魔防隊の天狗さん   作:カフェ・オーレ

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 不定期にしたいと思います、というかさせて下さい…


来訪者

 

「あ〜……、美羅組長、あんなにキレなくても良かったじゃねぇかな〜…。」

 

 腰回りを擦りながら美羅に二番組から叩き出され、七番組に行かされた清治は、自身がからかった報復に愚痴りながらも合間に体術である縮地を使いながら偶に現れる醜鬼を斬り伏せ、七番組が担当している地区へと入る。服装は制服からラフな私服姿に着替え最低限の私物を持ちながら、七番組寮前に到着した。

 

「オーッス、来たぞ〜」

 

「せ、清治さん!ご苦労さまです!」

 

 ガラガラと玄関の横戸を開けた清治が寮の玄関に入ったのと同時に、寮の奥から少々焦った様子の寧が寮の奥からトテトテと小走りで走って来た。

 

「どしたの寧?そんなに慌てて」

 

「今六番組の組長さんと副組長さんのお二人が来てまして…えっと、その…、日万凛さんと六番組の副組長さんのお二人が…」

 

 口籠りながら呟き気味に説明する寧の様子から、清治はどういう状況か理解したのか、頭を搔いて呆れ顔になる。

 

「ああ、天花から俺に七番組に来るよう頼まれたからな。――なるほど、早速睨み合っているのか、あの一丁前のプライドバカ二人は。こんな所でやる事じゃねぇだろうに…取り敢えず応接室まで案内よろしくな」

 

「了解です」

 

 またかとばかりに清治は頭を抱えたかったが、取り敢えず寧に連れられるような形で応接室へと赴き、着いたところで寧がノックし、中からの確認を取った。

 

「組長、清治さんをお連れしました」

 

『わかった。通してくれ』

 

「はい。では、どうぞ」

 

「サンキューな、寧」

 

 寧の頭を一撫でし、ドアノブを捻りながら寧と共に中へ入室する。

 

「どうも〜、組長達を差し置いて睨み合っているプライドバカはここでしょうか〜?」

 

 応接室にいるのは、京香を中心としたいつも通りの七番組の面子。そして、テーブル向かいに座る私服の女性とその後ろに控えている私服の女性二人。

 

 

 

 

「急に呼び出して態々来てもらってゴメンね?清ちゃん。…というかちょっとボロボロじゃないかな?」

 

 ――六番組組長 出雲(いずも)天花(てんか)

 

 

 

「ン?なんじゃ?もう来たのか、鱗滝。組長がお前に連絡して然程時間経ってなかろう…って、誰がプライドバカじゃ!?」

 

 

 ――六番組副組長 東(あずま)八千穂(やちほ)

 

 

 

 申し訳ないとばかりに苦笑する天花、うって変わって腕を組みながら清治を不敵な笑みで少々煽り気味な八千穂。

 天花は兎も角、八千穂の態度に関しては最早日常茶飯時なのでこの際、軽く流しておく。

 

 

「ンだと?このシス――「アァン?なんじゃ貴様?やるか?」――言われたくなかったらなら少しは淑女らしく慎みを持てよ…。慎みある女性が出す声じゃねぇぞ…。それにボロボロなのは美羅組長を少し誂(からか)った代償ってだけだ。いつもの事だから問題ない」

 

 清治の悪びれない態度から、京香は天井を仰ぎ見て、天花は少々苦笑気味。

 

「あ〜…、またやったの?清ちゃん」

 

「やったぞ?いや〜、ウチの組長の照れ隠しが可愛くてつい♪」

 

「お前という奴は……美羅の奴、苦労しているな…」

 

「自分の組の組長に何してるんじゃ貴様…」

 

((((怖い者知らずですか!?))))

 

 サムズアップしながら悪びれもせず、楽しげにケラケラ笑う清治の態度に、組長二人は片方は仕方ないね…とばかりに苦笑、もう一人は悩ましげに頭を抱えている。八千穂は横目で呆れ気味な視線を向け、七番組の面子は清治の行動に対して内心穏やかではない。

 彼女達からしたら、京香を誂うというのは自殺行為にも等しいのだ。もし、誂った場合五体満足で生きていられるだろうか?

 

 

『ほう?組長を誂うとは、少し躾けが必要らしいな?』

 

 

 ―無表情で親指で表出ろとばかりのGOサイン

 

 

 ――多分、いや絶対無理だと思う組長を除く組員全員だった。

 

「それで?この部屋の空気がバチクソに悪いのは、そこの仲良しの東姉妹二人が面合わせて睨み合っている最中だったのが理由か?」

 

「仲良くありません!」

 

「カハッ……!?」

 

(即答かい…。八千穂、お前どんだけ日万凛を馬鹿にしてきたんだ?事情は分かっているが、そりゃ日頃から絡んでいたんじゃ日万凛からの回答は当然だろうな…)

 

 日万凛からの即答に、精神にダイレクトにきたのか八千穂の口から吐血するかのような声が漏れ出る。

 

 清治は現東家の方針に関してはある程度理解している。

 

 ――そもそも、清治が魔防隊に入隊出来たのは、東家現当主であり、先代総組長である二人の祖母が政府相手に研究という名目で強引にねじ込まれたのが原因。その彼女が友人に当時荒れていた清治の教育を頼み込み、無事終了。ちなみに京香とはその時に出会った。

 後は彼女と友人の組を通い詰め、ついに非公式政府認定の魔防隊の一員となる。

 それにより現東家の状況は少なからず理解している。

 …もっともその方針に関しては、反対派だが。

 

 何処か話が本題からズレてきたので、戻る。

 

「で?話は何処まで進んだんだ?大方は京香から聞いたと思うんだが…」

 

「京ちんから今回の事は聞いたよ。そっちが対峙した醜鬼と三番組を襲撃した醜鬼は別らしいね。あっちからの証言もあるから間違いないそうだよ」

 

「ベルさんもつくづく運が悪いな。次の組長会議で山城総組長にまたお仕置きというなの大目玉を食らうなコレ。お労しやベルさん…」

 

 流石に次の組長会議には自分は出席しないと思われたが、今回の人型醜鬼騒動の当事者の一人として呼ばれそうな気がした清治は、隣の幼気な組長が泣きついて来そうな気がした。

 何処か遠い目をする清治に、ふと疑問が浮かんだ京香が彼に問う。

 

「?ベルとは親しい仲なのか?隣の組とはいえ、交流は無さげだと思うが…」

 

 そう言われても仕方ない。こう言ってはアレだが、魔防隊の面々は中々に協調性が無いというか、キャラが濃いのだ。

 それぞれで自分の担当する管理域を護っているが、基本その組独特のやり方で活動している。幸いにも、清治が属している二番組の長である美羅と七番組の京香は真面目で義理堅い性格な為、より醜鬼が出現する鬼門、裏鬼門を任されている。

 

「たまに一緒に総組長に呼び出されてな。ありゃ、お仕置きというなの玩具の耐久テストだろ、アレ」

 

 呆れ気味に清治は肩をすくめるが、基本は三番組組長である月夜野(つきよの)ベルを背に背負いながら、総組長の山城(やましろ)恋(れん)の攻撃を躱しながら耐え続けるというもの。

 ――尤も、再起不能になるまでやらされるのだが。

 

「今じゃ理不尽な巻き込まれ仕置き仲間だよ。俺はちゃんと働いてるのになぁ…」

 

((その放浪癖が問題なんだろう(ね)…))

 

 組長二人の頭には、清治が放浪しているのにキレている美羅が思い浮かんだ。

 

「もう少し副組長としての威厳を保ったらどうだ。あの美羅がお前を名指しで指名したんだぞ?」

 

「そうだね。各々の組長達からも副組長で一番強いと言われれば真っ先に出てくる現(・)副(・)組(・)長(・)最(・)強(・)さん?」

 

「!?」

 

「「ッ…」」

 

 天花から放たれた単語に、優希は驚愕し、東姉妹は悔しげに下唇を噛んだ。二人の様子を見て、慌てて清治は首を横に振った。

 

「やめやめ、皆俺を過大評価し過ぎて胃が痛くなるわ。あくまで俺が当時の二番組の連中を伸しただけであって、普通男を副組長に任命するとか思わないっての…。今でも後任が出来る奴がいるなら喜んで任せるし、日万凛も八千穂も能力をよりコントロール出来れば、すぐに俺なんか抜かすだろうが」

 

「日万凛の実力は私も認め、私が日万凛が良いと判断し副組長に任命した。だが、それとコレは話は別だ。美羅の性格上、コイツなら副組長を任命しても良いと判断したんだろう。いい加減胸を張ったらどうだ?」

 

「それに関しては私も同感だよ。八千穂もまだまだ伸びしろがあるし、もっと強くなる。あくまで今の副組長で強いのが清ちゃんが挙げられるかなってだけだよ」

 

「……そうかよ」

 

 

 組長二人がかりの言葉に対して、とうとう清治は反論をしなくなった。

 

 

 

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