廃核の海 〜魔族アバターのまま現実世界に放り出された俺と不思議な美少女の物語〜   作:織雪ジッタ

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42話 目覚めると

体の半分がアンドロイドでできている公家達はそのむき出しになったメカニックな両手を一斉に竹田にかざした。

 

すると彼らのその手からは光る何かが溢れ出した。

 

そしてその光る何かはそのまま球形のベールとなって竹田を覆い包みこんだ。

 

これは竹田を守るためではない、これから起こる事から周辺を守る為のバリアだった。

 

そのバリアの完成を見届けると竹田は躊躇(ちゅうちょ)することなく予め用意していたF式235と呼ばれる小型の戦術核爆弾をその中で起爆した。

 

これは、小さいながら広島型の原爆と同等の威力があった。

 

本当にあっという間の出来事だった。

 

竹田はバリアの中で一瞬にして跡形もなく蒸発したのだ。

 

周りの公家達もこの衝撃には耐えられずバリアごと消滅。

 

それでも公家達のバリアが衝撃を緩和してカプセルの外壁でようやくその勢いは完全に止まった。

 

ここは比較的小型のカプセルであったが内部に建築されていた雅(みやび)な木造建築はひとたまりもなくバリアから溢れ出た爆風に瓦解した。

 

ここは初めから完全に捨て駒のカプセルであったのだ。

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

◇  ◇  ◇ 

 

 

ショウ「。。。ん。んん?」

 

ショウ「寝て。。。た?」

 

目を覚ますと何か懐かしい感覚がした。

 

自分の手を見ると見慣れた自分の手が見える。

 

悪魔の様なゴツい手ではなくちゃんと人の手だ。

 

爪も丸く猛禽類(もうきんるい)のような尖ったものではなくなっている。

 

ショウ「えっと。。。何だっけ?随分と寝た気がする。。。」

 

ムクリと布団から起き上がるとショウは伸びをして周りを見渡した。

 

明るく障子から白く優しい光が差し込んでいる。

 

静かで広いその和室は清潔感に溢れていて手入れされているのが分かる。

 

ショウ「あれ?ここは。。。?」

 

見覚えのない部屋だ。

 

ショウ「。。。どこ?」

 

静かだ。

 

外からは小鳥のさえずりが僅かばかり聞こえる。

 

こんなに穏やかな気分は久方ぶりだ。

 

とはいえ状況がまったく掴めない

 

不思議に思ったショウはそのまま起きて障子をそっと開けた。

 

するとそこには美しい日本庭園があった。

 

庭に面した廊下は長く、このお屋敷の広さを感じさせる。

 

ショウ「誰も。。。いない?」

 

少しため息をつく。

 

ショウ「そういえば皆はどこにいったんだろ?」

 

ショウは四つん這いのままそっと部屋を出ると縁側に腰を下ろした。

 

そして少し離れた所にある庭の池をふと視線を移す。

 

静かな水面にキラキラと光が反射してその隙間から錦鯉が見え隠れしている。

 

何故かずっと見ていたくなるような気持ちになってそのままぼーっと眺めていた。

 

そのまましばらくするとその穏やかな水面がにわかに泡立ち波がおこる。

 

ショウ「な、なんだ?」

 

するとその中から美しい人魚がすうっと現れた。

 

ビビアンだ。

 

ショウ「あ。。。」

 

ビビアンは恥ずかしそうにしながらショウに何かを言いたげにしているが、なかなか言葉に出来ずにモジモジするばかりだ。

 

ビビアンのそんな痛々しい様子を見ていると、見ているショウの方が何か小恥ずかしくなってくる。

 

しかし、ショウはその美しい人魚があの人面魚のビビアンだとは気がついていなかった。

 

ショウ:イシュタラの人魚だよな。。。?あんなキレイな人がいたんだ。。。

 

ビビアンはショウの食い入る様な視線を直視できずにやはりモジモジしている。

 

ショウ:でも、どこかで会ったような。。。

 

そんな時間が幾ばくか過ぎた頃、ようやくアナトの姿がその長い廊下の先に見えた。

 

しかし、こちらに気が付かずにどこかへ行ってしまいそうな様子にショウは慌てて思わず大きな声を出してアナトを呼び止めた。

 

ショウ「アナト!!」

 

するとアナトはようやくショウに気が付いた。

 

アナト→ショウ:でかい声を出すな。今そっちに行く。

 

ショウ→アナト:ご、ごめん。。。思わず。。。

 

すると慌てる訳でもなく、しずしずとアナトはゆっくり一分ほどかけて歩いてようやくショウの元までやって来た。

 

アナト「やっと目が覚めたか。改めて言うが本当のお前はそんな姿なのだな。」

 

ショウ「え?あ、あれ?俺ってやっぱり元の姿に戻ってるんだ。。。」

 

ショウは、自分の顔をペタペタ触りながら

 

ショウ「も、戻ってるよな?やっぱり。。。」

 

と少し明るい表情を見せる。

 

ショウ「何で戻ったんだろ?ハハ。。。天子様に何かしてもらったのかな?」

 

とても27歳には見えないあどけなさの残る表情でショウは微笑む。

 

しかし、次のアナトの一言で現実に戻されることになる。

 

アナト「そんなことより竹田が自刃し、ミネルバが植物状態だ。。。これからどうするか考えなければならない。」

 

ショウ「へ?何それ?」

 

アナト「。。。?」

 

ショウ「皆に何か。。。あったの?」

 

訳が分からないといった様子で不安そうなショウの表情にアナトは戸惑った。

 

アナト「覚えてないのか。。。?」

 

ショウには記憶がなかった。

 

考えようとしても頭がグチャグチャして記憶が繋がらない。

 

ショウ「え?。。。あれ?。。。」

 

ショウ「確か。。。御所へ参内して。。天子様に拝謁して。。。それから。。。」

 

ショウ「うっ!」

 

そこから考えようとしても頭がズキンと痛む。

 

ショウ「。。。何だ。。。これ?」

 

ショウ「うまく、思い出せないな。。。」

 

アナト「そうか。。。」

 

ショウ「なぁ、教えてくれよ!俺ってあの後、天子様に会った後どうなったんだ?ミネルバが植物状態ってなんだよ!?」

 

アナト「少し、二人で話をしようか。」

 

そういうとアナトはショウの寝ていた部屋に入った。

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