混ざり合う世界へようこそ、47   作:メタ(ル)

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明日の世界へ

「━━というのが、並行世界で行われたもうひとつの聖杯大戦の概要です」

 

「…何か最後の方だけダイジェスト風だったね。

もしかして天草、その戦いでボコボコにされたのを根に持ってるから黒側の活躍をダイジェストで送って‥‥‥」

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

「いや、正解かい!?」

 

 

とある部屋の中でルーラー、天草四郎は今のマスターである橙色の髪をした少女、藤丸立香にもう一つの聖杯大戦の内容を語った。

今居る場所はノウム・カルデアと呼ばれる組織。

そこでは自身のマスターである藤丸立香が白紙化された汎人類史の修復のために剪定事象となった異聞帯の攻略のために動いていた。

その中で出てきたのがこの「もう一つの聖杯大戦」、ICAと呼ばれる組織に天草四郎は喧嘩を売ってしまったことによって、ゲームで例えるなら難易度ルナティックになったと言っても良いぐらい悲惨なおとになった聖杯大戦。

 

途中まで良い所だったのにその途中から急にダイジェストになっていったのは天草がまだボコボコにされたのを根に持ってるのだろう。

近くにはその関係者のサーヴァントたちが座っている。

立香の横ではこの前のぐだぐだ特異点によってルーラーのクラスに変わることのできるようになった「お虎ちゃん」こと長尾景虎が座って話を聞いていた。

 

 

「いやー、あの時は私も相当キレてましたけど、いざ戦いとなると楽しくて戦いに没頭してましたね」

 

「俺にわざわざ令呪でブーストさせて「これでイーブンですね」って言いながら真正面から突撃してきたのはさすがに度肝を抜いたぞ。

ケイローン先生ですら口をあんぐりしてたらしいし、バーサーカーよりバーサーカーしてるぜ」

 

「全くです。ルーラーである私にも令呪を使用して「思いっきり旗を振り回してほしい」って、わざわざ令呪をそんな無駄遣いするとは思いませんでした!」

 

「吾輩としては出会って数秒で槍を突きさしてきたのは解せませんなぁ。

いくら流れ弾とはいえ不憫すぎるのですがね」

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

 

実際に景虎と戦ったアキレウスとシェイクピア、アタランテは嫌味交じりの発言をすることがあり、ジャンヌは景虎を毎回みるとため息をつくようになったとか。

その関係者の中で特にアタランテと景虎の関係が最悪だった。

聞けばアタランテの願いを軍神スマイルの表情をしながら粗がある部分をマスターだった暗殺者と共に次々と心を抉るように*1指摘を繰り返し、彼女のメンタルをボロボロにさせながら倒したらしい。

それ以来アタランテは景虎を見るとトラウマを発症している。前にその話を聞いた景虎の好敵手こと晴信が何ともいたたまれない表情でアタランテをみことがしばしばあったとか。

こればかりはアタランテが不憫すぎて話を聞いていたイアソンたちアルゴノーツ組が景虎とアタランテを今の今まで遭わせないように何とかやっていたそうだ。

 

 

「そうだ、まだ景虎ちゃんってその世界からの情報が送られ続けてるの?」

 

「ええ、今でも常に座を経由して送られてきてますよ。

おかげで表情も豊かになりましたし、少しは人の心を知れましたので。」

 

「へぇ、じゃあその時のマスターだった暗殺者の人ってどんな感じだったの?かなり怖い人だったり?」

 

「いやぁ、案外面白い方ですよ。彼、暗殺以外にも多彩でして。

ドラムで即興演奏したり、画家顔負けの絵画をほんの1分で描くんですよね。ちなみにその絵画がこれです。」

 

「うわ、これ1分で描くとか凄いね。他でもないダウィンチちゃんが言うんだから。

でもその彼に苦手な分野はあったとか、聞いてない?」

 

「あまりそういうのは聞きませんでしたが‥‥‥あ、彼のハンドラー…俗に言うオペレーターでしたっけ、その人が言うには株投資が苦手らしいです」

 

「何か…意外と現実的だね」

 

 

景虎曰くICAで特に面白いのは毎回任務に失敗してもなぜか五体満足帰って来るスミスと呼ばれるエージェントで、特にお気に入りらしい。

今でもICAとは協力関係を継続しているのもあってICAからは信頼されており、一部のエージェント関係の機密情報や大規模任務のデータが見れるぐらいの立場になったとか。

ふと立香は思い出したかのように質問する。

 

 

「ICAとその暗殺者ってこの世界にもいるのかな?」

 

「ほぼ噂程度だけど存在はしてるっぽいよ、ICAもその暗殺者も」

 

「そうなの、ダヴィンチちゃん?」

 

「うん。そのICAは時計塔の情報によると存在してるらしいね、ただ少し弱体化してるっぽいけど。そう言えば、ゴルドルフ君がICAの連絡先を持ってるとか」

 

「新所長の人脈凄すぎない!?あ、じゃあ暗殺者の方は?」

 

「件の暗殺者、名前を47。

数々の暗殺任務を成功させるも一般社会では都市伝説扱いされてる暗殺者だね。

主にアメリカの「ファースト・エディション」誌で取り上げられたから立香ちゃんが知らないのも不思議ではないよ」

 

「確かこの世界だと大事件を起こしていましたよね、彼は。

2006年頃に当時アメリカ副大統領のダニエル・モリス氏と元FIB長官のアレクサンダー・リーランド・ジャック・ケイン氏を殺害したとか」

 

 

聞けば当時2006年頃では裏社会が騒がしかったらしく、それは当時の時計塔も迅速に情報収集で動いていたほどだった。

 

それは時計塔も聖堂協会すらも震撼させた戦い

 

ICAとフランチャイズによる全面抗争

 

フランチャイズ、アルファ・ゼロックスという通称"影の政府組織"の下部組織の一つ。

ホムンクルスの類似種であるクローンで構成された暗殺者集団『クロウズ』、またの名を『アルビノ暗殺団』を持つICAと同じ巨大暗殺組織。

下部組織にも関わらずICAと真正面から抗争を展開できるほどの実力があり、最終的にはICAを壊滅寸前にまで追い込むという大戦果を挙げた。

しかしながらここで待ったをかけたのが(この世界ではないが)景虎のマスターであった47。彼によって先述した2名が殺害されたことで両者痛み分けとなり、最終的には互いに干渉しあわないように契約を結んだそうだが、時代の流れなのかアルファ・ゼロックスはFBIとCIAの合同捜査本部によって解体されて、今ではICAが裏社会の暗殺組織トップに君臨しているという。

当時その抗争の現場を見た諸葛亮孔明の疑似サーヴァントであるロード・エルメロイⅡ世曰く、「聖杯戦争などと言う儀式の戦争ではなく、本物の戦争と差支えが無いレベルである。二度と関わるのは御免だ。」と愚痴を内弟子のグレイに漏らしていたことから相当な戦いだったのだと伺える。

 

 

「私としてはもう二度とICAとは関わりたくも無いですね。

あんな想定しようのない魔術礼装の銃弾といつのまにか手に入れていた亜種聖杯をどこからともなく持って来るので」

 

「同意見ですね。あのような人をただ命令に従い殺す組織に居てもこの戦狂いのルーラーのように碌なことになりませんので」

 

「はい?もしかして私の悪口ですか?

ならシミュレーターで殺り合いますか?」

 

「景虎ちゃん、ステイステイ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

カルデアにある食堂の一つ、その夜景が見える場所。

そこでは自身の子機として使用していた肉体を新たなサーヴァントとして成立させてカルデアに合流したかつてのホムンクルスであるジークが空を見つめていた。

彼の記憶にも天草四郎と激戦を繰り広げて邪竜へと進化した記憶もあれば、ある者の言葉をもとに激戦の末に人の姿をと邪竜の姿を同時に所有し世界を巡った記憶がある。

本来であればこの記憶も本体しか持てないようになっているはずなのだが、何らかの要因か、今でも鮮明に思い出せている。

 

 

 

 

「━━あなたも俺と同じように目的のために作られた存在だったんだな

 

「━━ああ。種族は違うが

 

「━━その…世界はどうだったんだ?あなたはたくさんの世界を観てきたんだろ

 

「━━広くも狭くも感じる。私が観てきたのは戦場と血にまみれた死体しかなかった

 

「━━そう、か‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥お前自身が世界を観てみろ。

 

「え‥‥‥?」

 

「お前自身の目で世界を観て生きれば良い。裏も表も、知ったうえで何をしたいか自分で決めてみろ。」

 

「‥‥‥‥‥‥。」

 

「私のような血に塗れた暗殺者(アサシン)のようにはなるな。

お前はまだ"若い"。世界を、旅をしてみろ」

 

「‥‥‥分かった。世界を観てみる」

 

「‥‥‥それでいい。道を踏み間違えるな、少年

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

それから聖杯大戦が終わったジークは世界を旅した。

 

時に人が死ぬ戦場を、

 

時に豊かな自然を、

 

時に人と人の関わりを、

 

 

いくつもの景色を観て、沢山の知見を得た。

何をしたいか、それは今はまだ思いついていない。

しかし、前には進んだだろう。

「やりたいこと」ではないが「まだ見ぬ世界を観たい」という夢を持つことができた。

 

 

「ありがとう。」

 

 

それは誰に対していったのか。

ジークは言い終えると食堂から退出した。

手には世界各地の観光名所の載った本が。

その中のページの一つ、

アマルフィ海岸の宝石!イタリア:サピエンツァ』にしおりが挟まれていた。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

「━━何としてもカルーソーの計画を阻止するのよ、47。準備は一任するわ」

 

「ああ‥‥‥了解した。」

 

 

 

 

 

*1
本人は無自覚でやってるから質が悪い




藤丸立香…Fate/Grand Orderの主人公。人類最後のマスターとも呼ばれ、魔術王による人理償却を防ぐために人理修復をした元一般人現魔術師。時系列は2部4章辺り。

ダヴィンチ…キャスターのサーヴァント。愛称はダヴィンチちゃん。FGOストーリー開始以前にカルデアに召喚されていた。なお、現在は‥‥‥

ゴルドルフ・ムジーク…第2部からカルデアの新所長になった人物。魔術師の中では滅茶苦茶善人。ちなみに父親はApocryphaの黒のセイバーのマスターだったゴルド・ムジークだったりする。

ダニエル・モリス…『Hitman: Blood Money』に登場。アメリカ合衆国副大統領で『アルファ・ゼロックス』の一員。後述するアレクサンダーと共に47によって殺害される。

アレクサンダー・リーランド・ジャック・ケイン…同じく『Hitman: Blood Money』に登場。元FBIの長官で『フランチャイズ』の幹部。下部組織の『クロウズ』を用いた暗殺を何度も繰り返し、最後は作中で述べた「ファースト・エディション」誌の記者と共にある葬儀で殺害された。

なお、FGOの世界線では『Hitman: Blood Money』に類似している出来事は起こったがICAが壊滅していない、『アルファ・ゼロックス』が解体されているというように違いがあるため『Hitman: Blood Money』と同一世界線ではない。



Q&A


47がジークに対していつもとは違うような感じで接していたのは何で?

A.ジークに昔の自分を重ねたから。同じ「ある目的のために作られたもの」という共通点もあって47自身のような血まみれの道ではなく他の道に進む姿を47が望んでいたから。
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