でも変わりたいと思う気持ちわかります...。
翌日、オパールは本当に材料を抱えてやってきた。
「じゃじゃーん!見て!見てください!」
色とりどりの布、リボン、そして小さな宝石のかけら。オパールの宝庫から持ってきたのだろうか、どれも美しく輝いている。
「これで、ギデオン先輩をきれいにするんです!えへ~」
「…本当にやるつもりなの…?」
「当たり前です!さあ、このオパールに任せて、先輩はじっとしててください!」
オパールは器用に布を巻き始めた。僕の包帯の上から柔らかな布を重ねていく。
「ここにリボンをつけて…あっ、この宝石もつけちゃいましょう!」
小さな手が、僕の体を飾っていく。不思議と痛くはなかった。オパールの動きは慎重で優しかった。
「ギデオン先輩の角カッコいいですね!ここにも飾りをつけましょう!」
「オパールは怖くないの…?」
「え?何がですか?」
「僕の体…黒曜石は鋭い。触れたら、傷つくかもしれない…」
「大丈夫ですよ!」
オパールはにっこりと笑った。
「ギデオン先輩は優しいですから、私を傷つけたりしません!えへ~」
「…」
その言葉に僕は何も言えなくなった。
「あ!でも、ちょっと痛っ…!」
「!」
オパールが指を痛めていた。僕の黒曜石の破片に触れてしまったのだろう。
「ほら…やっぱり…」
僕は自分を責めた。やはり、僕は存在しているだけで他人を傷つける竜族の失敗作なのだ。
「大丈夫です!ちょこっとチクっとしただけですから!このくらいなんともありません!えへ~」
「でも...!」
「うええええん…!ギデオン先輩、わたしのこと信じてくれないんですか…!」
突然、オパールの目に涙が浮かんだ。
「あ、いや、そういうわけじゃ...」
「本当ですか…?本当に信じてくれますか…?」
涙目で見つめられて、僕は思わずうなづいた。
「…うん」
「やっぱり!ギデオン先輩は優しい先輩ですね!えへ~」
涙はすぐに引っ込んだ。オパールは再び、嬉しそうに飾りつけを始めた。
しばらくして、オパールは満足そうにうなづいた。
「よし、できました!鏡は…ないですよね。じゃあそとに出て水面を見ましょう!」
「外っ…!?」
「はい!明るいところで見たほうがきれいだと思いますよ!」
僕はためらった。でも、オパールの期待に満ちた瞳を見て、断ることができなかった。
「…ちょっとだけなら…」
ゆっくりと洞窟の外へと歩き出す。
光が包み込んだ。まぶしい。でもオパールの作ってくれた布が、少しだけ光を和らげているような気がした。
「ほら、あそこに泉がありますよ!」
オパールに導かれて、泉のほとりに向かった。水面を覗き込む。
そこに映っていたのは…確かに、いつもの僕とは違う姿だった。色とりどりの布と宝石が、黒曜石の暗い色を華やかに彩っている。
「どうですか?きれいでしょ?えへ~」
「…!うん……。」
嘘ではなかった。確かにきれいだった。でも---
「僕はまだ、自分が醜いと思う」
「えー!どうしてですか!」
「表面を飾っても…中身は変わらない。僕は黒曜石だ。ただの…ガラスだ」
僕の声は、震えていた。オパールの努力を無駄にしたくはないのに、どうしてもそう思ってしまう。ピラに飾り付けてもらった時にうまくいかなかった思い出がよぎってズキリ痛む。
「…ねぇ、ギデオン先輩」
オパールは少し、考え込むような顔をした。
「じゃあ、もっと外にでて、みんなに見てもらいましょうよ。きっとみんなもきれいだって言ってくれますから!」
「それは…」
「大丈夫です!私が一緒にいますから!えへ~」
オパールに手を引かれて、僕は水と炎の地へと向かった。