雷神の系譜~鹿紫雲一の末裔に転生したので、原作の悲劇を打ち壊す~ 作:メンチカツ
(眩しい……)
俺が最初に感じたのは視界がぼやけ、眩しい光にさらされていると思ったことだ。
いつものように夢の内容すら記憶にないまま目を醒ましたものの、部屋は消灯していたはずなのに部屋は明るく、いつもはうるさいくらいに鳴る目覚まし機能つきのスマホの音が聞こえない。
不思議に思って言ううちに俺は声を上げた。泣き声だ。
叫びに近い、喚くような泣き声。それが止めようとしても止まらない。
俺自身は泣きたいなど思っていないのに俺の意志とは無関係に声が出る。体が勝手に泣き喚く。
(いい大人がなんて情けない……)
精神はもっと平然としていたいのに、肉体はそれを許さない。ひたすら泣いていると何か大きな存在が俺を持ち上げられた。
世界が揺れる。
俺が抱え上げられているのだと遅れて気づいた。大きな影が落ちて、光が遮られた。
そして視界に映り込んで来たのは巨大な男の顔だった。
(え?巨人!?)
だが俺はすぐに気づいた。
(……もしかすると俺の身体が小さくなっていないか?)
日本人男性の平均身長を超えるくらいはあったはずの俺の身体が、大人の男が抱え込めるまでに小さくなっていた。
(えっ? これって?)
何度か読んだことがあるネット小説であった異世界への転生という考えがすぐに浮かぶことに自嘲したい思いにかられる。
なんとか状況理解をしようとしていると自分の手が見えた。短い、驚くほど短く丸みのある指。ふにゃふにゃの掌。爪も薄い。皮膚も柔らかい。手は握ろうとしても、うまく握る力がない。
(ああ、やっぱり俺が赤ん坊になっているんだ)
「よくやった男の子だぞ!」
ご機嫌な様子の男にだからどうした、と言いたかったけれども、口から出たのはまた泣き声だった。
男は興奮しているのが俺を抱えている手の震えからも伝わってくる。
ここまでリアルな夢はそうそうない。感触があり、肌は温度も感じる。臭いを薄っすらと感じているのはまだ鼻が発達していないからなのか。五感を刺激されていて明晰夢とも思えぬ現実感。
否定したいのに俺は否定する材料をどんどん失っていく。
「生まれたばかりなのにこの呪力量! 今までの子を遥かに凌ぐ。素晴らしい!これで術式を持っていれば言うことがない」
男───おそらくは俺の父親が、言った言葉が耳に響く。
呪力量……術式……
呪術廻戦の四文字が俺の頭に浮かぶ。
「これは鹿紫雲家の当主に相応しい!」
鹿紫雲………?
どちらもありうる……そんだけだのあの鹿紫雲?
夢なら醒めてくれ、俺はそう思わずにはいられなかった。
ヒロインは誰にするかは未定なんですよね。津美紀が野薔薇とかどうでしょう?
あるいは大穴で裏梅の器になっている氷見汐梨とか?