雷神の系譜~鹿紫雲一の末裔に転生したので、原作の悲劇を打ち壊す~ 作:メンチカツ
『呪術廻戦』の世界の人間として転生して12年が経過している。過去の術師の器にされてしまった死滅回游の被害者の名前である
そんな益体もないことを考えているのは、
ここは五条悟のセーフハウスで、部屋の様子は虎杖悠仁が死亡を偽装にしているうちに映画鑑賞していた部屋に似ている。
「早かったな」
「おはよう、メグミン」
「ああ、おはよう」
私服の
「俺も硝子と朝食食べて、彼女に送ってもらえたから一足早く着いたんだよ」
「……朝食?」
硝子とはすぐに仲良くなれたよ。
疾風迅雷やね。
「また……他の女か。月乃さんといい、禪院といい……」
津美紀も……と後に何が続くのか分からないが、何かを呟き、ツンツン頭を掻いている。
彼は原作通り中学へ進学すれば不良となり、津美紀とはよく衝突していた。でも、その本心は昔から変わってないはず。姉思いの、ひねくれてるけど優しい弟だ。
今では心に十代とヘルカイザーとⅣを宿すほどにデュエリストとして仕上がっている津美紀とは毎日デュエルをしている。何故ならば伏黒家では夕食の献立決定権がデュエルの勝敗で決まることになっているからだ。
恵は元来負けず嫌いなので俺とデュエルでコソ練したり、カードショップへ行ったりしている。
しばらく恵と話していると
「悟、七海さん。おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます。時間通りだなんて珍しいですね、五条さん」
「それはきっと七海さんのおかげだな」
珍しく予定時刻の15分前にやってきた悟。これはきっとナナミンのおかげだな。
「私が迎えにいかなければ遅刻していました」
「ごめんて……」
お互いに挨拶を交わす七海とは既に面識のある関係である。
昨年、脱サラして呪術師として復帰した七海を悟に紹介された。その目的は義姉の月乃による拡張術式による経験値の引き継ぎである。
一級術師だがブランクもある後輩を鍛えてより高次へ引き上げたいという悟の思惑からだった。
俺としてはあの裏技ができることを知る者は少ないほうがいい。だけど推しの死亡回避、原作の悲劇を壊すためならばやるしかないでしょう!
縛りを結びシン・陰流の簡易領域、落花の情、反転術式の記憶を引き継がれた七海は習得のために鍛錬を続けていた。恵は月乃からの経験値引き継ぎはしていないが、俺や悟が領域対策や反転術式を教えていた。
「メグミンは反転術式が習得出来てないな」
「まあ、仕方ないって。僕も死にかけるまで会得出来てなかったし」
「俺は円鹿があるから優先順位は下げていいんだ」
「七海のほうが順調に反転術式を会得出来て良かったよ。それで領域対策のほうだけど」
「私は結界術が苦手でしたが、それでも簡易領域を体得できたのは驚きましたよ」
流石に日下部のような完成度の領域は作れなかったけれども、三輪ちゃんのように縛りを入れることで簡易領域を展開することができるようになった。
その縛りは両足が展開した場所から離れない、領域は息を止めている間だけ展開できるというもの。三輪ちゃんよりもキツイ縛りを課さないと簡易領域を展開できないとは本当にナナミンって結界術は苦手だったんだな。
ちなみに七海は落花の情をかなり高度なレベルで扱えるようになったので呪力操作は本当にうまい。
これを見ると月乃の経験値引き継ぎをしても、相手の適性によっては会得するまでに至るのが難しいのはどうしてもあるようだ。七海も反転術式を会得することはできても、アウトプットまではできなかったようだ。
「恵は反転術式が全然な代わりに簡易領域、落花の情どれももう充分なレベルだね」
「簡易領域を展開しながら移動できるのも充分だな」
よく宿儺の強化パーツ扱いされたり、比較されたりすることで過小評価されていたけど、恵はマジで天才だよな。
悟が”私が育てました”みたいな後方理解者面している。
「あれだけ領域対策を覚えるの嫌がっていたメグミンがこれだけ頑張ってくれて嬉しいよ」
「別に嫌がってはいない」
いくつも技術を学ぶ理由がよくわからないってことだったかな。
彌虚葛籠、簡易領域、落花の情。何故、領域対策が複数もあるのかと言えば。呪術における環境の変化が理由だ。
呪術の歴史において、"領域"というものは、かつて今よりもずっとスタンダードな技術だった。
古い時代、術師たちが展開した領域には、現代のそれとは違いがあった。それは、現代の領域に多く見られる“必中必殺”のうち、“必殺”の要素を意図的に省いていたという点に他ならない。命を奪う決定打をあえて削ぎ落とすことで術として成立する難易度が低減し、彼らは領域を築いていたのだ。
しかし、必中効果を伴う領域の使い手が全盛を極めたその時代、生き残りを賭けた術師たちは対抗策を生み出した。彌虚葛籠に代表される簡易領域をはじめとする領域対策の技術が急速に広まったのである。
やがて、展開した領域が相手の領域対策によって無効化されるリスクを負うことになった。
この出し損になるリスクの増大は、領域のあり方を根本から変えてしまう。せっかく領域を展延しても対策されてしまうのであれば、より術式を研ぎ澄まし、一撃で相手を屠る“必中必殺”の領域へと昇華させなければ割に合わない───。そうして領域展開の難易度は跳ね上がり、使い手は必然的に激減していった。
使い手が減れば、当然、それを迎え撃つための領域対策を会得する術師もまた、世代を経るごとに失われていく。
そして───
領域対策を受け継ぐ者が激減した現代の日本において、皮肉にもかつての歴史は逆転した。対策を持たない者たちにとって、純粋な"必中効果"を持つ領域は、かつて以上の圧倒的なアドバンテージを持つようになったのだ。
まるで呪術版ゾルトラークみたいだよね。
「呪術の歴史をよく学んでいますね」
七海が感心したように言う。
「ありがとうございます。シン陰流のようにキツイ縛りを課すつもりもないので、二人には色々と学んでより強くなって欲しいです」
領域展開が出来る術師は減ったが、呪霊によっては領域を使える個体もいるので領域対策は覚えても無駄にはならない。それに簡易領域自体に迎撃機能や自己強化機能が搭載されていたり、落花の情のように攻撃性能を持たせていたりしているので、ただの領域対策以外にも利用価値がある。
「俊将君の言う通り、勉強家だ。提案頂いた落花の情を転用した攻撃方法を試してみたいので協力していただけますか?」
「勿論です!」
「じゃあ、恵はこの準一級呪霊を祓っておいで」
「軽い……」
「大丈夫大丈夫、今の恵ならば口裂け女くらい祓えるよ」
「口裂け女?」
「あれー、恵は知らない? 『わたし、きれい?』ってやつ」
「いえ、知ってますよ。昭和の都市伝説ですよね。そんなものでも仮想怨霊になるんですね」
仮想怨霊は都市伝説、怪談、伝説に向けられた負の感情が寄り集まり、形を得た呪いだ。
仮想怨霊とか過呪怨霊とか叛霊とかそれがどういう個体の分類なのかは分かりにくい。あと反転術式とか術式反転もややこしい業界用語だ。
「口裂け女……現れたのですね。
七海は小さく嘆息した。
恵が悟から回された案件の準一級仮想怨霊『口裂け女』は夏油が学生時代に支配下に置いていて、パパ黒に斬られてしまった呪霊だ。それが新たに呪いとして誕生したようだ。
「わからない。どちらにせよ、速く祓っておきたい」
形の良い指で悟は恵を指さす。
「口裂け女は領域を使ってくるから、恵が会得した領域対策が実戦で使えるレベルか確かめるにはちょうどいいと思うんだよね」
都市伝説を呪術として昇華させた彼女特有の術式。問いかけを聞き取れた範囲を領域と定め、互いに交戦と逃走を禁じる簡易領域を使う呪霊。
さっきまでシン陰流の話をしていたからもあるけど、口裂け女の領域が簡易領域だと言われているのが紛らわしい。
そして話を聞いていた俺は閃いた。巾着から目当ての呪具を取り出した。
「メグミン、出来たらでいいからさ。これ使って口裂け女を封じてくれたら、俺からも報奨金を出すよ」
「なんだこれは?」
恵に渡したのは手のひらに乗るサイズの壺だ。
「この前、
かつて呪術師の会合で会った禪院姉妹や憲紀とは今も時々会っている。それは術師としての研鑽だったり、時々遊んだりしていた。
真依とは構築術式で作れるものを色々と実験していて、彼女の呪力量の問題をクリアすれば呪具と試行錯誤して作り出したのがこの呪霊封じの壺だった。
「口裂け女を捕まえてどうするんだ?」
「彼女の領域でうちのもんに領域対策の勉強させたいんだ。調教して使役するんだよ」
「……呪霊操術でもないのに呪霊にそんなことできるのか?」
パパ黒がやったように実力で上下関係をはっきりさせて躾ければ呪霊も式神のように扱える。根気のいる作業だけどな。
「抗う意志を無くすほど叩きのめして服従させれば問題はないよ。暴力……やはり暴力はすべてを解決する! 始めよう! 暴力の世界!」
「蛮族め……!」
「伏黒君、君の安全を優先してください。それが難しいのであれば封じることにこだわらなくて良いですよ」
「ええ、そうします。七海さん、ありがとうございます」
億劫そうな恵だったが口裂け女をお持ち帰りして無傷だったのだから、やっぱり原作の彼よりもパワーアップしているんだな。
◇◆◇
呪術高専の訓練場で七海の鍛錬が終わり、彼や悟と別れた後、自動販売機で烏龍茶を買った。
原作で恵がゴリラに襲われたり、エンディングの『存在しない記憶』でも映っていたりした、あの自動販売機だ。
壁に寄りかかりながら烏龍茶を飲んでいると、一人の長身の女性が軽快な足取りでやってきた。
無造作に伸ばされた長い金髪を風に靡かせ、ライダースジャケットを羽織ったその姿は、鮮烈な存在感を放っている。
すっきりと切れ長の目元をしており、紅を差した唇が醸す大人の色香。艶やかな金髪に彩られたその端正な顔立ちは、涼しげでありながら、見る者を圧倒する華麗な印象を与える美しさに満ち溢れていた。
おいおい、今日はなんて運の良い日なんだ。五条悟、七海建人、家入硝子と推しキャラたちに会えた日に、さらにこの人に会えるとは……!
そう、彼女の名は───
「やぁ、鹿紫雲龍蓮君。君はどんな女がタイプかな?」
「
七海はあまり多弁ではないのであまり会話パートを入れられないのが残念です。
ところで九十九って何歳くらいなんでしょうね?本作の年齢設定はアンケートで決めてみたいと思います。
次回更新は8月下旬予定
(原作時間2018年時点)九十九由基の年齢は何歳くらいがいいと思いますか?
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30代前半(33~35歳)
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30代後半
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41歳