廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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27話 テレポーテーション

バアルの一喝によってティアマトのオーラを消し飛ばされた剛本は強制的に冷静さを取り戻した。

 

剛本「グッ。。。す、まない。つい興奮してしまった。。。」

 

それでも剛本は土下座を続けた。

 

剛本の心には小町を助ける事しかなくなっていた。

 

剛本「失礼は承知の上です!どうか、どうか!助けて下さい!!」

 

そこへ周りに支えられながらようやく立ち上がった竹田が近寄ってきて声をかける。

 

竹田「イ特の方よ、先約は我らだ。いきなり来てそれは無いだろう?我らにも引けない理由はある。とりあえず訳ぐらいは聞かせてもらえないか?」

 

ショウ「そうだぞ、竹田さんの言う通りだ。お前ちょっと強引過ぎるぞ?」

 

剛本「。。。」

 

剛本「実は。。。」

 

剛本は涙ながらに全てを打ち明けた。

 

そして無言でまた土下座した。

 

ショウ「ちょっと!そういうのやめてくれよ。。」

 

剛本「。。。」

 

竹田「。。。」

 

プライドを捨てた剛本のあまりの一途な想いに皆戸惑いを隠せずにいるとその沈黙の中に場違いな程、爽やかな声が響いた。

 

エルヴィン「他守、回復魔法ってかけるのに何分かかるの?」

 

あまり唐突でそれでいて重苦しい空気を一蹴したその声にショウはまるで涼しげな風が吹いた様な錯覚さえ覚えた。

 

ショウ「。。。え?なに?」

 

エルヴィン「なにボケッとしてんのさ!回復魔法にかかる時間だよ!準備こみでどのぐらい時間かかるの?一回使ったらしばらく使えないとかそういうペナルティみたいなのとかある?」

 

ショウ「いや、大丈夫だ。連続で使えるよ。準備もいらないし回復魔法なら詠唱も長いので数秒だよ。」

 

エルヴィン「それなら10分だけ先に小町の所に来てくれない?どの道その竹田さんも少し休憩が必要でしょ?」

 

バアル「うーん。。。エルヴィン、時間的にそうでもまず竹田さんの了解を得るべきだよ。」

 

エルヴィン「うん、たしかに君の言う通りだ。」

 

エルヴィン「どうかな?竹田さん。認めてくれたら代わりにオイラが天皇さんのいる24番地までテレポーテーションで運んであげるよ。それなら一瞬だよ。」

 

竹田「テレポーテーション?そ、そんな事が可能なのか?」

 

エルヴィン「現に今こうやってオイラ達は一番地から500キロぐらいの距離を往復して剛本を連れてきたの見たよね?」

 

竹田は少し考え込んだ。

 

アナト「私が保証します。私達はエルヴィンのその能力でイシュタラの国からこの81区までテレポーテーションでやって来たのです。」

 

竹田「なんと。。。アナト殿が言うなら間違いないでしょう。そういう事ならこちらとしても願ってもない。かえって時間が短縮できます。」

 

エルヴィン「じゃぁ決まりだね?」

 

ショウ「ま、まぁ皆さんがそう言うなら俺はいいっすけど。。。」

 

剛本「!!!感謝する!」

 

剛本は土下座したまま震えながら落涙していた。

 

ショウもその姿を見て何も言えなくなってしまった。

 

竹田「但し、用が済んだらすぐに戻ってきて下さいよ。何しろ後には天子様が控えておられますゆえ。」

 

竹田がショウを真剣な眼差しで見つめて確認を求めるとショウは愛想笑いを浮かべつつ

 

ショウ「俺もホントは医者やりに戻ってきた訳じゃないんで、時間かけるつもりはないですよ。」

 

と、答えた。

 

エルヴィン「よーし!じゃぁ善は急げだね!剛本、他守、早くオイラの近くへ!」

 

ショウ「わかった。ミネルバ、行こう。」

 

するとミネルバは恥ずかしそうに小声で答える。

 

ミネルバ「。。。はい。」

 

ショウ達が言われるままにエルヴィンに寄り添う様に立つとエルヴィンはすぐに明るく輝いて何処かへ消えていった。

 

後にはキラキラと光の粒のような物が舞い散りそれもすぐに消えていった。

 

アナト「。。。私も行けばよかったな。」

 

ミネルバの違和感からかアナトがボソリとそんな事を呟くとバアルはそんなアナトに気が付いて声をかける。

 

バアル「どうした?アナト?」

 

アナト「いえ、何でもありません。兄様、他守たちが戻るまでに我々も出立の準備をしておきましょう。」

 

バアルは少しニコリとして

 

バアル「ふむ。。。そうだね。」

 

と立ち上がった。

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

エアバニーの自宅

 

 

 

エアバニーは独り身だ。

 

もう34歳になるが交際中の相手もいない。

 

署の女の子にデレデレする事はよくあるが、実際にはそれ以上なにも進展していない。

 

そんな彼の家はイ特本部からほど近い81区1番地の1号カプセル(旧千代田区)の一等地にある高層マンションの最上階にあった。

 

最上階のワンフロアーが一軒の家となっているその家のリビングは見晴らしがよく、1番地1号カプセルを一望できる広々とした洋室だが所々に和のテイストが施されている。

 

そしてそこにはエアバニーの趣味である旧世界の歴史を匂わせる骨董品が所狭しとディスプレイされていた。

 

そんな品々に目を輝かせるサスケと不機嫌なエアバニーの二人は剛本からの連絡を待っていた。

 

サスケ「うっわぁー!これすごおおい!隊長上(たいちょううえ)!こ、この刀触ってもいいでござるか!?」

 

エアバニー「ダメだ。」

 

サスケ「じゃぁ、じゃぁ、こっちの鎧は着てもいいでござるか!?」

 

エアバニー「ダメだ。」

 

サスケ「ええええ!?隊長上(たいちょううえ)ぇぇー!お願いでござるぅぅ!!」

 

エアバニー「ダメだ。」

 

無駄にテンションの高いサスケにエアバニーはイライラしていた。

 

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