雷神の系譜~鹿紫雲一の末裔に転生したので、原作の悲劇を打ち壊す~ 作:メンチカツ
「……俺はどれくらい気を失っていた?」
「一分も経ってないよ。復帰が速いな」
「驚きました。秤さんは領域展開がデフォルトで備わった術式を持つんですね。初めて見たタイプです」
「リュウちゃん、ヤバイ………え、嘘でしょ。これから彼とやるの?」
綺羅羅の術式は戦闘向きとは言えないからなぁ。恵も十種影法術を使えるし、今では魔虚羅以外の式神を調伏しているから超強い。
これからそんな俺や恵とかとも模擬戦をするのが確定している綺羅羅の心境はいったいどんなものか。
あのジョジョのスタンド使いみたいな術式で勝つのはキツイって……。スタンドでもスタープラチナやスティッキー・フィンガーズが術式ならば戦闘もいけそうだけど、
ちょっとかわいそうだ。悟は笑っている。楽しそうだな。
「ちなみに星さんも領域展開を使えたりしますか? あるいは時間停止の術式を持つとか、黒閃に愛されている体質を持つとか」
恵が念のために確認してみると、綺羅羅はブンブンというオノマトペが似合う勢いで首を横に振るのだった。
無茶を言うなよ。それと黒い火花に愛された者と出会うのはあと2年くらい先だ。
最終的には模擬戦闘は俺が秤、綺羅羅、恵に勝利。恵は俺に負けたものの、秤と綺羅羅に勝利。秤は綺羅羅には勝利し、綺羅羅は全敗という結果となった。
恵はただ式神を使うだけでなく、一時的に式神と式神を融合させる拡張術式嵌合獣で作り出した玉犬・渾が脅威となっていた。特級呪霊も殺傷できる爪牙は術師にとっても恐るべき武器だ。さらに本人も大振りの鉈を振るって攻撃するのはバイオレンスな光景だった。
恵は使い込んで呪具と化したバール、斧、鉈を武器に使うのだけれども、パパ黒のような鋭い目つきのイケメンが扱うのは、インパクトがあって恐いんだ。
「いやぁ、負けた負けた。まさか中坊に負けることになるなんて思わなかった」
「三人とも強すぎー、私全然いいところなかったじゃん」
「俺は呪術高専に入ってないけれども、小学生の頃から鍛えたり、実戦したりして呪術師としてやってきたんだ。負けるわけにはいかないですよ」
模擬戦闘をした所感で言えば秤は原作レベルまで成長はしていない。本格的に鍛え続けてもっと地力をつけて、戦術的判断力を養えば大きく変わる。
確率の超低い大当たりを引くのが前提のギャンカス術式で普通に戦うことができる豪運。凡人の運ではあの術式は役に立たないな。
どんな術式でも持たせたら強いだろう
乱数の女神に振り回される
どこかへ悟は行ってしまったので四人で感想戦していると俺の呪力操作が上手いという話になった。呪力操作、呪力効率は最近洗練されてきている自覚があるので、客観的に言われたら嬉しい。
しかし、コツを訊かれた時の返答についてはどうしたものか……。
いつも食事をするときに反転術式を使っているし、負傷者の治療に反転術式を使っていて鍛えていた。反転術式の使用ならば他の術師よりも、結構回数は多かった。
さらにここ最近は月乃や硝子とエッチしていたら何回戦もしたくて反転術式を使いまくっていたら、呪力効率がより洗練されることになったのだ。
反転術式を使うことになった結果、10回以上もできるようになり、彼女たちの体力の問題もあるが硝子は4回戦まで、月乃は10回戦以上も続けることができた。俺がフィジカルを鍛えて反転術式を使えてないと彼女たちを満足させることはできなかったかもしれない。
「最低よ、リュウちゃん」
「進歩ってのは欲から生まれるんだよ。PCだって仕事目的よりもエロ動画観たさで始めたほうがより上達が早いだろう?」
「……へぇ~」
「一理あるな」
「金ちゃん!?」
「───」
恵は沈黙を貫いているが、秤と綺羅羅がわいわいと賑やかだ。秤はプライベートウィンドウを使って履歴は残さないらしい。ハードにも残していないそうだ。そんな原作にない知識は要らないな。
それで呪力操作や呪力効率を洗練させるには、という話題だったっけ。
「まあ、あれだ。秤先輩、ソープへ行け」
「! そうだなぁ、これも修行だな!」
「ちょっと!? そんなところ行って何が変わるというの?」
「ナニは変わる!」
「それより、秤さん、恋人がいたら不味いんじゃないですか」
「俺は今フリーだから問題ない!」
やる気満々になった秤と、止めようとする綺羅羅。賑やかにしていたとき途中でどこかへと行っていた悟が帰ってきた。
「みんなお疲れ~! 楽しいバトルだった!」
「どこ行ってたんですか?」
「いやぁ、ちょっと野暮用」
韜晦野郎とボソッと恵が呟いたのが聞こえた。
「僕が0.0002%に力抑えるからみんなを同時に相手する模擬戦闘とかしてみない?」
「嫌だ!」
恵、秤、綺羅羅の拒絶の声が重なった。
「俺、領域展開とか領域展延使っていい?」
「魔虚羅に巻き込みますよ?」
「うーん、そうなると僕もテンション上がって我慢ができなくなるかもなぁ」
「……リュウちゃん、領域展開を使えるんだ。まあ、なんか納得だけど」
「ま、それは今度の楽しみにしておこう。それと龍蓮。これ君宛てにだってさ」
悟は総監部からの指令書を、片手でひらひらと弄びながら鼻で笑った。
「あの爺ども今日、高専に君が来ていると知って僕をメッセンジャーに使いやがったんだよ」
超ムカつくーと毒づく悟を無視して指令書を読むと内容はシンプルだった。
特級叛霊『悪路王大嶽』が出没。被害は甚大なので特別1級術師・鹿紫雲龍蓮に特級呪霊の討滅を命じる───とのことだった。
現在の呪術界において、特級相当の案件を単独で処理できる術師は限られている。
特級術師では夏油は呪詛師となり、九十九は風来坊、悟はスケジュール一杯に仕事が詰め込まれている。
そんな人手不足の状況下において、1級でも特に強大な術師の一人に数えられるであろう俺に討伐命令が下されること自体は、表向きは何ら不自然なことではなかった。
……だけどなんだろうね、これは。
特別1級術師として活動してから有象無象も多かったが、質も量も半端ではない呪霊を相手することも多かった。
そういう呪霊は総監部経由の依頼ばかり。間違いなく羂索がこちらの術式、能力、人格を測るためである。
そして今回の討滅対象の特級叛霊『悪路王大嶽』。これは100%羂索の仕込みじゃないか!
こうやって手を回せるのだから羂索ってのは実に面倒くさい相手だ。しかしまあ呪霊たちが経験値となったので悪いことではない。
俺が討滅させる前に夏油が呪霊を回収するのも嫌だし、結局悟の仕事量を増やしてしまうというのも嫌だ。
あのメロンパンの掌の上で踊らされているようで、どうにもムカつく。
「どうする龍蓮? なんだったら僕がやろうか?」
「ありがとう。でも大丈夫だよ。スケジュールも問題ないから俺が対応するよ」
スマホで確認してみると予定のリスケも必要なさそうだ。
「それじゃあ、みんなが頑張ったご褒美に、ご飯食べに行こう!」
とやたらとテンションが高い悟の奢りで俺たち三人は食事へ行くことになった。
候補は鰻と焼肉と寿司が上がったが、クジ引きをした結果、寿司と決定した。
しかもお高い寿司屋だ。回らないほうの寿司である。
なんと悟は銀座のお店を貸切ってしまった。五条家当主御用達のお店らしい。
うまい。
超美味い。
語彙力が消えた。
俺たちは戦って、語りあって、みんなで寿司を食べて楽しい宴をした。
俺も恵も先輩たちとは距離が近くなった気がする。恵の中学でのご乱行には秤は大いに受けていたし、綺羅羅は驚きつつも引いてはおらず楽しそうに話を訊いていた。
恵にはお返しとばかりに俺の黒歴史を話題にされてしまったが、秤からもリボ払い元カノの話を訊けたし、まあ楽しかったからいいか。
「君たちが同僚となる日が楽しみだね」
悟がそんな事を言う。
来年以降に現れるだろう乙骨や虎杖たちも考えれば、黄金世代と言えるかもしれないな。
俺も彼らと出会えるのは楽しみだよ。原作キャラクターとの邂逅は転生者の楽しみだからね。
恵は津美紀のためおみやげを買い、俺も月乃たちのためおみやげは買って、その日は解散した。
次回
特級の悪意が襲いかかる!!
次回更新は10月上旬予定
主人公と真希のCPは……
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それは、アリだ
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乙骨との原作CPを尊重したい