【トリッカル二次小説】夜空を舞う黒曜石   作:赤銀

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どんなキャラを出すか迷いましたが、
今日の内にかけるだけ書かないと忘れそうなので頑張りました。

追記:ティグは見たまんまを言うだけなので次の話まで我慢してほしい


真昼の夜鷹

水と炎の地にはほかの竜族がいた。

 

その中心に立つのは、序列第1位の竜ーーダイヤモンドを象徴するダーヤだった。

 

オパールに手を引かれながら、恐る恐るその場所へと足を踏み入れた。ほかの竜族の視線があるところはかなり苦手だけど、ダーヤがいる場所なら、そこまで俯きがちにならなくても済む。

 

ダーヤとは昔は一度対立し、激しく戦いあった相手だが、今では和解して一定の距離を保ちながらも僕の中で数少ない友達といえる。

 

ダーヤは僕の姿をとらえて、静かに微笑んだ。

 

「ギデオン。久しぶりだね。それに…その姿、とてもよく似合っているよ」

 

その言葉にぼくは思わず顔を上げた。ダーヤの透明で完璧な輝き。 きらめくダイヤモンドのような圧倒的な美しさ、竜族としての完璧な姿。それを前にすると、少しだけ心の中で小さな嫉妬が渦巻く。

 

「…ありがとう、ダーヤ」

 

ぼくはそう答えるのがやっとだった。

 

「君が外に出るなんて珍しい。せっかくだから、教主様にもその姿を見せてあげるといい」

 

ダーヤの言葉に、ぼくは少し驚いた。

 

「え…でも、僕なんかが…」

 

「…本当に、いいの?」

 

「ああ。行っておいで」

 

僕は小さくうなづいた。

 

「ダーヤ。ありがとう…」

 

オパールは嬉しそうに、「えへ~先輩すごい!」と飛び跳ねた。

 

教主の住む妖精の国に向かうはずだった。いつもなら飛んで向かうけれど、今回は昼間だし、オパールがいるので、ゆっくりと足を運ぶ。

 

けれどどうやら道に迷ってしまったようだ。

 

「あれ…おかしいな。こっちだと思ったんだけど…」

 

気付けば、獣人たちの暮らす森の入り口に立っていた。 木々の隙間から、獣人たちの声が聞こえてくる。

 

「ギデオン先輩! ここは道を聞いてみませんか?」

 

オパールが明るく提案する。その問いに答えるまもなく、向こうからこちらに気づいたようだった。

 

「あれ、誰かいるのだ?」

 

現れたのは、狐のような耳を持つルポだった。その後ろには虎の獣人のティグが立っている。彼らとは教主の宴会場で何回か見かけたことがあるが、大きな声を出すことがあるのであまり近寄ったことがない。

 

ティグがこちらに近づいてくる。ぼくは思わず一歩下がった。

 

「…竜族? それも、黒いやつと変な色のやつ…」

 

ティグは、気づけばぼくの前にいて、ぼくの姿をじろじろと眺めているようだった。

 

「えっと…」

 

道を聞こうと尋ねるべきか迷っている間に、相手の出方をうかがう。でも、獣人のティグはひとしきり姿を見た後に、その視線が一瞬だけぼくから外れ、地面へと落ちる。

 

「ははっ、なんだその恰好。全然似合ってないぞ」

 

ティグが笑った。ぼくの体が強張る。

 

「おまえ、宴会場でたまに見る黒曜石の竜族だろ? 所詮ガラスがそんなに飾り付けたって、宝石には見えねえぞ?」

 

ルポもくすくすと笑い声をあげる。

 

思わず、ぼくは身を縮めてしまう。やっぱり、そうなんだ。ぼくは外に出るべきじゃなかった——

 

「やめてえぇぇぇ---!」

 

え?

 

その時小さな体が飛び出した。オパールだ。

 

「あなた何様のつもりですか!ギデオン先輩はだれよりもきれいなの!黒曜石だって、ちゃんとした宝石なんですよ!」

 

「あ?おまえ、誰だよ」

 

ティグは面倒くさそうに言った。

 

「私はオパール!ギデオン先輩の可愛い後輩!先輩を馬鹿にするなんて許しませんよ!」

 

オパールの瞳には涙が浮かんでいた。それでも震えながらも、決してひかなかった。

 

「先輩は、ずっと一人で頑張ってきたの。誰も傷つけないように、自分のことばっかりせめて、そんな先輩を笑うなんて…いくら何でもやりすぎですよ!」

 

「チッ、うっせぇな、おれが間違ったこといったかよ」

 

「行こうぜ、ルポ。こんな奴らに構ってる暇はねえ。竜族ってのはそろいもそろってめんどくせぇな」

 

「隊長!それよりもエルフの巣で遊びに行くのだ!」

 

そう言ってルポは肩をすくめて、ティグの後ろについていく。

 

「---あ、そうだ」

 

ティグは振り返りもせずに言い捨てた。

 

「次からは、もっとマシな恰好でてこいよ。見てるこっちが恥ずかしくなるからさ」

 

笑い声を残して、2人は森の奥へ消えていくところだった。

 

「ちょっと!まだ話は終わってませんよ!」

 

オパールはこの状況に必死に怒っているようだった。でも…

 

「…オパール、もういいよ」

 

静かに息を吐いて、伝える。

 

「やっぱり僕は地上に出るべきじゃなかったんだと思う。ダーヤも優しく言ってくれたけど、気を遣ってくれただけなのかもしれない」

 

「先輩…」

 

「ありがとう、オパール。でも帰ろう、洞窟に」

 

オパールの悲しげな表情はちゃんと確かめられなかった。せっかくオパールが用意してくれた飾り付けが僕のせいで台無しになってしまったから…。

 

森の入り口で、水と炎の地の方角を見た。ダーヤの輝きがかすかに見えるような気がした。

 

「…やっぱり、僕とは違うんだよ。ダーヤは本当のダイヤモンドだから」

 

そのあとは何も言わず、僕はその場を離れた。オパールの「待ってください!」という声が聞こえたけれど、振り返ることはできなかった。

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