廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜 作:織雪ジッタ
光仁天皇「200年以上も昔の事じゃ。。。」
光仁天皇「他守よ、そなたの曽祖父にあたる三浦シュウという男はエンキに心酔していた。その力に、そしてその力に関する累積された知識に。」
光仁天皇「エルヴィンが去った後もエンキが躍進し続けられたのは三浦シュウあっての事であった。」
光仁天皇「その栄華は一区経済界や政界のみならず世界に轟(とどろ)きわたっていた。」
光仁天皇「朕はイシュタルさんによってこの『万物を見通す目』を目覚めさせてもろうてから長い間、この御所に居ながら世界で起こった色んな事柄をずっと見つめて来た。」
光仁天皇「そして、長きにわたりイシュタルさんやエルヴィンと語り合ってきたのじゃ。」
ショウ「その力は加護というものですか?」
光仁天皇「朕はそう呼んでおる。」
ショウ「あの、加護って一体なんなんですか?ナノマシーンやティアマトのチカラとは違うんですよね?」
光仁天皇「加護とは。。。生命が本来持っている力。。。と解釈している。」
光仁天皇「ナノマシーンはその者が本来持っている力とティアマトを人為的に繋げるきっかけであると朕は解釈している。」
ショウ:またティアマト。。。か。。。
光仁天皇「イシュタルさんのティアマトのチカラとそれが共鳴を起こして開眼したのじゃ。」
光仁天皇「まあ、よほどの偶然が重ならぬ限りは無いことではある。」
光仁天皇「かつて朕と同じくしてイシュタルさんに加護を頂いた、青く目の光る治癒の力を持った少女もいたが。。。」
光仁天皇「今はそれよりそなたの事じゃ。」
ショウ「すいません。僕の質問のせいで話がそれました。話を続けてください。」
光仁天皇「うむ、では続ける。その三浦シュウがやっておった研究のひとつがSH計画と言われていたのじゃ。」
ショウ「エスエイチ?ですか。。。?」
光仁天皇「アヌの復活の器となるべくクローン体を作る計画じゃ。」
光仁天皇「実験はAから始まりZまで行けばBA、そしてBZまでいけばCAといった具合だ。それがSHまで来た時にようやく遺伝子に全く損傷のない完全なクローン体の研究が完成した。」
光仁天皇「そこでSHを別ブランチとして独立して三浦シュウ自身が強力にその研究を推し進めさせた。」
アナト:なんだろう。。。すごく、不快な話な気がする。。。
光仁天皇「そうしてSH計画はSH-Aから再スタートを切り、大量の人体実験を繰り返してSH-Nまで来てようやく細胞から理論通りの実体を生み出すことに成功したのじゃ。」
光仁天皇「それをいち早く察知したエルヴィンは胎児だったSH-Nを亡きものにしやった。」
ショウ「あのエルヴィンがクローンとはいえ胎児を。。。殺した?まさか?」
コマチン「。。。それは本当よ。世界を今度こそ滅ぼしかねない、それだけ危険な存在だったのよ。。。それに、あまりにも多くの犠牲を払っていた。。。」
コマチン「でもアチシは失敗した。その研究には続きがあったのよ。」
光仁天皇「三浦シュウはもう一人、SH-Oというクローン実験体を隠し持っていた。そしてそれは無事に産声を上げてしまった。」
光仁天皇「しかし、奴らにも誤算があった。遺伝子が同じだからと言ってアヌ本体と同じように適合して必ず覚醒するというものではないのだ。」
光仁天皇「これがアヌのクローンを作成する上で大きな足かせとなり、途方もない時間を必要とした理由なのじゃ。」
光仁天皇「三浦シュウは何度も何度もSH-Oを作っては適合実験を繰り返した。」
光仁天皇「しかし、何度やってもSH-Oは適合せずに崩壊して溶けてしまったらしい。」
光仁天皇「不完全な適合であればSH-Nでも可能だったがSH-Oの適合は完璧なものであるがゆえに安定が難しかったのだ。」
光仁天皇「完璧なDNAと肉体を持つにもかかわらず実験は失敗し続けたのじゃ。」
光仁天皇「それでも適合者ではない三浦シュウは豊富な財力で何度も延命手術を繰り返しながらその研究を続けた。」
光仁天皇「しかし、エンキがコールドスリープに入っていたこともありなかなか計画は思うように進まなかった。」
光仁天皇「そうやって年月を重ねるうちにやがて三浦シュウは妻をめとり、子をなした。それがそなたの祖父の三浦シャアである。」
光仁天皇「歳を取ってからの子であった為に三浦シュウは息子を随分愛していたようだった。」
光仁天皇「そして三浦シュウの死後、息子はその研究を引き継いでついに完成させる。それが今から27年前のことじゃ。」
光仁天皇「もう分かっておるな?」
ショウ「ま、まさか。。。SH-Oって。。。?」
ショウの胸は張り裂けそうな程に心臓の鼓動がバクバクと鳴り響いていた。
アナトも険しい表情をみせている。
ミネルバは心配そうにショウの服の端を握っている。
光仁天皇「そなたには父も母もおらぬ。三浦シュウの実験により作られた命、アヌ細胞クローン実験体SH-O。それこそがそなた『ショウ』なのじゃ。」
ショウ「そ、そんな!?」
ドクン!
ドクン!
ドクン!
ドクン!
ドクン!
ドクン!
ショウの頭の中は真っ暗になり心臓の音だけがこだましていた。