主要登場人物紹介
▷和子(カズコ)/礼和国 海皇家第二皇女
享年18歳。敗戦後、進駐軍総司令官の前で自ら命を捧げ、国を滅亡の危機から救った。魔導士の暴走によって首と胴体が離れたまま 蘇った。現在は「国立忠国皇女記念館」で、自分の首を右脇に抱えた姿で展示されている。実は蘇生した当初から意識があるが、ある事情で来館者の前では人形のふりを貫いている。凛とした気品と深い覚悟を持つ一方、笑いの沸点が低いのが悩み。
▷山田 崇(タカシ)/記念館の夜間清掃員・20歳
北の港町の出身で、母ひとり子ひとりで育った青年。夜の記念館で皇女の秘密を知ってしまい、以来、唯一の理解者となる。腕っぷしが強いわけでもない平凡な若者だが、人の痛みには誰よりも敏感で、頼まれると断れない。皇女の無茶な願いに振り回されながらも、彼女を守るために動き続ける。
▷東郷 平九郎(トウゴウ ヘイクロウ)/皇室庁特別顧問・101歳
元海軍提督にして、幼い頃の和子の教育係。皇女への忠誠心は人一倍で、毎朝欠かさず万歳三唱を捧げる。声も感情表現も並外れて大きく、意図せずして和子の腹筋の大敵となっている。頑固で融通が利かないが、皇女を思う気持ちは本物である。
▷斑目 慎之助(マダラメ シンノスケ)/帝国陸軍魔導士
治癒と回復を得意とした、礼和国最後の魔導士のひとり。多くの将兵の命を救った。かつて皇女から直接声をかけられたことが、忘れられない支えとなった。彼が皇女に施した術が、すべての始まりである。
▷加藤 義国(カトウ ヨシクニ)/海皇家に仕えた老臣
白い山羊髭に燕尾服、仕込み杖を携えた老人。皺深い顔からは感情が読み取れず、皇女が全幅の信頼を寄せた剣の達人。写真を一枚も残さなかった無骨な忠臣として、いまも語り継がれている。
▷春仁(ハルヒト)/礼和国皇太子・18歳
現海皇の長男であり、和子の甥にあたる。その天性の美しさのため、侍女達は彼を《絶世の美女》に育て上げてしまった。しかし本人は「れっきとした礼和男児」のつもりで、男らしくありたいと真剣に悩んでいる。ただし口を開けば、言葉遣いは完璧なお嬢様である。
▷デビッド・ライゼンバーグ/アメリアナ進駐軍総司令官
戦勝国の総司令官として礼和国に君臨し、その国体を消し去る「五箇条の方策」を掲げた人物。皇女との一度きりの対面が、彼と礼和国の運命を大きく変えることになる。
▷鵜戸野 大介(ウドノ ダイスケ)/記念館職員
見上げるような巨漢で、力は規格外。純粋で心優しいが、算数は苦手で、加減を知らない。皇女への敬愛は誰にも負けないほど深い。職員募集面接でなぜか採用されてしまう。
▷佐藤 満(サトウ ミツル)/記念館職員
燕尾服で面接に現れた、生真面目で緊張しやすい中年男性。首が180度回るという、役に立つのかどうか分からない特技を持つ。祖母は自称・霊媒師だったという。
▷脱糞 馬場(ダツクソ ウマバ)/記念館職員・97歳
「だっぷんババア」と呼ばれることを何より嫌う、関西弁の老婆。帝国女学院出身の誇りを持ち、気は強い。ただの高齢の応募者に見えるが、その素性は不明。彼女も鵜戸野、佐藤と同時に面接で採用される。
▷田端 耕作(タバタ コウサク)/記念館館長・51歳
黒縁の丸眼鏡に七三分け、ちょび髭という実直な中間管理職。個性的すぎる職員たちと、皇室庁の無理難題との間で、日々胃をすり減らしている。常識人であるがゆえに、この記念館で起きる出来事にいつも巻き込まれる。
▷ヴィクトリア・フォン・ローゼンベルク/ゲルマニア帝国軍人
名門ローゼンベルク侯爵家の長女で、IQ300を超えるといわれた天才。20歳の若さで帝国軍の総司令官に就いた。大洋戦争ではその知略で敵国を翻弄したが、敗戦し戦犯として処刑される。しかしマッドサイエンティストの手によって首と胴が離れたままよみがえる。その来訪が皇女記念館に大きな嵐を呼ぶ。