魔防隊の天狗さん   作:カフェ・オーレ

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 今回はちょっと短めです


 来週の魔都スレのユニアリ発売、楽しみです!


第二巻
仇敵、襲来


 

(つい勢いで出てきちまったが…)

 

 二番組寮を飛び出し、早十数分。

 

 何かに掻き立てられるような衝動を胸に宿し、清治は組が所有する車に乗り、魔都の荒野をエンジン全開フルスピードで駆け抜けていた。

 最近はこんな胸騒ぎなど無かった筈なのに、今回に限ってこの尋常じゃない胸騒ぎ。間違いなく只事ではない。

 それに――。

 

(この胸騒ぎ…、身に覚えがある…)

 

 それは、忘れもしない自分の過去。殺された家族を目にし、醜鬼へと刀を振るった、あの殺意に似た感覚。目の前が真っ白になって、仮面を被りいつしかひたすらに醜鬼を屠り続けてきた、仇への執念。

 

 

 ――だがその殺意衝動は、師のもとで自分は制御した筈なのに。

 

 もしも、自分ではなく、今でも仇に殺意を抱き続けている近くの人間で唯一当てはまる者を指すとするならば…。

 

 

 ――()()()()

 

 

 彼女は今も尚、仇敵である『一本角』を探し続けている。自身の手で討ち取るために。だが、それ故に突然邂逅した場合、彼女は果たして冷静な判断が出来るだろうか…?

 

 

 もし自分だったら……、出来なかっただろう。

 

 

 それが、清治の胸の中をより掻き乱した。

 

 

(ッ…嫌な予感がする。まさか、優希後輩や京香達の身に…?)

 

 理屈だけの確信のない、何かもわからない胸騒ぎ。それでも嫌な感じが拭えない。それは、清治を突き動かすには十分な理由だった。ギアを入れよりハンドルを強く握り締め、アクセルを力強く踏み、車を加速させた。

 

(優希後輩…!京香…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、七番組の面子は報告があった醜鬼の巣へと到着していた。

 端からクレーターの中心部を覗き見れば、無数の醜鬼が大量に悍ましく蠢きあっていた。人間がもし紛れ込んだら、間違いなく袋叩きにされ、ただ理不尽に殺されるだろう。

 

「こんな所に人間が迷い込んだら……。…早くやりましょう」

 

 惨劇が起こる前に叩くと冷や汗を流す優希だが、京香は待機の指示を出す。

 

「まだ突っ込むなよ。私の合図を待て。七番組の必勝連携で壊滅させる」

 

 京香は得意気な顔で、現場の状況を見始めた。

 

「まず朱々の一撃で、相手に大打撃を与える」

 

 何も知らない醜鬼達の頭上から影が差し、その正体である巨大化した朱々の拳が勢いよく振り落とされる。

 

「次に、痛手を負った醜鬼達を日万凛が削っていく」

 

 朱々の一撃から逃れられた醜鬼達は、今度は腕を機関銃に変化させた日万凛からの銃弾の嵐により追撃を浴びることになる。

 

「すると、醜鬼どもは堪らず合体していく」

 

 残った醜鬼達は、死にたくないばかりに一体また一体と集まり、みるみると巨大化していく。

 

 だが、それは同時に複数あった小さな的が巨大な一つの的になったに過ぎない。

 

「一つ一つ倒す手間が省けるな」

 

「大きくなったのを俺達で潰せば勝ちですね」

 

「醜鬼どもは強靭だが、戦い方が単調だ。このやり方でいけば私達に負けはない」

 

 朱々が巨大化で只管に醜鬼を蹂躙し、日万凛が銃弾を浴びせ続ける。戦況は圧倒的に七番組が有利。この殲滅劇に何も問題はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()…。

 

 

 

 

 

 ギャウッ!!!!

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 突如として現れた特殊醜鬼、その背に乗る女性に驚愕する朱々だが、腕を振り回し迎撃しようとする。

 

 

 ――が、醜鬼は高速機動で回避し、朱々の懐に潜り込み、己の筋力から放つ強烈な拳が朱々の巨体に打ち込まれ、転倒させた。

 

「「……」」

 

 突然の出来事に京香、優希は呆然としていたが…。

 

 

 ――目の前の敵に心臓が煩く脈動する。彼女の脳裏にフラッシュバックするのは、記憶に焼き付いた()()()()()

 

 

 

 焼かれていく家屋。

 

 

 逃げるも醜鬼に襲われ惨殺される村人達。

 

 

 次々と積み重ねられる村人の死体の山。

 

 

 大切な人が目の前で事切れ、怪我する自身を前に月明かりに照らされた、その巨体の額から伸びた()()()

 

 

 

 

 ――それ正しく、彼女の()()に見間違える筈がない。

 

 

 

 

「あいつはッ!!」

 

 

 

 京香の目に殺意が帯びる。そんなことなど、飛来した彼らからしたらどうでもいいとばかりに女性が醜鬼の背から楽しげに手を振る。

 

「パーティーに混ざりに来たわ♪」

 

 普通の醜鬼とは桁違いの速さで駆ける特殊醜鬼。突然現れた彼らに日万凛は機関銃を向け、他の醜鬼と同じように背後から容赦なく銃弾を浴びせる。

 

「何よコイツ!化け物っ!?」

 

 

 

 ガガガガガガッ!!!!

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 ……だが、その背に命中した筈が掠り傷一つさえ負っていない。

 

「化け物とは言ってくれるわね。私、口喧嘩は強いわよ?」

 

 お返しとばかりにパカリと口を開ける。

 

 

 

 それは口喧嘩は口喧嘩でも、言葉ではなく――

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()だが。

 

 

 

 

 ゴウッ!!!

 

 

 

 

「!?きゃああ……!!!」

 

 エネルギー波を食い止めようと『青雲の志(ラーニング)』で瞬時に盾を生成するも、その衝撃波に彼女の身体は耐えられずに吹き飛ばされ、着弾し大爆発を起こす。砲口を放った女性は爽快とばかりに両腕を広げた。

 

「はあああ〜〜!気持ちいい〜!」

 

 

――そんな余裕を見せる彼女の後ろを京香が取らない筈が無かった。

 

「!」

 

「ッ!」

 

 

 ガガキィィ!!!

 

 

 優希と特殊醜鬼の巨体が激突し合い、京香の放った殺意ある剣を、女性は自分の手の甲で受け止める。その肌は硬質化してるのか、刃が全く通っていない。

 

「…ッ!」

 

「あら…、強いわね」

 

 両者は一旦ある程度距離を置き、お互いを見据え合った。

 

「ようやく会えたな…」

 

 

 

 

 

「一本角!」

 

 

 

 

 

 いつもの京香()()()()()程に、彼女の視線は一本角に向けられていた。

 

(こいつが京香さんの故郷を滅ぼした……)

 

「あら貴方、そんな呼ばれ方をしていたの?」

 

 もはや戦場は混沌としていた。

 

 朱々は一本角の一撃により、能力が解けてしまい、日万凛に至っては衝撃波の影響か、気絶しているのかピクリとも動かない。

 

 そんな彼女達の様子でありながらも、尚、京香の視線は一本角と女性に釘付けになっている。

 

「醜鬼に乗る貴様は…、何者だ…!」

 

 その答えに応える気があったのか、彼女は髪を振り、何かを取り出した。彼女の手にあったのは――数個の()()()()

 

 

 

「あえて言うなら、――魔防隊と戦う者」

 

 

 

 一本角の背からそう堂々と宣言する女性。

 

(…魔都の桃!?一人ひとつが限界なのに……あいつ)

 

「……ところで」

 

 魔都の桃を舐めながら、彼女は京香達に問う。

 

 

 

「貴方、私の弟を知らない?特徴は世界で一番イケメンなんだけど…」

 

 

 

 

 彼女の目的は、一体……?

 

 

 

 

 

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