キヴォトスの街中にもゴミ箱はある。
ネスがよく知る形もあれば、自販機の横に置いてあるような蓋付きのリサイクルボックスもあった。
その箱表面にはキヴォトスの文化が色濃く反映されており、空薬莢の絵が描いてあったり、或いは弾倉といった、極度の銃社会ならではな様相である。
だからというか、ネスは好奇心と悪癖のままにチェック。 蓋を開けて回った。
◇ジャン! ゴミ箱の中身は空っぽだった!
◇ジャン! ゴミ箱の中身はゴミばかりだった!
◇ジャン! ハンバーガーがあった!
◇ネスはハンバーガーをグッズにしまった。
「ネス……その癖はどうにかならんのか?」
「ジェフだって壊れた機械とか取ってたじゃん」
眉間に皺を寄せるジェフだったが、ネスに反論されて目を逸らしてしまう。
ネスならオネットのハンバーガー店のゴミ箱からハンバーガー、ジェフならアップルキッドの家のゴミ箱から壊れた機械を取って修理、アンチPSIマシンにしたのが印象的だろうか。
「いや機械は問題なし。 だが食べ物はどうかと思う。 不衛生だぞ」
「お金が無い時は有り難いから……」
「今はそうでもないだろう」
確かに、冒険の後半は金に余裕ができたし、そもそもゴミ箱自体なかった。
プレゼントボックスや玉手箱はあったが……。
「あれ?」
ここでネス、遠くのゴミ箱が動いたのを見た。
自販機の横にあるような見た目の箱だ。
一瞬だったが、中に何かいるらしい。
「どうした?」
「あの青いゴミ箱、動かなかった?」
「何か生き物が入っているのか?」
「だとしたら助けないと」
「一応警戒しろ。 ゴミ箱に擬態する奴もいた」
過去の経験から警告するジェフ。
ネスは頷きバットを片手に、ジェフは銃を手に恐る恐る青いゴミ箱に近づき、勢いよく蓋を開けた!
◇ジャン! ミユがいた!
背丈は小さく兎耳のヘッドセットに青い制服。
弱気な表情に薄い影。 得物は狙撃銃の生徒。
SRT特殊学園1年生RABBIT小隊スナイパー。
霞沢ミユだった!
「ひゃあああ……!」
「うわぁ!? 中に人がいたぁ!」
「なんでこんな所に?」
驚く面々。
まさか人がゴミ箱から出てくるとは。 そのうちダンボールやドラム缶からも出てくるかも知れない。
……初代MOTHERでは、ロイドという機械に強い子や、その父らしき者がゴミ箱に入っていたので、共通点はある。
「み、見つかった……な、何か遮蔽物は……」
「ええと、こんにちは?」
「あ……えと……その……」
「ぼくはネス。 こっちはジェフ。 君は?」
「ミユ……霞沢ミユ、です。 SRTの……」
「そうなんだ? ゴミ箱の中が好きなの?」
ニコニコ笑顔で話し続けるネス。
犬猫や猿に牛、鳥といった動物だけでなく、砂漠の骨やゴマにも話しかけるコミュ力オバケで快活な野球少年はグイグイ来るが、影が薄く引っ込み思案のミユはオロオロするばかり。
逃げたい。 けれど話したい。 心が2つある〜。
「(話しかけたいけど、怖い……)」
「うん?」
だけど、そんな心の声をネスは拾えるからこそ、動物やそれ以外とも話せる節があるだろう。
「(私みたいな出来損ない……ここにいちゃいけないんじゃ……)」
「(温かいココアとか飲みたい……)」
「(ネスとジェフと友達になりたいな……)」
心の声、ダダ漏れ……!
それが聞こえてるとはつい知らず。
けれどもネスは意地悪せず、ニコニコと笑顔のまま、相手に合わせてあげるのだった。
「ミユ、ぼくたちと友達になってくれる?」
「えっ、あ、あ、うん……!」
「これ会えた記念に」
◇(ネスはハンバーガーを渡した)
「おいネス……」
「フォーサイドの邪魔な野次馬相手にも、似たようなことをしたじゃないか。 そうじゃなくても、これを手に入れた場所とミユが好きな場所は同じ場所。 ならコレもきっと好きなんだよ」
「今日のネスは酷い事をするんだな」
ジェフは少し眉間に皺を寄せた。
心が読めるからといって、倫理観や衛生概念が良いだなんて、誰が決めたというのだ。
そう言うジェフもまた、スノーヘッド寄宿舎で人のクッキーを奪ったのだが。
そんな事を何も知らないミユは、心がどこか通じた気持ちになって、晴れやかな表情を浮かべている。
「あ、ありがとう……あの、これ」
◇(ネスは さとりのいし を手に入れた!)
→せつめい
持ってるだけでコンセントレーションが乱されなくなる不思議な石。 PSI封じの妨害を防げる
プーの初期装備で、1点ものだったような記憶
「石を集めるのが趣味で……それ、とても良い石だったから……狙撃するとき、お守りにしていると、不思議と落ち着く気がするの。 ネスも、良かったら、ね」
「良いの? ありがとう!」
「良いのか、これで……」
知らぬが仏と言いますか。
MOTHERではよくある……のか?