廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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35話 ビビアンの素顔

ショウ「か、かわいい。。。」

 

何という事だろう。

 

その可憐さはショウがこれまで出会った何者にも変え難かった。

 

美しく、それでいてあどけなさを感じるエメラルドグリーンの目と髪。

 

濡れている訳でもないのにどこか瑞々(みずみず)しく透けるような肌。

 

その姿は自身がまるで海の中にいるかの様な錯覚さえ起こさせた。

 

周りにいる公家達もビビアンのあまりの美貌に感嘆としてどよめいた。

 

ミネルバはそんなショウに気がついて後ろからショウの目を両手で覆い隠すと不満げに頬を膨らませている。

 

ミネルバ→ショウ:いけませんわ。。。!

 

ショウ:ええええ???何で???

 

優柔不断なショウは、そんなミネルバにもビビアンにもときめいてしまっていた。

 

ショウ:うわぁぁ。。なんか色々、色々。。。これもトキメキパラダイスの力なのかーー!?

 

いや、それは気が多いだけであった。

 

そんな、ビビアンに対してのそんな周りの反応とは対照的にアナトは剣幕は収まらない。

 

アナト「ビビアン、一体誰の差金だ?命が惜しければ正直に答えよ!」

 

ビビアン「は、はい。。。実は、イシュタラの国にいた時からずっとヤム様の命で他守様を監視しておりました。」

 

ショウ:え?そうだったの?

 

公家達は皆、心の中で「可哀想でおじゃる。。。」「もう、許してあげて欲しいでおじゃる。。。」と呟いているが聞こえるはずもない。

 

アナト「それは分かっている。しかしそれはイシュタラの国の中にいた時の話だろう?なぜ隠れてコソコソ付いてきていたのだ?」

 

アナトにそう問い詰められてビビアンは急にモジモジし始めた。

 

ビビアン「それは。。。あの。。。その。。。」

 

アナト「何だ?聞こえぬ!」

 

ギラリとオレンジ色に光るアナトの目が冷徹にビビアンを見つめる。

 

ビビアン「ヒィィ!!申し訳ございませんでした!!愛しい。。。他守様の事が心配で付いてきてしまいました!!」

 

ショウはその言葉にドキリとする。

 

ショウ:これもまた。。。トキメキ。。。パラダイス。。。?

 

ミネルバ「tamori。。。ヨダレがでてますわよ。。。」

 

ショウ「出てない。。。」

 

ミネルバ「出てますっ!」

 

ショウ「いや、こっこれは汗分身だって」

 

ミネルバ「もう!訳わかんないこと言ってごまかさないでくださいませっ」

 

ショウはもはや上の空だ。

 

数々のビビアンとの残念な思い出がここへ来て美しい思い出へと変貌して書き換えられていたのだ。

 

サメのヒレに二人でつかまった事や人魚の里のモフモフ(パスカルの音程)で休んでいるときに告白された事。。。

 

ショウ:そう言えばあの時のミネルバは俺たちを「つがいの人面魚」とか言ってあざ笑ってたんだよな。。。

 

アナト「バカな事を。。。どうやってここまで来た!?イシュタラの国からはそう簡単に来れる距離ではないぞ!?」

 

ビビアン「あ、あの。。。皆さんがイシュタラの国をお立ちになる際のテポドンという魔法の時に時空の歪みに思わず飛び込みました。。。」

 

ショウ:テポドン?

 

ミネルバ:テポドン?

 

一瞬、ショウ達の思考が砂時計になったがすぐにそれが何を指しているかは気が付いた。

 

ショウ:あぁ、テレポトの事か。。。そう言えばあの時、何か見えたような気がしたんだっけ。。。すっかり忘れてた。

 

ここでショウはイシュタラの国を出てからこれまで、ずっと何かの気配を感じていた事を思い出す。

 

ショウ:「そう言えば。。。たまに何処からか声がしてたのはビビアンだったのか。。。」

 

などとショウが今となっては愛らしいビビアンのストーキング行為に都合のいい思いを馳せていると、今度は光仁天皇の方から仲裁を申し出た。

 

光仁天皇「アナトよ。害意がないのは分かった。すまぬがそろそろ許してやってくれぬか?取り急いで皆に朕の話を聞いてほしいのじゃ。」

 

するとアナトは仕方なく矛を収めた。

 

アナト「失礼しました。この件は後で正式に謝罪いたします。」

 

光仁天皇「良いのだ。聞けば善意からの事、気にしてはおらぬ。それより、聞いてくれ。朕がそなた達を呼んだ訳を。」

 

ショウ「あの、竹田さんより聞きました。ご病気だと。俺達は回復魔法で治してほしいと言われて来たんです。」

 

ショウ:それにしても、元気そうだけど。。。?

 

光仁天皇「病気。。。確かに病(やまい)は患っておるが、それは違う。」

 

ショウ「ええ?それでは一体?」

 

光仁天皇「そなたがそなたの祖父の遺物を手にする前にどうしても会って話しておかなければならぬ事があったのじゃ。」

 

ショウは訳も分からず目を丸くするばかりだ。

 

光仁天皇「そなたはあの遺物に決して触れてはならぬ。」

 

ショウ「ど、どうしてですか。。。?」

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