喫茶店夢ぶくろ物語   作:八木沢翠悠

1 / 1
喫茶店夢ぶくろでの過去の回想です。水梨綾香は幼い頃にパパのおみやげのたい焼きが食べられなかった思い出を回想します。


第1話 食べられかったたい焼き

2026年2月15日の午後、水梨綾香(みずなしあやか)は喫茶店夢ぶくろのドアを開けました。ガランゴロンとドアベルが鳴りました。綾香が中に入るとドアが閉まりました。綾香は

「お外、冷凍庫並みで凍りそうでしたぁ」

と独り言を言ってピンクの手袋と黒のダウンコートを脱ぎました。

黒髪ポニーテールヘアとピンクのカーディガンの下に真っ赤なニットワンピースと黒のレギンスと赤紫の雪道用ロングブーツが見えました。そして綾香は

––寒い日には、これに限るぅ。

と思って、ホットココアとあんこチョコクレープを注文しました。

しばらくして、ホットココアが届きました。それからあんこチョコクレープも届きました。綾香はあんこチョコクレープを食べながら幼い日の事を思い出しました。

 

2004年12月8日の朝、綾香は綾香のパパに

「パパ、おみやげにたい焼き買って来てね。」

と言いました。するとパパは綾香に

「うんわかった。起きててまっててね。」

と言ってお仕事に行きました。

パパは和菓子やチョコレートをおみやげに買って来ることも多かったですが、たい焼きには手作りの味があるようで綾香はたい焼きの方が大好きでした。さてその日、綾香は朝食を食べてお着替えしながらテレビを見て幼稚園に行って帰ってきて夕食を済ませてテレビを見てパパの帰りを待ちました。

ところが、その日は寒い日でそのせいかパパはなかなか帰って来ませんでした。綾香は

––パパ遅いな。たい焼き買って来てくれるかな。

と思っていると綾香のママが綾香に

「もう8時半ですよ。今日は寒いから早く寝なさい。」

と言いました。それでも綾香が寝床で起きているとママが

「もう9時前ですよ。綾香ちゃん、寝なさいったら寝なさい。」

とちょっと怒り声で言いました。それでも綾香が寝床で起きているとママが、

「もう9時半ですよ。綾香、寝なさいよ寝なさいったら寝なさい。」

とブチ切れて言いました。それで綾香はママに

「うんうん寝るよ。」

と言ってコックリ2回しました。綾香は眠りに落ちて行きました。

次の朝、綾香はパパに

「パパ、昨日たい焼き買ってきた?」

と聞きました。するとパパは、

「買って来たよ。でも、綾香ちゃんはコックリ2回して眠っちゃったから

起こさなかったよ。」

と言いました。すると綾香はパパに

「綾香の分は?」

と聞きました。するとパパは綾香に

「悪いけど、冷めるとまずくなるからみんな食べちゃったよ」

と言いました。綾香は、

––パパはなぜあたしを起こしてくれなかったかな。それに、なぜあたしは起きなかったのだろう。

と少し不満に思いました。このことは綾香の心に深く刻まれて、綾香がたい焼きやあんこを見るたびに蘇りました。

 

今目の前のあんこチョコクレープを見てそれを思い出していました。そして、寒い夜のお仕事帰りにたい焼きのお店を探してたパパの様子を想像して、そのご苦労がちょっぴり分かりました。

休憩が終わって、綾香は身支度をしました。それから綾香はあんこチョコクレープ2個にテイクアウトを頼んでレジでお会計する時受け取って持参のエコバッグにそれをしまいました。そしてお店の人に

「このお店、気に入ったからまた来ますね。」

と言ってお店を出ました。

風に舞う雪が微笑んでいました。

 

 

 




皆さんも幼い頃の食べ物にまつわる思い出を確かめて見ませんか
綾香がまた喫茶店夢ぶくろに来ると次のお話が始まる予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。