傷付き倒れたジェフ達は、ウタハ達に回収され保健室で治療を受けた。
みんな全快したが、モモイだけは目を覚さない。
頭に包帯を巻き、苦悶の表情を浮かべる姿は、ミドリとユズ、先生のココロを抉る。
「……お姉ちゃん」
「な、なんでこんなことに……」
「ごめんねモモイ。 先生がしっかりしていれば」
ジェフも一方的にやられて悔しい気持ちだ。 これがネスだったらHPだけ全快してPPはゼロである。 ゲームでいうコンテニューだ。
ただしジェフはPSIを使えないので関係ない。
PPをあげる薬を飲んでもゼロはゼロである。 チカラなき無能力者は辛い。 ネスでさえ何もPSIは使えない初期の時点で、10くらいはあったというのに。
「くそ! アイツが父さんを攫った犯人か? だとしても、あそこまでのチカラの差があるなんて。 PKスターストーム、しかも最も強力なΩを使えるなんて相当だぞ……やっぱりネスがいないと、ぼくは駄目なヤツなのか?」
何か手は無いか。
エンジニア部と協力して、かつて使ったグッズの数々を揃えようか。
いや、先ずはスペーストンネルだ。 不幸中の幸いにも、ヤツが隕石を落としまくったお陰でスペーストンネルは元の能力を取り戻しつつある。
今、エンジニア部が動けないジェフの代わりに調整し、ネスと連絡を取っている。
情けないが、ここは友達のチカラが必要だ。
「ジェフ君」
先生が話してくる。
「君は何処まで知っているんだい? 合流する前、ある程度の事情は聞いているけれど……黒服が使っていたチカラについて教えてくれないかい?」
「アイツが使っていたのはPSI。 超能力です。 様々な種類がありますが、火種や着火装置もナシに火を放ち、液体窒素なども使わず相手を凍らせたりするチカラがある。 そして最後のはPKスターストーム。 とても強い超能力で「星を落とす方法」です。 限られた者しか使えない筈なのですが、ヤツはぼくの父さんやネスと関わり、そのお陰で使えたようでした」
「ジェフは使えるの?」
「残念ながら。 けれど超能力に対抗する術が無い訳じゃ無い。 科学のチカラで、ある程度は渡り合えるんだ。 だから、今度こそヤツにリベンジする……その為にスペーストンネルを直して、僕の友達、ネスと連絡を取って貰ってる。 悔しいけど、ぼくだけのチカラじゃヤツには勝てない……」
「わかった。 先生も大切な生徒を傷つけられたし、アリスを取られたからね。 黙っているわけにはいかない。 協力するよ」
「ありがとうございます」
そうこう話している内にウタハが保健室に入ってくる。 ジェフを見つけると、ネスと連絡が取れた事を告げた。
「ジェフ君、ネスと連絡が取れた」
「本当ですか! 良かった……」
「ただ厄介な場所にいてね。 スペーストンネルのサーチによるとネスは2年前の過去、しかも別の世界線軸にいるようなんだ」
「そんな、それじゃあ体をロボットにしても会えないのか……!」
「? ああ、過去に行くとワープのプロセスで生命が消えてしまうという話か。 だが生身でも移動できたヤツがいたとも聞いたが」
想像以上に複雑なネスの立ち位置に、頭を抱えると、ウタハが疑問を出してきた。
生身で過去に行ったヤツ。 ネスの家のお隣さん、ポーキーだ。
ヤツは最後の戦いの後、どこかの次元に逃げたらしい。 行方不明だが、案外どこかの島で好き勝手に生きているかも知れない。
「そんなんだよなぁ、アイツは一体どうやったのか……って、そんな話は後にしましょう。 それで、ウタハさんは何て言ったんです?」
「ミレニアムに向かうように言ったよ。 よく似た世界なら、その世界の自分達……平行同位体もいるだろうからね。 2年前となると技能が未熟な部分はあれど、きっと協力してくれる。 それに、ネスのいる過去はある意味では始発点ともいえるかも知れない」
「といいますと?」
「未来は生物の進化系統樹のように枝分かれしている。 選択の数だけ無数の枝があるんだ。 この世界もネスの世界から連なる1本の枝じゃないか、という考えさ。 もしそうなら、ネスの行動が未来の私達にも影響があるかもしれない」
「でも世界線そのものが違うとなれば、この世界への影響も無いのでは?」
「だから検証するのさ。 もしネスが過去の私にあ〜んなことやこ〜んなことをしたら、今の私の記憶や経験はどうなるんだろうね?」
「そんな、危険では?」
「ネスは悪い子なのかい?」
「良い友達です」
「ならヨシ」
即答するジェフ。 満足するウタハ。
置いてかれる先生やミドリ。 目を点にし、話に入れないでいた。
「もし駄目でも、スペーストンネルを調整していけば、ネスを迎えに行けるさ。 けれど絶対とは言い切れない。 迎えに行く前に悪いヤツや、攫われたアリスという子を悪用して大変な事になるかも知れない。 だから私達だけでも君のお父さんを探し、悪いヤツを倒す方法を探さないとな」
「そうですね……スペーストンネルのサーチ能力で、ぼくの父さんを見つけられますか?」
「既に試したよ。 キヴォトスのどこか、としか分からなかったが。 そこも更なる調整でより精度を上げれば判るさ。 それか君のお父さんは頭が良いのだろう? 向こうから連絡してくる可能性もある。 希望はあるよ」
「すみません、色々と」
「なに。 我が校の生徒も被害に遭った。 これは由々しき事態だ、協力するさ……スペーストンネル以外でもね。 君の言うペンシルロケットやボムを用意した。 持っていってくれたまえ。 それと君の服、ボロボロじゃないか。 裁縫が得意なヒビキに任せて、暫くはミレニアムの制服を着ていなさい」
渡された服に着替えるジェフ。
緑の服から一転、黒と白が映えるミレニアムの制服に様変わりした。
「似合ってるよ……さて。 あとは君の知識を借りてPSIを封じる機械とやらも作っているところだが……あと苺豆腐マシンとやらも」
「助かりますが、なぜ苺豆腐マシン……?」
「気になったからだ! そこに浪漫や興味があれば、貪欲にも知識を取り入れたいからね!」
ジェフは苦笑するしかなかった。
同時に暗い気持ちが幾らか払拭されたのだった。
ジェフは名も無き神々の王女のバッドエンドスチルの世界にいそう。それを過去と現代で何とかする的な
突然削除したら御免なさい…