び出されていた。

 

「ええっと…、七番組への応援…、だけでは駄目でしょうか…?」

 

「当たり前だコラ!テメェは二番組の副組長だぞ!副組長に任命されているからには立場と報告の義務があるだろうがコラ!」

 

「いででで!!?ふ、ふいまへんふぇふぃふぁ(すいませんでした)…!ひほ(以後)ひをふへまふ(気をつけます)…!」

 

 イマイチはっきりとしない態度の清治に痺れを切らし、美羅は彼の両方の頬を思いっきり引っ張った。

 

 清治の役職は副組長。二番組の副リーダーな訳だが、その本人は何かと七番組へと居候を少なくない居候を繰り返しているため、このまま自由奔放の状態だと彼の立場的には危うい。美羅からすればいい加減彼に自覚して欲しいところだ。

 

 ――決して、ライバル(京香)の所にいるのが気に食わないとかそんなんじゃねぇぞ…!

 

 そんな見え隠れしている好意など知る筈がない清治は、引っ張られ赤くなった自身の頬を涙目で撫でている。少し触っただけでも鋭い痛みが電流の如く駆け巡る。

 

「――で?お前の勘の真相の方は?」

 

 先程までのコメディアンな場面から空気がガラリと変わり、組長としての顔となった美羅に、清治も姿勢を正して今回起こった事を順に報告した。

 

「――俺の勘は当たっていました。七番組が醜鬼の巣にて交戦中に突然現れた醜鬼が二体。まず一体が――特殊醜鬼、通称『一本角』」

 

「!」

 

 一つ目に挙げられた報告に、美羅は反応を過敏に示した。彼女もまた京香の境遇を知る者の一人。京香をライバル視はしているものの卑怯を嫌い、正々堂々と張り合うのが彼女のやり方。そんな美羅も京香の性格もよく分かっている。

 

 ――だからこそ、彼女は京香がより一層一本角に執着しているのもわかっている。一本角に抱く燃え滾る怒り、憎悪に塗れた殺意。目の前に仇敵がいきなり現れたとなれば、あの京香ですら冷静でいられなくなる。清治は勿論のこと、美羅も京香の悪い癖は存じている。

 そんな彼女が無意識にギチギチとまるで血が流れそうな程に拳を握り締めている。彼女なりに心配している証拠だ。

 

「京香は…、七番組はどうなった?」

 

「…七番組は奇襲により、組員二人が負傷したものの、既に治療は終え復帰。今は通常業務にあたっています。…京香に関しては怒りに我を忘れる寸前で、俺が強制的に殴って追うのを思い留まらせました。正直、大切な友人をあんな形で殴るのは二度とゴメンですね」

 

 まだ殴った感触が残る右手を擦り、苦い顔を浮かべる清治に美羅は清治と京香の間に起こった事を察した。

 京香は美羅にとっても、清治にとっても大切なライバル(友人)だ。そんな彼女が復讐に燃え、勝手に自分の目の前から消えるのは己のプライドが許さない。きっと自分がその場にいても、きっと同じ事をしただろう。それを彼は代わりに引き受けたのだ。 

 

「――そうか、ソイツは(つれ)ェな。怒鳴って悪かった」

 

「俺の独断専行でやった事です。美羅組長が謝る事なんて何一つありませんよ」

 

 特に気にしていないとカラカラと笑う清治。

 

 …だが、その心中では心を痛めていることを長く付き合いのある美羅からすれば一目瞭然。無理に笑う彼の顔は何処か悲痛に見える。

 

「――話が逸れたな。もう一体ってェのは?」

 

「――()()()()

 

「!」

 

 またも驚愕する美羅。だが先程とは違い、こちらは純粋に驚愕だけの反応。

 

「…ンだと?()()()でも遭遇したのか?」

 

 美羅から出た言葉に、清治も驚愕した。

 

()()()()()…?まさか、他の組に人型醜鬼が出現したんですか?何処で?」

 

 清治からの問いに、美羅はコクリと頷く。

 

「人型が出たのは、三番組だ。報告だと組員の殆どがやられちまったらしい…。――組長を除いてな」

 

「三番組……、ベルさんの所ですか。これまた運が無いと言うべきか、悪運が強いのか……」

 

 なんとも不憫な…、と清治が憐れむのも無理はない。

 

 

 ――月夜野ベル。三番組組長にして、気弱な性格の小柄の女性。はたから見れば、いじめられっ子な感じが拭えないが、彼女の能力は凶悪と言っても過言でも無いほどに強力なもの。正直、短距離を得意なものとしている清治からしたら、まともには戦いたくない相手だったりする。

 

「ベルの見かけからして、組長だと思われなかったのかもしれねェな。運のいいヤツだ」

 

「ベルさんからしたら、たまったもんじゃないですよ、ソレ」

 

 美羅の言葉に、不憫にながらに思うも納得してしまう。

 

「三番組が機能しないなら、隣人である二番組(ウチ)と五番組が交代で見張る感じですかね」

 

「ああ。ンな訳だ。お前にも二番組にいてもらう」

 

「非常事態ですからね。わかっています……ん?」

 

 ブーッ!ブーッ!

 

 頷きかけた所で、清治の端末のアラームが鳴った。着信の相手先は――出雲天花。

 

「――天花から?珍しいな。俺にかけてくるなんて」

 

「天花だと?スピーカーにして、通信に出ろ」

 

 美羅の言う通りにスピーカーモードにして、彼女との通信を繋げる。

 

『もしもし、清ちゃん?』

 

「どうしたんだ、天花?俺にかけてくるなんて珍しいな」

 

『うん。今、七番組にいるんだけど、今から清ちゃんに七番組に来てもらいたいんだけど…。大丈夫かな…?』

 

「ん?あ、えっと…」

 

 天花からのお願いに、思わず清治は美羅の方を見てしまった。

 

「……ッ」

 

 ――また不機嫌モードになってしまった。

 

 先程まで機嫌が直りかけていたのに、今は口をへの字にしながら、機嫌が悪いとばかりに腕組みをしながらこちらを睨んでくる始末。これには清治も額に冷や汗が浮かんだ。

 

「あ〜…、用件はなんだ?」

 

『清ちゃんも美羅さんから聞いてないかな?()()()()と三番組について』

 

「「!」」

 

 つい先程まで話題にしていた人型醜鬼、そして三番組の壊滅。それが今、天花の口から出た。既に魔防隊の連絡網に広がっている様子。

 

「美羅組長からさっき聞いた。酷い有様らしいな」

 

『うん。その事で京ちんと話をするだけど、清ちゃんにもその場で聞いて欲しくて連絡したんだけど…いいかな?』

 

「あ〜、待ってくれ……。――どうします?美羅組長」

 

 こればかりは自分には判断出来ないと、美羅に確認を取った。美羅は少しばかり目を瞑り、数秒後に清治に判断を告げた。

 

「――途轍もなく気に食わねぇが…、情報共有は早いほうが良い。こっちはオレが指揮する。お前は七番組に行ってこい」

 

「良いですか?」

 

 清治は今さっき二番組に帰還したばかり。本来なら、二番組の業務に当たる筈だが、美羅は組長としての結論を選んだ。

 

「生憎、魔防隊は十分に人が足りてるとは言えねェ状況だ。対応するには時間がかかる。仕方ねぇだろヨ…」

 

 溜め息を漏らす彼女には申し訳ないと思いながら、清治は天花に返事を返した。

 

「わかりました。――天花、美羅組長から許可が出た。すぐにそっちに向かう」

 

『わかった。こっちで待ってるね』

 

 あちらからの通信が切れ、清治も直ぐに七番組へ向かう準備にとりかかろうとしたところ、美羅が口を開いた。

 

「全く…、人んトコの副組長をなんだと思ってんだ。アイツ等は…」

 

「とか言って、ホントは自分の所の組員が頼りにされていて、満更でもないのでは?」

 

 

 

 

 ―ピキッ!

 

 

 

 

 

「さっさと準備して行ってこいコラァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

「ギャアアアアァァァ!!!?」

 

 

 

 

 

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