魔防隊の天狗さん   作:カフェ・オーレ

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 やっと1巻を書きを終えた…。


組長と副組長

 

 清治が二番組に戻り、早数日。清治は居候で寮を離れていた間はめぐみに代理を頼んでいたため、戻った翌日にはテキパキと事務作業、任務でパトロール兼醜鬼狩りを繰り返す日々を送っていた。

 副組長という地位に就いているために、コレぐらい処理出来ないと自分の上司から鉄拳が飛んでくる。

 

 ある日、清治は組長である美羅に自室に来るように言われ、足を組みながら座る美羅の対面の席に腰を下ろす。

 

「…それで。俺を態々呼び出す要件とは何ですか?美羅組長」

 

「お前も知っている話だ、清治。京香ン所の舎弟についてだ」

 

 これはまた、珍しい質問が飛んできた。

 

「優希後輩の…?珍しいですね、男性経験ゼロの美羅組長が男に興味を持つなんて」

 

「人を誂うんじゃねえよ馬鹿野郎!それと…、もうゼロじゃねぇよ、バカヤローが……」

 

(ああ、初心だからついつい誂いたくなるんだよな…、この人)

 

 頬を赤らめながら段々と語尾がどんどん尻すぼみしていってしまったが、一旦咳払いをし、本来の話題へと移った。

 

「…話が逸れたじゃねえかよ。そいつが来てから七番組の評価が上がっているのは知っているよな。お前は見てたんだろ?京香の能力によって使役された舎弟の姿をよ」

 

 その時は自分の担当方向から横目に見ていただけだが、それでも鮮明に覚えている。『無窮の鎖(スレイブ)』状態の優希が醜鬼の大群に突進し、京香が周りの醜鬼を高速に斬り刻みながら凄まじい勢いで突き進んでいく、あの光景。

 

「ええ。俺もあの場にいましたけど、契約して間もない2人があそこまでの連携をとれることに驚きました。普通の醜鬼では、あそこまでの立ち回りが出来るとはとても思えませんからね」

 

「外れの能力だとオレも正直思っていたが、人間の男を使役する事でその効果を飛躍的に発揮するとはな…」

 

 美羅自身、京香に外れの能力だと言った事があった。だが、今回の件によってそれは前言撤回。その評価を改める事になる。

 

「あれはお互いの信頼が鍵になるタイプですね。情が深まればより強大な力を得る事になります。このままうかうかしてたら、京香に抜かされそうですね」

 

「お前がそこまで評価するのか?もしそれが本当なら、オレも負けてられねーな。…よし、清治。今からオレの相手をしろ。能力ありの一対一(タイマン)勝負。…勿論、オレからの誘いから逃げる訳ねーよな?」

 

 清治に向かって不敵に笑い、掌に拳を打ちつける美羅。そんな彼女の姿に仕方ないとばかりに清治は苦笑ながら立ち上がった。

 

「仮に逃げても組長が()()()捕まえに来るでしょうが」

 

「おうよ。わかってんじゃねぇか」

 

 寮の結界外へと向かい、お互いに正面を見据えて構えた。

 

 

 

 

「組長のステゴロ相手に何処まで食らいつけるか。その大きな胸、貸してもらいます――我流の呼吸、弐の型」

 

 

 

「(む、胸……!?)お、おう!遠慮せずにドンと来い!手加減なんてするなよ!――」

 

 

 

 

 清治が鞘から刀身を抜き放ち、美羅は拳を構え――激突した。

 

 

 

 

 

「滝登り!!」

 

 

「『緋色の連隊(オールキリング)!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 ――所変わり現世、山形県。ある喫茶店にて。

 

 京香は休暇を取り優希を連れ、自身の故郷にある慰霊碑へと赴ていた。その帰り、優希からの少々強引な提案に喫茶店にて休憩を取っていた。途中、魔都を気になっていた様子だったが、優希からの説得と、目の前に運ばれてきたパフェを堪能していた。

 堪能しながら優希と京香が会話をしてる途中、優希がふと考えていた事を聞いてきた。

 

「そういえば、兄貴と京香さんって一体どうやって知り合ったんですか?」

 

「またいきなりだな。私とアイツの関係が気になるのか?」

 

「だって、京香さんがかなり気を許してるんですよ?安心して背中を預けられるって感じでした」

 

 優希から見ても、ただの組長と別組の副組長の関係には見えなかった。まるで小さい頃から共に成長してきた親友のような雰囲気を出していた。

 

「…そうか。そう見えても仕方ない。私と清治は同じ師から剣を学んでいる。当時は殺伐としていた清治も、当時の総組長に頼まれた師匠に叩きのめされて、だんだんと物腰が柔らかくなっていってな。昔はよく長時間、遅くまで私と清治で竹刀や木刀を打ち合っていたものだ」

 

(昔から京香さんの相手を長時間していたのか、兄貴のメンタルどんだけなんだよ…)

 

 パフェを食べながら懐かしそうに語る京香。その内容は、京香の実力を知っている優希からすれば、組長になる前の京香を相手に剣を振るうという結構ハードな修行内容。昔の彼女に剣先を向けるだけでも恐ろしい。 

 

「私は七番組、清治は二番組に入隊した。別の組ではあったが、偶にアイツとは自分の近辺の話をしたものだ。…その中には私が一本角に復讐を誓ったことも含まれている」

 

 懐かしげに語る京香。その姿は、何処か儚げだった。

 

「…慰霊碑の前で優希に言った言葉をそのままアイツに言った時、なんて答えたと思う?」

 

「兄貴は…、なんて答えたんですか?」

 

 京香はフッ、と笑った。

 

「『醜鬼を倒し仇を討つ復讐か。なら俺と競争だ。お前がいつまでもモタついていたら、その時は俺がその一本角の首を落とすから』と。…全く、人の仇を横取りしようとするとは、人の気も知らないで堂々と言ってくれる。ハァ…欲深い奴だよ、アイツは…」

 

「京香さん…」

 

 そんなため息混じりに語る京香のその顔は、正に清治に気を許しているかのような柔らかい笑みを浮かべていた。

 

 その直後、京香の端末から法螺貝のコールが鳴った。

 

「ホラ貝!?」

 

「魔都から緊急コールだ。ホラ貝一回は命の危機ではないが、何か緊急の事態が起きたケース。休暇はここまでだ。門へ急ぐぞ!」

 

 休暇の顔から魔防隊組長の顔となった京香は、『無窮の鎖(スレイブ)』状態に変身した優希に跨り、近くの門へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮舎へと戻った優希と京香はご褒美(下着見ながらストッキング脱がし)の後、日万凛からのパトロール報告をタブレットを差し出されながら状況を聞いていた。

 

「本日のパトロールで発見したものです。南21キロの地点にクレーターのようなものが出現。凄い数の醜鬼がいます」

 

「「!!」」

 

「現在も寧の千里眼が見張っています」

 

 能力を発動しながら、寧は状況報告を行う。

 

「その地点から出る気配はありません。まるで巣のようです」

 

「すみません、貴重な休暇を…」

 

「いや、でかした」

 

 日万凛は申し訳なさげだったが、京香は気にしていなかった。寧ろ、その報告を褒めていた。それは何処か張り切っている感じだ。

 

「巣とは潰し甲斐があるな!新たな生態も判明するだろう!これは七番組の大仕事だぞ!」

 

「うおおおおお!まとめてやっちゃいましょう!!」

 

「おお、超燃えてる♪」

 

 京香の意気に当てられたのか、優希もかなり張り切っている。

 

(醜鬼の数を減らす好機!功績を挙げれば、総組長にも近づける…。仇を討つため、私には更なる力が必要だ…!)

 

(活躍するチャンス!それにこれだけの醜鬼!急いで運んだだけであの褒美だったんだ…!巣を叩けば、どれだけのモノが…!うおぉぉおお!やってやる!やってやるぞ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今……、優希の気配がした?魔都に来ているのかしら…。なら、逢いにいかなくちゃ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(…?今、兄貴センサーに反応がした?)…美羅組長、申し訳ありませんが、至急パトロールに行かせてもらいます」

 

「は?お前何言って――「よろしいですね…?」――お、おう…。怪我してくんなよ?」

 

「では…。行ってきます…」

 

 

 

 

 

 ――邂逅の時は、近づいていた…。

 

 

 





 美羅さんは、ウチの主人公の存在によりちょっぴり男耐性があります。……ほんのちょっぴりですよ?
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