ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 非公式二次創作小説 『リゾートバイトとはぐれ一匹』 作:スマラカタ
今回の第二話のサブタイトルは、キングオージャー主題歌の『全力キング』とブンブンジャーの『届け屋』から連想してつけてみました。
今回は、吠にとって重要なあのキャラの話が早速出てきますので……なので、ゴジュウジャー本編第一話を見直すと、きっとこの話をより楽しめると思います!
……ということですので、ここからが本編スタートです!
それから、俺たちは、遠野さんや美咲ちゃんたちと一緒にバイトを頑張って行くことになった。初日から大変なことも大量にあったが、みんな良い人だから全然苦にならなかった。というか、遠野さんが滅茶苦茶頼りになった。なんというか、俺たちの五倍は働いているし、とんでもなく手際が良かったのだ。
「……あの、美咲ちゃん。ちょっと聞いてもいい?」
「どうしたの?」
「あ、いや、遠野さんのことなんだけど……なんで、あんな手際いいんだろうなってさ。 この間、入ってきたって話のわりには滅茶苦茶頼りになるし……」
俺が疑問に思いながらそう言うと、美咲ちゃんは思わぬことを言ってきた。
「あぁ、やっぱり気になるよね。」
「え、やっぱりって?」
「えーとね。驚かないで聞いてほしいんだけど、あの遠野さん。実は、色々なバイトを経験してきたアルバイターさんなのよ。あたしが聞いた話によれば、確かコンビニ、青果店、コンセプトカフェ、お化け屋敷スタッフ、ハチミツ専門店、かき氷屋、餅屋、フードデリバリー、古着屋、パーティー会場のスタッフ、神社でしょ? 後、それから……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
俺は思わず、苦笑いしながら指で数えていた美咲ちゃんを止めてしまった。
え、まだあるの!? てか、どんだけ幅広くやってんだ! すげえな、おい!
俺が美咲ちゃんにそんな反応していると、横で聞いていた遠野さんが怪訝そうな顔で俺に尋ねてきた。
「……どうした? そんな妙な顔しやがって。」
「あ、いえ、その、美咲ちゃんから遠野さんのバイト歴の話を聞きまして……」
俺がそう言うと、彼はどこか納得したような顔でこう言った。
「……そういうことか。まぁ、普通の奴は驚くよな。俺の仲間ですら最初は驚いてたし。」
「え、仲間ですか?」
俺がそう言うと、彼は先程と一転して、どこか懐かしむような穏やかな笑顔で言った。
「……あぁ、最高の仲間だ。俺にとっちゃ、凄く大切な、一緒にいたら楽しい奴らなんだ。」
その言葉を聞いて、俺はなぜかわからないけれど、遠野さんのこの言葉はきっと嘘じゃない。全部本当なんだろうなと、直感的にわかってしまった。遠野さんが直接そう言ったわけじゃない。だけど、それでも、なんとなく心の底からわかってしまうのだ。
俺がそのことに呆然としていると、藤林が俺に心配そうな様子で声をかけてきた。
「おーい、服部。大丈夫か? なんかぼーっとしていたけど。」
「あ、いや、大丈夫。気にしなくて大丈夫。」
「そうか? いや、それならいいんだけどよ……。それより、旦那さんが次の仕事頼みたいってさ。行こうぜ。」
「あ、うん。わかった。」
それから、俺たちは旦那さんに言われて、納品だの、洗い場だの、部屋の掃除をしっかりと毎日行っていった。正直、毎日楽しかった。美咲ちゃんは明るいし、遠野さんは癖が強くてパワフルだし、友人たちも一緒だったから最高のバイト生活になっていた。
そんな日々に徐々に慣れつつあった頃。俺が遠野さんと一緒に廊下の掃除をして、休憩時間になった時、少し気になった事があったので、彼に尋ねることにした。
「そういえば、遠野さん。ちょっと質問あるんですけどいいですか?」
「……? どうした、服部。そんな改まって。」
「……いや、その、遠野さんは、どうしてこのバイトを選んだのかなって。」
俺が緊張しながらそう言うと、彼は一瞬唖然とした後、少し穏やかに笑いながら言った。
「……んなもん。生活のために決まってんだろ?」
俺はそれを聞いた時、思っていたよりも結構衝撃的だった。
「え、生活のため?」
「あぁ。高時給、住み込み、まかないありなんて最高の条件だろ?」
「まぁ、確かに……」
それはそうだ。リゾートバイトなんてそれが条件みたいなものだもんな。遠野さんの考えも納得できる。
俺がそう思っていると、彼は思わぬことを続けて言った。
「それに、管理人や竜儀に家賃とか、色々ツケてもらってるからな。それも支払わねえとだしな。」
「え、ちょ、ツケ!? どういうことですか!?」
それ、色々大丈夫なのか!? なんか逆に心配になってきたんだけど……
俺がそんなことを考えながら言うと、彼はどこか気まずそうな顔で言った。
「……まぁ、こっちにはこっちの事情があるんだ。これでもちゃんと払うとは約束してっからな。だから、こうしてバイトに来てるわけだしな。」
「あ、そうなんですね。というか、びっくりしましたよ。急にツケなんて言うので……」
呆れたようにそう言った後、遠野さんは一瞬考えた後にこう言った。
「……てか、そういうあんたはどうなんだ? 俺だけ言うってのはなんか不公平だろ?」
……確かにそうだ。遠野さんだけに言わせて、俺だけ言わないってのは不公平か。
俺は少しの恥ずかしさを抑えつつ、彼に事情を話すことにした。
「……そうですね。俺は、最初に友人で海行きたいなって話になりまして。」
「へぇ、いいじゃねえか。」
「それで、計画の途中で、友人が海でバイトしようという提案になりまして。……まぁ、少しナンパしてみたいっていう下心もありまして。」
俺が若干苦笑いしながらそう言うと、遠野さんは穏やかな感じで笑った。
「……ふっ。」
「あ! ちょ、今笑いましたね!? いや、自分もこれは浅はかだったなって、今は思いますけど!」
事実、遠野さんの話を聞いて、ちょっと浅はかだったなって思ったのだ。だって、俺はナンパ目的も兼ねてノリで決めちゃったからな。彼の生活のためのように切実な理由でもなかったし。
俺が内心反省していると、遠野さんが一瞬目を閉じた後、少し遠い目をしながら呟いた。
「……そういや、こんな感じの話を、堤とだいぶ前にやったんだったな。」
「え、堤さん?」
俺がそう言うと、彼は頷いて教えてくれた。
「あぁ、堤なつめ。俺の元バイト仲間でな。その時は、確かライブの資金のためにバイトしてたって言ってたな。」
「え、ライブですか?」
「あぁ、『俺の曲を届けたい人がいるんです』って、あいつは言っててな。だから、『バンド界ナンバーワンを目指すんだ』って教えてくれたんだ。」
「……なんというか、凄い人がいるんですね。」
「あぁ、俺もあいつは凄えと思ってるぜ。」
遠野さんがそんな感じに穏やかに笑った。きっと、その堤さんという方は、遠野さんにとってすごく大切な方なんだろうな。
俺がそんなことを考えていると、彼は思わぬ質問を投げかけてきた。
「……で、この時に、俺はその堤に『夢や願いはあるのか』と聞かれたわけだが。お前はどうなんだ?」
「え? ……お、俺ですか!?」
この質問には素で驚いてしまった。こんな質問をされると思ってなかったからだ。
俺が動揺して言葉に詰まっていると、彼は穏やかな笑顔で頷いて言った。
「あぁ。……ちなみに、俺は『フランクフルト超山盛り食ってみてぇ』とか『仲間と一緒に過ごしたい』とかそんな感じなんだが……。」
「え、それが遠野さんの大切な『願い』……ですか?」
「そうだぞ。俺にとってはな。……意外だったか?」
「……そう、ですね。正直、夢や願いって、もっと大きいものなのかなって思ってましたので……。」
俺がそう言うと、遠野さんはどこか達観したような笑顔で言った。
「もちろん、堤とかみてぇに大きい夢や願いでもいいと思う。……でもよ、俺みてぇに小せぇ願いってのもいいと思うぜ? 願いに大小なんてないんだからよ。」
「……!」
……願いって、そんな感じの在り方でいいのか。今までずっと、それこそ堤さんの話みたく、大きな夢とか願いを持たなきゃ駄目だって思ってたけど、こういう形もあるのか。
俺がこの新たな気づきに感激していると、彼は尋ねてきた。
「……で、もう一度聞かせてくれ。服部。……お前の夢や願いってなんだ?」
「……俺の、『願い』。俺は……」
彼の質問にしっかりと考えて答えようとしたその瞬間だった。
「ちょっとごめんね、遠野さん、服部くん! そろそろ休憩時間終了だよ……って。あ……」
この何とも言えないタイミングで、美咲ちゃんが来たのだ。これには思わず、俺と遠野さんは彼女にツッコミを入れざるを得なかった。
「ちょ、美咲ちゃん!? 今!? 今来るの!?」
「おいおい……もうそんな時間かよ! ……早すぎだろ、おい。」
俺が赤面しながら、遠野さんはかなり不満げにそう言うと、美咲ちゃんがかなり慌てながらこう言った。
「ほ、本当にごめんなさい! 結構待ったんだけど、全然出てこなくて……それで……」
……それは、確かにそうだな。こればっかりは、俺も、遠野さんも、美咲ちゃんも全員悪くない。俺自身は滅茶苦茶恥ずかしくて悶えたくなったけど、こればっかりは仕方ない。あの状況なら俺でもそうする。というか、ほとんどの人がせざるを得ないだろう。
そんなわけで、俺たちは、この悶えるほどの恥ずかしさをなんとか抑えてから仕事に戻ることにしたのだった。
皆様、お読みいただきありがとうございます! スマラカタです! 今回の回はいかがだったでしょうか。
今回の話では、吠に『堤なつめ』の話をさせてみたのですが……どうでしょうか。正直、これ、滅茶苦茶入れたくてですね。というより、この話はゴジュウジャーというものにおいて、相当大事だなと、一視聴者として、あの作品を見てて思いましたので。
前書きにも書きましたが、ゴジュウジャーの本編第一話を見返して、これを読んでいただけると個人的には嬉しいなと思っています。
それはそれとして、今回のサブタイトル作りは意外に苦戦しまして。改めて、プロの方って凄いなと、感動の嵐になっておりました。もう少しタイトル作り頑張ろうと思います。
さてと、そんなわけですが、色々拙い文章かもですが、どうか今後も応援してくだされば幸いです。
感想、質問など色々ありましたら、どうぞ気軽に送ってくださると嬉しいです。