…MOTHER3のアンドーナッツ博士は、2と同一人物かは怪しいかもですが、当作では同じという事に…
「父さんから連絡が来た!」
エンジニア部のガレージで声が響いた。
丁度スペーストンネルの機能を拡張できないか試みていた時だ。
「噂をすれば。 アンドーナッツ博士か」
「父さん聞こえる? 息子のジェフだ!」
暫し雑音のち、嗄れた、老いた父の声が鼓膜を震わせる。
いつぶりか。 大して時間は経っていない筈だが、焦燥と言おうか。 懐かしさすら感じた。
「おお、ジェフ。 繋がって良かった」
「今どこに!? 助けに行く!」
「是非そうしてくれ。 ついでにどせいさんも一緒だ」
「どせいさんもいるのか!?」
「です。 さらったよ わるいやつ。 いっちゃったよ わるいやつ。 どこへ? むかしへ。 ぷー」
父の声は別の、独特な言い回しが聞こえた。
どうやら本当にどせいさんがいるらしい。 前の冒険の時も何度か攫われ、またしても攫われていたとは。
父も攫われた事はあったが、こう何度もあるものか。 やはり技能がある者は狙われる定めなのか。
その意味ではアリスもやはり、何かしらのチカラを持っていたのだろう。
「犯人はやはり黒服なのか?」
「くろふく? 大福の仲間か? いや、私を攫ったのはポーキー・ミンチ君だ」
「なんだって!?」
まさかの犯人の名前に驚くジェフ。
ウタハたちは知らずに首を傾げるが、ジェフやネスたちにとっては、とんでもない大罪人の名である。
「どこかの次元に逃げると言っておいて、父さんを攫うとは。 何をさせられたんだ?」
「あー、問題ない。 それは解決した。 遥か未来のノーウェア島という場所で、ちょっとしたバカンスを楽しませて貰っただけだよ……色々あったがね。 後は現地のどせいさんと協力して、再び元の時代に帰ろうとしたんだ……一応、身動き取れないポーキー君を連れてね」
「そんな奴、放っておけば良いのに」
思わず口が滑ったが反省する気もなかった。
奴はギーグに肩入れしていた。 同い年くらいだったとはいえ様々に悪さをし、それらは許される事ではない。
ネスは未だ友人と思っているのだろうが、お人好しが過ぎる。 あいや、攻撃してきた時は容赦無かったから分別はしていたと思うが。
「私にも色々思う所があってね。 彼には悪い事をした。 絶対安全カプセルという、入ったら2度と出られない装置を作り、そして彼は入ってしまった。 一切の攻撃を受け付けないが、内からも外からも開けられない。 ある意味、彼にとっても周りにとっても、それが良かったかも知れないが……どうだろう。 私は間違っているかね?」
「急に聞かれても……間違ってないよ」
父さんをもう否定したく無い子供心もあって、そう答えるが当人ときたら曖昧で。
「そうかなぁ。 私は間違っている気がするなぁ」
島の少年リュカにした質問をジェフにぶつけ、また似たような言葉を羅列するアンドーナッツ博士。
たぶん、この手に正解は無いのだ。 哲学的な問題でもある。 ネスならもっと思う所はあるかも知れなかったが、今はそれどころではない。
「そんな話をする余裕があるようで良かった」
「まぁ聞いてくれ。 問題はその後だ。 新たに制作した特大スペーストンネルは、ワーププロセスを改良して命を落とさず過去に行ける優れ物となった。 だが時空間を移動中、不思議な事が起きた。 途中で安全カプセルが開いてしまったのだ。 しかも中にいたポーキー君を時空の狭間か何処かに落としてしまった。 いやあ、絶対なんて言葉はあっても、絶対ソノモノなんてありませんよ、と言われてきたが、本当だったな!」
「何やってるだ父さん!?」
流石にジェフも怒って良いだろう。
折角大罪人のポーキーを捕らえたのに、逃してしまうとは。 しかも、またしても別次元に行ってしまった可能性があるというのだ。
だが話には続きがあった。
「私も思う所がある相手だからね。 慌てて追いかけた。 その座標が別世界、ここキヴォトスなのだ。 問題は別の世界線なのか、どこの過去か未来か分からない点だな。 いやあ親子揃って不思議な世界に来たものだ。 ネス君の言っていたココロの国、マジカントもこうだったのか? いや聞いた限りではもっとメルヘンだったか……なんにせよ、そんな私は幸せ者だ」
「なんということだ……」
一難去る前から、また一難。
頭が痛い。 いよいよネスと合流したかった。
「その時だな。 ポーキー君の捜索拠点を築く上で、ジェフのいう黒服なる人物と出会ったのは。 黒いマネキンがスーツを来たようなビジネスマン風の人型存在……驚きはあったが、話してみれば中々分かる。 スペーストンネルやどせいさんの技術やネス達が使うPSIに興味を持ってくれたので、科学者として、教えられる範囲で教えてあげたよ」
しかもしかも、悪い話は続く!
黒服がPSIを使用したり、時空間や世界線を跳躍している臭いのは、やはりアンドーナッツ博士が絡んでいた。
それも脅迫されたとかではなく、自ら教えてしまっていたとは。 ビジネスマン風の黒服だ、言葉巧みに騙されたのだろうが、だとしてもやらかしには入る。
ジェフは珍しく憤慨した。
「ソイツにぼくや、周りの人は傷つけられたよ。 父さん、余計な真似をしてくれたね!」
「……そんな、まさか。 いや、しかし、ううむ……すまなかった」
「全く! こっちに来て、すぐ皆んなに謝って欲しい! 今すぐだ!」
「わかった……暫し待て。 ミレニアムサイエンススクールか。 スペーストンネルの調整が終わり次第向かおう。 一旦通信を切るぞ(ガチャン。 ツーツーツー)」
通信が切れた。
最初は感動の再会、とまでいかずとも声を交わせた喜びがあった筈なのに。
それが怒りに変わってしまうなんて。 ウタハ達はよく分からずオロオロとし、何とか事態を進展させるべく声を絞った。
「まあ、なんだ。 再会できそうだな」
「うん。 良かった」
「そ、そうですよ! それに父上が来れば、説明出来なかった事も出来る様になる筈です!」
「うん。 そうだね。 でも先生、モモイやミドリ、ユズが傷付いた間接的な要因だ。 それにアリスが攫われたのも。 先生、ぼくの父が迷惑をかけました。 本当にすみません」
父のやらかしとはいえ、息子として気まずさから謝罪を口にするジェフ。
だけど先生は首を横に振った。 ミドリとユズも同じだった。
「ジェフ君……君が謝る話じゃない。 それに本人が来るなら、私たちもその時に話すよ」
「うん。 ジェフ1人で背負い込まないでね。 お姉ちゃんもそのうち目が覚めるよ」
「私もそう思う、から。 それに1番悪いのは、博士を騙した悪い奴だと思う」
「先生、ミドリ、ユズ……ありがとう」
少し持ち直した空気を見計らい、ウタハは頼んでいたピザを取り出した!
「今は英気を養いたまえよ。 という訳でLサイズのピザを皆で分け合おうか」
「賛成。 今はそうするのが良いと思う」
「食べようとするとあら不思議! タバスコを自然とかけてしまいますよ!」
そうしてお姉さんズはジェフを励ましながら、ピザにタバスコをかけて食べさせた。
◇ジェフ達のHPが満タンになる!
「次はコンデスミルクをかけてみるかい?」
「やめてください」
それはたぶん、あまり美味しくなかった組み合わせである。
しかし、中には意外な組み合わせで美味しくなる食べ物もあり分からないものだ。
ただ何にでも合うから、何も悩まずに使えるマンダラふりかけが懐かしくなったジェフなのであった……。
なんかアンドーナッツ博士の株を下げてしまい申し訳ない気持ちも
ただ、ゲーム中ではあまり語られていない、どこかよそよそしかった親子の関係というか、考え方、性格の違い、実験や功績内容によるすれ違いがあったのかなと妄想したり
一度は仲直りしたように見えたラスボス戦後ですが、やはり人間、喧嘩もあります……その片鱗。 でも困難を乗り越えた親子ですので、また直ぐ仲直りする気もします