廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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13話 秘密の会合

男「アナト様の命(めい)によりお迎えに上がりました。」

 

ショウがぶつかったのはこの部屋まで案内してくれたあのショウに対して何やら不穏な空気を持つ男だった。

 

ショウ「び、びっくりしたぁ。。。」

 

ミネルバは驚いて尻もちをついたショウに駆け寄ると心配そうに手を差し出した。

 

ミネルバ「大丈夫ですか?」

 

ショウ「あ、あぁ。少し驚いただけだよ。」

 

ミネルバの手を取って立ち上がる。

 

するとミネルバと目が合ったのでショウは礼を言った。

 

ショウ「ありがとう。」

 

その言葉にミネルバはまた恥ずかしそうにする。

 

ミネルバ「いえ。。。後ろにこの方が来ている事を早くお伝えすればよかったのに。。。ごめんなさい。」

 

ショウ「いや、君が謝ることはないよ。」

 

ミネルバ「あ、ありがとうございます。」

 

そうしてミネルバが赤らめた頬で会心笑顔を見せるとショウは何か感動すら覚えた。

 

ショウ:な、なんて素直なんだー!!

 

もはや何かミネルバが輝いてさえ見えた。

 

ショウ:ええ子やないかー!!

 

ミネルバの為にひどい目にあった日々が思い起こされる。。。

 

バハムートのテラフレイムで殺されかけた事も何度かあった。

 

リヴァイアサンの水神の大波で押し流された日もあった。

 

女神の門では試練をぶち壊されたりもした。

 

そして思い起こされる塩対応の数々。。。

 

しかし、今ここにいるミネルバからはそんなクレイジーな雰囲気など1ミリも感じない。

 

何かこう宇宙に出て認識能力が拡大した者同士が心で語らっているかの様な、そんなキラキラした空間にいるような気さえする。

 

しかし、そのぽわわんとした空気も男の声で一蹴される。

 

男「お取り込み中、申し訳ありませんが取り急ぎご同行いただけますか?」

 

男はギロリとした目でショウを睨みつけながらも低姿勢でショウに急ぐように促している。

 

その内側にはやはり憎悪のようなものが渦巻いている様にショウには感じられて仕方がなかった。

 

ショウ「あ、はいっ。すいません。」

 

ショウ:この人、絶対何か怒ってるよな。。。?

 

そう思いつつもショウは甘い変貌を遂げたミネルバを連れてアナトたちの待つ会議室へと向う事となった。

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

会議室

 

そこはショウのいた客室とは打って変わって無機質な部屋だ。

 

情報漏えいを避ける為に窓もなく、余計な装飾は一切ない。

 

そして宇宙船の中のような暗くメカニックな雰囲気の部屋。

 

対となる半円形に対面する様に配置されたチェアの前にはそれぞれ空中ディスプレイが投影されている。

 

片方にはバアル、アナトそしてエルヴィン達とそれから二人の女性の姿がある。

 

皆、イシュタラ側の重要人物だ。

 

そして彼らと対面する様にもう片方には『人間』が7名、ショウ達にとっては意外な人達がそこに列席していた。

 

その7名とは西の七番地と呼ばれる81区の中のカプセル群の長達だった。

 

中でも24番地は本来西部には属していなかったのだが『あること』をきっかけに西部の代表的な番地となった。

 

『あること』とはこの81区の元となる国家の国柄に由来する。

 

つまり日本だ。

 

アヌによる災害と氷河期の到来にて例外なく日本という国家も世界の国々と同様に崩壊した。

 

そして皇室はからくもこの難を逃れてひっそりとその系統を守っていた。

 

数世代後、氷に閉ざされた伊勢神宮を復旧させる為に24番カプセルを増築し自らもその地に移り住む。

 

伊勢京の誕生である。

 

そこで祖である天照大神の祭祀と伝統をこの時代にまで護り祀っている。

 

それを受けて26番地、29番地は皇室の旧御所への帰還を切望したが叶わず今日に至っている。

 

しかし、相変わらず政治の中心は1番地である。

 

この為、本来中部であった24番地は力のある西部に編入される。

 

そして西部圏内は1番地に匹敵する力を持つようになった。

 

バアルはそんな81区の特性を見抜くと真っ先にイ特のエアバニーからの仲介で秘密裏に24番地とパイプを作っていた。

 

過去の歴史を鑑(かんが)みても24区の賛同があれば81区は大きな混乱を招くことも無く、まとまる事ができるという算段だ。

 

そして西部に於いてそれは的中し、秘密裏ではあるものの戦争中ながらもこうして各長達が時折イシュタラの秘密基地に赴いて会合を開くにまで至っている。

 

そして今回の議題は当然、来たる人間とイシュタラとの休戦協定についてだ。

 

そこに呼ばれたショウとミネルバが到着する。

 

ポーンという電子音と共に外の様子がドア側の空中に映し出される。

 

男「失礼します。二人をお連れしました。」

 

バアル「ご苦労、入り給え。」

 

男「ハッ!」

 

すると自動でドアがスライドして開き、外にいた男の後についてショウとミネルバが部屋に入ってきた。

 

ショウは予想外に人が多かったので少し驚いていた。

 

ミネルバは不安そうにショウの後ろに隠れている。

 

バアル「突然呼び出してすまない。こちらの方々とどうしても二人に会って頂きたくてね。」

 

ショウ「えっと。。。?」

 

と、この時ショウは初めて気が付いた。

 

この部屋にいる人達は初対面だがショウもよく知っている顔ぶれだということに。

 

全員ニュースなどでよく見る西部地区のトップ達だ。

 

皆、平安時代の様な朝服を纏い冠を付けている。

 

多民族で北欧の影響が色濃い27番地からは想像もできないが西部の上層部は『貴族』であり、日本の文化と伝統を強く守っていた。

 

いや、古き良きを目指して復興させたと言うべきかそこは江戸以前の装いを取り戻していた。

 

ショウ「え?わっ!なんで。。。?」

 

アナト「フフフ、驚いてるな。我々はもう随分前から人間とのパイプを作り停戦を模索していたのだ。」

 

ショウ「えええ??だってそんな。。。?」

 

そしてその中の一人がショウに話しかける。

 

「貴方が他守ショウさんですか。どうも始めまして。」

 

ショウ「ど、どうも始めまして。。」

 

その品のいい老人は戸惑うショウに続けて自己紹介した。

 

「私は天子様(てんしさま)の勅命により24番地の長を務めさせて頂いております竹田と申します。以後お見知りおきを。」

 

ショウ「は、はい。。。どうも。。。ご丁寧にありがとうございます。」

 

ショウは自分の場違い感で居た堪れない気持ちになるのを必死で抑えながらそこに立っていた。

 

そんなショウをこの竹田という年の頃70ぐらいの老人は優しそうに微笑みながら見ていた。

 

竹田「そちらのお嬢さんがミネルバさんですか?」

 

ショウ「はい、そうですけど彼女に何か。。。?」

 

竹田「ええ、実は折り入ってお願いがありまして。少し私の話を聞いて頂けますでしょうか?」

 

ショウ「?。。。はい。お役に立てるなら。」

 

ショウは不安ながらもその竹田という老人の話を聞くこととなった。

 

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