クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アムネシアの少女   作:気まぐれキャンサー

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活動報告に書いた事も守れず、また間が開いてしまい申し訳ありませんでした。不定期更新でも構わないなら今後ともよろしくお願いします。今回は5話のラストです。ではどうぞ


第19話 少女達は再び戦場へ

 島に来て1週間経った日の夜、フィオナはアルテミスの前にいた。アルテミスには雨除け用の毛布が掛けられており、フィオナが毛布を剥がすとそこにはボロボロのアルテミスがあった。エンジンが故障しただけのヴィルキスとは違い、アルテミスはボディも破壊されてた為、アルゼナルへ帰らなければとても修理は不可能だ。それでも、直せそうな所はタスクと協力して修理をした。

 

 「アルテミス、調子はどう?って、そんなの見れば分かるよね。ごめんね、ずっとこんな森の中で放置したままで。アルゼナルへ帰ったら、綺麗に直すからもう少しだけ我慢してね」

 

 フィオナはアルテミスを撫でながら呼びかける。傍から見ればおかしな光景だが、目覚めた時から一緒だった彼女にとってはアルテミスは、もはや家族も同然の存在だった。だからこうして毎夜、労わりにきているのだ。

 

 (今日で島に来て1週間、か。そろそろ救援が来てもいい頃だと思うんだけど。まさか捜索が打ち切られた?いや、ジルにとってはアンジュとヴィルキスは重要だからそれはない筈だ。だけど・・・)

 

 フィオナは顎に手を当てて考え込む。その時だった。

 

 ブオオオォォォ

 

 突如、空から轟音が響いたかと思うと森にサーチライトと思しき光が当てられた。フィオナが上を見るとそこには氷塊となったドラゴンを運ぶ輸送機の隊が飛んでいた。

 

 (ドラゴンを運んでいる、という事は今日が!)

 

 フィオナは悟ると同時に懐からカメラを取り出すと輸送機に向けてシャッターを切る。なぜ、カメラを持っているのかというと暇つぶしを兼ねて森や動物の写真を撮ろうとタスクから借りていたのだ。

 

 (写真に残しておけば、何かに使えるかもしれない)

 

 フィオナはサーチライトから身を隠しつつ、輸送機をカメラに収める。すると、

 

 「グアアアァァァ!!」

 

 森の外れからスクーナー級が飛び出してきた。スクーナー級は一目散に輸送機に向かって飛んでいく。これから起こるであろう出来事にフィオナは木陰に身を屈める。その時だった。

 

 ドカァン!

 

 突然、爆発音が鳴り響く。フィオナが顔を上げると隊の輸送機の1機が火を上げて、森に向かって落ちていった。最初、ドラゴンの所為で落ちたと思ったフィオナだったが空を見上げると目を見開く。

 

 「! あれは私を落とした不明機!?」

 

 そこには輸送隊を襲撃する黒いパラメイルが数機いた。輸送隊も必死に応戦していたがパラメイル達はライフルで輸送機を撃ち、撃墜していく。すると何機かが氷塊に向けてアンカーを放つ。そこに先程のスクーナー級が現れて三つ巴の交戦となるがパラメイルの1機がスクーナー級を押さえ込み、もう1機がスクーナー級にライフルを撃つ。やがて輸送機が全て墜落、爆散すると残りのパラメイル達も氷塊にアンカーを打ち込む。すると、空が歪んだかと思うとそこから輸送機とは比べ物にならない大きさのVTOL機が現れた。

 

 「何、あれ・・・いや、そもそも何が起きているの?」

 

 1度に色々な事が起きた為、フィオナの思考は着いていけなかった。VTOL機が氷塊にドッキングするとパラメイル達はVTOL機の後部のハッチから中へ入っていった。そして、撃たれて死体になったスクーナー級も運ばれていった。フィオナはその光景をカメラに収めていく。と、フィオナはある事に気付く。

 

 (あれ?あのパラメイル、なんかこっちを見ているような・・・)

 

 写真を撮ってた為、気付かなかったがパラメイルの1機が森、フィオナがいる場所に目を向けていた。やがて、パラメイルはライフルを構えるとフィオナの方へ飛んできた。

 

 「しまった、気付かれた!早く逃げないと!!」

 

 フィオナは慌てて、その場から逃げ出す。パラメイルはフィオナを追いかけてきた。

 

 

 その頃、川辺にいたアンジュとタスクも先程の光景に言葉を失っていた。

 

 「な、何が起こってるの?ドラゴンが運ばれてると思ったら黒いパラメイルが現れて、輸送機が撃墜されて、その後に更に大きい輸送機が現れてドラゴンを・・・どうなってるのよ」

 

 「分からない。ただ、あまり良い状況ではないのは確かだ」

 

 呆然とするアンジュをタスクが支える。すると、森の方からフィオナが血相を変えて走ってきた。

 

 「フィオナ!?どうしたの一体!」

 

 「アンジュ、タスク君、逃げて!敵が、追いかけてくる!!」

 

 フィオナが声を上げるとアンジュとタスクは彼女の後ろから黒いパラメイルが追いかけてくるのを見つける。3人は大きな岩陰に隠れるとパラメイルはライフルを撃つ。岩のお蔭で被弾せずにいるが身動きがとれずにいた。

 

 「ちょっと、何なのよあれは!何で私達を襲うの!?」

 

 「たぶん、狙いは私だと思う。私があの機体に見つかったから・・・」

 

 「話は後だよ2人共。それよりも今はこの状況を何とかしないと!」

 

 3人は物陰から様子を伺うがパラメイルのライフルを撃ち続けていた。と、タスクは懐からある物を取り出すと、

 

 「2人共、耳を塞いで目を閉じて!!」

 

 アンジュとフィオナに言う。2人がそうするとタスクは一瞬の隙を突いて、手に持っていた物をパラメイルの方に向かって投げる。すると、

 

 ピカアアアァァァ

 

 それは大きな閃光を放つ。パラメイルのライフル射撃が止む。3人はその隙に岩陰から出て、砂浜の方へ逃げる。

 

 「今のは一体?」

 

 「スタングレネードさ。パラメイルに効くかどうか分からなかったけど、逃げる隙を作る事はできたな」

 

 「それよりどうするのよ!このままだとまた追いかけてきて今度こそ、殺されるわよ!!」

 

 パラメイルから逃げながらフィオナは考え、そして2人に告げる。

 

 「ヴィルキスを急いで修理して!ヴィルキスの武装は無事だから何とかなるかもしれない!」

 

 「でも、修理している間に襲われたら!」

 

 「・・・私が囮になる。2人はその間に修理を!」

 

 「そんな!無茶よ、危険だわ!!」

 

 「わかってる!でも、もうそれしかない!」

 

 フィオナは叫ぶとアンジュ達とは別の方角にある草むらに隠れる。そして、パラメイルが来ると同時に足元に落ちていた石をパラメイルにぶつける。すると、パラメイルはフィオナの方を向く。

 

 「私はこっちよ!追いかけてきなさい!!」

 

 フィオナは砂浜から離れ、森の方へ戻っていく。それを見たパラメイルはフィオナを追って行くのだった。

 

 

 パラメイルの追跡を逃れたアンジュとタスクは急いでヴィルキスの修理に取り掛かる。

 

 「タスク、早くヴィルキスを直して!このままじゃ、フィオナが!!」

 

 「分かってる!あと少し、ここが直れば動く筈だ!!」

 

 タスクは急いでヴィルキスを修理する。すると、ヴィルキスの機体のランプが点灯する。

 

 「直った!これで動く筈だ!!」

 

 タスクはアンジュに直った事を告げる。その時、

 

 ドカァーン!!

 

 森の方から爆発音が響いてきた。

 

 「! フィオナーーー!!」

 

 アンジュはヴィルキスに乗り込むと急いで起動させる。ヴィルキスは本調子ではないながらも動き出し、アンジュは急いで森の方へ向かうのだった。

 

 

 「あっつぅ・・・!」

 

 森ではフィオナが地面に倒れていた。必死に囮になってパラメイルの追跡から逃れていたフィオナだったが、グレネード弾を撃ち込まれたのだ。幸い、直撃は避けられたものの爆風で吹き飛ばされて地面に横たわってしまった。フィオナは起き上がろうとしたのだが、

 

 「痛っ!!」

 

 お腹に鋭い痛みが走る。よく見ると縫合されていた傷口が大きく開いていた。おそらく爆風で吹き飛ばされたからだろう。フィオナは歩く事はおろか、立ち上がる事すらままならない状況だった。それでも、痛みを堪えながら後ろを向くとそこにはパラメイルが彼女を見下ろす様に立っていた。

 

 (くっ!身体が思う様に動かない・・・このままじゃ!)

 

 もどかしさにフィオナの顔が歪む。やがてパラメイルはフィオナに向けてライフルを構える。それを見たフィオナは絶望する

 

 (ここまで、なの?私、こんな所で死ぬの?嫌だ、そんなの!お願い、誰でもいいから助けて!!)

 

 フィオナは胸のペンダントを握りながら願う。すると、ペンダントが光輝く。パラメイルはフィオナに向けてライフルを発射する。フィオナは思わず。目を瞑る。だが、いつまで待っても痛みが来ない。フィオナが目を開けるとそこには白い機体がフィオナを守る様に立っていた。

 

 「ア、アルテミス!?」

 

 果たしてそれはアルテミスだった。アルテミスの機体はボロボロだったがカメラアイは赤く光り輝いており、パラメイルと対峙していた。まるで主の助けに呼応するかの様に。すると、アルテミスはパラメイルを殴る。パラメイルは体勢を崩しつつも、アルテミスに向かってライフルを撃つがアルテミスはひるむ事無く、パラメイルに拳を叩き込んでいく。パラメイルは損傷していくが負けじとアルテミスの拳を掴み抵抗する。2機の機体がせめぎ合うがアルテミスが根負けしパラメイルに投げられ、横倒しにされる。

 

 「アルテミス、そんな!?」

 

 フィオナの顔は再び絶望に染まる。パラメイルは体勢を立て直し、再びライフルを構える。アルテミスは立ち上がろうとするも元々、ボロボロだっただけに中々立ち上がれない。ここまでやれた事自体、奇跡ともいえる。

 

 「万事休す、か。ありがとうアルテミス、ごめんねアンジュ、タスク君・・・」

 

 フィオナは今度こそ死を覚悟した。その時だった。

 

 ババババッ!!

 

 あさっての方角から銃声がしたかと思うと、パラメイルが銃撃される。フィオナが顔向けるとそこにいたのは、

 

 「ヴィルキス!」

 

 そこにはライフルを構えたヴィルキスがいた。

 

 「フィオナに、手を出すなあああぁぁぁ!!!」

 

 アンジュはライフルを撃ち尽すとラツィーエルを構えるとパラメイルに向かって、突進していく。ラツィーエルはパラメイルをとらえ、胴体のコクピット部分を貫くのだった。ラツィーエルが深く刺さったパラメイルは倒れて、そのまま動かなくなった。パラメイルが動かなくなった事を確認したアンジュはヴィルキスから降りると、倒れているフィオナの元へ向かう。

 

 「フィオナ、よかった。無事だったのね」

 

 「アンジュ。もう、来るのが遅いよ・・・でも、ありがとう。助けに来てくれて」

 

 「! フィオナ、お腹の怪我!?」

 

 「あはは、大丈夫だよ。こんなの只のかすり傷だから・・・」

 

 「何言ってるのよ!こんな時まで強がらないで!!」

 

 「ちょ、大声上げないで。傷に響くから」

 

 「おーい、2人とも、大丈夫か!?」

 

 森の方からタスクが走ってやってきた。タスクはフィオナの怪我を確認すると急いで止血し、包帯を巻くのだった。

 

 「そういえば、あのパラメイル。誰が乗っているのかしら」

 

 アンジュはヴィルキスに戻るとラツィーエルを抜くとパラメイルのハッチを無理矢理引き剥がす。だがコクピットを覗き込むとアンジュは目を丸くする。

 

 「えっ、これってどういう事なの!?なんで誰も乗ってないの?」

 

 そこにいるべき筈のライダーが乗っておらず、空のコクピットがあるだけだった。アンジュは脱出したのかと思ったが、先程自分がラツィーエルでコクピットを貫いたことを考えるともし乗っていたならライダーが無事で済む筈がない。すると、

 

 ビー、ビー、ビー

 

 突然、アラームが鳴り響いたかと思うとパラメイルから光が発し始める。

 

 「ちょ、ちょっと。何が起きてるのよ!?」

 

 突然の事にアンジュは戸惑うがタスクは、ハッとすると、

 

 「いけない!今すぐここから離れるんだ!!」

 

 タスクは叫ぶとフィオナを背負い、すぐにその場から離れようとする。するとアルテミスが再び動き出す。フィオナとタスクはコクピットに乗り込むととパラメイルから離れていった。アンジュもヴィルキスを動かし、その場から離れる。途端、パラメイルは強い光を発すると、

 

 ドカアアァァン!!

 

 轟音とともに爆発するのだった。パラメイルの爆発を見たVTOL機は空に溶ける様に消えていった。

  

 

 何とか浜辺まで逃げ切った3人は機体から降りて、一息つく。海には朝日が昇ろうとしていた。

 

 「どうなるかと思ったけど、何とか切り抜けられたわね」

 

 「うん。正直、もうダメかと思った」

 

 アンジュとフィオナはクタクタになりながらも互いの無事を喜ぶ。

 

 「ところで2人はこれからどうするつもりなんだ?」

 

 タスクが2人に尋ねてきた。

 

 「? これからって、どういう事なのタスク君」

 

 「見ての通り、森があの有様だ。もうこの島にはいられない。急いで出るつもりだけど、どうする?もしよかったら君達も一緒に来ない?」

 

 タスクはアンジュとフィオナを誘う。すると、

 

 『アンジュ、フィオナ、応答願いま~す。もう死んじゃっているなら、そう返事してくださ~い』

 

 ヴィルキスの通信機からヴィヴィアンの声が聞こえてきた。アンジュとフィオナは顔を見合わせ、それから通信機に向かって返事をする。

 

 「こちらアンジュ、生きてます。フィオナも無事です。すぐに救助を要請します!」

 

 すると、通信機の向こうから仲間達の嬉しそうな声が響いてきた。それから、2人はタスクに向き直る。

 

 「私達、アルゼナルへ帰るわ。あそこが今の私の居場所だから」

 

 「うん、それにみんなも帰りを待ってるしね」

 

 2人はタスクの誘いを断るのだった。

 

 「・・・そうか。うん、分かった。2人とも、元気で」

 

 タスクは寂しそうな表情を浮かべながらも納得するのだった。

 

 「ねえ、タスク。ありがとね、私とフィオナを助けてくれて。あなたがいなかったらどうなってたか」

 

 「礼には及ばないさ。困っている女の子を助けるのは男として当然だから」

 

 タスクが顔を赤くして、頭をポリポリと掻いているとアンジュは急に目つきを鋭くしてタスクに詰め寄る。

 

 「いいこと?私とフィオナはあなたとは何もなかった!どこも見られてないし、どこも触られてないし、どこにも顔を突っ込まれていない!全て忘れる事、わかった!?」

 

 「え!?あ、は、はい・・・」

 

 アンジュの剣幕にタスクは思わずたじろぐ。それを見ていたフィオナはクスクスと笑っていた。

 

 (アンジュ、素直じゃないなぁ~。あっ、そうだ!)

 

 「ねえ、タスク君。ちょっと来てくれるかな?」

 

 「ん?どうしたの、フィオナ?」

 

 フィオナに呼ばれたタスクは彼女に近付く。すると、

 

 「ありがとう、私とアンジュを守ってくれて」

 

 ちゅっ

 

 フィオナはタスクの頬にキスをするのだった

 

 「え?ええええええぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

 「な、な、な、何やってるのよフィオナァ!!?」

 

 タスクとアンジュは顔を真っ赤にするのだった。

 

 「何って、お礼のつもりだったんだけど。タスク君、もしかして嫌だった?」

 

 「えっ!?あ、いや、そんな事ないよ。むしろ嬉しいっていうかその・・・」

 

 タスクは顔を赤くしながら、しどろもどろになっていた。すると背後から途轍もない殺気が漂ってきた。

 

 「何、デレデレしてるのかしら?」

 

 そこには完全に激怒したアンジュがいた。

 

 「あ、あの、アンジュさん。何でそんなに怒っていらっしゃるんでしょうか?」

 

 「さあねぇ・・・さっきまであなたに対しては感謝の気持ちでいっぱいだったんだけど、それも完全に吹き飛んでしまって、今は怒りと殺意で爆発しそうなのよねぇ・・・ほんと、どうすればいいのかしら。この気持ち・・・」

 

 アンジュは笑っていた。尤も、笑っていたのは口だけで目は完全に据わっていた。

 

 「ア、アンジュ、落ち着いて~」

 

 タスクはアンジュを宥めようとしたが無意味だった。そして次の瞬間、

 

 「私に殺されたくなかったら、とっとと目の前から消えなさい!この女たらしのエロタスクがぁぁぁぁ!!!」

 

 「は、はいいいぃぃぃ!!!」

 

 アンジュが島全体に響くような怒鳴り声を上げるとタスクは一目散に走って、去って行った。アンジュは、ハァ、ハァと息を切らすと気分を落ち着かせる為に深呼吸をする。それから今度はフィオナに詰め寄る。

 

 「フィオナ!あんたも軽々しく、キスなんかするんじゃないわよ!男は皆、狼なんだから変な誤解されたらどうすんのよ!!」

 

 「そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ。あ、ひょっとしてアンジュ。私がタスク君にキスしたのが気に食わなかったのかなぁ?」

 

 フィオナはニヤニヤしながらアンジュに聞く。するとアンジュは赤面する。

 

 「なっ!そ、そんなわけないでしょ!わ、私はただ・・・」

 

 あからさまに動揺するアンジュを見たフィオナはトドメと言わんばかりにこっそり耳打ちをする。

 

 「それなら今度はアンジュがタスク君にキスしてあげたら?もちろん頬じゃなくて口に、ね」

 

 それを聞いたアンジュの顔は完全に真っ赤になる。

 

 「な、な、なっ・・・フィオナーーーーー!!!」

 

 アンジュはフィオナに掴み掛かろうとした、その時だった。

 

 パラパラパラパラ

 

 空から輸送機が降りてきた。機体にはアルゼナルのエンブレムが描かれていた。

 

 「アンジュ~、フィオナ~、無事だったんだね~~!!」

 

 機体のドアが開くとそこには嬉しそうな顔をしたヴィヴィアンと仲間達の姿があった。アンジュとフィオナ、そしてヴィルキスとアルテミスは無事に収容されるのだった。

 

 だが、彼女達は気付かなかった。その光景を離れた場所から1体の人形型のロボットが見ているのを。ロボットは輸送機の離陸を見届けると空の彼方へ飛んで行くのだった。

 

 

 タスクは墓標の前にいた。墓標にそれぞれ花を添えると洞窟に入り、中にあった機体に乗り込むと機体を発進させ、島から去って行った。

 

 (俺は古の民の父イシュトヴァーン、ノーマの母バネッサの息子、タスク。使命を果たす為に旅立つ!)

 

 そう決意する彼の懐には、両親が写った写真があった。

 

 

 「そうか、わかった。監察官、捜索隊がアンジュとフィオナ、並びに両名の機体を発見。無事に収容したそうです」

 

 ジルがエマに事の顛末を報告する。

 

 「そう、よかったわ。1週間も見つからないからもうダメだと思ったけど」

 

 エマは安心して一息つく。それを見たジルは興味深そうに尋ねる。

 

 「おや、以外ですね。監察官がノーマの心配をするとは」

 

 「勘違いしないでもらえますか司令。私はノーマの心配なんかしませんよ。ただ、アルゼナルの戦力が減るのは痛いから安心しただけです」

 

 エマは心外だと言わんばかりに反論するのだった。

 

 

 そのやり取りを司令部の扉の前で聞いている人影が1つあった。

 

 「へぇ~。あの子、墜落したって聞いたけど生きてたんだ。ちょっと、意外だったかも?まあいいや、そろそろ接触してみようかな。いつまでも遠巻きから見ていてもつまんないしね」

 

 少女は不敵な笑みを浮かべると司令部の前から去るのだった。

 

 

 




次回はモモカが登場します。楽しみにしていてください。それでは
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