周回する人生を愉しむ余裕なんて   作:大気圏突破

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原作者よ誕生日と年齢ぐらい設定してくれ(割と面倒くさい)

 B小町は解散した。かつて日本中を虜した彼女たちだが音楽業界におけるCD売り上げの減少やメンバーのできちゃった婚が引き金となり人気は落ち込んでしまい、壱護は起死回生の策として新メンバーオーディションを行ったが失敗してしまい最後はB小町がデビューした小さなライブハウスで解散式を行った。アイ以外に芸能界に未練のあるメンバーは苺プロに残ったが仕事のオファーは殆どなく1年を持たずに去っていった

 

 

「本当にすみませんでした!」

 

 4年生になったアクアは病院のベッドで寝かされていた。別に病ではなく撮影からの帰宅途中に後方から猛スピードで走ってきた自転車に轢かれてしまった。幸いにも大事には至らず近くにいた人の119番通報によって救急車に乗せられた

 

 

「ほら大輝あなたも謝る」

「ごめん」

 

 ここに来るまで殴られたのだろうか?顔を真っ赤に腫らせた中学生が母親と一緒に頭を下げているが更にゲンコツを叩きこまれてしまい床の上で悶絶している

 

「そのへんにしておきましょう姫川さん」

「すいません騒いでしまって」

 

 少年の母親である姫川愛梨はミヤコと壱護の方を向いて再び頭を下げる

 

「大きな怪我を負うこともありませんでしたし」

「ですが大輝のやったことは人を殺めてしまうことです。今回は無事でもいつか不幸なことが起きる可能性だって」

 

 

 アクアの治療費は姫川家が全額負担ということで決着した。彼としても払うモノを払ってくれれば問題を大きくするつもりはない、1日で退院し自宅に戻るとルビーは心配して近づいてくれたがアイは抱きしめることはしなかった

 

 

 

 

「お兄ちゃん」

「なんだ?金欠かトゴで貸してやるぞ」

 

 下校中に隣を歩く妹のルビーは少し思いつめた表情でアクアを見つめていた。確かに財布の中身は7円しか入っていなかったが彼の言葉に首を横に振る

 

「なんでママと距離を開けてるの?」

「早目の親離れ、どうせ遅かれ早かれ経験することだから」

「嘘」

「なにを根拠にそう言える?」

 

 イラッとしたので少し殺意を込めた圧を浴びせる

 

「女の勘!」

 

 堂々と胸を張ってオカルト的なことを根拠にしてきた妹を見てアクアは爆笑してしまった。妹は馬鹿で愉快な存在だが心は強い、とてつもない馬鹿だが有馬とは違う輝きを秘めている

 

 

「あぁそうだ!もちろん嘘だ―――すごいな花丸や二重丸をあげたいよ」

「ねぇどうしてなの、なんで」

「俺たちに隠し事をしているから、それもかなりヤバイやつ」

「隠し事ってなんなの?」

「俺はその内容を知っている。なぁ知りたいかルビー?」

 

 

 その言葉に妹は少し黙ってしまったが兄の方を真っ直ぐ見つめて大きく頷いた。アクアは結界を展開すると周囲から人が消えた

 

 

「東京ドームライブの日に母さんを刺した奴がいただろ?」

「うん、それでお兄ちゃんがママを治して追いかけて」

「―――心臓を潰して殺した。それはどうでもいいことだ!問題はどうして俺達の住むマンションのことを知っていたのか?」

 

 

 兄の”殺した”という言葉に恐怖するが話を止めることなく息を飲んだ

 

 

「ナイフで刺した奴を調べたら協力者がいて、そいつが黒幕だった!穏便な話し合いをしたら、誰が出てきたと思う?」

「誰なの?」

「母さんだよ!」

 

 

 背中に嫌な汗が流れアクアの話は更に続いた。秘密厳守とされていた自分たちのことを母親が明かしていたなんて思わなかった

 

 

「気まぐれなのか心境の変化なのか知らないが父親に成長した子供を会わせたいって思ったんじゃないの?」

「ちちおや?」

「あぁ俺たちの正真正銘親父殿だ!母さん→親父→ナイフの男で秘密が伝わった」

 

 アクアはヘラヘラと笑いながら変身魔法でカミキヒカルの姿になってルビーに見せつけた

 

「ねぇもしかして」

「カーズ様と一緒に地球の周囲をグルグル回っているかもね、人としての形を保っていたらの話だけど」

「何で―――」

「ん?どうした?」

「何でそう簡単に人を親を―――」

 

 

「報いだろ!」

 

 

「あの2人は俺の家族に牙を剥いた!ならそれ相応の対応をしただけに過ぎない。人を殺すということは殺される覚悟があるってことだ!」

「でも話し合いとかで」

「そいつは理想論だ…解決することなんて何もない!今まで散々経験してきたからな、それに話し合いじゃなくて意見や要求の押し付けあいで答えなんて見つからない、ナイフを持ってくる奴に”話せば分かる”なんて通用するか?」

 

「だからルビー、お前は母さんの傍にいて愛情を独り占めにしていい」

「…えっ?」

「多分母さんもこんなバケモノと距離を取りたいはずに決まっている適当なタイミングで家を出て一人暮らしするよ。別に消える訳じゃない物理的に距離を開けるだけだ」

 

 

 結局ルビーはアクアとの話し合いでアイとの溝を埋めることは出来なかった。彼も終わりを察したのか結界を解こうとしたが

 

 

 

「雨宮吾郎が今どうなっているか見たいか?」

「見れるの?だって協力者が必要だって」

「存在しなければ作ればいい」

 

 アクアは右手に力を込めると手の平から黒い鳥が姿を現して羽ばたくとルビーの頭の上に留まる

 

「魔力獣ってところかな?俺の魔力で作った人工生命体だ!流石に人の形だとコスパが悪いんで動物にしてある」

 

 

 鳥→オポッサム→猫→ペンギン→小型ケルベロスと姿を変えていく、彼女は姿の変わる様子に驚きながら目を輝かせている

 

 

「既に雨宮吾郎の住んでいる家に飛ばしてあるから」

「でも、どうやって見るの?」

 

 魔力獣を消してからポケットからスマホを取り出してカメラを起動させると一軒の住宅が映し出された。画面の下側には十字キーとA・Bボタンが浮かび上がっている

 

 

「向こうから見えないように細工を施してある」

「これって犯罪なんじゃ?」

「じゃあ止めるか?」

 

 その問い掛けにブンブンと首を横に振る。最後に彼の顔を見たのは1歳の頃でアイの産後経過を確かめる為のテレビ電話だった。主治医と患者による淡々と事務的な会話が続いただけでルビーは話すことが出来なかった。だから久々の再開に心が躍る

 

 

「ゴローせんせ!」

「こっちの声は届かないからな」

 

 兄のツッコミを無視して叫んでしまう。画面に映る雨宮吾郎の見た目は若干老けたが20代後半と言われても通用するレベルだった。カッコイイ姿にうっとりするルビーだが10秒後に表情が固まってしまう

 

 

「誰よ!あの女?」

 

 画面の端からエプロンを纏った女性が現れると吾郎の表情が朗らかになり笑っている。妹は必死に現実を逃避する言い訳を脳内で作り出していた。きっと医者の仕事が忙しいから近しい親戚か家事代行サービスが来ているだけだと思ってしまったが

 

 

『パパ~抱っこ!』

 

 女性の後ろから自分たちより小さい女の子が駆け足で現れ、吾郎に飛びかかるようにジャンプして抱きついてきた。彼がゆっくり持ち上げると女の子は温もりを満喫するようにべったりと身を寄せて頬をスリスリしている

 

『さりなったら甘えん坊なんだから』

『だってパパが大好きだもん』

 

 スマホからの映像や声を理解したくなかった。自身の脳が受け入れることを拒んでいた。兄の魔法でこんなものを見せられて平常心でいられる訳が……

 

 

「(……魔法?まさか!)」

 

 きっとこれは自分を騙す為に魔法で作り上げらた偽物の映像だ!本物のゴローせんせは今も宮崎の病院で働いている。性格の悪いアクアなら人を貶める下衆なことも簡単にやってしまうはずだ

 

 

「こんな作り物に騙されない!」

「信じる信じないは人それぞれだけど」

「ゴローせんせが結婚しているなんて絶対にあり得ないんだから!」

「なら自分で調べてみな、因みに雨宮吾郎じゃなくて上籠吾郎になってるから」

 

 未だに嘘を吐き続けるアクアを残しルビーは大地を強く踏みしめて帰宅していった。彼はスマホの画面を消して長崎県で映像を送り続けていた魔力獣を霧散させる

 

 

「(恋は盲目なのかな)」

 

 

 雨宮吾郎だって恋をして結婚もする。当たり前だ人間だもの、映像が虚像ではなく現実だと知ったとき妹はどんな反応をするのか?興味は無いが自分に当たり散らすのは止めてほしい、空を眺めると曇天模様で雨が降りそうだ!きっと誰かの心情が上空に投映されたのかもしれない




雨宮吾郎先生は生存してます。双子が生まれる前に落とされたのは同じ病院に勤める背格好が似ていた人です

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