廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
爆炎の中から舞い降りてきた青い光が次第に薄くなっていくと、そこにはショウ達と大勢の人々の姿があった。
地上についても皆、何が起きたのかわからずキョロキョロと周りを見渡すばかりでそこから離れようとはしない。
辺りは瓦礫の山が続くばかりで人々が見知った風景とはかけ離れていたからだ。
「ここは。。。?」
「一体何が?」
「今、俺達浮いてなかったか?」
「みんないる?」
「森下!無事でよかった!」
「なんなの!?どうなってるの!?」
ざわざわと不安げな声が飛び交う中で、人々はそれぞれ知っている顔を探しては寄り添いあい、それがいくつかのかたまりになっていった。
そして無事に知った顔を見つけた人々はお互い情報交換を試みたが、誰一人として何が起きているのかを把握できる者はいなかった。
そんな中、その人だかりの中心にいたショウの表情はひときわ暗かった。
自身のオーラで爆風から大勢の人々を救ったショウではあったが当の本人にはそんな自負の心など全くはない。
ただ、自分の無力さと見通しの甘さを悔いていたのだ。
この集団の中に小町の姿はない。
ショウの蘇生魔法リザレクションが発動した時、それに呼応するかのようにして小町の中で何かが暴発して小町の身体を粉々に破壊してしまった。
それがショウの知るすべてだった。
そして無惨にも小町は跡形もなく消えてなくなったのだ。
その事にショウとミネルバ以外で最初に気がついたのは小町の幼なじみであり、イ特特殊攻撃部隊『D』の同期で隊長でもある剛本だ。
動揺を隠せない剛本はフラフラとすがるようにショウに近づくと震える声で詰め寄った。
剛本「お、おい!?どっどうなったんだ!?なぁ!?」
しかしショウは何も答えない。
いや、答えられなかった。
剛本「なぁ?こ、小町は?小町に一体何が起こったんだ!?」
ショウ「。。。」
剛本「頼むよ、答えてくれ。。。小町はどこへ行ったんだ?」
普段の剛本らしかぬ震える声の力ない問いかけに答えることもできずにショウはただ辛そうに立ち尽くす事しかできなかった。
そんなショウにすがるようにしがみついた剛本は次第に立っていることすら出来ずにゆっくりと腰を落として座り込んでしまうとうつ向いて震えていた。
剛本「まさか。。。?」
剛本「違うと。。。言ってくれ。。。」
空気が重く、息が詰まりそうな雰囲気がショウ達を包み込み、かける言葉を見失わせていた。
そこに、そんなショウを見かねたミネルバがようやく気まずそうにそっとつぶやく。
ミネルバ「。。。彼女の細胞内に何かが仕掛けられていましたわ。」
時間が止まっていたかのように固まっていた剛本はその言葉にはっとする。
剛本「何かって何だ!?」
ミネルバ「彼女自身のティアマトのオーラが蘇生魔法に呼応するかのように。。。別の何かの力が細胞一つ一つの中から吹き出してくるのが見えましたわ。。。」
剛本「別の何かってなんだ!?」
ミネルバ「それは。。。わたくしにも。。。」
剛本「うそだ。。。」
剛本「小町!?小町!?どこだ!?返事をしてくれ!?」
右往左往しながら辺りにいる人達に声をかけて回るが小町の姿は見つかるはずもなく、剛本の悲痛の叫び声が何もなくなった辺りに響くだけだった。
やがて剛本は泣き崩れる様に瓦礫の山積みとなった地面にへたりこんでしまった。
ショウ「。。。」
ショウ:クソッ。。。俺はどうすればよかったんだ。。。?
ショウ:どうして。。。どうして罠に気が付かなかったんだ。。。あの禍々(まがまが)しく不自然なオーラ。。。あれはまるで悪意の塊だった。。。
ショウの頭は後悔の念でいっぱいになっていた。
するとそこに、ショウ達の姿を見つけたエアバニーとサスケが忍者犬のトントンマルに先導されてようやく駆けつけてきた。
サスケ「剛本ー!そこにいたでござるかー!」
サスケはニンニンという掛け声を発しながら、エアバニーは渋い表情をしながら瓦礫の山の上をまるで忍者の様なスピードで走り抜けるとショウ達のところにめがけてピョンと高いジャンプをして一気にそばまでやってくる。
エアバニー「みんな大丈夫か?これは一体何の騒ぎなんだ?」
ショウ「あ、いや、それが。。。」
エアバニー「それはともかく、ひとつ非っ常に大事なことを確認したいんだが。。。」
ショウ「あ、はい。。。何か?」
エアバニー「俺の家は一体どこへ消えたんだ?ここは俺のマンションが建ってた場所だよな?」
そう言われて一瞬、空気が固まった。
ショウ「あ。。。」
エアバニー「。。。。」
エアバニー「。。。嫌な予感しかしてないんだが。。。テレポーテーションでしたーなんて。。。ないよな?」
ミネルバ「貴方の住居なら今しがた跡形もなく消し飛びましたわ。」
容赦なく告知するミネルバ。
エアバニー「ぐっ!!や、やっぱり。。。。かぁ。。。!」
エアバニーも半分覚悟はしていたが、思い出と宝物のいっぱい詰まった大切なマイホームが消滅した事のショックで石のように固まってそのまま真後ろに倒れてしまった。
ショウ「わっ!?あの!ごっごめんなさい!」
慌ててエアバニーを介抱するがエアバニーはブツブツとなにかを口走りながら放心状態となってしまった。
そして、そんなドタバタの最中、ふいに一人の女の子がこの集団に近付いてくる。
女の子の声「あの、ツヨシさん。。。」
その声に剛本は、くしゃくしゃになった顔をはっと上げて慌ててその声の方向を見た。
すると、ピョコンと頭に猫耳を立てた年の頃10代中頃に見える女の子が剛本達の前に立っていた。
おしりからは尻尾の様なものもユラユラ揺れている。
剛本「え。。。?」
女の子「あの。。。」
剛本「?」
女の子「アチシだよ?」
剛本「は?」
女の子「え?」
剛本「誰。。。だ?」
その少女の頭の耳はピンと立ち丸く大きな瞳はまっすぐに剛本の方を見つめていた。