自宅に届いた『惑星開発キット』で、社畜SEは異世界工場の管理者になる ~運用保守はもう終わり。現代の物資と無限の資源で、銀河規模の自動化帝国を築き上げます~   作:パラレル・ゲーマー

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第93話 箱舟の青写真と沈黙のディスクロージャー

 東京都千代田区永田町。

 日本国の心臓部である首相官邸、その地下五階に設けられた『特別情報分析室』。

 外の世界では木枯らしが吹き荒れ、霞が関のイチョウ並木から枯れ葉が舞い散る季節となっていたが、分厚い鉛と電磁シールドに完全に覆われたこの部屋の中は、常に一定の温度と湿度が保たれ、季節感とは無縁の冷徹な空気に支配されていた。

 

 円卓を囲むのは、副島内閣総理大臣をはじめとする国家の中枢メンバーだ。

 内閣官房長官、防衛大臣、外務大臣、経済産業大臣、そして各情報機関のトップたち。彼らの前には、暗号化されたタブレット端末と、濃いめに淹れられた緑茶の湯呑みが置かれている。

 

 内閣官房参事官の日下部が、スクリーンの横に立ち、手元のコンソールに指を這わせた。

 

「――『位相干渉装置(ジャマー)』、オン!」

 

 ブゥン……という、内臓を微かに震わせるような極低周波の重低音が室内に響き渡る。

 テラ・ノヴァのテクノロジーを応用したこの装置が稼働した瞬間、部屋の内部は物理的・電子的・そして位相空間的にも世界から完全に隔絶される。アメリカのNSAの傍受衛星も、中国のレーザーマイクも、いかなる最新鋭の盗聴技術をもってしても、この部屋の空気の振動を拾うことは不可能となる。

 

「ジャミング、正常に作動中。情報の完全な秘匿が担保されました」

 

 日下部は鋭い声で宣言し、一つ深呼吸をしてから、円卓の面々を見渡した。

 

「というわけで、本日の緊急報告です。……皆様、どうか落ち着いてお聞きください。

 次元の向こう側、テラ・ノヴァの工藤創一氏が、またしても常軌を逸した巨大プロジェクトに本格着手いたしました。

 彼は現在、宇宙へ向けてロケットをガンガン打ち上げている真っ最中ですが……それと並行して、地上においても途方もないものを建造し始めました」

 

 日下部がタブレットを操作すると、壁面の巨大スクリーンに、テラ・ノヴァの前線基地(FOB)から少し離れた更地で進行中の、異常な建設風景が映し出された。

 何万機という建設ロボットが空を飛び交い、莫大な量の鋼鉄とコンクリート、そして青白く輝く未知の素材が、幾何学的な巨大構造物へと組み上げられていく様子。

 

「……空中都市の建造に着手しました」

 

「……空中都市?」

 

 副島総理が、湯呑みを口に運ぼうとした手を止めた。

 

「はい。工藤氏の命名によれば、『超弩級・空中都市・ヤタガラス』。

 全長3000メートル。全幅約800メートル。

 内部には採掘・精錬・組立といったあらゆる工場設備を内包し、さらに5万人から10万人が生活可能な完全循環型の居住区画を備えた、文字通りの『空飛ぶ都市』です。

 反物質リアクターと反重力エンジンを搭載し、大気圏内を秒速250キロメートル……マッハ700以上の速度で移動可能。さらには完全なステルス機能と、地球へ直接転移できる位相空間ジャンプ機能まで備わっているとのことです」

 

 シン……。

 会議室が、凍りついたような静寂に包まれた。

 

 全長3キロ。マッハ700。完全ステルス。

 提示されたスペックの数値が、地球の軍事・航空宇宙工学の常識からあまりにもかけ離れすぎていて、閣僚たちの脳が瞬時には処理しきれなかったのだ。

 

「……さんきろ?」

 

 防衛大臣が、まるで寝言でも言うように呟いた。

 

「おいおい、日下部くん。アメリカの空母でさえ300メートルちょっとだぞ? それが3キロ? しかも空を飛ぶ? ……SF映画の撮りすぎじゃないのか?」

 

「事実です、大臣。現に今、画面の中でその基礎部分が組み上がりつつあります。工藤氏の生産力をもってすれば、わずか三ヶ月で完成する予定です」

 

 日下部が胃のあたりをさすりながら、重々しく答えた。

 その反応を見て、閣僚たちはようやくそれが「比喩」でも「冗談」でもない現実であることを悟り、一斉にざわめき始めた。

 

「まあ……」

 

 だが、官房長官が呆れたように息を吐きながら、意外にも楽天的な言葉を口にした。

 

「テラ・ノヴァで遊ぶ分には、良いんじゃないか?」

 

「えっ?」

 

 日下部が目を丸くする。

 

「いや、向こうの星はだだっ広い荒野だろう? 資源を掘りに行くのに、いちいち線路を敷くのが面倒だという彼の理屈も分からんではない。彼が自分の領土(テラ・ノヴァ)で、巨大なキャンピングカーを作って乗り回す分には、誰にも迷惑はかけない。好きにさせておけばいいじゃないか」

 

「そうですとも」

 

 経済産業大臣も同調した。

 

「彼が効率よく資源を集めてくれれば、こちらに送られてくるレアメタルや原油の量も増える。我々にとってはプラスしかない。……まあ、3キロというのは少々悪ふざけが過ぎる気もするが、男のロマンというやつだろう」

 

「良くありませんよ!!!」

 

 日下部が、たまらず声を荒らげた。普段の冷静な彼らしからぬ、悲痛な叫びだった。

 

「地球に持ち込む気マンマンですよ、あの人!」

 

「……は?」

 

「彼、言ったんですよ。『完成したら、地球側で遊覧飛行しようと思ってます! ステルスかけて東京タワーの上でホバリングして宴会しましょう!』って!

 あの男、全長3キロの反物質リアクターを積んだ爆弾を、何の悪気もなく日本の首都の上空に浮かべる気なんですよ!?」

 

 日下部の絶叫に、会議室の空気が一気に冷え込んだ。

 遊覧飛行。

 東京タワーの真上に、3キロメートルの見えない鉄の塊が浮遊する。

 

「そ、それは……」

 

 外務大臣が顔面を蒼白にさせた。

 

「もしステルスが故障して姿を現したらどうなる? あるいは、何らかのトラブルで墜落でもしたら……。東京都心が物理的に消滅するぞ。パニック映画どころの騒ぎではない。世界中の軍隊が『未知のエイリアンが襲来した』と勘違いして、日本に向けて核ミサイルを撃ち込んできかねん!」

 

「だから私は全力で止めたんです! ですが、あの人は『ステルスだから絶対バレませんよ!』の一点張りで……」

 

 日下部が頭を抱えて座り込みそうになった時、副島総理が、低く落ち着いた声で口を挟んだ。

 

「しかしだなぁ、日下部くん」

 

「……総理?」

 

「工藤氏の機嫌を悪くするのは、我々にとって最悪の悪手だぞ」

 

 総理は、湯呑みを両手で包み込むようにして持ち、じっと日下部を見つめた。

 

「我々が今、世界のパワーバランスの頂点に立っていられるのは、全て彼の生み出す技術に依存しているからだ。彼が『地球の官僚は口うるさくてつまらない。もう協力しない』とへそを曲げたら、我々の外交カードは全て紙屑になる。

 彼が作ったおもちゃを『地球に持ってくるな』と頭ごなしに否定するのは、彼のモチベーションを著しく削ぐ危険性がある」

 

「限度がありますって……!」

 

 日下部は泣きそうな顔で反論した。

 

「今までも、戦車だのナノマシンだの、色々目をつぶってきましたが……3キロですよ? しかも秒速250キロ。地球の重力や大気圏の摩擦を完全に無視した代物です。もし空力シールドとやらが機能しなかったら、移動の衝撃波だけで地上の都市が壊滅します。……いくら彼の機嫌を取るためとはいえ、リスクが大きすぎます!」

 

 だが、閣僚たちの反応は、日下部の必死の訴えとはどこかズレていた。

 

「まあ、でもさ……」

 

 防衛大臣が、顎をさすりながら、少し夢見るような目でスクリーンを見上げた。

 

「空中都市って、やっぱりカッコいいよな」

 

「……大臣!?」

 

「いや、純粋に兵器としての威圧感は凄まじいぞ。アメリカの空母打撃群が何ダース集まっても、あんなものが上空に現れたら一瞬で戦意喪失するだろう。レーザータレットが数千門ついているんだろう? 国防の究極の要塞だ」

 

「だから、そんなものを国内で運用すれば……!」

 

「それに、だ」

 

 今度は、国土交通大臣が真剣な表情で口を開いた。

 

「もしも……富士山が噴火した時や、首都直下型地震、南海トラフ巨大地震のような、日本という国家の存亡に関わる超大規模災害が起きた時に。

 あの『空中都市』があれば、究極の避難場所として使えるのではないか?」

 

 その言葉に、円卓の空気が一変した。

 ただのロマンや悪ふざけという次元から、極めて現実的な「国家の危機管理」の視点へと議論の位相がシフトしたのだ。

 

「……避難、ですか」

 

 日下部も、その視点には虚を突かれたように言葉を詰まらせた。

 

「そうだ。5万人から10万人が収容可能で、完全な自給自足システムが備わっているのだろう? しかも、地球上のどこへでも一瞬で移動できる」

 

 国土交通大臣が熱を込めて語る。

 

「我が国は常に自然災害のリスクと隣り合わせだ。もし東京が壊滅し、政府機能が失われるような事態になった時、皇室や政府中枢、そして何万人もの国民を瞬時に安全な上空——あるいはテラ・ノヴァへと避難させることができる。

 これは、単なる兵器や工場ではない。『究極の箱舟(アーク)』になり得るんじゃないか?」

 

「……箱舟」

 

 副島総理が、その言葉をゆっくりと反芻した。

 その瞳の奥で、国家百年の計を描く巨大なパズルが組み合わさっていく音が聞こえるようだった。

 

「もしもの避難都市を、テラ・ノヴァに建設する……あるいは、その空中都市を日本のバックアップとして運用するのも、悪くないかもしれんぞ」

 

 総理の静かな宣言が、会議室に響き渡った。

 

「日本列島は沈没するかもしれないし、破局噴火で灰に埋もれるかもしれない。だが、我々には『次元の向こう側』という、地球上のいかなる災害も届かない絶対安全圏がある。

 ……工藤氏の工場を、単なる資源の供給源としてだけでなく、日本国民の『第二の居住地(新国土)』として位置づける。そのための移送手段として、ヤタガラスを利用するのだ」

 

 スケールが、一気に国家存亡のレベルへと跳ね上がった。

 

「避難都市、ですか……。確かに、構想としては悪くない、というか、理想的すぎますが」

 

 日下部はタブレットでヤタガラスの収容能力と、テラ・ノヴァの安全確保領域の面積を再計算しながら唸った。

 

「スケールが大きすぎますね……。

 もし本当に首都直下地震が起きて、東京の人口をヤタガラスでピストン輸送してテラ・ノヴァに避難させるとなれば……。

 工藤氏の協力は不可欠ですし、何より彼に『日本国民の命を預ける』ことになります」

 

「テラ・ノヴァに避難都市ねぇ……」

 

 外務大臣が、腕を組みながら天井を仰いだ。

 

「まあ、その時は、どのみち『テラ・ノヴァの存在』を国民に……いや、全世界にバラすことになるだろうな。

 何万、何十万という人間が突然地球上から消えて、異世界に避難したとなれば、どんなに隠蔽しようとしても隠し通せるものではない」

 

 外務大臣は、総理と日下部を交互に見つめた。

 

「総理。……そろそろ、バラすタイミングを窺う時じゃないのか?」

 

 その直球の問いかけに、会議室の空気が再び張り詰めた。

 ディスクロージャー(情報開示)。

 日本が異世界へのゲートを持ち、神の如き技術を独占しているという真実を、世界に向けて公表する。

 それは、これまでギリギリのバランスで保ってきた「嘘と隠蔽の外交」を終わらせ、正面から世界と対峙することを意味する。

 

「アメリカには医療用ナノマシンを渡し、中国には尖閣と引き換えに約束をし、中東からは莫大な投資を引き出した。

 我々の足場は、すでに十分に固まっているのではないか?」

 

 防衛大臣も同調するように身を乗り出した。

 

「今なら、テラ・ノヴァの存在を公表しても、アメリカや中国は我々に牙を剥くことはできないはずだ。彼らはすでに、我々の技術にどっぷりと依存している『共犯者』なのだから。

 むしろ堂々と公表し、『日本は次元を超えた新領土を開拓した。我々に逆らう者は、この恩恵から永遠に切り離す』と宣言した方が、外交的にも圧倒的に優位に立てるのではないか?」

 

 強気な意見が飛び交う。

 確かに、今の日本は強い。強すぎるほどのカードを持っている。

 アメリカの影の政府は日本の技術なしでは体制を維持できず、中国の長老たちは不老不死の薬に首根っこを掴まれている。

 今こそ、秘密のベールを脱ぎ捨て、真の世界の覇者として君臨する時ではないのか。

 

 だが。

 

「いや……まだ早いです」

 

 日下部が、氷のような冷ややかな声で、その楽観論を一刀両断にした。

 

「早すぎる。今、テラ・ノヴァの存在をバラすのは、自殺行為に等しい」

 

「なぜだ?」

 

 防衛大臣が食ってかかる。

 

「米、中、中東は我々を裏切れない。それは間違いないだろう?」

 

「ええ。彼らは裏切らないでしょう。彼らはすでに『共犯者(インサイダー)』であり、既得権益層だからです。

 ……ですが、問題は『それ以外の国々』です」

 

 日下部は、世界地図をスクリーンに映し出し、アメリカ、中国、中東以外の地域を赤く染め上げた。

 ヨーロッパ、ロシア、インド、アフリカ、南米。

 

「テラ・ノヴァをバラしたら、アメリカと中国と中東は裏切らないでしょうが……。

 他の国は、全力で日本叩きをするでしょう」

 

「日本叩きだと? 我々の圧倒的な力を前にしてか?」

 

「力があるからこそ、叩かれるのです。それも、軍事力ではなく『道徳』と『人権』と『平等』という、最も厄介な武器を使って」

 

 日下部は、冷徹な国際政治のリアリズムを語り始めた。

 

「想像してみてください。

 日本が『無限の資源がある新しい星』を見つけ、そこで『不老不死の薬』を作り、『何でも作れる魔法の工場』を独占していると世界に発表したら。

 ヨーロッパの国々はどう反応しますか?」

 

 外務大臣が、ハッとして顔をしかめた。

 

「……『人類の共有財産を、日本という一国が独占するのは国際法違反だ』と言い出すだろうな。

 国連で非難決議を主導し、『そのゲートは国連の管理下に置くべきだ』と主張する。フランスやドイツあたりが、人権と環境保護を盾にして、我々を『人類の敵』として徹底的に糾弾する姿が目に浮かぶ」

 

「その通りです」

 

 日下部は頷いた。

 

「そして、発展途上国……いわゆるグローバルサウスの国々は、もっと感情的に爆発します。

 『我々の国民が飢えと病で苦しんでいるのに、日本とアメリカと中国のエリートたちだけが、密室で不老不死の薬を分け合っていたのか!』と。

 これは、貧富の格差というレベルの話ではありません。『命の不平等』に対する、凄まじいルサンチマン(怨嗟)を生み出します」

 

 日下部の言葉は、会議室にいる全員の背筋を凍らせた。

 

「世界中の大衆が暴徒と化し、日本の在外公館は焼き討ちに遭うでしょう。

 国連では毎日のように日本への制裁決議が叫ばれ、国際社会からの完全な『村八分』に遭う。

 いくらアメリカや中国が裏で庇おうとしても、彼らとて自国の世論の爆発を抑えきれなくなる。表向きは日本を非難する側に回らざるを得なくなるでしょう」

 

「……」

 

 防衛大臣は押し黙った。

 物理的な戦争なら、26式やレーザー戦車で勝てるかもしれない。

 だが、世界中から「人類の敵」「独占者」というレッテルを貼られ、経済的・政治的に完全に孤立する戦いには、いかなるオーバーテクノロジーも役に立たない。

 

「我々が『神の力』を持っていることがバレれば、世界は我々を神として崇めるのではなく、その力を奪い取るために団結して悪魔として狩りに来るのです」

 

 日下部は、胃薬の空のパッケージを指で弄びながら、冷酷に結論づけた。

 

「だから、まだ隠さなければなりません。

 我々がテラ・ノヴァを公表できるのは、世界中の国々を『経済的・技術的に完全に日本に依存させ、日本なしでは一日も生きていけない状態』にするか……。

 あるいは、本当に地球が滅びるような大災害が起きて、我々が『救世主(箱舟の主)』として彼らを選別する立場に立つ時だけです」

 

「……その時までは、嘘をつき続けるしかないということか」

 

 副島総理が、深く、重い溜め息を吐き出した。

 一国の総理として、国民にすら最大の秘密を隠し続ける重圧。それは想像を絶するものだ。

 だが、国家を守るためには、その十字架を背負い続けるしかない。

 

「分かった」

 

 総理は決断を下した。

 

「テラ・ノヴァの存在は、引き続き最高機密として秘匿する。

 工藤氏の『空中都市ヤタガラス』の建造は許可するが、地球への持ち込みは『国家存亡の機(避難時)』のみに限定し、平時の遊覧飛行などは絶対に阻止しろ。

 どうしても地球に持ってくる場合は、彼の言う通り、完璧なステルス状態を維持させ、誰の目にも触れさせないこと」

 

「承知いたしました」

 

 日下部が深く一礼する。

 

「それと、日下部くん」

 

「はい」

 

「その『ヤタガラス』の居住区画だが。……いざという時のために、政府中枢および重要技術者の退避マニュアルを作成し、彼らの居住スペースだけは密かに割り当てておけ。

 もちろん、工藤氏には『工場の管理施設です』とでも言っておけばいい」

 

「……抜け目がありませんね、総理」

 

 日下部は微かに笑みを浮かべた。

 最悪の事態を想定し、自分たちの逃げ道(箱舟のプラチナチケット)だけは確保しておく。

 政治家としての冷徹な本能が、そこにはあった。

 

「では、本日の会議はこれまでとします。

 『位相干渉装置』、オフ」

 

 日下部がスイッチを切ると、重低音がスッと消え、部屋に元の無機質な静寂が戻ってきた。

 

 会議室を後にする閣僚たちの足取りは重い。

 彼らは知ってしまったのだ。

 自分たちが今、世界を欺きながら、同時に「人類の最後の箱舟」の建造を見守っているという事実を。

 

 日下部は一人、暗くなったスクリーンの前に残った。

 テラ・ノヴァの空に浮かび上がりつつある、全長3キロの巨大な鋼鉄の都市。

 それが東京の空に現れる日が来ないことを祈りつつ、彼はまた新しい胃薬のパッケージを開封した。

 

 工場は成長する。

 それはもはや、大地を這うだけでは飽き足らず、空を覆い、次元を超えようとしていた。

 世界の終わりの足音が、巨大な反重力エンジンの駆動音に混じって、確かに聞こえ始めていた。

 

 




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