ただのデュエル好きが遊戯王が大流行している世界に転生してただデュエルをするだけ 作:葛饅頭
因みにELDEN RINGのDLCのSHADOW OF THE ERDTREEは未購入です。買おうかな……
カフェとレストランの違いをよく知らないが、カフェにはなんとなくオシャレなイメージがある。
コーヒーを飲んで優雅に本を読んだりパソコンで仕事をしたり……
「俺のターン。モンスター二体をリリースして『エビルナイト・ドラゴン』をアドバンス召喚します」
「トラップカード発動、『奈落の落とし穴』」
「ああしまった……!」
隣のテーブルでデュエルしていた男性客が赤髪の女性店員の罠を踏み抜き、手札が尽きる。
あれはもうダメだな。伏せカードがある状態で耐性が無い大型モンスターを出すと大体ああなる。
そんなオシャレ空間の維持のためなのか、この世界の喫茶店ではデュエルをする時はあまり大きな声を出してはいけないルールがあることが多い。
この世界の人間はテーブルデュエルでもやたらとでかい声でカードの発動を宣言するからな……
何でもかんでもデュエルを絡めようとするこの世界。この喫茶店では一部メニューの注文で店員とデュエルを行うことが可能となっている。
こういうのは何かしらの法律に引っ掛かりそうな気がするが、この世界の法律はカードゲームに関しては甘い所が多いので多分合法。あるいはちゃんと許可が出ているのだろう。
店員に勝利できれば注文したメニューの割引に加えて飲み物を一杯無料で追加注文できる。そして来店ごとに一個貰えるスタンプ(デジタル)を追加でもう一個貰える。
敗北した場合何もデメリットはないが、対応メニュー自体が割高となっている。
「お待たせいたしました。抹茶ラテです」
水色の髪の学生バイトらしき女性店員が運んできた抹茶ラテを味わいつつ、テーブルの上に広げたカードを一枚一枚手に取って思案する。
今日は飲み物と帰りにデザートだけ食べて帰るつもりなので店員とデュエルはしない。
今日この店に来た理由はデッキ構築をするためだ。
この世界では喫茶店でデッキ構築をするのは別におかしいことではないのだ。どんだけ人気なんだよ遊戯王。
カフェインと糖分で頭を回転させるといいデッキが組める気がするので、この喫茶店にはよく通っている。
他にも自宅の近くに喫茶店は存在するが、半年ほど前に色々あってこの店の店長と知り合いになってからはこの店を贔屓にしている。
「うーむ……」
デッキ構築は奥が深い。
この世界には前世の遊戯王OCGのような、所謂『環境デッキ』とか『Tier1』とか言われるようなものは基本的に存在しない。
時々プロデュエリストやカリスマデュエリストの影響で特定のカードが流行ることはあるが、大会出場者のデッキが被ることはほとんどない。
その上この世界には運命力とでも言うべきものが存在しているので、前世のOCGとは異なるデッキ構築論が求められる。
例えばこの『
相手の墓地からモンスターを1体を効果を無効にして自分フィールドに特殊召喚して、その後、自分及び相手フィールドから種族が同じモンスターを1体ずつ除外できるカードである。
罠カードで相手の墓地のモンスターを1体奪うだけと考えると妨害として微妙だが、環境を読んで採用すれば相手のカードを二枚も除外できる非常に強力なカードとなる。
しかしこれは前世での話。今世ではどうだろうか?
この世界のデュエリストのデッキ構築には信念とか運命とか相性とか財力とか、その他様々な要素が複雑に絡み合っている。その影響かデッキを周囲の環境の変化や新カードの登場に合わせて大幅に変えるのは前世と比較して珍しいことであり、故にプロの大会に絞っても環境にあまりにも多種多様なデッキが存在している。
そのため環境を読んで広く刺さるカードを選ぶのは非常に難しい。しかもこの世界ではシングル戦が主流で相手のデッキを見てからカードを入れ替えることもできないので、このカードの除外効果の適用は難しくなっている。
因みに予めデッキの中身をおおよそ把握している相手に対して対戦前にこういうメタカードをデッキに入れて対策するのを続けていると、ドローがメタカードに偏るようになって普通の実力勝負ができなくなるという噂がある。そもそも顔メタはトラブルになりやすいのでやめておいた方がいい。
では天龍雪獄はこの世界では弱いカードなのかと言われるとそんなことはない。
モンスターカードのピン刺しが多いこの世界において、破壊されたりしてエースモンスターを失ったデュエリストは多くの場合エースの再利用を試みる。
墓地からの蘇生、回収を目的としたカードは多くのデュエリストが採用しているので、それにチェーンしてエースを奪い取り妨害ができるこのカードは汎用性の高い妨害札と言える。
除外効果は決まればラッキー程度に考えて運用するのがいいだろう。
ではこのカードを俺のデッキに採用するべきか否か。
俺の使用デッキはコロコロ変わるが基本的にはチェーンビートだ。
強力だが自分のモンスターも巻き込む除去札で相手を妨害し、こちらのモンスターはそれにチェーンしてフィールドから離れることで巻き込まれるのを回避。そして更にチェーンして積み上げる幸福を発動して手札を補充する。この動きが基本となる。
運命力があってもこの三つが綺麗に手札に揃うとは限らない。そして積み上げる幸福は発動条件が厳しく、単体では機能しないカードだ。
他のカードでチェーンを伸ばさなければ発動できないこのカードのことを考えると、採用するカードは出来る限りフリーチェーンであることが望ましい。
天龍雪獄は相手の墓地に特殊召喚可能なモンスターが必要だが、よほど変なデッキでもなければこの条件は簡単に満たせるのでそこは問題ないだろう。
そしてモンスターを特殊召喚することにより激流葬やつり天井の条件を能動的に満たす使い方も可能だ。
なお激流葬はチェーン2での特殊召喚やその後の効果の適用などで特殊召喚成功のタイミングを逃してしまうので注意する必要がある。
そして折角モンスターを奪うのであれば、それを有効活用したいところだ。
ステータスが高ければそのままアタッカーや壁として利用できるが、毎回都合良く強いモンスターを奪えるとは限らない。
強制退出装置でデッキに戻してやるのもいいが、リンク素材にしてしまうのが一番手軽だろう。
「こいつらの出番だな」
デッキケースの中から二枚の青いカードを取り出す。
それぞれローラースケートを履いたへそ出しスポーツウェアの女性と、クナイを手に持った忍者を思わせる装いをした女性が描かれているこれらのカードはつい先日家に届いたばかりの新顔たちだ。
その名も『I:Pマスカレーナ』と『S:Pリトルナイト』。
マスカレーナはLモンスター以外のモンスター2体という緩い条件で出せるリンク2モンスターであり、相手ターンにリンク召喚を行える効果を持つ。
リトルナイトもまた効果モンスター2体という非常に緩い条件で出せるリンク2モンスターであり、強力な除外効果を備えている。
どちらも非常に優秀なモンスターであり、デッキ構築を大幅に変更するだけの価値があるカードたちだ。
話を戻して、天龍雪獄で奪ったモンスターをこいつらのリンク素材にできれば一気に勝利に近づくだろう。
フリーチェーンで妨害をしつつ、各種カードの発動をサポートし、リンク素材の確保までできる。これは採用しない理由がない。
しかし実際に回してみると思った以上にうまく決まらないこともある。とりあえずデッキに入れて、暫くは様子見するとしよう。
入れたばかりのカードがデッキに馴染むまでそこそこの時間と回数が必要だからな。なんだよカードがデッキに馴染むって。
抹茶クリームラテを飲み干してしまったので別の飲み物を頼み、次のカードを手に取る。
「ん-、『グレイモヤ不発弾』……『
『万能地雷グレイモヤ』の不発弾であろうこのカードは普通に使おうとすると結構癖のある永続罠カードである。
表側攻撃表示モンスター2体を対象に発動し、対象のモンスターが1体でもフィールドから離れたらこのカードを破壊する。そしてこのカードが破壊された時、対象のモンスターをまとめて破壊するという、発動した直後は何も起こらないが、きっかけがあれば連鎖爆発が起きるカードだ。
理論上、このカードが相手に破壊されそうになったタイミングでチェーンして発動し、相手モンスター2体を道連れにすることができればかなりのアドバンテージを稼げる。正に地雷である。
しかしこの使い方は相手に強く依存することになるので、基本的には自分で起爆することになるだろう。
相手モンスター2体を対象にしてから自分のサイクロンなどでこのカードを破壊するとお互いに2枚ずつの損失となる。
そしてチェーンビートならではの方法として、このカードはこちらのモンスターも対象に取れるので、自分のゼンマイラビットなどと相手モンスターをそれぞれ対象に取り発動。
その後、自分のモンスターを一時的に除外することでグレイモヤを起爆させて、相手のモンスターだけを破壊するという使い方も可能だ。この場合お互いに1枚ずつの損失となる。
実質コスト無しでフリーチェーンで使えるのは悪くないのだが、対象に取って攻撃表示のモンスター1体だけしか破壊できないのが少し微妙か。
激流葬のように一気に複数体破壊するのは難しく、強制退出装置という対象に取らないデッキバウンスがあるのにこのカードを採用する価値はあるのかどうか。
一方デカネローグは自分のターンにも使える速攻魔法であり、魔法・罠も破壊可能なので採用する価値がある。
このデッキは罠カードが多いので『サイコ・ショッカー』や『王宮のお触れ』を出されるとかなり厳しく、その対策としても役立つカードだ。
「んー……採用するにしても一枚だけかな……」
デカネローグは同名ターン1の制限があるカードだし、積み上げる幸福の発動条件を考えるとカードの種類を増やすのはありだ。
とりあえず一枚だけデッキに入れて暫く様子見で。はい次。
「『ゼロ・フォース』……んー、使えはするが、使わないかなぁ……」
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが除外された時に発動可能という中々面倒な発動条件を持つ通常罠カードであり、その効果はフィールドの全てのモンスターの攻撃力を0にするというもの。
好きなタイミングで自分を一時的に除外できる上に攻撃力が低いモンスターが多いチェーンビートとは相性が良いのは間違いない。
しかしこの効果、いわゆる時の任意効果であり、チェーン2での除外では発動タイミングを逃す。
激流葬などでフィールドのモンスターが一掃された後では発動できないし、積み上げる幸福との相性も悪い。
そもそも決まったところでその時フィールドにいるモンスター攻撃力を下げるだけであり、その後リンク素材などに活用される可能性もある。
そもそも運命力によってある程度狙って引き込めるとはいえ、ゼンマイラビットと異次元の探究者は俺のデッキに一枚ずつしか入っていない。
それと組み合わせる前提のカードを入れるのは流石に手札事故が怖い。
基本的にこれよりも攻撃反応系の罠の方が扱いやすいだろう。『
相性が良いことと採用するかどうかは別の話なのだ。
「お待たせいたしました。抹茶クリームラテです」
先程のバイトの子とは別の黄緑色の髪の女性店員が運んできたクリームが乗っている抹茶ラテを一口飲み、次のカードを手に取る。
「『
このカードや積み上げる幸福などを中心としたバーンデッキ、【チェーンバーン】は有名だろう。
チェーンを重ねれば重ねるほどに与えるダメージが大きくなるバーンカードであり、ライフ4000のこの世界では非常に凶悪なカードである。
しかしバーンカードをデッキに大量に投入して相手を瞬殺するなんて戦法は誰もが一度は考えるもの。
故にこの世界では強力なバーンカードがとんでもない高値で取引されており、本格的にバーンデッキを組もうと思ったらまず石油を掘り当てる必要がある。
仮に組めたとしても、大会によってはバーンカードに独自の制限が設けられていることもある。
それにバーン効果が強力な世界だからこそ、それに対するメタカードもよくデッキに採用されている。
防がれて無駄になる可能性や、ライフが1でも残ればデュエルは続けられることを考えると、中途半端に採用するくらいなら入れない方がいいだろう。
バーンカードを採用しなければ相手のバーンメタは腐る。デッキ構築の時点でアドバンテージを稼げるわけだ。
因みに俺のデッキにバーンメタは入っていない。
効果ダメージだけでライフを削りきるようなデッキを持っているデュエリストは滅多におらず、バーンが主軸でもほぼ必ずモンスターで殴ってくるタイミングがある。
そこを妨害すればライフを削りきられることはまずないし、バーンデッキは手札の消費が激しく、相手の盤面にあまり干渉できないので、初めの内にどれだけライフを削られても最終的にリソースの差で逆転できる。わざわざ専用の対策をする必要はないというのが俺の考えだ。
レアカードだし上手くいけば2000以上のダメージを一枚のカードで与えられるのはロマンがあるので採用したい気持ちもあるのだが、仕事でも使うデッキだからな。
負けられないデュエルでこれが手札に来たことでその分妨害が減り、それが原因でデュエルに負けたら笑えない。不採用で。はい次。
「『炎舞-「
発動時の効果処理でレベル4以下の獣戦士族をサーチできる永続魔法カードだ。
更にこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力が100アップする。
普通の獣戦士族デッキならこれで初動となるモンスターを持ってこれるので採用する価値のあるカードだが、チェーンビート、というより速攻魔法や罠カードを大量に伏せるデッキでは永続魔法であることが問題となる。
永続魔法なのでいつまでも場に残り、魔法&罠ゾーンを塞ぎ続けて伏せられるカードの枚数が減ってしまう。
『命削りの宝札』などで沢山ドローしたのにこれが邪魔で引いたカードを伏せられず、ターンの終わりに墓地に送ることになってしまうケースも考えられる。
それに攻撃力100アップなんてほとんど誤差だし、その恩恵を受けられるのはこのデッキでは現在ゼンマイラビット一枚のみである。
先にゼンマイラビットを引く可能性も勿論ある。その後にこのカードを引いたら泣く。不採用で。
抹茶クリームラテも飲み干してしまったので、もうちょっとボリュームがありそうなのを注文して次のカードを手に取る。
「『
完全耐性を持つモンスターだろうがリリースして処理することができることでお馴染みの『壊獣』。
その中でも攻撃力『?』の『スーパーメカドゴラン』を除けば最も攻撃力が低いのがこのガメシエルだ。
相手フィールドのモンスターをリリースして相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できるのがメカではない壊獣の共通効果であり、効果ではなくコストで相手モンスターをリリースできる。
これにより効果を受けないモンスターもコストとして処理することが可能で、この特殊召喚を無効にしても勝手にコストとして支払われたモンスターは帰ってこない。これを止めるには特殊召喚自体を封じる必要がある。
壊獣とカグヤのコンボ、通称【壊獣カグヤ】は有名で、手札に戻す効果で相手フィールドに送り付けた壊獣をこちらの手札に戻し、毎ターン壊獣による強力な除去を狙うことができる。
しかし手札に戻すカードがなければ攻撃力が高い壊獣が相手フィールドに置かれたままになってしまう。これを突破できなければ意味がない。
チェーンビートに採用されているモンスターは基本的に攻撃力2000以下であり、攻撃力2200のガメシエルを戦闘で突破できない。
展開しながら除去もできず、伏せカードで相手ターンに除去したら相手モンスター一体を処理するのにこちらは戦闘を捨てた上でカードを二枚使っていることになる。
そもそもこの世界ではめちゃくちゃ凶悪な制圧効果とか完全耐性とかを持っているモンスターがまず出てこないので、壊獣のリリースに頼る必要が殆どない。
並大抵の耐性なら強制退出装置などの対象を取らない破壊以外の除去で対処できるし、それでも除去できないモンスターはダルマ・カルマで墓地に送らせればいい。
それでも壊獣を採用するのならデッキを前世で言うところの【壊獣カグヤ】に寄せて、特殊召喚しやすい大型モンスターを複数採用するのが望ましいが、この世界ではそういうカードはとんでもない高値で取引されている。『
一度【壊獣】デッキを組んでみようかと考えたこともあったのだが、『サンダー・ザ・キング』と『ジズキエル』が高すぎて諦めたことがある。
この世界だと攻撃力3300でアドバンス召喚が可能なモンスターはそれだけで最強なのだ。それに加えて壊獣は映画化されていて、キャラクターとしての人気が高いのもその価値を更に高めている。
そんなこんなでガメシエルの採用は今回は見送ることにする。でも間違いなく優秀なカードではあるので、大切に保管しておこう。はい次。
「『やぶ蛇』……全く警戒されないしうららが多分いない世界だから可能性は感じるが……」
セットしたこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる通常罠カードであり、それ以外の方法で発動することはできない。
特殊なギミックでも用いなければ完全に相手依存となるカードだがその分効果は非常に強力で、デッキ・エクストラデッキから好きなモンスター1体を特殊召喚できる。
藪をつついて蛇を出す。そのままにしておけば何もできないカードだが、警戒して手を出してしまうと大惨事となるわけだ。
『ハーピィの羽根帚』や『邪神の大災害』に巻き込ませることでフィールドが完全に更地になってしまうことを防ぐこともできるので、罠デッキなら十分採用する価値がある。
しかしそれは強力なモンスターが十分に揃っている場合の話。
メインデッキにはあまり余計なカードを入れたくないのでエクストラデッキにやぶ蛇用に強力なモンスターを入れたいのだが、この世界ではエクストラデッキに入れるモンスターカードはパックからごく稀にしか出てこない超レアカードとなっている。
『カチコチドラゴン』とか『マジカル・アンドロイド』とかがかなりの高額で取引されている世界で『ナチュル・エクストリオ』とか『ライジング・リベリオン・ファルコン』とか用意できる気がしない。というか絶対オーバードだろこいつら。
財布の都合でこれも採用は見送ることにする。
同じ理由で『スターダスト・ドラゴン』が必要な『スターライト・ロード』も採用できないんだよな。代わりに『大革命返し』でも採用するか?
この辺りで一度家に眠っている当てたけど使わないレアカードを売るか交換するかして、超高額カードに手を出してみた方がいいのかもしれない。
でも折角自力で引き当てたレアカードだと思うとなかなか手放せないんだよなぁ……
……頼んだメニューがなかなか来ないな。まあいいや、次。
「『神の宣告』。確かこの辺りに……あったあった。『神の警告』と『神の通告』、それと『神の忠告』」
いわゆる神罠とか呼ばれているカウンター罠である。
これら以外にも『神の密告』が存在しているがまだこの世界では見かけていない。
因みに他にも神の○○というカードは存在しているが、名前が一部一致しているだけで大体は関係のないカードである。
神罠は非常に強力な無効効果を持っているが、その代わりにライフコストが非常に重い。
特にこの世界ではライフ4000でデュエルがスタートするため、2000とか3000とか払ったらふとした瞬間死ぬことになる。
そのため考えなしに大量に投入するのは危険である。
そのライフコストを踏み倒せるカードかライフを回復できるカードと一緒に採用するのが望ましい。
俺が持っているカードの中だと『咎を擁く
しかしモルガナイトは手札のモンスターの効果を発動できなくなるデメリットも付与されるため、天獄の王やフルール・ド・サージュが使えなくなってしまう。
デッキにモルガナイトを入れている時は多めに神罠を採用できるが、入れていないときは神の宣告を少しだけ採用する程度に抑えた方が良いだろう。
ライフ半減は痛いしカウンター罠であるため積み上げる幸福との相性は悪いが、それでも魔法・罠を両方止められるのは強力であり、羽根帚対策になるのは大きい。
ライフの半分というコストは極端な話、ライフが1でも残っていれば発動可能ということでもある。(小数点以下の数字が発生した場合は小数第一位を四捨五入するルールがあるので、残りライフが1なら無限に0.5のライフを支払える)
ライフ4000だと他の神罠は複数枚引いたり、ライフが減っているデュエル後半で引いたりすると腐ってしまうが、神の宣告はどのような状況でも腐ることはまずない。
とりあえず宣告をデッキに二枚入れておく。ここから増やすか減らすかはデュエルして使用感を確かめてから考えよう。
「次は……」
「お待たせいたしました。クリームコロッサルマウンテン・オブ・抹茶ラテ・カオス・MAXです」
「うおでっか」
茶髪メガネの女性店員がふらふらと運んできたそれは抹茶ラテ要素が行方不明なほどにあれやこれやと盛られまくった甘味の山。
メニュー表の写真の倍以上のボリュームがあるように見えるんだが? カップが洗面器みたいなサイズなんだけど……
「これ飲んだら……というより食べたらもうデザートどころか夕飯も食えないな……」
この店たまに逆写真詐欺のメニューがあるんだよな……テーブルの上に広げていたカードを片付けて、抹茶シロップとあんこが大量にかけられているホイップクリームとアイスクリームの山を掘り進めてゆく。
暴力的な甘さと量に少し苦いものが欲しくなったのでコーヒーメニューからなんか適当に注文する。
コーヒーは普段全然飲まないからどれがどんな味なんだか全くわからん。
カフェラテとかカフェオレとかカフェモカとか何が違うんだ。
「お待たせいたしました。カフェモカでございます」
今度はあまり時間がかかることなく、スムーズに運ばれてきた。
しかしそれを運んできたのは学生バイトのスタッフではなかった。
「……あれ、『
「お久しぶりです。あなたと少しお話ししたいことがありましてね」
この店の店長である暁十さんはコーヒーを置いて反対側の席に座る。
「すぐに厨房に戻らないといけないので手短に話しますが、ここ最近ウジャトの動きが活発化しています」
「そうなの? 最近絡まれることがなくなったし、むしろ大人しくなったと思ってたんですけど」
「恐らくあなた相手にただ適当に構成員を送り込んだところでオーバードが奪われるだけだと理解したのでしょう」
彼はウジャトの元構成員である。とはいっても洗脳されて強制的に組織の活動に加担させられていたそうだ。
半年くらい前に急にデュエルを挑まれてぶっ倒したらその洗脳が解けたらしい。
悪の組織の元構成員ということで色々とやばい情報を知ってしまっており、組織から狙われている身でもある彼に頼まれてデュエルの稽古をしたことがある。
悪の組織から自分や家族をデュエルで守るってどういうことなんだよとツッコミたくなるが、この世界では警察が犯人逮捕にデュエルを挑むし、犯人もデュエルに応じるような世界だからな……勿論犯人が勝ったらそのまま逃げられる。たまにニュースにもなっている。
「恐らく近いうちに幹部級の構成員があなたのオーバードを奪いにやって来るでしょう」
「うわぁ……」
「ですのでコレを……」
店長から差し出された折り畳まれた紙を受け取る。
「その中には私が知る範囲でウジャトの幹部級構成員の情報が入っています。あなたの腕前ならそれがあればまず負けることはないでしょうが、十分注意してくださいね。あなたが敗北して洗脳でもされたら、その時は誰もあなたを止められないでしょうから」
「ありがとうございます。そうなった時は多分俺はエニアクラフトを使うと思うので、『王宮の号令』とか『拮抗勝負』とか『次元障壁』とか、そういうカードを積んでなんとかしてください」
「そう簡単に行けばいいんですけどね……」
エニアクラフトはいろんなカードが致命的なレベルでブッ刺さる。
人を集めてメタカードを積んで連続でデュエルを仕掛ければなんとかなると思うんだよな。その場でカードを創造とかしだしたら知らんが。
「うーん、思っていたよりもだいぶ苦い……」
「ミルクとチョコソースが入っているとはいえエスプレッソですからね」
「えすぷれっそ?」
「エスプレッソというのは……」
その時、厨房から一人の女性店員が出てきて、小走りでこちらにやってきた。
「お父さ……じゃなかった、店長! 注文来てるよ!」
「おっとそうだった。コーヒー談義はまた今度にしましょう。ごゆっくりどうぞ」
あの店員は店長の娘だったか。
確か店長には娘が二人いて、上の子が
千晃の方は遊灯くんの幼馴染であり、近所のカードショップに行くとよく遭遇する。
【霊使い】使いで中々強かったな。
店長が厨房へと帰っていった後、渡された紙を開いて中身を確認してみる。
【ベアルクティ】、【ドライトロン】、【ビーステッド】、【機巧】、【
流石幹部とか言われているだけあってデッキが強いな。油断したら普通に負けそうだ。
というか何人いるんだよ幹部。ずらっと名前が書いてあるけれど、これ全員襲ってくるわけじゃないよね?
「チェーンビート以外のデッキも強化しないとダメそうだな……」
同じ組織に所属している相手に同じデッキを使い続けたらメタカードを投入される可能性が高い。
作りかけのデッキや作った後放置していたデッキにも手を加えないと。
なんで一方的に襲われてその対策にこっちが大金払ってデッキを作らんといけんのだ。
警察も頑張っているんだろうけどあんまり役に立っていないし、オーバードという爆弾がどんどん増えていくし、お財布は薄くなるし……
いっそのこと最強のデッキを作って相手の心を完全に圧し折って、負けた後逃げることさえできないようにしてやろうか。
そして捕まえたら集団ストーカーとして警察に突き出してやろう。
どういうデッキがいいかな。やはり相手のエースを出させた上でそれを処理して、そこから完封するのがいいかな。
「甘い、苦い、甘い、苦い……」
なんかこの抹茶ラテ全然量が減らないんだが? ああクリームが垂れてきた。
クリームとかシロップとかが溶け込んで抹茶ラテの部分が抹茶風味の甘い汁になっているし……
甘い……あー、【マドルチェ】とか【ネムレリア】とか良さそうだな。
『レヴェイユ』はチェーンビートで使うこともできそうだし、探してみるか。多分めちゃくちゃ高いと思うけど。
デュエルをしない回はそれはそれで文字数が少なくなってしまうので大変でした。
コーヒーのことはよく知りません。苦いのは苦手です。でもコーヒー牛乳は好き。
以下、今後一切活用されることのない裏設定です。
『
喫茶店『Wake Up』の店長。
娘が二人おり、その下の娘こそ遊灯の幼馴染であり遊戯王ULTのメインヒロインでもある『
ウジャト編では遊灯がウジャトの構成員と戦っていることを知り、ウジャトの野望を阻止すべく動く遊灯に対してそれは子供がやることではないと止めようとする。
遊灯に敗北した後は遊灯に協力し、共にウジャトに立ち向かう。
アニメ本編では明言されていないが、その描写から元はウジャトの構成員だったのではないかと考察されていた。
劇場版にてウジャトの元構成員であることが明かされたのと同時に、ウジャトによる洗脳をエニアクラフトによって更に上書き洗脳されて組織から抜け出し、そこを遊灯の師匠に助けられたことが判明した。
友人であり恩人でもあり常連客でもある青年が店のテーブルの上に普通に数百万円するようなカードを広げてデッキ構築をしていて、トラブルにならないか心配している。
使用デッキは【ティンダングル】。
攻撃力0で戦闘破壊されない『トリニティ』を相手フィールドに送り、『ケルベロス』による攻撃力4500の三回攻撃で遊灯の心を折ろうとするなど、普段の柔らかい物腰からは想像できない過激なデュエルを見せる。
『Wake Upの店員たち』
どことなく『霊使い』に似ている四人の女性店員。
料理の配膳だけでなく、客とのデュエルも担当している。
店長の友人だという常連客にいつもデュエルでボコボコにされているらしい。
ウジャト編では特に台詞も出番もほとんどないのでスタッフの遊び心だと思われていたが、全国編にて人間界にやって来ていた霊使い本人であることが判明する。
精霊界へと姿を消した遊灯の師匠を助ける方法を遊灯に伝え、全国編のラストでオーバードの力を借りて儀式を行い、遊灯を精霊界へ送り届けた。
『謎の常連客』
喫茶店でカフェインを摂取しつつ、オシャレにデッキ構築をする一般社会人。
甘いものが好きだが甘すぎるのはダメ。
苦いものは少し苦手。
飲み物の中ではエナジードリンクが好き。
『I:Pマスカレーナ』
『S:Pリトルナイト』
遊灯の師匠が真の黒幕に洗脳される直前に遊灯に投げ渡したデッキケースの中に入っていたカードの中でも特に出番の多い二枚。
それからは遊灯のデッキで活躍し、全国編終盤では二人の力が一つになったカードである『W:Pファンシーボール』も登場した。
師匠がどこでこれらのカードを入手したのかはアニメ本編では特に語られることはなかったが、後に遊戯王のソシャゲにて入手経緯が明らかとなった。
デュエルリンク・バースにて、師匠とプラズムのライディングデュエル中にマスカレーナとリトルナイトがバイクに乗って乱入。
そのデュエルに勝利した師匠はそのままバイクで二人を追いかけて、追い詰めて、交渉して、二人を自分のカードにすることに成功した。