自宅に届いた『惑星開発キット』で、社畜SEは異世界工場の管理者になる ~運用保守はもう終わり。現代の物資と無限の資源で、銀河規模の自動化帝国を築き上げます~   作:パラレル・ゲーマー

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第42話 キャンプ・デービッドの密約と銀色の小箱

 アメリカ合衆国メリーランド州、キャンプ・デービッド。

 カトクトイン山岳公園の深い森の中に、ひっそりと佇むこの場所は、歴代の大統領が週末を過ごし、そして数々の歴史的な外交交渉が行われてきた「聖域」である。

 一般の地図には記載されず、上空は飛行禁止区域。

 海兵隊による鉄壁の警備に守られたこのロッジに、一台の黒塗りの車列が到着したのは、霧の立ち込める早朝のことだった。

 

 ロッジ『ローレル』の広々としたリビングルーム。

 暖炉では薪がパチパチと爆ぜており、窓の外には霧に煙る森の木々が見える。

 静謐な空間だが、そこに漂う空気は張り詰めた弦のように鋭い。

 

 革張りのソファに向かい合って座るのは、日米両国の首脳だ。

 アメリカ大統領、ロバート・“ボブ”・ウォーレン。

 日本国内閣総理大臣、副島。

 そして、その背後にはそれぞれの腹心――ダグラス首席補佐官と、エレノアCIA長官。

 そして日本側からは、内閣官房の日下部駐在員が控えている。

 

 テーブルの上にはコーヒーとミネラルウォーターだけ。

 公式な記録員も、通訳さえも最小限に絞られた、完全なトップシークレット会談である。

 

「……良い朝だ、ソエジマ総理」

 

 ウォーレン大統領が、マグカップを片手に口火を切った。

 その口調は親しげだが、ブルーグレーの瞳は冷徹な光を放ち、相手の表情の微細な変化も見逃すまいとしている。

 

「ここに来る途中、森の中で鹿を見かけたよ。

 平和なものだ。

 ここだけは時が止まっているようだ」

 

「ええ、大統領。

 素晴らしい環境に招いていただき、感謝します。

 東京の喧騒を忘れさせてくれます」

 

 副島総理は、穏やかな笑みで返した。

 だが、その背筋は剣のように真っ直ぐに伸びている。

 今日、ここで行われる会話が、この国の、いや世界の運命を左右することを、骨の髄まで理解しているからだ。

 

「さて……」

 

 ウォーレンはカップを置き、前置きを捨てた。

 

「単刀直入に行こう。

 私は忙しいし、君もそうだろう。

 それに私のCIA長官が、ここ数日、私の執務室でヒステリーを起こしていてね」

 

 ウォーレンは背後のエレノアを一瞥した。

 彼女は鉄仮面を崩さず、直立不動で立っている。

 

「彼女が大慌てで捲し立てるんだよ。

 『日本は隠している』『医療用ナノマシンが存在する』『今すぐ会談して問いただすべきだ』とね。

 まるで宇宙人が攻めてきたかのような剣幕でね」

 

 ウォーレンは身を乗り出し、副島の目を射抜いた。

 

「どうなんだ、総理?

 実際、そんなSF映画みたいな物が本当にあるのかい?

 それとも、私の優秀な長官が働きすぎで、幻覚を見ているだけなのか?」

 

 直球の質問。

 逃げ場はない。

 だが、これは想定通りのオープニングだ。

 

 副島は、ゆっくりと頷いた。

 

「……イエスです、大統領。

 長官のご慧眼には敬服します。

 あります。実在します」

 

 その言葉が落ちた瞬間、部屋の空気が凍りついた。

 エレノアが小さく息を吸い込む音が聞こえた。

 ウォーレンの目が、僅かに見開かれる。

 

「……認めるのか?」

 

「ええ。

 同盟国である貴国に対して、これ以上隠し立てをするつもりはありません。

 我々はナノマシン技術の医療応用におけるブレイクスルーを達成しました」

 

 副島は日下部に合図を送った。

 日下部が一歩前に進み出て、手元のジュラルミンケースをテーブルの上に置いた。

 カチャリ、とロックを外す音が静寂に響き渡る。

 

 蓋が開けられた。

 ウレタンの緩衝材の中に埋め込まれていたのは、5本の銀色に輝くインジェクター(注射器)だった。

 シリンダーの中には、エメラルドグリーンに発光する液体が満たされており、暖炉の火を反射して妖しく揺らめいている。

 

「これが……」

 

 ウォーレンが思わず腰を浮かせた。

 美しい。

 兵器のようであり、宝石のようでもある。

 圧倒的な存在感。

 

「『医療用キット(Medical Kit)』。

 我々が極秘裏に開発した、生体修復用ナノマシン群です」

 

 日下部が解説を加える。

 

「貴重で、全部で100本にも満たない量しか用意できていませんが……。

 これが現物です」

 

「100本……?」

 

 ウォーレンは眉をひそめた。

 

「世界中で、たったそれだけか?

 量産はできないのか?」

 

「製造プロセスが極めて特殊かつ困難なのです。

 特殊なレアメタル触媒と、膨大なエネルギー、そして……ある種の『偶然性』に近い環境条件が必要です」

 

 日下部は淀みなく嘘をついた。

 実際にはバイオマター培養により量産体制が整いつつあるが、それを知られれば「もっと寄越せ」となるのは目に見えている。

 「希少であること」こそが、このカードの価値を高めるのだ。

 

「しかし、その効果は絶対です」

 

 日下部はタブレットを取り出し、ウォーレンの前にスライドさせた。

 画面に表示されるのは、これまでの臨床データだ。

 

 『症例1:下肢切断からの完全再生』

 『症例2:末期癌の消失』

 『症例3:重篤な心疾患の治癒』

 

 動画ファイルが再生される。

 切断された脚から骨が伸び、肉が盛り上がり、皮膚が覆っていく映像。

 ウォーレンは息を呑んだ。

 グロテスクだが、神々しい。

 これは治療ではない。

 再生だ。

 

「……信じられん。

 トカゲの尻尾じゃあるまいし、人間の脚が生えてくるなんて」

 

「あらゆる病、あらゆる外傷を治せる可能性を秘めています。

 いえ、治せます。

 これは人類が到達した『究極の医療』です」

 

 副島が静かに、しかし力強く断言した。

 

「大統領。

 我々は、この貴重な100本のうち、5本をアメリカ政府に贈与する用意があります」

 

「5本……だと?」

 

 ウォーレンは顔を上げた。

 少ないと言いたげな表情だ。

 だが、その5本がどれほどの価値を持つか、彼は瞬時に計算していた。

 5人の命。

 5人の重要人物を、死の淵から救い出せる権利。

 

「どう使うかは貴国にお任せします。

 難病に苦しむ要人を救うもよし、科学的検証のために使うもよし。

 これは日本から、同盟国アメリカへの変わらぬ友情と信頼の証です」

 

 副島は、あえて「友情」という言葉を強調した。

 それは「共犯関係」の言い換えでもあった。

 

「……効果の詳細を教えてくれ」

 

 ウォーレンはケースの中のインジェクターを凝視したまま、尋ねた。

 

「投与されれば、どうなる?

 副作用は?

 ゾンビになったり、精神に異常をきたしたりしないのか?」

 

「ご安心ください」

 

 日下部が答える。

 

「投与されれば、ナノマシンがDNA情報を読み取り、最適化を開始します。

 所要時間は約1分。

 その間に損傷箇所は修復され、老化や病気によって損なわれた細胞機能は、『全盛期』の状態へとリセットされます」

 

「全盛期……?」

 

「はい。

 見た目の老いを若返らせる美容整形のような効果はありません。

 皮膚のシワが消えたり、白髪が黒くなったりはしません。

 ですが中身は――内臓、血管、骨密度、免疫機能、神経伝達速度などは――20代のピーク時の数値に戻ります」

 

 ウォーレンは自分の手を見つめた。

 70代の皺の寄った手。

 時折襲う不整脈の恐怖。

 それらが消え、若き日のエネルギーが戻ってくる?

 外見は老人のまま、中身はスーパーマンになるということか。

 

「……恐ろしい効果だな」

 

 ウォーレンは呟いた。

 それは純粋な恐怖と、抗いがたい誘惑の混じった声だった。

 

「副作用は?」

 

「現時点では確認されていません。

 拒絶反応もアレルギー反応も皆無です。

 また治療後の『病の再発』も確認されておりません。

 ナノマシンの一部が体内に残留し、微細なエラーを修復し続けるため、実質的に『病気にならない体』になります」

 

 完全無欠。

 あまりにも出来すぎている。

 だが目の前にあるデータと、日本側の自信に満ちた態度は、それが真実であることを物語っていた。

 

 ウォーレンは長い沈黙の後、深いため息をついた。

 そして顔を上げた時には、政治家(プレジデント)の顔に戻っていた。

 

「……よく話をしてくれた、ソエジマ総理。

 これほどの国家機密を我々に開示してくれた勇気に感謝する。

 そしてこの贈り物を、アメリカ政府としてありがたく受け取ろう」

 

 彼は手を伸ばし、ジュラルミンケースの蓋を閉じた。

 パタン、という音が、契約成立の合図のように響いた。

 

「まずアメリカ国内で、数名に投与して効果を確認させてもらう。

 NIH(国立衛生研究所)が匙を投げた難病患者……あるいは、極秘任務で負傷した特殊部隊員で試そう」

 

「ええ、それが良いと思われます。

 その奇跡を目の当たりにすれば、私の言葉が嘘ではないとご理解いただけるでしょう」

 

 副島は頷いた。

 一度使わせればいい。

 その効果を実感すれば、アメリカは、この「供給源」である日本を何としてでも守ろうとするはずだ。

 これ以上の安全保障はない。

 

「しかし……100ロットか」

 

 ウォーレンは未練がましくケースを撫でた。

 

「世界中に配るには少なすぎるな。

 これを巡って戦争が起きかねない数だ」

 

「はい。ですから、今は極秘扱いです。

 ですが……将来、さらに増やせる可能性もあります」

 

 日下部が絶妙なタイミングで、補足を入れた。

 希望という名の餌を撒く。

 

「現在は製造が困難ですが、技術革新が進めば量産化の道が開けるかもしれません。

 その時は真っ先にアメリカへ供給枠を割り当てましょう。

 ……もちろん研究が順調に進めばの話ですが」

 

「なるほど。

 『金の卵を産むガチョウ』は、まだ成長途中というわけか」

 

 ウォーレンはニヤリと笑った。

 日本を生かしておけば、将来もっと多くの果実が得られる。

 ならば今は無理に腹を割くよりも、餌を与えて守るべきだ。

 合理的な判断だ。

 

「分かった。

 日本での研究を全面的に支持しよう。

 CIAにも、日本の『研究施設』周辺の警備を強化させるよう命じておく。

 ……中国のハエが、たからないようにな」

 

 ここで話題は、もう一つの懸案事項――中国へと移った。

 

「総理。

 中国の動きはどうだ?

 彼らも、この『薬』の存在に勘付いているようだが」

 

「ええ。嗅ぎ回っています」

 

 副島は表情を引き締めた。

 

「ですが、ご安心を。

 彼らには『匂わせ』ながら、この医療用ナノマシンを餌にして動かす予定です」

 

「餌にする?」

 

「はい。

 彼らには『日本と仲良くしていれば、いずれ薬が手に入るかもしれない』という幻想を抱かせます。

 いわゆる『寸止め外交』です。

 欲に目の眩んだ龍は、餌を求めて我々の掌の上で踊るでしょう」

 

 ウォーレンは楽しそうに喉を鳴らした。

 

「ハハハ!

 食えないな、君たちは。

 あのプライドの高い中国共産党を、鼻先の人参で操ろうとは。

 ……だが危険な賭けだぞ?

 もし彼らが『アメリカが既に手に入れた』と知れば、嫉妬で発狂して行動に出る可能性もある」

 

「その通りです」

 

 日下部が警告する。

 

「ですから、今回のアメリカへの譲渡は、絶対に外部に漏らさないでください。

 中国が絶望すれば、彼らは手段を選ばなくなるでしょう」

 

 日下部の声が低くなった。

 

「尖閣諸島周辺での『偶発的』な軍事衝突。

 新木場周辺の医療関係者の家族を狙った誘拐。

 あるいは日本の主要港湾施設での『原因不明の大規模火災』……。

 彼らはそういうグレーゾーンの報復を、平然とやってのける国です」

 

「分かった。注意を払おう」

 

 ウォーレンは真剣な表情で頷いた。

 

「この5個の使用に関しては、最高レベルの機密指定(トップシークレット・クリアランス)で行う。

 患者のカルテも改竄し、自然治癒に見せかける。

 中国には指一本触れさせんよ」

 

 会談は終了した。

 副島とウォーレンは暖炉の前で握手を交わした。

 その手には力がこもっていた。

 単なる外交儀礼ではない。

 「不老不死」という禁断の果実を分け合った、共犯者としての固い握手だ。

 

          ◇

 

 帰りの車中。

 防弾仕様のリムジンの中で、副島総理は大きく息を吐き、シートに体を沈めた。

 

「……終わったな」

 

「ええ。

 完璧な演技でした、総理」

 

 向かいに座る日下部が、ミネラルウォーターのボトルを開けて渡す。

 

「これでアメリカは『共犯者』になりました。

 彼らは自らの利益のために、日本の秘密を守らざるを得なくなった。

 『もっと欲しい』という欲望が、最強の盾になります」

 

「だが、嘘に嘘を重ねていることに変わりはない」

 

 総理は窓の外、流れる森の景色を見つめた。

 

「100個しかないと言ったが、実際は工藤氏の工場で量産されている。

 もしアメリカが、その事実を知ったら……今度こそ同盟は終わりだぞ」

 

「バレませんよ。

 テラ・ノヴァへのゲートがある限り、生産現場を見ることは不可能ですから。

 それに工藤氏は、あの性格です。

 『面倒くさいから政治家には会いたくない』と言って、アメリカの視察団なんて拒否するでしょう」

 

 日下部は苦笑した。

 工藤創一という予測不能な要素が、逆に防壁として機能している。

 

「……さて、次は中国か。

 アメリカに餌を渡した以上、中国の飢えは増すばかりだ。

 暴発させずに、どこまで引っ張れるか……」

 

「鬼塚さんに頑張ってもらうしかありませんね。

 国内に入り込んだ工作員の処理も含めて」

 

 リムジンは霧の中を走り抜ける。

 そのトランクには、日本が持ち帰るべき「アメリカの沈黙」という成果が積まれていた。

 

          ◇

 

 一方、ホワイトハウスへの帰路につくマリーンワンの機内。

 ウォーレン大統領は膝の上に置いたジュラルミンケースを、まるで赤ん坊をあやすように優しく撫でていた。

 

「……エレノア」

 

 ローター音に負けない声で、彼はCIA長官に呼びかけた。

 

「はい、大統領」

 

「この5本のうち1本だ。

 1本を至急、NIHの極秘ラボへ送れ。

 最高の科学者チームを集めて、24時間体制で分析させろ。

 成分、構造、ナノマシンの挙動……何でもいい。

 データを取るんだ」

 

「……分析ですか?

 投与実験ではなく?」

 

「投与は残りの4本でやる。

 だが……まあ、分析の成果には過度な期待をするなよ」

 

 ウォーレンは窓の外を見つめながら、自嘲気味に笑った。

 

「恐らく日本人が言っていた『全部で100ロットにも満たない』という言葉……あれは本当だろう」

 

「……とおっしゃいますと?」

 

「君の分析とも合致するからだ。

 いくら日本の技術が突出しているとはいえ、金属を動かすのと、生命を操作するのとでは訳が違う。

 医療用ナノマシンは、我々が想像する以上に繊細で、製造が困難な代物なのだろう」

 

 彼はケースを、壊れ物を扱うように慎重に撫でた。

 

「希少資源、莫大なエネルギー、そして偶然性……。

 日下部とかいう男が言っていた製造条件も、あながち嘘ではあるまい。

 世界中にたった100個弱。

 それだけの数が存在するだけでも、驚きに値する」

 

「……そうですね。

 現代科学からすれば、1個でも存在することが奇跡ですから」

 

 エレノアも同意した。

 26式のような兵器なら量産も利くだろうが、これは命を扱う神の道具だ。

 そう簡単にライン生産できるものではないという判断は理に適っている。

 

「ああ。

 だからこそ、サンプルを1本潰してでも、その『繊細さ』の正体を知っておきたい。

 我々には作れないとしても、その価値を正確に測るためにはな」

 

「御意。

 サンプルを1本、慎重に分析に回します」

 

 エレノアが頷く。

 ウォーレンの目は捕食者のそれではなく、希少な宝石を守ろうとする番人の色を帯びていた。

 

「それと、中国への監視レベルを上げろ。

 数が少ないなら、なおさらだ。

 奴らに1個たりとも渡すわけにはいかん」

 

 彼はケースを強く握りしめた。

 

「日本は『餌にする』と言ったが、飢えた獣は鎖を引きちぎるかもしれん。

 もし中国が強硬手段に出たら……その時は我々が介入する。

 『日本の技術を守る』という大義名分でな」

 

 ウォーレンは窓の外を見下ろした。

 雲の下に広がるアメリカの大地。

 この繁栄を永遠にするための鍵が、今、手の中にある。

 だがそれは、あまりにも少なく、儚い。

 

「……神の血か。

 どんな味がするんだろうな」

 

 彼は独り言ちた。

 その欲望の深さは、マリアナ海溝よりも深かった。

 

          ◇

 

 テラ・ノヴァ前線基地。

 地球側での緊迫した駆け引きなど露知らず、工藤創一はバイオチャンバーの前で腕組みをしていた。

 

「うーん……。

 やっぱり、増えるのが遅いなぁ」

 

 ガラス槽の中で、ゆっくりと分裂するバイオマターを見つめる。

 日産10個。

 彼にとっては「遅い」ペースだ。

 

「もっと効率よく増やせないかな?

 栄養剤に『エイリアンの死骸』を混ぜたら、ブーストかかるとか……?」

 

『推奨しません、マスター。

 不純物の混入は、生成されるバイオマターの品質低下を招きます。

 医療用としての純度を保つためには、現在のレシピが最適解です』

 

 イヴが冷静に却下する。

 

「ちぇっ。

 まあいいや。

 とりあえず余った分は、予定通り『ウラン弾』の研究に回そう。

 劣化ウラン弾(Uranium Rounds)……貫通力最強の弾丸だ。

 これがあれば、大型バイターもイチコロだぜ」

 

 創一はインベントリから貴重なバイオマターを無造作に取り出し、軍事用ラインへと放り込んだ。

 地球では国家予算並みの価値を持つ「神の血」が、ここでは「ただの弾薬素材」として消費されていく。

 

 その無自覚な浪費こそが、実は地球のパワーバランスを保つ最大の要因であることを、彼はまだ知らない。

 工場は今日も黒い煙と紫色の光を吐き出しながら、欲望と技術を飲み込んで、成長を続けていた。

 

 




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