廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
サスケの『影』の中
エルヴィン「へぇ。。。小さなチカラで幻術を使ってうまく空間をカモフラージュしてる。よくできた技だね。」
剛本「エルヴィンいつの間に。。。」
エルヴィン「へヘーン!今の間さ!」
エルヴィンはピョンとベッドに飛び乗ると小町の顔を覗き込む。
エルヴィン「この子が小町か。。。これは確かに動かさない方がいいね。生きてるのが不思議なぐらいだ。」
剛本「エルヴィン、小町は。。。小町は助かるだろうか?」
エルヴィン「。。。。」
エルヴィンは眼を光らせて小町をじっと見つめる。
エルヴィン「この子も適合者だし、他守達の回復魔法とやらを使えば多分。。。助かると思う。他守自身も死んだ状態からでも蘇生したらしいしね。」
剛本「そ、そうか。。。そうだな。。。うん。アイツなら。。。」
エルヴィン「じゃ、さっそく行くよ!」
エルヴィンはそう言うと白く輝き始めて剛本はそのまばゆい光の中に消えて行った。
そして気が付くと暗い部屋の中、目の前で何か見覚えのある老人が床に倒れていた。
その男は平安時代さながらの衣装を身にまとっている。
そしてその周りを囲む同じような衣服の人々の殆どが剛本も見知った顔だった。
バアル、アナトとショウ、ミネルバ達。
そして倒れている以外は6人の西部の区長達だ。
知らないのはイシュタラ側の他の二人の女性位だった。
しかし、突然の剛本の登場でうろたえたのは西部の区の長達だ。
「だ、誰だ君は!?」
「じょ、攘夷派か!?」
「何!?何故こんなところに!?」
しかしパニックを起こしそうになっている区長達をアナトがスッと制止する。
アナト「皆さん落ち着いて下さい。アレはイ特の人間です。」
アナトは極めて冷静だ。
この毅然とした態度がすぐに皆の冷静さを取り戻す。
「確かにイ特の制服だ。」
「イ特の者が何の用かね?」
剛本は辺りを見渡すと区長達ではなくショウに目線を合わせる。
ショウ「お前は。。。こうもと!?」
剛本「剛本だ。」
剛本:いつになったら覚えるんだ。。。脳がラーメンで出来てるんじゃないのか?
相変わらず名前を覚えないショウに少しイラッとする剛本。
バアル「剛本君。。。君は何故ここに?」
ショウ「そうだ!なんでお前が??お前に食わせるラーメンはねぇぞ?」
剛本:こ、コイツ心が読めるのか!?
因みに別に心が読める訳ではない。
「バアル殿、知り合いですか?」
バアル「はい。彼が今回の休戦協定の立役者ですよ。」
「それじゃぁ彼があの。。。」
「ええ、イ特特殊攻撃部隊長の剛本君です。」
ショウ「あ、でも今それどころじゃないんだ!竹田さんが!」
そう、剛本達の目の前で倒れているのは竹田氏だ。
適合者でない竹田氏は適合者でない人間にショウ達の回復魔法を行った場合の効果を試す為に自ら実験台となり、ミネルバの回復魔法『キュアⅠ』を受けて倒れ込んだのだ。
その竹田氏の元にエルヴィンがふわりと降り立つ。
すると、竹田氏はゆっくりと眼を開けて体を起こした。
「おお!」
「良かった目を覚まされたぞ!」
竹田の無事を見て周りが歓喜の声に包まれる。
ショウ「エルヴィン?どうなってんの?」
エルヴィン「彼は気を失っていただけだよ!大丈夫!」
ショウ「はぁ。。。もう、びっくりさせないで下さいよ。。。」
ショウは力が抜けた様に大きくため息をつきながらも少し安心したような笑顔混じりでそう呟いた。
エルヴィン「体中の半分以上が機械だったんだ。突然生身の肉体に入れ替わって負担がないわけ無いだろ?」
ショウ「な、なるほど。。。それもそうか。」
バアル「それより剛本君、まだ返答を聞いていないよ。どうしてここへ?まさか停戦協定の準備に何か支障でもでたのかい?」
剛本「いや、そういう訳じゃ。。。実は他守に用があって来たんだ。」
バアル「他守君に?」
ショウ「え?俺?何で?」
次の瞬間、剛本は唐突に土下座をした。
ショウ「わっ!?な、なんだ!?」
周りの人々が唖然とする中、剛本はその太い声を張り上げた。
剛本「この通りだ!!どうか!!今から1区へ来てくれないか!?」
ショウ「は!?ちょっといきなり何だよ?」
剛本「無理を承知でお願いしている!!この通りだ!!」
剛本は頭をガン!と床にぶつけながらさらに叫んだ。
剛本「頼む!!」
ショウ「い、今から??いやいや、今この竹田さんと約束したとこでそんなこと急に言われても。。。」
剛本「天子様の事なら承知している。しかし、一刻を争うんだ!」
そしてまた頭を床に打ち付けると今度は赤いオーラが噴出する。
区長達はそれを見てまた慌てふためいた。
「うわ!ティ、ティアマトのオーラじゃないか!?」
「バ、バアル殿!」
バアルはため息をついて立ち上がると自ら黄色いオーラを放ち剛本の方に手をかざした。
するとそのオーラは光の如く剛本の方へ伸びて彼を包みこむと剛本の赤いオーラは簡単に消し飛んでしまった。
バアル「少し場所をわきまえ給え。剛本君。」
バアルに威圧されると剛本の額からはびっしりと汗が吹き出てきた。