廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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25話 『影』の世界

剛本「本当か!?本当に小町を安全に匿(かくま)えるのか!?」

 

サスケ「勿論でござる。ただ、本当に何もない場所なので意識のある人間にはお勧めできないでござる。」

 

剛本「?それは一体どこなんだ?本当に安全な場所なんだろうな!?」

 

サスケは頷く。

 

サスケ「拙者の影の中でござるよ。」

 

剛本「影の中?なんだそれは?」

 

サスケ「つまりこういう事でござる。」

 

サスケはそう言うと剛本の腕を掴んで自らの影の中に剛本もろとも消えていった。

 

剛本「お、おい。。」

 

剛本の目の前はあっという間に闇に包まれた。

 

気が付くとそこは何もない真っ暗な空間がただどこまでも広がっている様だった。

 

そしてそこにはサスケの姿があり、サスケの影の部分には鏡写しにさっきまでの隔離病棟の廊下が上下逆さまに映っていた。

 

まるで影と現実世界が入れ替わった様だった。

 

『影』でない地面にはうっすらと外の様子が見えているが薄暗い。

 

表の世界の地面の暗い部分ほど明るく見えている様だ。

 

何とも奇妙な空間に剛本はしばらく言葉を失った。

 

サスケ「ここは拙者の特殊能力『影の世界』でござる。」

 

剛本「影の世界?」

 

サスケ「といっても実際には範囲幻術の類でござる。本当に異空間にいる訳ではござらん。」

 

剛本「これが。。。幻術?」

 

サスケ「この能力を買われて拙者はイ特の特殊工作部隊長になったのでござる。」

 

サスケ「この『影』はその場に残して行くこともできるでござる故(ゆえ)、どこか安全な場所に小町殿を移してそこで『影』を保管すればいいでござる。」

 

剛本「なるほど。」

 

サスケ「ただ、小町殿がもしこんな所でひとりで目覚がめてしまった場合にパニックになるのではないかと。拙者はそれが心配でござる。」

 

サスケ「小町殿が目覚めた時、お主がそばにいる必要があるでござるよ。」

 

剛本「サスケ。。。」

 

剛本はサスケの心遣いに感じ入り、苛立っていた自分をしばし忘れた。

 

そして深々と頭を下げる。

 

サスケ「!?」

 

剛本「。。。気遣い感謝する。」

 

サスケ:。。。

 

サスケ「頭をあげてくだされ。らしくないでござるよ。」

 

剛本はサスケの手を握る。

 

剛本「すぐ戻りますのでしばらくの間、小町を頼みます。何かあれば直接会話(SP)で知らせて下さい。」

 

サスケ「。。。分かったでござる。とりあえず外に出た後、小町殿をこの影の中へ連れてきて欲しいでござる。中へ入れてしまえばそのまま触らずに運ぶ事も出来るでござるよ。」

 

剛本はもう一度深々と頭を下げた後、一言。

 

剛本「了解した。」

 

そして言われたとおりサスケと『影』の外に出た後、サスケが離れて遠巻きに見守る中、小町のベッドごと影の中へ運んだ。

 

小町を運び込むと剛本は影の中でそっと小町の手を取る。

 

剛本「必ず、必ず俺が必ず助けてやるからな。」

 

そう剛本が声をかけると、仮死状態同然の小町の目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

 

それを見て剛本も涙する。

 

剛本「!!!小町?」

 

剛本「い、生きてる。。。やっぱりお前は生きてるんだ。。。小町。。。」

 

そして剛本はしばらくの間、声を押し殺して震えながら泣いた。

 

 

 

 

『影』の外ではサスケが既に移動を開始していた。

 

今度は『影』に入らずに生身での脱出を試みているのだ。

 

血清剤を投与されたといっても回復していない小町への接触は危険なために『影』に入る事ができないのだ。

 

それでトントンマル先導の元、大きなゴミ箱を頭からかぶって少しずつ前進していたのだ。

 

トントンマル「。。。御主人様(ごしゅりんたま)、何をしてるんですか?」

 

サスケ「忍法、隠れ身の術だ。」

 

トントンマル「。。。そうですか。」

 

サスケ「うん。。。」

 

因みにサスケの顔はまだボコボコのままである。

 

 

しばらくして剛本は涙を拭うとエルヴィンに直接会話(SP)を繋げた。

 

剛本→エルヴィン:エルヴィン、エルヴィン?。。。聞こえるか?

 

数秒の時間、沈黙が続く。

 

そして

 

エルヴィン→剛本:よお!剛本じゃないか!上手く英雄やってるかい?

 

剛本→エルヴィン:。。。いや、こっちはそれどころじゃない。

 

エルヴィン→剛本:何かあったのかい?

 

剛本→エルヴィン:ああ、実は助けて欲しいんだ。

 

エルヴィン→剛本:へ?なんからしくないなぁ。どうしたのさ?

 

剛本→エルヴィン:どうしても救ってほしい人がいるんだ。今どこにいる?

 

エルヴィン→剛本:27番地MNOだけど。。。救ってほしい人って?

 

剛本→エルヴィン:遠いな。。実は俺の隊の隊員なんだ。例のナノマシーンウィルスで重症化している。。。。心臓も。。。動いてないんだ。。。たのむ!今から迎えに行くから一緒に他守をこっちに来るように説得してくれないか?

 

エルヴィン→剛本:うーん。今ちょっとたてこんでるからなぁ。。。

 

エルヴィン→剛本:それに、わざわざ来なくてもオイラならそこまでテレポートできるよ。

 

剛本→エルヴィン:そ、そうなのか!?だったら少しの間でいい!他守を連れて来てくれないか!?

 

エルヴィン→剛本:うーん、どうだろう?なんか今の流れだとこの後24番地へ行って天皇に拝謁するみたいなんだよね。

 

剛本→エルヴィン:なんだと!?天子様に!?

 

剛本:こんなタイミングで。。。

 

剛本→エルヴィン:エルヴィン、やはり俺が直接他守に会って頼みたい。そっちまで俺をテレポートさせる事は可能か?

 

エルヴィン→剛本:ああ、できるよ!

 

エルヴィン「だってオイラは特別だからね!」

 

剛本「うわっ!エルヴィン!?」

 

気が付くとエルヴィンは『影』の中の剛本の隣にいた。

 

エルヴィン「変わった所だね。」

 

エルヴィンは相変わらず得意気だった。

 

そんなエルヴィンを見て剛本は少しホッとしたのを覚えた。

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