クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アムネシアの少女   作:気まぐれキャンサー

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みなさん、大変お待たせいたしました。活動報告でも書いた通り、ノートパソコンが壊れてしまい、やむなくvitaを使って執筆しました。パソコンとは勝手が違うので少しずつ書いていき、漸く完成させる事ができました。今回はモモカの他にオリキャラが登場します。是非、楽しんで読んで下さい。ではどうぞ。


第20話 外の世界からの来訪者

 島から無事に帰還して数日後、フィオナのお腹の怪我も無事に治り、彼女は自分の部屋で寛いでいた。

 

 「♪~♪~♪」

 

 フィオナは鼻歌を歌いながら紅茶を淹れていた。

 

 「あら、フィオナ。良い香りね。紅茶を淹れてるの?」

 

 アンジュがシャワーから戻ってきた。

 

 「あ、アンジュおかえり。うん、前にエルシャから教わったんだ。どう、一緒に飲む?」

 

 「いいわね。それじゃ、頂こうかしら」

 

 フィオナはアンジュの分のティーカップを用意すると紅茶を淹れる。

 

 「う~ん。良い香りね。これはダージリンのセカンドフラッシュかしら?」

 

 「そうだよ。エルシャが紅茶はこれが一番だって」

 

 そして、2人は少し遅いティータイムを始めるのだった。

 

 「うん、なかなか美味しいわね。フィオナ、なかなかスジがいいわね」

 

 「そんなことないよ。エルシャに比べれば私なんてまだまだだもん。でも、ありがとう」

 

 2人は紅茶を楽しむ。と、アンジュが物憂げな顔になる。

 

 「アンジュ、どうかしたの?紅茶に何か入ってた?」

 

 「あ、ううん。そうじゃないの。ただ、ミスルギ皇国にいた頃の事を思い出しちゃって」

 

 「ミスルギ皇国にいた頃?」

 

 「ええ。モモカが淹れてくれた紅茶も美味しかったな。ってね」

 

 それを聞いたフィオナは目を見開き、一考する。

 

 (モモカって、確かアンジュの侍女だった人間の少女でアンジュの数少ない理解者だった子だよね」

 

 モモカ・荻野目

 

 皇女アンジュリーゼの筆頭侍女で家族同然の親友。だが、その正体はアンジュリーゼがノーマだと知られない為にジュライが用意した露払い。彼女の存在があったからこそアンジュリーゼは洗礼の儀の日までノーマだとバレなかったのだ。

 

 「アンジュ、モモカって?」

 

 本当は知っているが敢えて尋ねる。

 

 「ああ、うん。モモカっていうのは私が皇女だった頃に私に仕えて、身の回りの世話をしてくれた侍女よ。幼い頃から、いつも一緒だったわ。そう言えばあの子、いつも言ってたわね。「皇族たる者、むやみにマナを行使してはいけません。全て私にお任せください」ってさ」

 

 途端、アンジュは自嘲する。

 

 「ま、今思えばそれは私にマナを使わせない為の方便だったんでしょうけどね。あの子は知ってたんでしょうね。私がノーマだって事」

 

 「・・・まあ、そうだろうね。もし、マナを使おうとして出来なかったらノーマだって分かっちゃうからね。でもさ、いくらモモカって子が代わりにマナを使っていたとはいっても、16年間も自分がノーマという事に気づかなかったアンジュも大概だよね。自分でマナを使って見ようとか思わなかったの?」

 

 「使って見ようとしたわよ、過去に何度も。でも、その度にモモカに止められたのよ。そうこうしている内に私自身、マナを使わなくても良いんだって思う様になってしまったから・・・」

 

 「それは、本当に侍女の鑑だね。そのモモカって子」

 

 「ええ、本当に出来た子だったわ。私が16年間、人間だと信じこまされる程だからね」

 

 そう言うアンジュの顔は少し険しかった。

 

 「モモカ、今頃どうしてるのかしらね。ま、面倒な役割から解放されて清々してるでしょうけどね」

 

 「アンジュ、ひょっとして心配してるの?」

 

 「ば、バカな事言うんじゃないわよ!誰があんな奴の事なんか・・・」

 

 「ふふっ。まあ、きっと外の世界で元気にやってるよ」

 

 それから2人は再び紅茶を飲みだした。と、フィオナは再び考えを巡らす。

 

 (モモカ、か。映像通りならそろそろアルゼナルへ来る頃だよね。けど、それはつまり・・・)

 

 モモカが此処へ来てアンジュと再会する。その美談の裏に隠された真実を知るフィオナは気が重くなるのだった。

 

 

 数日後、アルゼナルの発着デッキでは物資の搬入が行われていた。

 

 「食料4、衣料1、医薬品1、補修用資材3。はい、確かに受領しました」

 

 「このコンテナはジャスミンモールへ運んでくれよ」

 

 エマとジャスミンは物資の確認作業を行っていた。だが、その物資の影に隠れるように移動する人影に2人は気が付かなかった。

 

 物資の搬入が終わると今度は第1中隊が任務を終えて帰ってきた。

 

 「総員、かかれ!チンタラやってると晩ごはんに間に合わなくなるよ!」

 

 「イエス・マム!」

 

 メイが整備員達に激を飛ばす。と、パラメイルの間を縫う様に先程の人影は移動していた。

 

 

 「アンジュ、おっす!や~、今日もキレッキレだったにゃ~」

 

 「それはどうも、ヴィヴィアン」

 

 ヴィヴィアンがアンジュに声を掛ける。アンジュも無視せずに相手をしていた。島から帰還してから、アンジュも少しだけフィオナ以外のチームメンバーと打ち解けるようになった。尤も、ヒルダ達とは相変わらずなのだが。

 

 「ねえ、お姉ちゃん。私、今日1人でスクーナー級を2匹も仕留めたんだよ」

 

 「うん、そうだね。ココもミランダも随分、腕を上げたね」

 

 「勿論だよ。何時までもフィオナに頼ってばかりは居られないしね」

 

 ココとミランダがライダーとして成長している事にフィオナは嬉しく思うのだった。だが、そんな彼女達の様子をヒルダ達は苦々しい顔で見ていた。

 

 「くっそ、あいつら。自分達だけで荒稼ぎしやがって!」

 

 「しかも、狙ってた獲物を横取りされるし」

 

 「全く、MIAになった時に両方ともくたばってくれりゃ良かったのによ」

 

 ヒルダ達は口々に文句を垂れていた。今日の任務でも彼女達はドラゴンをほとんど狩る事が出来なかった。アンジュは相変わらずスタンドプレーでドラゴンを狩るし、嫌がらせに狙おうにもフィオナに悉く阻止された。と、ロザリーが懐から小さなネジを取り出す。

 

 「あいつらの頭にネジ穴を開けてやるぜ!」

 

 性懲りもなくロザリーは嫌がらせを行おうとしていた。

 

 「だ、ダメだよ。司令に怒られるってば」

 

 クリスは慌ててロザリーを止めようとするが、

 

 「大丈夫だよ、バレなきゃ問題ないさ」

 

 ヒルダは面白そうに賛同する。

 

 「そうそう。喰らいな、害虫女共!」

 

 ロザリーがネジを投げようとした、その時である。

 

 ビー、ビー、ビー!!

 

 辺りに警報が鳴り響く。

 

 「わわっ!違います、違います!私はまだ何も・・・」

 

 「落ち着きなロザリー。アンタの事じゃないみたいだよ」

 

 慌てるロザリーをヒルダが宥める。すると、

 

 <<総員に次ぐ。アルゼナル内部に侵入者あり。対象は上部甲板を逃走中、付近の者は確保に協力せよ!繰り返す・・・>>

 

 警報と共にアナウンスが流れる。それを聞いたフィオナは目を見開く。

 

 (侵入者・・・という事は今日が!)

 

 すぐに侵入者の正体を悟るのだった。

 

 「侵入者!?このアルゼナルに!?」

 

 「お姉ちゃん、何なのかな一体・・・」

 

 「・・・とにかく甲板に行こう。話はそれからだよ」

 

 フィオナはそう言うと銃を片手に甲板へ向かうのだった。第1中隊の面々もそれに続くのだった。

 

 

 甲板では1人の少女が警備兵に追われていた。少女は必死に逃走するがやがて逃げ切れずに警備兵に囲まれるのだった。警備兵の1人が少女に向かって警棒を降り下ろす。すると、

 

 「マ、マナの光よ!」

 

 そう叫ぶと彼女を守るように障壁が現れて、警棒はそれに弾き飛ばされるのだった。

 

 「マナの光!?どうしてこんなところに」

 

 それを見ていたアンジュは驚きを隠せなかった。このアルゼナルでマナを使えるのはエマだけの筈だからである。

 

 (マナの光、やっぱりあの子は・・・)

 

 他の者達が驚く中、フィオナは得心が行っていた。すると、

 

 「や、止めてください!私はアンジュリーゼ様に会いに来ただけです!!」

 

 少女はマナを使いながら必死に叫んでいた。少女の顔を見たアンジュは再び驚く。

 

 「モ、モモカ!?あなた、モモカなの!?」

 

 「!? この声は、アンジュリーゼ様?」

 

 少女、モモカはアンジュの見つけると感極まった顔になり、

 

 「アンジュリーゼさまあああぁぁぁ!!!」

 

 アンジュに走りよると彼女に抱きつくのだった。

 

 「え、何?あの人、アンジュの知り合い?」

 

 「マナを使ってたって事は魔法の国から来たのかな?」

 

 ココとミランダが興味深そうに見ている中、

 

 (モモカ、やっぱり来ちゃったんだね・・・)

 

 フィオナは複雑そうな顔で見ていた。

 

 

 「モモカ・荻野目。皇女アンジュリーゼの筆頭侍女です。ええ、元皇女の世話を・・・って、え!?待ってください、彼女は・・・ええ、それはわかっております。はい、はい・・・わかりました。ではそのように・・・」

 

 通話終えたエマは疲れた表情をしていた。

 

 「委員会はやはり?」

 

 ジルの問いにエマは頷く。

 

 「彼女を国に戻せばドラゴンとそれと戦うノーマ、最高機密が漏洩する可能性があるからと。司令、何とかならないでしょうか?彼女はただ、此所に来ただけなのに・・・」

 

 「ただ来ただけねぇ・・・いずれにしても人間が決めたルールをノーマの私が変える事はできませんよ。せめてアンジュと一緒に居させてあげようじゃありませんか。今だけは・・・」

 

 「そう、ですね・・・」

 

 エマは落胆しながらも納得するのだった。エマはマナのライブラリーのモモカのデータを展開する。

 

 (モモカさん、どうして此所に来たの?アンジュはもう皇女ではないのに・・・)

 

 エマがデータを眺めていると、

 

 「フーン、モモカ・荻野目ねぇ。それがさっき、アルゼナルに侵入してきた人間なんだね」

 

 「きゃっ!?あ、あなた、いつの間に入ってきたの!?」

 

 突然、彼女の後ろから声が聞こえたので慌てて振り向くとそこには1人の少女が立っていた。オレンジ色のポニーテールの少女はデータを興味深そうに眺めていた。

 

 「ん?なんだ、お前か。入る時くらいノックしろ」

 

 ジルは呆れた顔で少女を見る。

 

 「いやいや、なんか重苦しい雰囲気だったんでそっと入ってきたんですよ」

 

 「まったく。で、今日は何の用だ?言っとくがお前からは何も買わんし、借金もしないぞ私は」

 

 悪びれる様子のない少女にジルは嫌味を混ぜながら尋ねる。

 

 「つれないなぁ~。今月の上納金(アガリ)を納めにきたんじゃないですか」

 

 少女はそう言うと持っていたアタッシュケースを開けるとジルの前に差し出す。そこにはキャッシュの札束がケース一杯にぎっしりと詰められていた。ロザリーとクリスが見たら目の色を変えるに違いない。

 

 「す、すごい大金・・・」

 

 「一体、幾らあるんだろ・・・」

 

 「1束くらい貰えないかな・・・」

 

 パメラ、ヒカル、オリビエの3人は大金を見て息を呑んでいた。

 

 「商売は順調の様だな」

 

 「まあね。お得意様のノーマもたくさん出来て稼がせて貰ってるよ」

 

 「大概にしとけよ。お前のせいでモールの売上が減ったとジャスミンがぼやいてたぞ」

 

 「あ、そうなの?まあでも、それが商売の世界だからね。ボクを恨むのはお門違いでしょ」

 

 「やれやれ。ま、あまりやり過ぎるなよ。私がその気になればお前の商売など簡単に潰せるんだからな」

 

 「おー、怖い怖い。でも、そうさせない為にこうして司令部に金を払っているんじゃん。このアルゼナルでは金で買えないものはない。仲間や信用、命だって金さえあれば何とかなる。そう言ってたのは司令とジャスミン達だよね」

 

 「ふっ、相変わらず口達者だな」

 

 「商売人は口が命ですから。さてと・・・」

 

 少女はジルとの話を終えるとオペレーター席の方へ向かう。すると、

 

 「スキあり!」

 

 むにゅ

 

 「きゃあ!?」

 

 「ひゃん!?」

 

 「ふええ!?」

 

 目にも止まらぬ速さでパメラ達の胸を揉むのだった。

 

 「うんうん、いい感じに成長してるねぇ。けど、オリビエはまだまだかな?」

 

 少女は満足そうに頷いていた。

 

 「もう!いい加減にしてよ!」

 

 「毎回、来る度にセクハラしないで!」

 

 「ううっ、また触られたぁ・・・」

 

 パメラとヒカルは顔を赤くして胸を腕で覆いながら怒って、オリビエは涙目になっていた。

 

 「やだなぁ、ちょっとしたスキンシップじゃないか。いい女はさ、パイタッチを経験して一人前になってくんだよ」

 

 少女は悪びれる様子もなく笑顔で言うのだった。

 

 「あなた、風紀を乱す様な行動を慎みなさい、って前にも言ったでしょう!」

 

 エマが少女を叱るが、

 

 「もー、監査官。固い事は言いっこなしだよ。そんなんじゃ」

 

 少女はそう言うとフッ、と姿を消す。

 

 「いい人に巡り会えないかもよ~♪」

 

 むにゅ

 

 「きゃあ!ちょ、やめなさ・・・あん!」

 

 いつの間にか背後に回り込んだ少女に胸を揉まれてエマは顔を赤くする。

 

 「う~ん、監察官もなかなか良いおっぱいしてるじゃないですか~。折角、良い顔と身体してるんですからこれを武器に外の世界で男を誘惑しなくっちゃ。婚期を逃してからじゃ熟女好きしか落とせないよ~」

 

 少女の触り方が徐々にエスカレートしていく。

 

 「あっ、ちょ、いい加減に・・・ひゃあん!」

 

 エマは怒ろうにも言葉が続かない。彼女の顔は完全に真っ赤になっていた。すると、

 

 「その辺にしておけ。これ以上監察官にセクハラするなら反省房送りにするぞ」

 

 ジルが少女を引き剥がす。エマは胸を腕で押さえながらうずくまっていた。

 

 「ああ残念、良いところだったのになぁ。まあ、これ以上やって本当に反省房に入れられたら堪ったもんじゃないし、ボクはそろそろ失礼するよ。それじゃ、またね~」

 

 少女はそう言うと司令部から出ていくのだった。

 

 「はあ、はあ、はあ。司令、ありがとうございました・・・」

 

 「いや、此方こそ済まなかった監察官」

 

 「それにしても、彼女どうにかならないんですか?ノーマ達だけでなく、私にまでセクハラを働くなんて問題ですよ!!」

 

 「まあ、あのセクハラ癖は困ったものですが、あれも優秀なノーマですから。大目に見てもらえると助かります」

 

 ジルは呆れながらもエマを宥めるのだった。

 

 

 一方、アルゼナルの廊下ではアンジュとフィオナがモモカを連れて歩いていた。

 

 「御髪、短くされたのですね。あ、とてもよく似合っていると思います。なんか今までの姫様のイメージが大きく一新された様な、そんな感じがします」

 

 モモカは何とか話をしようとするがアンジュは素っ気なかった。

 

 (まあ、分かってはいたけど感動の再会・・・とはいかないよね、やっぱり)

 

 フィオナはそう思いつつ、2人のやり取りを見ていた。やがて部屋に着き、2人はモモカを入れる。

 

 「あの、此処は一体・・・」 

 

 モモカが戸惑いながら尋ねてきた。

 

 「アルゼナルの居住区だよ。私とアンジュは此処に住んでいるの。そういえば、自己紹介がまだだったよね。私はフィオナ。アンジュとは同じ隊の仲間でルームメイトなの。よろしく」

 

 フィオナはモモカに自己紹介する。モモカはフィオナを見て目を丸くしていたがすぐに返事をする。

 

 「あ、よろしくお願いします。って、まさかアンジュリーゼ様、こんな狭くて汚い部屋に住んでいるのですか!?」

 

 「う~ん、狭いのは否定しないけど汚いはちょっと酷くない?これでも、非番の時には掃除してるんだけどなぁ・・・」

 

 ストレートに言うモモカにフィオナは苦笑していた。と、アンジュが2人を無視して着替えを始める。

 

 「あ!お召し変えされるのですね。お手伝い致します」

 

 モモカはアンジュが脱ぎ捨てた服を集めると、

 

 「マナの光よ」

 

 そう唱えるとアンジュの服は光を発して浮き上がり、空中で畳まれていく。

 

 「・・・へぇ、そうやって使うのね。マナって」

 

 アンジュの冷たい声が部屋に響く。すると、モモカはハッとなってマナを止める。浮いてた服はベッドに散らばる。アンジュはそれを手にとって畳もうとするが、

 

 「止めてください!私がやりますから、アンジュリーゼ様がその様な事は・・・」

 

 服をアンジュから取りあげる。すると、アンジュは大きく溜め息をつく。

 

 「はぁ。アンジュリーゼ、アンジュリーゼってさっきから誰の事を言ってるのかしら?私はノーマのアンジュよ。司令の命令だから明後日まではあなたの面倒を見てあげるわ。その代わり、私には構わないで。私にお世話係は必要ないから」

 

 辛辣にモモカに告げるアンジュだったがモモカは大きく首を横に振る。

 

 「嫌です!私が仕えるのはアンジュリーゼ様だけです。私、もう帰りませんし離れません!今までもこれからもそれは変わりません」

 

 モモカは必死にアンジュに訴えるが、アンジュは冷めた様子でモモカを見ていた。

 

 「よくそんな事が言えたものね。10年以上も私を騙しておきながら。知ってたんでしょ?私がノーマだって事」

 

 アンジュの指摘にモモカは戸惑っていたが、

 

 「・・・はい」

 

 少し俯きながら、首を縦に振るのだった。

 

 「やっぱりね。私がノーマだって事を悟らせない為にお父様が連れてきたんでしょうね。まあ、どうでもいいか。お母様は死んで、ミスルギ皇国が滅んでしまった今となっては」

 

 アンジュは自嘲気味に言うとベッドで横になる。するとモモカはひざまづくと土下座するかの様に頭を床につける。

 

 「あなたの側に居させてください。私はアンジュリーゼ様の筆頭侍女、モモカ・荻野目です。例え、アンジュリーゼ様がノーマに身を落としてもそれは変わりません」

 

 必死に懇願するモモカ。それを見ていたフィオナは、

 

 「モモカさん、頭を上げて。疲れてるんでしょ?なら、もう休んだ方がいいよ。私のベッド、使っても良いから」

 

 モモカを立たせると自分のベッドへ連れていく。すると今度はアンジュが目を見開く。

 

 「ちょっ!?待ってよ、フィオナ。あなたはどこで寝るつもりなのよ。そのベッドじゃ2人も寝れないでしょ」

 

 「私なら大丈夫だよ。空いてる部屋がないかジャスミンさんに聞いてみる。モモカさんだって疲れてるだろうし、それに人間を床で寝させたら監察官に何言われるか分かんないしね」

 

 「それはそうだけど、でも・・・」

  

 アンジュ困惑していた。自分の元侍女の為にフィオナに迷惑が掛かるのはやはり後ろめたいからだ。すると、フィオナが真剣な表情でアンジュに言う。

 

 「アンジュ、色々思う所があるかもしれないけどさ、それでもモモカさんとはちゃんと話し合うべきだと思う。彼女だって半端な気持ちで此処へ来た訳じゃない事は私にも分かるよ。じゃないと何時まで経っても何も変わらないよ」

 

 それだけ伝えるとフィオナは部屋から出ていった。フィオナが出てったドアを見ながらアンジュは思い悩む。

 

 (そんなこと、私だって分かってるわよ。けど、そんな簡単に割り切れる訳がないじゃない!大体、モモカと何を話せっていうのよ・・・)

 

 アンジュが頭を抱えていると、

 

 「あの、アンジュリーゼ様。大丈夫ですか?」

 

 モモカがアンジュを気遣い、声を掛ける。

 

 「平気よ。それよりもフィオナに感謝する事ね。あの子が出てかなかったら、あなたは床で寝る羽目になってたでしょうからね」

 

 「フィオナさんですか。アンジュリーゼ様、あの方は何者なのですか?髪は真っ白ですし、目の色がそれぞれ違うなんて普通のノーマとは思えないのですが・・・」

 

 「まあ確かに容姿は変わってるけど、とても良い子よあの子は」

 

 アンジュはそれだけ言うとモモカに背を向けるようにベッドで眠りに着くのだった。

 

 




今回、出てきたオリキャラの名前と詳細は次回で明らかになりますので楽しみにしていて下さい。それでは。
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